ファミリーコンサート・・・3 じぇ!じぇ!じぇ!
堀江ファミリーコンサート2013は、休憩を挟んで後半に入りました。 チェロの牧生氏は現在モスクワ音楽院に留学中。9歳で札幌ジュニアチェロコンクール優秀賞と山藤賞の受賞をはじめ、スロヴァキア国際チェロフェスティバル1位・・・・と、数々の賞を得て、関西の一流楽団との共演も多いのです。 「兄妹の中で一番の嫌われ者の長男牧生です」と聴衆の笑いを誘って演奏が始まりました。 黛敏郎作曲 無伴奏チェロのための『BUNRAKU』,プログラムの解説によると、「文楽(人形浄瑠璃)」の世界を西洋楽器であるチェロにリダクションしようという試みのものらしい。 3部からなり、太棹三味線のバチさばきや、義太夫節の微妙な節回しを、チェロの超絶技巧を効果的に用いて表現、きわめて緊張感を持った音楽、「古典」を高度に追及することが転じて、前衛的革新的創造の実践にも繋がっていると・・・。。 チェロが発する和的な音を初めて聴いた私は、不思議な感覚を覚えましたが、突然彼は舞台の袖にチェロと共に姿を消しました。 聴衆は狐に包まれたようにただ大人しく静かに待っていますと、父親の堀江氏が現れ「チェロの絃が切れて仕舞い、演奏不可となりました。この後の時間何とか考えますので、しばらくお待ちください」と言い残し、姿を消しました。 次男恵太さんが友情出演の有樹さんと共に現れ、1部で演奏しなかった3楽章の演奏を始め、お兄さんのアクシデントをカバーし、客席は暖かく彼の奏でる音に聴き入りました。 最後の兄妹トリオによる演奏は、ドヴォルザーク ピアノトリオ 第4番ホ短調 作品90「ドゥムキー」から3楽章、6楽章でしたが、チェロの絃もトリオ、3本でした。 しかし幸いなことに、最後の曲には切れた絃の出番がなかったのです。 私にとって演奏も家族愛も心に残り、和み寛いで帰途につきましたが、彼らにとっても一生忘れられないコンサートになったことでしょう。