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カテゴリ:模型(ジオラマ)
「回転性めまい続くも、思いやりありや ? 」
夕子「おはよう。・・・ごめんね、息子が都合で帰宅出来なくなって」 村松「ナニ、そのうちまた機会もあるし、あいつとは電話でも気楽に話せるから、ありがたいよ」 夕子「ノロケるつもりはないけど、あたしの家(うち)に来るのは、そろそろ退屈なの ? 」 村松「とんでもない ! 一番気づかい要らないのが夕子だもの。・・ただね・・心配させるのがイヤだから・・」 夕子「水臭い。・・・まさか、めまい ! ? 」 村松「うん」 夕子「いつごろ ? 」 村松「今電話してる約15分前」 夕子「ええッ ! ! ダメよ、休まなきゃ」 村松「俺には点滴は効かないし、症状も夕子ほど一気に重くは出ないから、昔でいう『メリスロン』規定量の六倍飲んで、お袋に線香と水を上げて、こうして電話してる。このあと、食糧調達にスーパー行くつもり」 夕子「スクーター大丈夫 ? 」 村松「八つ切り食パンが底を尽きかけているから、動けるうち、動こうと思って」 夕子「ねえ、たいした役にも立たないけど、暗くなってから、行っていい ? 」 村松「お前、今度こそプロパー(営業社員)が各医院などに売り込みなどに奔走する時期だから、連休とれるのに、軟弱男の看病になるより、自分の生活楽しめよ。衣替えの季節だから、洋服買ったり・・」 夕子「もしお邪魔するって言ったら、ハッキリ言って迷惑 ? 」 村松「とんでもない。その全く逆。ただ、お前がせっかく来てくれても、体調芳しくないと、手数かけるだけで、申し訳ないと思って」 夕子「決めたわ ! 今夜暗くなるのを待って行くわ。あたしに気をつかわないでね」 村松「済まないね。ただしドタキャンしても文句言わないよ。夕子が常に体調がいいとも限らないし」 夕子「夜まで時間があるから、横になっていくらか落ち着くようなら、睡眠とってね。じゃ、お大事に」 ・・・・・時間経過あり・・・・・ 夕子「あの、先日お送りした保険のパンフレットの件で、失礼ながらお邪魔させていただきました。あの、少しお時間よろしいですか ? 」 村松「あの、失礼ですが、たとえ企業のかたとは言え、女性一人でいいのですか ? 」 夕子「お恥ずかしいのですが、人手の都合で、わたくし単独で各お宅を訪問しているのです。私はかまいませんが」 村松「それでは、玄関の施錠を解いて、失礼ながら玄関先ということにしましょう。それから、瞬時に『110』番通報可能なように、登録しておいて下さい」 夕子「そんなに警戒していません。でも、ご厚意に従います」 ・・・・・・ 夕子「登録しました。お気づかいありがとうございます」 ここで玄関を閉めると、逆にしっかりカギをかけて、ようやく互いにヘタな芝居をやめた。 村松「暗くなってからって聞いてたけど、早いね」 夕子「心配だったの。それにカモフラージュのパンフレットもしっかり持ってるでしょ」 村松「県民共済じゃんか。俺のとこへも来た」 夕子「買い物のあと休んだ ? 」 村松「なぜか起きてた。今、大丈夫だよ。二階いこう」 夕子「あ ! 造型なんかやって。ストップしたのに・・」 村松「その話、前のことじゃんかよ」 夕子「事情知らない人だらけだから、脚色よ」 村松「改めてしかられるのも、妙だな」 夕子「だから、ご存じの人以外は知らないから、その人だけ、『なるほど、これが時間をずらす脚色か』と気づいて下さればいいのよ」 村松「そのていねいな言葉づかい、ご本人にバレるよ」 夕子「あなただって、『ご本人』なんて言ってるじゃない。造型して何時に寝たの ? 」 村松「夜中の3時ごろ」 夕子「それでめまいが出たって、不思議じゃないじゃない ! 」 村松「でもそれはさらに前日の話で、翌朝は何んでもなかったよ・・」 夕子「わからない人ね。時系列を知ってる人は、一人だけでしょ。一日ぐらいズラして、脚色すればって言ったばかりでしょ ! 」 村松「もうこのブログ、メチャクチャ。きょうのことときのうのことを混ぜこぜにして。俺、きのう叱られたのに、二日連続叱られた気分。心配で来てくれた口調とは思えないや」 夕子「もういいにしなさいよ。さて、造型の様子を見るのは今夜が初めて。・・ふうん、竜脚類二頭置いて迷ってるのね。あ、劇中の村松の完全装備ほぼ終わったのね。・・短剣とホルスターはなぜ腰にささないの ? 」 村松「接着剤が乾かないから」 夕子「ブルー・バックでみると、スーパー・サウルスのほうが新登場だし、レイヤー作りやすそうだけど・・」 村松「よし、その言葉で決めた。ディプロドクスは、模型が固定してあって、動きを与えられないから、ほぼ体長が同じスーパー・サウルスに決定」 夕子「でも、あたしがいないからって、調子に乗って造型再開してはダメよ。で、恐竜が現われるセットは用意したの ? 」 村松「お前、言うことと、せきたてることが交互じゃんかよ。ストップかけておいて・・」 夕子「一応きいたの。どおなの ? 」 村松「余り会心の作とは言えないけど、途中まで合成してみた」 夕子「いいじゃない、これで。あと何か下生えなんかを合成するのは任せるとして・・、ね、まだ正式のブルー・バックでなくていいから、竜脚類撮影してみて。あ、それから完全装備でなくていいから、村松フィギュアもね」 村松「お前、心配して来た割に酷使するね」 夕子「だから正式でなくていいって言ってるでしょ。・・ああ、足元がふらつくわね」 村松「当たり前だろ。今朝の今だから」 夕子「それを一日前のことにしてるんだから、・・それに今何んとか持ち直したでしょ」 村松「なんでもなけりゃ、一日ぶん脚色でいいけど、いくらブログで脚色って言ったって、お前、かなり残酷だね」 夕子「でも、めまいの15分後には着替えてスクーターで買い物に行けたでしょ」 村松「わかったよ。とにかく一枚だけだよ」 夕子「わあ、二種類の竜脚類が並ぶと、見ごたえあるわね。はい、ご苦労様。めまいが出なくなるといいわね」 村松(小声で)「今朝の優しさと今夜とのギャップは特筆ものだ」 夕子「何んか言った ? 」 村松「い、いや、何も・・」 夕子「聞こえたわよ。いい ? 体調にもよるけど、次回作は一年計画ぐらいのつもりで、ね、無理しちゃダメよ」 正直素直に喜べない。だが最後にノロケるようだが、神経性の病のつらさをよく理解していて、本来は優しく、素直である。私の亡き母に相当感化され、特に母が最も嫌った「怒鳴る」ことをしないのが救いである。くどいが「身体を第一に」と慰めの言葉を告げたその舌の根が乾かぬうちに、「全長30cmのムカデをどうやって、フィギュアに合成させる予定なのか」と新たな問いをぶつけるから、応接にいとまがないし、「これくらい撮影してみたら ? 」と、ジリジリ追い詰めるから、共通の持病を知るだけに、かえって冷酷なのかと疑いたくなる。 反問してみた。ただし、細君と同居の世の亭主殿たちには、既に経験済みと察するが、別居付き合いでさえ、かくの如きで、特に議論・口論となると、まずかなわない。 それでもかねて疑問だった事柄を言ってみた。 村松「『スーパーマン・リターンズ』で、連射砲の弾丸の一発がスーパーマンの眼球に当ると見た瞬間、弾丸がグシャッとへこんで、つぶれるシーンがあるだろ。劇中の村松の身体にも言わば肉体バリアーが施してある設定なら、似たことが起きて、かまれても平気なんじゃないの ? 」 このあとが意外な反応だった。 夕子「そうか、そう言われてみれば、そうかも知れないかぁ」 だが考えることしばしどころか、わずか。別案が示された。 夕子「そう考えると、バリアーの効果で、通常の拷問のようにも出来ないとなると、困るわね。・・・。じゃあ、こうしたらどうかしら。バリアーは消耗しているのは設定したから・・・、それで肉体バリアーは、順に内臓から次第に体表に及んで、皮ふは最後で、そのあと少しのところで、かまれることにしたら、どうかしら ? 」 この時だけ『女は本来的に残酷』と思った。 なまじバリアーを二重設定したから、こう返された。今私にかろうじてさらに反論出来そうな案は、最後のとりでと言える『肉体バリアー』設定の廃止だが、不用意に理屈を言うと、また新たに何を以て反論されるかわからない。たかが拙いSF物語でも、相手が入念に考えたことなので、前途を恐れている。最後の手段は、ていねいに詫びつつ、折れてもらうことだ。 たとえ架空とはいえ、名字だけ同名にした好漢・村松を残酷なめにはあわせたくないのが、偽らざる思いの一つだ。お粗末。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2016.05.04 16:16:21
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