カテゴリ:国際経済
南海泡沫事件顛末記(37)
終章 現在の危機 2006年、住宅価格は下がり始めましたが、なお証券化商品は、せっせと組成され、次々に売り出されておりました。安全性が高いとされる分散投資が徹底していること、大手格付け会社がトリプルAの格付けを与えていることが、その理由でした。 バブル崩壊の影響は、タイムラグがつき物です。住宅価格が値下がりし、サブプライム関連融資の一部に焦げ付きが生じ、金融機関が担保権を行使して、住宅を差し押さえ、中古住宅物件として売りに出されるようになり、しかもその数は、月を追って増え続けたのです。さすがに、この段階になると、証券化商品の価格も値下がりを始めたのです。 銀行は証券化することで、同一の資金で、何度でも貸し出しが出来ました。証券化商品を扱う投資銀行も、商業銀行も、値上がりすると、レバレッジを利かせて、利益を押しあげることが、面白いように決まっていました。それゆえ、住宅価格の下落が続き、さしもの証券化商品にも、買い手がつかなくなったのです。レバレッジを利かせて、価格が上がれば、上がった分もまた担保にして、運用金額を増やしてこそ、利益を極大化できるのです。 この方法は、日本のバブル時代に、土地取引を巡って実行され、バブルがはじけた結果として、金融機関に多額の損失を出しました。同じことが、欧米でも起きたのです。レバレッジが大きくなっていたので、いったん下がり始めると、留まるところを知らずに暴落します。歯車は狂い始めていたのです。 それでは何故、この時期になって、次々と金融機関が破綻をきたすことになったのか。そこにこそ、この問題のもう一つの本質と根深さがあります。 続く お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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