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ポンコツ山のタヌキの便り

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2007年09月01日
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カテゴリ:宮部みゆき作品
宮部みゆきは、相手の心を読み取る超能力者を題材にした『龍は眠る』を書いていますが、高橋克彦・大沢在昌・宮部みゆき・井沢元彦『だからミステリーは面白い 気鋭BIG4』、有學書林、1995年より)で、同作品がスティーブン・キングへの「オマージュのつもりで書きました。幼稚なエピゴーネンと言われてもいいと覚悟して。それくらい私は、『ファイアスターター』や『デット・ゾーン』が好きなものですから」と語っています。

 上記の宮部みゆきの発言の中に出て来る『ファイアスターター』は、念力放火能力という超能力の持ち主が出て来るスティーブン・キングの小説で、宮部みゆきは同様の超能力の持ち主を主人公にして『クロスファイア』を書いています。『デット・ゾーン』も同じく超能力者を扱ったスティーブン・キングの小説ですが、同小説の主人公は千里眼(予知能力)の持ち主として描かれています。宮部みゆきもまた「鳩笛草」で、千里眼(透視能力)の能力を発揮して交通婦警から刑事にまで昇進して来た本田貴子を主人公にし、急速にその能力が失われていく彼女の恐怖と不安を描いています。

 そんな宮部みゆきは、新作『楽園』でも同じく千里眼を取り扱っていますが、それはこの小説でどのようなものとして描かれ、ストーリーの展開にどのような役割を果たさせているのでしょうか。

 千里眼の持ち主は等という名前の少年ですが、この『楽園』という小説の中でその超能力を駆使して活躍するわけではありません。この少年は、物語の設定ではすでに2ヶ月ほど前(3月20日)に交通事故のために12歳で死亡しています。物語は、この等少年の母親である萩谷敏子が彼の書き残した不思議な絵を前畑滋子のところに持ってくることから展開していくことになります。

 萩谷敏子はまず前畑滋子に等少年が描いたトラックの絵を見せます。そのトラックの絵は、車体が黄色で荷台の部分は銀色のコンテナ状になっており、そのトラックの運転手は黒いサングライスの男として描かれていました。萩谷敏子の話によると、実際に等少年を撥ねたトラックの色や形もそれと同じで、その運転手も黒いサングライスをしていたというのです。等少年は自分がこのトラックによって撥ねられることを予知していたというのでしょうか。

 さらに萩谷敏子は等少年が描いた家の絵を前畑滋子に見せます。その家は三角と四角を組み合わせた簡素な形で描かれいましたが、「屋根は灰色、家は茶色で、さらに大きな窓があった。その窓の奥で、女の子が眠っている」というものでした。その家の屋根の端には蝙蝠の風見鶏も付けられていました。

 萩谷敏子の説明によると、彼女の知人がこの蝙蝠の風見鶏のある家を描いた等少年の絵を見て驚き、この絵は先月になってTVのニュースやワイドショーで大々的に報道された殺人事件を描いたものではないかと指摘したそうです。この事件は、今年の4月に北千住で火事があり、その焼け跡から骨が見つかったことから発覚したものです。萩谷敏子の話によると「その骨は、ずっと昔に死んだ、その家の娘さんだったんです。親御さんがその娘さんを死なせて、床下を掘って埋めて隠してたんですよ。それが火事になって初めて見つかって」しまったとのことです。しかし、その殺人事件はずっと昔に行われていためにすでに時効となっていたとのことです。萩谷敏子の知人の話ですと、この事件を報じるTVの映像には、問題の家の屋根に付いている蝙蝠の風見鶏も映し出されていたそうです。

 萩谷敏子は、等少年はこの事件が発覚する以前にこんな絵を描いており、自分の息子には超能力があったのではないかと思うようになり、前畑滋子にその調査を依頼したのです。勿論、等少年が描いたこの2つの絵と等少年を撥ねて死亡させたトラックや北千住での殺人事件の家とはたまたま似かよっていたのかもしれません。ですから、前畑滋子は半信半疑の気持ちで調査を開始するのです。

 しかし、前畑滋子は等少年の別の絵を後に見て驚愕させられることになります。その絵は、彼女がJR船山駅近くにある萩谷敏子が住む共同住宅を訪問したときに見たものでした。その絵には三角屋根の二階家が茶色に描かれており、三角屋根の尖った部分のすぐ下には明り取りの窓、玄関のドアの脇には縦長のスリットのような形の窓が付けられており、なんと前畑滋子が9年前に関わった連続殺人事件の犯人たちのアジトそのものだったのです。そしてその絵の家の足元には13本の人の手が空に向かって突き出ていました。さらに絵を詳しく見ると、地面に埋められた瓶の上部らしきものも描かれているではありませんか。実際に、犯人は三角屋根の山荘に13人の被害者の死体を埋め、ある被害者を埋めた場所には目印としてシャンペンのドンペリニョンの瓶を立てていたのです。

 等少年がテレビ等から連続殺人事件のことを知っていたとしても、シャンペンの瓶のことなどは公開されていないはずです。やはり等少年は超能力者なのだろうか。前畑滋子の等少年の能力を確かめたいとの思いは強くなり、まずは今年の4月に発覚したばかりの北千住の殺人事件を通じてその手がかりを得ようと考え、彼女は腰を入れて調査を開始することになるのです。





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最終更新日  2007年09月02日 11時21分23秒
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