治安 その1 (偽造紙幣、核のスタンスは、同じ穴の狢?:とりあえず、今日の日記)
最近もまた北朝鮮による核疑惑や偽造紙幣の話題が紙面を賑わしていますが、どうしてこの現代の世の中にこんな国が存在するのでしょう。日本の国民を拉致したり、偽造紙幣を作ったり、麻薬を他国に密輸したりと、本当に独立した国家なのかと信じられなくなります。 同じように、インドにいるときによく耳にした話ですが、パキスタンもインド紙幣を偽造したり、インド国内でテロ活動を引き起こしたりテロリストを送り込んだりと、北朝鮮と同じようなことをしていると言われてました。 核の開発者として有名なパキスタンのカーン博士が核技術漏洩の容疑でいつだったか逮捕されましたが、パキスタンと北朝鮮は交流があったようですから、パキスタンから核の技術が北朝鮮に流れたのではとの怖い疑いが沸いてきます。 それに、パキスタンは、インドの紙幣を偽造してインド国内で使用するので、インドがそれに警戒をして五百ルピー札が使用しにくくなり、私もムンバイ市内の店でその紙幣を使用するときに、店員がじろじろと時間をかけて点検するので憂鬱になったことがたびたびありました。 どうして偽造紙幣を作るかといえば、偽装紙幣を作って使用することにより、国家予算を使わずにテロをすることができますし、偽造紙幣でインドに対してダメージを与えることもできるので、一石二鳥だからです。例えば、イスラム教徒でインドに不平を持つインド人をインド国内からリクルートして、テロリストとして訓練した後、偽造インド紙幣を手渡してインド国内に送り返せば、パキスタンは自国国民に犠牲は出さなくて済むし、国家予算も使わなくて済むし、いいことばかりなのです。だから、北朝鮮にしても、同じような理由で米国の偽造紙幣を作って少ない外貨を補っているのでしょうか。 以下の文章はインド滞在中に書いたものですが、もし、ダウド・イブラヒムなどよくわからない固有名詞などがありましたら、以前に書いた日記も参照してみてください。そうすれば、わかりやすくなると思います。 悠久のムンバイ (2003年10月の日記) 韓国に亡命した北朝鮮の元幹部から「パキスタンは核開発の技術を北朝鮮に提供するなどお互いが手を結んでいた」という内容の発言がありましたが、どうして同じ穴の狢はこうも"同類友を呼ぶ"ように接近するでしょう。それも、パキスタン自身、自分で核を開発したという訳ではないのに。パキスタン軍統合情報局ISIが暗躍して他国から情報を掻き集めて核兵器を完成させたのだという記事を以前目にしたことがあります。 要するに、日本国内で高級乗用車を調達して(米国やインドから核に関する情報を入手して)、貨物船でインドやパキスタンまたはドバイなどまで運んできて(パキスタン国内の科学者に手渡して)、再び新しい車に塗り直して売る(核兵器の完成した技術として北朝鮮に売る)ということと大差ないのです。どうして"かの国"の人たちは、民間人も政府もやることが同じなのでしょう。犯罪すれすれのことをしても、"騙される方が悪い"とか"分からなければ上手にやった者の勝ち"という精神構造のこの南アジア周辺の人たちは、性善説が根底にある日本人の理解の範疇からすれば理解の範囲を超えた"宇宙人"です。 一方、韓国に亡命したこの北朝鮮の元幹部は、北朝鮮の金日成体制を崩壊させて人民を救うためには、中国が北朝鮮に対して現在行っている食料などの支援を止めるべきだとも主張しています。彼の立場からすればもっともな主張ですが、中国としては、もし北朝鮮が崩壊すれば国内から民主化を求める動きが再発して第2の天安門事件が起きる可能性がありますので、共産主義体制を存続していくためには北朝鮮が崩壊してしまうのは決して望ましいことではないでしょう。 中国は、冷戦崩壊後10年間維持したその政治体制をさらに維持していくために、対外的には、靖国問題や教科書問題、果てまては上海での売春問題まで主張して日本を仮想敵国として嫌日感情を高めて、国内向けには、日本などからの巨額のODAを受けながらも、かつての共産主義の同士ロシアの技術をフルに使って有人宇宙飛行船を宇宙に上げて国内の国民の統一感を高めているようです。 ちなみに、核に対するスタンスでは、いにしえから世界に君臨するもう一つの大国ヒンドスタン帝国インドは、かねてより"パキスタンは盗んだ技術で核を作り上げたので世界の主要国から総スカンを食ってしまった。それで、核に関係する研究者たちが米国や先進諸国の大学や研究施設から招聘してもらうことができなくなってしまったが、インドは違う。正規の研究を通して核の開発に成功したので、先進諸国の理解も失っていないし、インドの研究者が彼らから排除されるようなことはない"と主張しています。さすが、誇り高きヒンドスタン民族の主張です。 一方、テロに関する政治的観点から見ても、最近インドはパキスタンに対して一つの行動に成功しました。昨年12月にインド国会議事堂襲撃事件が起きた時にインドがパキスタンに対して提出した「20人の指名手配者リスト」に掲載されている者の中でも最重要人物"ムンバイ最大のイスラム系暴力団「ダウド・イブラヒム」の首魁ダウド・イブラヒム"を、米国財務省が管理するテロリスト・リストに掲載してもらうことに成功したのです。言い換えれば、米国により"ダウド・イブラヒムは国際テロリスト"だと指定させることに成功したのです。 この国際テロリスト指定に奔走したのが、現インド中央政府のアドバニ副首相です。アドバニ副首相は、ヒンドゥー教至上主義政党であるBJP党の中にあってタカ派として成らしています。1992年にアーヨディアにヒンドゥー寺院を建立するという目的で大行進を行ってムンバイ大暴動の原因を作った張本人もこのアドバニ副首相です。いつも、良くも悪くも具体的で派手な行動を伴って動きます。他の政治家のように、「パキスタンは越境テロを停止するべきだ」という決まり文句をオウムのように無意味に繰り返して喜ぶだけではありません。 アドバニ副首相は、今年6月に米国を訪問した時に、"パキスタンがテロを抑制するという誠実なスタンスを示すために目に見える形で不退転な行動を起こすことをインドは要求する"という主張を米国の政府幹部たちに繰り返し主張しました。要するに、ダウド・イブラヒムのことでパキスタンに圧力を掛けられるように、米国に何か強い具体的なアクションを起こして欲しいと強く主張したのです。アドバニ副首相は、米国の政府幹部たちに「米国にとってのオサマ・ビン・ラーディンと、インドにとってのダウド・イブラヒムは同じことだ」とも主張して廻りました。 そして、紆余曲折の末、この10月末にダウド・イブラヒムのテロ指定をすることに成功したのです。このニュースに一番大喜びしたのはもちろんアドバニ副首相に違いありません。パキスタンへ対する戦闘の最前線へダウド・イブラヒムを押し出すというアドバニ副首相のしたたかな作戦が成功したのですから。 パキスタン政府はというと、昨年初めにインドから20人の指名手配者リストを提示された時には引き延ばし戦術を取りながら、ダウド・イブラヒムがパキスタンにいるということを当然のごとく否定し続けました。インド政府は、インターポールを通してダウド・イブラヒムを国際指名手配した時の詳細な情報や1991年に彼に発給されたパキスタン旅券の詳細な情報なども併せて提供したのですが、現在までインドは何の進展も挙げることができません。 ちなみに、パキスタン政府が発行したダウド・イブラヒムの旅券(もちろん名前は別名)には、6/A Khayabban Tanzeen, Phase5, Defence Housing Area, Karachi と記載してあるらしいのですが、その住所はカラチ市内でも由緒ある場所で退役した軍の高官が豪華な生活を送っているところらしいのです。そのことが、軍の統合情報局であるISIとダウド・イブラヒムとの密接な繋がりを確信する一つの要因にもなっています。