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HANNAのファンタジー気分

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August 20, 2005
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甲子園の空に笑え
 今年も夏の甲子園が終わりました。子どもの頃から高校野球が大好きだった私のおすすめが、これです。
 といってもこれは、いわゆる熱血根性野球を逆手に取った、おちゃらけてなおかつシニカルな少女漫画なのです。

 九州の片田舎にある豆の木高校野球部は部員数9人。なり手のない監督を、新卒の女性教師に託し、素朴すぎる彼らの悲願は「1勝」。
 行き当たりばったりなシートノック練習で何とか鍛えた守備力と、強運だけを武器に、地方大会を勝ち上がり、甲子園への切符を手にするが。

  おめでとうだあ?/ほっといて下さい
  豆の木首脳陣は/苦悩しとるんだ
  ブラスバンドも/応援団も無く
  …そして/金が/無い
  …もし/村民の善意の寄付金が/無かったら
  わしらは貧乏を理由に/出場を辞退するところだった
                        ――『甲子園の空に笑え!』

 甲子園でも豆の木高校は運に恵まれ、抜群の守備力を発揮して、(「ジャックと豆の木」で天まで蔓をのぼって巨人を負かす主人公を思い出させる)その名の通り、強豪を次々と打ち破り、ついに決勝戦へ。
 これまで、負けそうになると夕立が降って形勢逆転したりとか、破天荒な展開で勝ち抜いてきたので、最後もやはり常識破りな勢いで、昨年優勝の西東京代表をやっつけるのかと思いきや、

  ――だけど/ここまでだ
  豆の木は/これが精一杯

 9回裏、ついにホームランを打たれてしまいます。全員野球で水も漏らさぬ鉄壁の守備を続けていた豆の木ですが、

  か/監督/監督/監督/監督/監督
  もはや/守備不能…

 そうしてさわやかに負けて帰る豆の木の選手たちの、以前と何も変わらぬ素朴な笑顔。このすばらしい負け試合が、おちゃらけた皮肉たっぷりなこの物語を、シャープに引き締めていると思います。





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Last updated  November 14, 2005 09:57:13 PM
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