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カテゴリ:東日本大震災
昨日は、家族で水族館に出掛けた。
青や黄色の色とりどりの熱帯魚がひらひら泳ぐ様子に2歳の息子は大興奮。実際にサンゴやヒトデに触れるコーナーでは、息子の小さな手の平くらいの小さなヒトデをこわごわ手にとって嬉しそうにしていた。 水族館は、海辺にあったので、出た後、そのまま海に散歩に出た。 海岸は、砂浜ではなく大きな石がゴロゴロしていて、水もそんなに綺麗というわけではなかったけれど、モーターボートが水しぶきを立てて走る様子、風を受けて白い帆がふくらむヨットが通り過ぎる様子を、息子は、飽きることなく眺めていた。 帰ってからも「また海に行こうね」という息子に「そうだね、今度は、お母さんの大好きな海を見せてあげるよ・・・」と言いかけて、はっと言葉を飲み込んだ。 私の好きな相馬の海は、もうないんだったって思って。 綺麗な砂浜で、今頃の季節は潮干狩りができて、すぐ近くに色とりどりのピチピチの魚が並んでいる魚市場があって、どこまでも広くてキラキラしている青い海は、もうないんだ。 あの海のことを話してあげたら、息子はどんなに目を輝かせるだろう。どんなに行きたがっただろう。 でも、私は、もう亡い海のことを話すことはできなかった。 相馬の海のことを語ろうとする言葉を飲み込んだあのとき、故郷を亡くした人の気持ちが、初めて心に沁みて分かった気がした。 飲み込んだ言葉は、どこにも行き場がないまま、しんしんと心に積もり、やがて悲しみと孤独と絶望の結晶になって、心に居座ってしまう。 だから、やっぱり、故郷を失った方に言葉を飲み込ませてはいけない、傍にいるんだ、声にならない言葉でも一緒に頷いて吸い取って泣いて良いんだ、そうしなくてはならないんだと、確信した。 被災地に行っても、愚痴を聞いてくるだけで法律相談までできなかった、弁護士としての役割を果たせなかったとうつむいて帰ってくる若い弁護士がいるけれど、心に降り積もっていく悲しみをお聞きすることは、こちらが思っている以上に大事な役割なのだと思う。 みんな、今は、寄り添うだけでも良いんだよ。 それも、大事な弁護士の仕事なんだよ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2011.06.21 09:28:05
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