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カテゴリ:東日本大震災
先日、全法律家必見の映画を鑑賞しましたので、こちらでもご案内させて頂きます。
下記HPにあります通り、全国で順次上映されていくようですが、今の時期は東京のみのようです。 https://ikiru-okawafilm.com/ ご存知の方も多いと思いますが、大川小学校事件は、74名の児童と10名の教職員が、東日本大震災で津波に巻き込まれて死亡したという悲惨な内容ですが、この映画はご遺族の視点から、行政の対応、裁判の経過、その後の人生などを追って記録した内容です。 私は、監督でも関係者でもないのですが、ホントに大きな衝撃を受け、心から多くの方に見て頂きたいなと思いました。 映画のメッセージを端的に表すことが難しい記録映画なのですが、敢えて特徴を述べるとするならば、学校、市、教育委員会、第三者委員会の映像が、あそこまで克明に記録されている事件というのも珍しいのではないかと思います。 淡々と事実を繋げてあるからこそ、命の重さにおよそ真摯に向き合おうとしていない冷淡で第三者的な態度やコメントが、ご遺族の気持ちにどんどん降り積もって、どんどん追い詰められて行き場をなくしていく雰囲気を、我がこととして感じました。一人一人の「あちら側の人」に、強烈な悪意があったとかではないと思うのですが、これらの血の通っていない言葉をボディーブローのように浴び続け、「それじゃあ、うちの子は、運が悪かったから亡くなったということなの」「迎えに行かなかった私が殺したということなの」と思うしかないと崖っぷちまで追い詰められていくご遺族の気持ちを追体験した気がしました。 映画のパンフレットには、「訴訟を起こして勝てなかったら二人で死のう」とまで覚悟されたご遺族のお話が出ていましたが、それくらい、切羽詰まった状態に、この方々を追い込んでしまったものをなくしていく努力を私たちがしていかなければ、亡くなった方々に申し訳なさすぎると思いました。 ご遺族の方は、最終的には裁判に訴えざるを得なくなったものの、本当は、お金がほしかったわけではまったくなく、何があったかを真摯に誠実に説明してほしかっただけなんだと思うのです。償いようもない、取り返しのつかないことが起きたけれども、組織としては、こういうところに原因があってそのことについて心底申し訳ないと思っている、本当に本当に申し訳ありません、といった人間としての真摯な言葉を聞きたかったんだと思いました。そのような真摯な言葉の不在は、原発事故でも同様なので、汎用性のある現象なのかもしれませんが、とにかく、やるせない気持ちが私の心にも降り積もりました。 また、弁護士的には、画期的な判決が出た裁判を取り上げているのに、裁判で勝ちました、めでたしめでたし、ではまったくない作りになっているところも、裁判というものの可能性と限界を考えるこの上ない材料となっており、検討すべき視点が多いと感じました。高裁の裁判官が、遺族の気持ちに寄り添う言葉を尋問や判決で述べていたこと、検証での真摯な佇まい(と映像上思いました)に、遺族が救いを見いだせたことにも、我がことのように安堵しました。裁判官の言葉の重味を心底考えさせられますし、法律家の真摯な立ち居振る舞いは、私たちが思う以上にずっと大切なことなのだと思った次第です。 この映画が訴えかけようとしたものを、沢山の方々の心で、それぞれに受け止め、それぞれに想いを巡らして頂くことを心から願っています。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2023.02.24 13:14:09
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