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カテゴリ:弁護士業務
朝日新聞に障害者郵便制度悪用事件で冤罪の被害に遭った村木厚子さんのインタビュー記事が掲載されていた(週ごとの4回連載で3月25日が最終回だったようだ)。
あの日本の司法の歴史を変えていくと思われる冤罪の経過についても勿論触れてあって、当事者の想いがよく伝わる読み応えのある言葉が並んでいたけれど、私の心に残ったのは、彼女の仕事観が伝わる言葉。 公務員として30年以上仕事をしている中で大事にしている言葉として、 「国家公務員の役割は、国民のニーズを法律や制度にする翻訳者の仕事だ」 「ゼロを1にするのは、制度がない時に新しいことを始めるNPOの仕事。1を10にするのは理論武装する学者の仕事。それを事業化してペイする範囲の50までは企業でもいける。しかし、ペイしないところまで含めて最後100にするのが行政の仕事」 を挙げていらしたのだけど、公務員の仕事に本当に信念を持って取り組まれていることよく分かる気持ちが凝縮された言葉だなあと感銘を受けた。 法律家の役割は何か、特にこの震災後は・・・と日頃から考えざるを得ない状況にある今の私にとって、現時点でたどり着いている一つの結論は、一人一人の職業人が自分の仕事に対して、何か信念を持っていることはとてつもなく大事なことだ、というものなので、村木さんが、あんな酷い冤罪に負けず(司法関係者として大変恥ずかしく思います、ごめんなさい)、行政の現場に公務員として復帰されていることを、彼女とは何の面識もないのに、嬉しい、本当によかったと心から思った。 あと、仕事一般に対する想いを表現された言葉にもとても共感した。 「仕事とは、その人の存在を認め、尊厳を持って生きるための力を与えてくれるものです」 「階段を一つ上がると、驚くほどに見えてくる景色が違います。下の段にいたときは背伸びしても見えなかったことが見えてくるのです。自分でも気がついていなかった自分の能力を新たに鍛えることができるなんて、どれほど面白いことでしょうか」 「人間は仕事に貪欲であっていい。結婚し、子育ても介護も人生に取り込んでなお、当たり前に仕事をしたいです。それはちょっと大変だけどとても楽しいと皆さんに伝えたいですね」 うんうん!と大きく頷いてしまった。 何でお仕事をするの、という問い、特に働く母はいつも突きつけられている気がするのですが(はい、実際に子どもに聞かれまして、弱り切ります・・・苦笑)、いつかこういう説明を自分の言葉でできるようになりたいなあって思いました。 「ちょっと大変だけどとても楽しい」仕事、これからも、私を支えてくれている家族や沢山の人々に対する感謝の想いをかみしめつつ、励んでいきたいと思います。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2012.03.27 03:13:59
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