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弁護士YA日記

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静岡市葵区日出町5-3
TEL 054-269-4590
FAX 054-269-4591
http://hinodecho-law.jp/
日出町法律事務所
2019年6月より1年間、日本弁護士連合会客員研究員としてイリノイ大学アーバナシャンペーン校に留学後、弁護士業務を再開しました。
弁護士葦名ゆき(あしな・ゆき)
2016.03.26
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カテゴリ:東日本大震災
先日、相馬ひまわり基金法律事務所、原町ひまわり基金法律事務所の引継式に出席しました。
式典に出席することも勿論、久々に相馬に行くことができるということ自体もとても嬉しくて、前々から楽しみにしていたものの、直前まで仕事に追われており完全に寝不足状態で新幹線に乗り込みました。

はあ、行く前から疲れているよ~なんて、ため息ついていたら、なんと新幹線車内で私と同じ目的で相馬に向かう小口幸人弁護士と遭遇。小口さんは、東日本大震災発生当時、宮古ひまわり基金法律事務所の所長を務めていらした、頭の切れ、行動力、発信力と3拍子揃った心から尊敬している方なので、お会いできたことが本当に嬉しく、眠気などどこかに吹き飛んでおしゃべり三昧となりました。

福島駅から相馬に行くまでの車中では、あなたたち一体何様なの?と言われそうな位、世の中の様々な事象を切りまくり、私もまあ、毒舌な一面があるとしても、小口さんも相当だよねえと変に感心しながら、あっという間に相馬に到着、相馬ひまわり歴代所長が集う割烹に向かいました。

この割烹、カニのコースが評判で、どんなおしゃべりな人も美味しすぎて無口になってしまうお店のはずなのですが、みんな久々の再会、嬉しくてたまらず、我先にと話し始めるので、おかみさんに「いいですか、ちゃんと私の説明をお聞きくださいまし」と注意される始末。みんな、うるさいよ(笑)。

なお、この席には、福島県弁護士会の現会長である大峰仁弁護士もご参加で、相馬時代、大峰先生と終局まで1年半かかった重大少年事件を、とことん議論を尽くしながらご一緒させて頂いた体験がある私にとって、この上なく貴重な時間になりました。大峰先生の、私のどんな根源的な疑問も逃げることなく受け止め答えようという姿勢は10年前とまったく変わらず、私も大峰先生はやっぱり大峰先生だ!と嬉しく、10年前以上に随分と生意気なことを沢山申し上げたのですが、とても楽しく濃密な時間となりました。

カニを堪能した後は、元南相馬市の職員Sさんをお呼びして中華料理屋で二次会。
Sさんは、3.11当時、南相馬市に弁護士を派遣する事業の南相馬市側の窓口だった関係で、毎日のようにお電話し合う関係でした。Sさん、遅い時間にお付き合い頂きまして本当にありがとうございました。

この時点でもう深夜12時近く。
明日の引継ぎ式は午後からだよね、午前中は持ってきた起案でもしようかなと思っていると、なんと「明日は、朝9時半事務所集合で苺狩りに行きます」というプランが発表されて、この人たち、今何時だと思っているんだろうか、明日の朝苺狩りって、どれだけ体力と気力に溢れているのだろうかと脱帽でした。

というわけで、翌朝、眠い目をこすって苺狩りに出掛けたのですが、枝で熟れた完熟苺のなんと甘いこと、苺でお腹を一杯にする、という大変贅沢な体験ができました。

苺狩りの後、引継ぎ式までの1時間程は、三代目相馬ひまわり所長の米村俊彦弁護士、小口さんと一緒に、小高視察。
地震で崩れた家が修理もされないまま放置された人気がない道を車窓から眺め、3人でこれは一体どういう復興の絵を描けばいいんだろう等と話しながら、ただただ心が痛みました。

この車中では、損害論の話になり、私が「交通事故とかの確立された損害賠償論とふるさとを失ってしまった原発事故賠償論は全然違うから苦労しますよね」と言ったときに、米村さんが「でも、『確立した』って思っているのは法律家だけかもしれないよね。交通事故の慰謝料だって、たとえば、物損の場合、慰謝料を認めないという実務だけど、物損でも認めていいんじゃないかと思うケースあるよね」等とものすごく鋭い指摘をされ、目が覚めたような気持ちになりました。安易に「確立した」なんて言葉、第一線の現場の法律実務家が使ってはいけませんよね。

小高視察の締めくくりは、小高神社のお参り。膨らみかけた桜の蕾に彩られた神社内は掃除が行き届いており、今なお、この神社は地域の方々の守り神なんだと感じ、心を込めて、お参りをしてきました。どうかどうか、この地で住む方々をお守りください。

とまあ、こんな長文になってしまうほど、引継ぎ式まで、盛り沢山の濃密な時間を過ごしたので、引継ぎ式の頃には、もう相馬訪問の目的はほぼ達成された、と終わったような気分になっていたのですが、いやいや、ここからが本当の本番でした。

司会をお務めの松本三加弁護士の流麗な進行に感心したり、懐かしい福島県弁護士会の先生方とご挨拶ができたり、といったことも勿論得難い経験だったのですが、なんと言っても、相馬ひまわり平岡路子所長、原町ひまわり石川裕介所長の退任スピーチが圧巻でした。

平岡さんも石川さんも、原発事故が起きた後のひまわり所長です。
期間の長短はあれ、曲がりなりにも元気な相馬、元気な原町を知っている歴代所長とは異なり、いきなり、様々な意味で深く傷ついた地域に単身で乗り込んでいかれました。
「この地域の昔を知らない」ことに加えて「震災当時、この地域にいなかった」ということは、客観的にはともかく主観的には、お二人にとって大きなハンディだったのだろうと、今回初めて実感し、思い至らないまま、応援という名の下に、背負うにはあまりにも重すぎるプレッシャーをかけてしまっていた自分を恥ずかしく思いました。

それでも、そんなハンディを背負いながら、この3年間、本当に苦しまれながら、ご自身がこの地に赴任した理由はなんだろうか、自分の役割はなんだろうか、を一生懸命考え、行動し、苦しまれた経緯も包み隠さず、それでも今、この地域に赴任して幸せだと思う、という想いを、ご自身の言葉で語っておられ、なんと立派な若者たちだろう、なんと見事に大きく成長されたのだろうと涙が止まりませんでした。

平岡さんは、「震災当時、相馬にいなかった私だからこそ、福島が外からどう見られているかが分かると思い、福島の外と中をつなぐ役割を果たしたいと思った」、石川さんは、「何一つ悪いことをしたわけではない被災者が、絶対に苦しいと思われる状況にもかかわらず、苦しいと言わない姿を見て、その苦しみを聞き出してあげたいと思った」と語っておられ、ご自身の体験、葛藤に基づき、それぞれの役割を見つけていかれたのだということに、深く感銘を受けました。

お二人とも本当に本当にお疲れ様でした。

そして、相馬ひまわりを引き継ぐ松尾政治弁護士、原町ひまわりを引き継ぐ樋口雄一弁護士も、しっかりと顔を上げて、堂々と抱負を語っておられました。
松尾さんは「自分の使命は闘うことだと思う。でも同時に闘いの中でこぼれ落ちてしまう人のために何ができるかを考えていきたい」、樋口さんも「5年経ったことで、終わった問題もあるかもしれないが、5年経ったことで始まった問題もあるだろう。精一杯務めたい」と、同じ経験年数だった時の私の数百倍、しっかりしているなあと感心しました。

4人とも本当に立派でした。
お隣の席だった、二代目相馬ひまわり所長の渡辺淑彦弁護士と、「本当にすごいご挨拶ばかりだね、嬉しいね」と深く頷き合いました。
下記は、素敵な新旧所長のお写真です。皆様、良いお顔です!

新旧所長

平岡さん、石川さん、繰り返しになりますが、本当にお疲れ様でした。全力で走り抜けた3年間、バトンは次の走者に無事に渡せました。どうかゆっくり休んでください。
松尾さん、樋口さん、それぞれの個性を生かして、被災者に寄り添う日々を重ねて行かれてください。心から応援しています。

帰りは、松本さん、米村さんが同乗した、渡辺さん運転の車で、高速バスの停留所まで送って頂きました。車中は、渡辺・松本夫妻の、どこから突っ込んで良いか分からないので笑っているしかない夫婦漫才他、最後の一瞬まで笑っているという相馬訪問締めくくりにふさわしい楽しい時間でした。

そして、今、静岡に帰り着きました。
相馬でお世話になったすべての皆様、本当にありがとうございました。
皆様それぞれの頑張りに負けないように、この度の訪問で得られたエネルギーを力に変えて、私は、私なりに一生懸命日々を過ごしていきたいと思います。





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Last updated  2016.03.26 23:47:29
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