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映画ドラマ・千一夜

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April 2, 2006
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カテゴリ:韓国ドラマ
総合点:92 お勧め度:★★★★☆
(ストーリー展開/緊迫感)=10 (独自性)=10 (映像)=9.5 (結末・読後感)=9 (音楽)=9

●1998年 韓国ドラマ(SBS全20話) 演出:キム・ジョンハク 出演:イ・ビョンホン(ミン・ギョンビン) シム・ウナ(アナスターシャ) チェ・ミンス(クォン・テギョン) イ・ジョンジェ(イ・ヨンジュン) チン・ヒギョン(オ・ソンシム) シン・ヒョジュン(ピーター・キム) ヒン・ワジ(ホン・チョンヒョン) チン・ヒギョン チェ・ミンシク キム・ヨンエ、キム・ビョンギ(オ副将軍) パク・サンウォン ソン・ヘギョ イ・ウンジュ チョ・ギョンファン ソン・ギヒョン ユ・ジュンサン
●ひとことであらすじを書くのが大変なドラマです・・・。
 1968年、青瓦台襲撃事件で互いの父を亡くした韓国と北朝鮮の二人の少年・ミン・ギョンビンとクォン・テギョン(テッヒョン)。ギョンビンは成長して韓国空軍のパイロットを志向し、努力の末にその座を得て、ホン・チョンヒョンという女性と愛し合うようになり、結婚を意識する。
 一方、テッヒョンは少年時代に父と母を失い、核物理学者の娘・アナスターシャと知り合って恋をするが、父親の亡命によって虐げられようとするアナスターシャを救おうと彼女をソ連に逃がし、自身は官憲に捕まってオ副将軍の下、北朝鮮情報局の特殊工作員となった。ギョンビンは戦闘機の試運転の際の事故が元でパイロットの座を追われ、KCIA(韓国中央情報局)へ転身、秘密情報部員になる。
 こうして二人はロシアを舞台に、核兵器開発に関するスパイ戦に巻き込まれ、運命的な出会いをすることになります。
 国の政策でプルトニウムや核ミサイルを求める北。それを阻止しようとする南。さらに年を経て、北のオ将軍は、ソ連が持つ超音速戦闘機奪取を狙った「レッド・ドラゴン」作戦を計画。過去、父たちが青瓦台で戦ったように、二人の若者も運命に導かれるように戦いに巻き込まれて行ってしまいます…。
■最初の2話見たところでは、それほどではないという気がしたのですが、それからの展開がなかなかに見事でした。
 このドラマは主軸を演じるのがミン・ギョンビンとテッヒョン、それにアナスターシャで、この3人を縦糸に物語は進行してゆくのですが、そこに北側の作戦主導者たるオ将軍(頑強な姿勢と鉄のような意志で作戦を進行する)の娘と、人間味のある(言って見ればごく普通の青年である)イ・ヨンジュンの恋が横糸のように織り込まれ、立体的で骨のあるドラマに仕上げられています。
 全体的に暗いムードの場面が多く、最後は言って見れば「戦士達の墓碑銘」みたいな印象になるのですが、忍耐を求められるロシアの寒い冬、暗い夜、遥かなる地平、というものが背景として感じられ、北の秘密主義による民衆の苦しい生活背景(物質的な貧しさも精神的な苦しさも)も諸所に描かれ、物語のスケールは大きい。
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■まずはシーンの話ですが、シーンとして現実感があり、大変よく撮られているな、と感じたのは戦闘場面です。最近は実際の戦闘が報道機関を通じて全世界のネットやテレビに流れてくるのですが、それに近い映像を作り出している。この腕前にはつくづく感心してしまいました。
 テッヒョンが少佐としてソ連南部の革命戦線に参加し、オ将軍の命によってヨンジュンがそこに連絡将校的な役で出かけるのですが、そこで起きる戦闘も砂漠の中での逃避行動も、また、武器の扱いもヘリコプターの映像も、現実そのままに近く、大変良かった。それに、無理な誇張がないのが演出の旨いところです。その場面以降、確かな書き手が書いている、という感じが実感として感じられてきたので、かなりしっかり見たのですが、ソ連基地内の戦闘でギョンビン、テッキョン、アナスターシャがそれぞれに自分らを守りながら戦いながら逃走する場面など、大変に旨く描けて居ます。
 次にシナリオ的な面で。
 場面のほとんどのシーンはロシア国内の想定で、したがってロシア人、カザフスタン人、チェチェン人などが出てきて、言葉も無論その国の言葉が使われます。物語が国家的なので、KGB(後のFSB)の事情も登場すれば、ソ連軍将校も登場する。この人たちのセリフ、それに場面を描くだけでも、作成者には相当な実力が求められ、このことだけでも感心せざるをえない。それに、ギョンビンもテッキョンもアナスターシャも、せりふに沢山のロシア語が入る。なのに彼らは全く問題なく現地語を話します。
 演技としては、ロシア側の人間として登場する役者がみな、違和感なしに役に嵌って演技している。これにも感心。
 後半は砂漠の中の撮影とか、トラックでのチベット高原の移動とか、カザフでの馬を使っての戦闘シーンとか(この場面が凄いです。人間も馬も)、制作局としても非常に力が入り、お金も随分と掛かったろうな・・・という印象でした。(映画とは違って、全20話です!!!)
 個別の役者では、イ・ビョンホン、シム・ウナ、ともに大変いいですが、ここではチェ・ミンスの演技が何とも渋く、辛い運命である少佐を描ききっているように思えました。
 最後に音楽です。全編を通じてシーンに大変よく嵌っています。この物語の印象をよく捕らえている。
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■中盤で一旦核ミサイル事件が解決し、物語はそれから4年を置くのですが、そこでオ将軍によって長白部隊が編成され、その作戦にヨンジュンの兄が加わることになります。ここで物語にもう一つの広がりが生まれます。北の部隊が実行動として中国国内を移動し、ロシアに向かう、ということは考えられない想定ですが、ドラマではこうした想定もアリ。
 その部隊を指揮するテッヒョンの冷徹な伯父(彼は革命戦士であり、英雄であり、その固い考えで、かつてテッヒョンの母親を殺害しているのです・・・)と、副隊長であるヨンジュンの兄の持つ人間的な心情との対立がまた、旨く描かれる。
■ですが・・・。物語の最後は、やっぱこういうふうになるのかなあ・・・と、僕には或る意味、残念な終わり方でした。
 この評を書くのに、評価を5つ星にしようかどうしようかだいぶ迷ったのですが、「愛する人たちのために自らの命を割り切って死を選んで行く」男達の姿や終わり方は墓碑銘的なもので、こういう遣り方は僕には大層苦しいのです・・・。ドラマのシナリオ的・技術的な出来としては100点あげたいところだけれど、感情的に収まらないものがどうしても心に残り、また、未来に向けて辛い印象が多く残ってしまって落胆し、それで5点のマイナスをつけました。
 主人公3人の男達、テッヒョン、ギョンビン、ヨンジュン、それにヨンジュンの兄さえもが死を向かえ、一方、オ将軍、その娘ソンシム、アナスターシャがそれぞれにわびしく取り残される終わり方。残されたものはドラマ中ではそれぞれに明るい印象で生きているように描かれますが、本当にそうなんだろうか? 本当に愛する人は誰なのか気づいていたアナスターシャは、これからどうやって自分を支えて生きてゆくんだろうか?
◇若くて未来があるということは、もうそれだけで夢のように美しいことです。誰しも、朝起きてみたときに空がパッと青く晴れていて、そのことだけでも心の底から嬉しい、という気持ちを抱いたことはあるのじゃないかと思うのです。幸せというか、生きるということは本来そういうものではないかな? と思う。実際僕も高校生の頃までは、毎日がそうだった・・・。
 未来というものはいわば「これから生きていられる時間、想像できる確かな希望」みたいなものに等しく、結局は希望というものがないと先は語れません。ですが、このドラマには終始暗い印象が伴います・・・。
◇先週金曜日は渋谷の街を歩いたのですが、いつもながら一種独特な活気に満ちていました。その雰囲気は良いとも悪いとも言えませんが、この頃は、そういう活気そのものが人間、とも思うのです。
 このドラマのような暗い物語は僕には心情的に辛い! 本当にもう、この先が無い私には、こういう辛いドラマは禁忌なのです・・・。
 よって5つ星は辞めてしまったけれど、最初にギョンビンがパイロットを志し、有能なパイロット・軍人になっていることが、終結の場面として伏線に用意されているなど、用意周到な脚本が描けていることもあり、ドラマとしては大層に良い出来と思うのです。





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Last updated  October 28, 2007 09:16:20 AM
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