映画ドラマ・千一夜

総合点：87　★★★★＋
（シナリオ・せりふ）=8.5　（キャラクター）=9.2　（音楽)=9　（全体の雰囲気）=9.5

●2007年　韓国ドラマ　ＫＢＳ(全16話)　演出：イ・ミノン　脚本：パク・ヨンスク　キャスト：イ・ダヘ（イ・スハ：齊安李氏38代宗家　ファアンダン女主人のチャーミングなお嬢さん）　イ・ジフン（ファン・ドンギュ：TOPグループ金融財務室長）　ハ・ソクチン（ファン・チャンミン：ドンギュの従兄弟の恋愛の達人）　ヨン・ミジュ（美人のモデル：ソ・ファラン）　ヨ・ウンゲ（ファアン堂のイハクおばあさん）　ホ・ヒョノ（ピョンテおじいさん）　チョ・ウンドク（アン・ソンデク）　パク・スンチョン（コップニの母）　パク・インファン（ファン・マンボク：ドンギュの祖父＝TOPグループ会長）　チェ・スリン（ファン・ユイル：ドンギュの若い叔母）　キム・ヒョンジュ（イ・ミョンスク：チャンミンの母）　ムン・チョンシク（チャン代理：ドンギュの秘書）　キム・グァンギュ（クァク部長：ミョンスクの部下）　パク・チャンファン（イ・ドンギュ：スハの父）　キム・ヒジン（ハン・スジョン：スハの義母）　チュ・ジョンヒョク（イ・ジュニョン：スハの義兄で弁護士）　イ・ミン（イ・ジュニ：スハの義妹）　チャン・ヨンナン（オ・ジョンスク：スハの友達になる女の子）
●「田舎にある宗家・ファアン堂を買い取れ」というＴＯＰグループ総帥であるお祖父ちゃんの命を受け、ファン・ドンギュが車で遣ってくる。しかし、カーナビにも載っていない場所で、田んぼの中の一本道でドンギュは、通行してきたお嬢さんを自転車ごと飛ばしてしまう。
　一方、宗家を守る２２歳のお嬢さん＝スハ。若い頃結婚した父親が浮気をしてソウルに家を持ち、母親が早死にしてしまったということで、女だてらに宗家の跡取りとして、傾きかけた宗家を守ることに・・・。
　何事にも活発で大胆さも持ち合わせているものの、あまりにもお嬢さんは田舎育ち。最初はお祖父さんの命で出かけたものの、そんなスハを見るたびに時めくようになってしまったドンギュ・・・。ところが、従兄弟の恋愛達人を自称するチャンミンもまた、お嬢さんの純朴な魅力に参ってしまった・・・。
***************************多少ネタバレします**********************
●第一話を見たところでは、普通のコメディー・ドラマ、という感じだったのですが、見進むうちに何故か不思議な魅力に包まれ、最後まで快調に見てしまったドラマです。
　シナリオは特に凄く魅力がある、という訳ではない普通の展開だし、ドンギュのお祖父ちゃんのセリフとかには多少のコジツケというか無理もあるし、まあ、全体的にはそれなりのストーリーラインなのですが、諸所、何とも言いがたい強い魅力があります。
●まず、なんと言っても佳いのはスハ演じるイ・ダヘさんの演技。もともとチャーミングな顔立ちの美人さんですが、ここでは特に、純朴な性格の田舎のお嬢さんにピッタリの好演技をしていて、言葉使いにも、言い過ぎしたときの謝り方にも、全然アクが無く、また、声が非常にチャーミングです。これだけ自然に、しかも品のある女性を演じているのには舌を巻く・・・。
　また、途中でファッションショーに出る場面があるのですが、そのときの動きの可愛いこと！　それがまた嫌味が全然なく、非常に洗練されています。演出も良いですが、本人の演技も申し分ない。
　他の良かった場面は、彼女が韓服が非常に似会うという点、また、太鼓を叩く演劇場面があるのですが、そのレベルも高い！　それに、素肌の足が非常に綺麗です・・・。
　ということで、全編通じて、最も大きな魅力は彼女にあるのは明らかで、文句がありません。
●対するファン・ドンギュ演じるイ・ジフン。ユジン＋キム・ジェウォンの「ワンダフルライフ」のときは今一の役でしたが、ここではほとんど地そのままという感じで、晩生の真面目で優しい好青年を演じ、良い味を出しています。また、彼は歌手だそうですが、田舎でのお祭りで歌うシーンなど、歌も旨いし、その時の衣装も笑えます。
●次に良いのはドンギュの部下のチャン代理。真面目だけど、チョットドジな役で、旨い演技です、面白い！
●他には、ファアン堂を守るおばさんや、田舎の人たちの演技が旨く嵌っていて安心感がある。どうも、この醸し出す雰囲気が、良いのじゃないかと思います。
●あと感じたのは、携帯の使い方が旨い。場面の切り替えの仕方も良いが、音楽の選び方が良い。一例としては、堅物のドンギュは普通のコール音、お嬢さんは「ブラッコ・タイガー・オラ、オラ」というような、子供でも受けそうな面白いリズムの曲！（これが凄く印象に残って忘れられない）
　ということで、このドラマでは、全体的な田舎のゆったりしたリズムというか、穏やかな流れというか、そういう雰囲気に包まれて進行する品のあるお茶目お嬢さん・・・が何とも光っていて、懐かしく心楽しく、時には心休まる感じで観られます。なかなか良いコメディーです。
　以上から★★★★＋　となった次第。
●イ・スハシーのような女性は、今はほとんど見つからないんじゃないかと思います。超貴重な存在じゃないかと・・・。それだけ、魅力あるお嬢さん像に仕上がっています。