テーマ:旅のあれこれ(9946)
カテゴリ:お菓子ツアー06~07
ツッカベッカライ・カヤヌマのお店の外壁には、格調高い双頭の鷲の紋章が飾られています。
双頭の鷲は、ハプスブルク家(オーストリア・ハンガリー帝国)の紋章であると同時に、東ローマ帝国、神聖ローマ帝国などの国でも紋章として使われていました。 先日、江戸東京博物館で開催されている『ロシア皇帝の至宝展』に行ってきましたが、そこでもロシア帝国の紋章として双頭の鷲が展示されていました。 今でもウィーンに行くと、そこかしこでこの紋章を目にします。 東と西を見据える二つの頭。 これを見ると、広大な領地を治める帝国の堂々たる歴史と伝統を感じますね。 ~ * ~ * ~ * ~ * ~ * ~ * ~ * ~ * ~ * ~ ツッカベッカライ カヤヌマのクッキーの説明書には、オーストリアのユーゲントシュティールという芸術様式の精神を、お店のイメージやお菓子づくりなどに反映させ、洗練された文化の再現をお届けします、とあります。 オーナーシェフの栢沼(かやぬま)氏はこの様式を「芸術の境界を捨て去り、素材の特製と機能に逆らわずに、形を求めていこうとするもの」と説明されています。 …? 私の記憶では、ユーゲントシュティールは、フランスのアール・ヌーボーと似た様式だったような。 優美な曲線、装飾過多とも評される貴族趣味…。 少し調べてみたくなりました。 1880年代から、「生活を芸術に」という思想の芸術家ウィリアム・モリスを中心に、英国で アーツ&クラフツ運動 が広がりをみせます。 産業革命の結果として、大量生産による安価な粗悪品が出回るのを憂慮したモリスは、中世の手仕事に帰り、自然を手本に美しいデザインを考案し、実用品に取り込むことによって生活と芸術を一致させようとしました。 ウィリアム・モリス『Blue Rose』(トレイ) 『ウィロボー』(カーテン生地) 英国発のこの運動はフランスのアール・ヌーボー、ドイツ・オーストリアのユーゲントシュティールへと大きな影響を与えていきます。 19世紀末から20世紀初頭にかけ絵画・彫刻・建築をはじめ家具のデザインや工芸品他、幅広い範囲にわたり、この世紀末芸術 ユーゲントシュティール が流行しました。 ユーゲント(青年)シュティール(様式、~風)の語源は、ドイツで19世紀末に創刊された雑誌の名前。 代表的な建築は、オットー・ワーグナーのマヨルカハウス、ウィーン地下鉄のカールスプラッツ駅の駅舎、黄金のキャベツと呼ばれる金色のドームののったオルブリッヒのセセッション(分離派会館)等。 2004年6月 ウィーン マヨルカハウス 外壁にマジョリカ焼きのタイルがついた集合住宅 現在でも普通に人が住んでいるというのは驚きですね。 絵画では、ウィーンではグスタフ・クリムト、エゴン・シーレ。 アールヌーボー で有名なのはアルフォンス・ミュシャ。植物の模様から長くゆるやかな曲線をとりいれ、優美な女性の姿と融合させた絵は現在でも人気を誇ります。 クリムト『接吻』 ミュシャ『百合』 パリの地下鉄の花模様の飾りもアール・ヌーボーの優美な姿を今に伝えています。 2006年8月 パリ シテ島 メトロ乗り場 その他、フランスのガラス作家のエミール・ガレ、アメリカの花瓶やランプシェード作家のティファニーなどもアール・ヌーボーを代表する人たちです。 エミール・ガレ 薔薇文レッドランプ (この写真はミーシュ・コマンによる限定復刻版) なるほど、ツッカベッカライカヤヌマの精神も「生活を芸術に」 日用品にも芸術を取り入れて… お菓子ツアー[14] ウィーンの薔薇模様にはハプスブルク家御用達の300年の歴史が に続きます お菓子ツアー2007春 もくじ へ お菓子と芸術はつながっている!と思われたら ↓を押して応援して下さいね☆ いつもクリックありがとうございます♪ 一日一回カウントされます。よろしくお願いしま~す。 薔薇ブログ 6月3日 「愛らしい妖精」は濃いピンク色の薔薇 へ 2007年 ガレットのパリ5日間お菓子の旅 もくじ へ 《お菓子作りの道具と材料》 (楽天)Homeへ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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