カテゴリ:マリー・アントワネットとエリザベート
17~18世紀フランスの「宮廷の服飾史」の講演会が、銀座のメゾン・デ・ミュゼ・ド・フランス(MMF)のサロンで行われました。
前回の「ヴェルサイユ美しき時代の物語」の講演に続き、2回目の参加です。 (MMFでこれまでに開催されたプログラム) 講師は日本女子大大学院客員教授の田中俊子氏。 “歴史”という切り口からはよく知っている時代ですが、専門家に、ドレスや髪型、レース、リボン、ボタンなどの小物ほか、その時代の流行について解説していただくと、また違った側面が見えてきます 18世紀フランスのドレス Eighteenth-Century French Fashion Plates in Full Colorより 講演は、西洋服飾史の年表の解説やスライドを交え、男性・女性の服装について具体的な説明が進んでいきます。 今回のお話をもとに、当時のヨーロッパのファッション事情をざっとまとめてご紹介しますね。 16世紀ルネサンスの頃の織物の先進国はイタリアで、ファッションリーダーは重厚な装いが特徴的なスペイン。 17世紀半ば、太陽王ルイ14世が絶対王政を確立させていく時代には、フランスはイタリアの模倣を遥かに超え、優れた絹織物を生産するようになります。 さらにルイ15世の時代になると、華やかなロココ様式が最盛期を迎え、服飾材料のみならず、フランスのモードは世界の注目の的に。 では、何故、フランスの織物は飛躍的な発展を遂げたのでしょう? それには当然理由があります。 この頃、貴族たちの間では、政治的手腕よりも「エレガントな身のこなし」「優雅な服装」を重視する“宮廷文化”という新たな価値観が生まれていました。 以前はイタリア、フランドル地方から美しいレース等が、大量に輸入されていましたが、服装が贅沢になるにつれ、その輸入量が見過ごせなくなったフランスは、国内の産業を奨励し、輸入を制限。 ベネツィアやフランドルから優れた職人を招聘して技術を学び、必要に迫られたフランス人は、他国にない軽やかで繊細な製品を生み出すようになります。 「宮廷ではフランス製レースを着用するように」とのお達しも出たとか。 ルイ14世が強大な王権を持った黄金時代から、フランスの国際的地位が上がるとともにファッションにおいてもフランスが世界をリードする立場になったのは興味深いことです。 しかし、ヴェルサイユの宮廷文化は、美しさを極める反面、一歩踏み外したのでは?と思える爛熟した時代を迎えることとなります。 その最たる例は… “頭に軍艦をのせた奇妙なヘアスタイル”は特に有名ですが、18世紀後半、スカートが広がるにつれ、髪はどんどん高く結い上げられ、髪飾りは装飾過多に。 ついにはその高さゆえドアから中に入れなくなり、馬車の中では狭くて椅子にも座れず、身をかがめなければならなくなるほどの異常なボリュームに。 この頃の髪型を揶揄した風刺画(カリカチュア)は、数多く描かれていますね。 田中先生は、これらの髪型は確かに高すぎるけれど、全体をみると、この時代の宮廷婦人の正装であるローブ・ア・ラ・フランセーズや、後ろでスカートをたくし上げるスタイルのローブ・ア・ラ・ポロネーズとのバランスはとれている、と説明されました。 う~む。そういわれてみれば、髪型だけを見るとかなり“変”ですが、おもいきり幅広く広がったドレスに対しては、このくらい頭が高い方がバランスがいいのかもしれません。不思議です。 姉のマリー・アントワネットとルイ16世を訪問するマクシミリアン・フランツ大公(部分) 1775年 ウィーン美術史美術館蔵 ヨーゼフ・ハウツィンガー画 ルイ16世(中央)は華美な服を好まなかったため、すっきりとした服装。 太陽王ルイ14世の時代には男性の方が贅沢さ、華やかさで女性に勝り、男性がリボン、レースを多用した服を身につけ、リボンのついたハイヒールをはいていた事を考えると、大きく変化しています。 マリー・アントワネットの絵画に関しては、フランスで描かれたものは、高く結い上げられた髪に羽飾りといった当時の流行の先端の様子で描かれているのに対し、ウィーンにあるものは、高く結うといっても比較的おとなしい髪型で描かれているような気がします。ウィーンでは、王妃の品位を重んじた姿を想像で描いたのでしょうか…。 2008年6月30日までパリのグラン・パレ・ナショナル・ギャラリーで開催中の 「マリー・アントワネット展」 図録(フランス語)19,950円 MMFで取り寄せ予約することができます 約400ページの、非常に分厚く大きい本! ↑ロンドンで購入した18世紀フランスのファッションの本 『Eighteenth-Century French Fashion Plates in Full Color』 (発行はアメリカ メトロポリタン美術館) ほぼ同じものが↓楽天にもありました。 ドレスがきれいですよ~ Eighteenth-Century French Fashion Plates in Full Color 服飾史の中でも、18世紀フランスのドレスは特別 と思われたら ↓を押して応援して下さいね☆ いつもクリックありがとうございます♪ 一日一回カウントされます。よろしくお願いしま~す。 ↓ ↓ この講演会の最後には、マリー・アントワネットをイメージしたお菓子 をいただきました。 《ガレットのお菓子日記》 Homeへ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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丁度、ハウステンボスでも同じような催しがあるとか・・観にいきたくなりました~♪
衣装とか装束って、この当時のはたくさんの レースとか使ってて、興味ありますぅ。(*^_^*) (2008.05.25 19:25:11)
一度でいいからこんなドレスを着てマリーアントワネット気分を味わいた~い!(*^.^*)
ぜ~んぜん似合わないのは分かってますけど~・・(^◇^゜;) (2008.05.25 21:36:10)
>丁度、ハウステンボスでも同じような催しがあるとか・・観にいきたくなりました~♪
↑ 本当ですか?周りの雰囲気も素敵でしょうから、楽しい催しになりそうですね。 >衣装とか装束って、この当時のはたくさんの >レースとか使ってて、興味ありますぅ。(*^_^*) ↑ レース、リボン、ボタン、絹織物…本当にたくさんの装飾グッズが使われていて、すごい時代ですよね。 ★まちがってアップしてしまって、文章がおいつかなくてごめんさい~。明日にでも、ぜひ、また読みにいらして下さいね! (2008.05.25 22:56:36)
>一度でいいからこんなドレスを着てマリーアントワネット気分を味わいた~い!(*^.^*)
↑ 一度宝塚歌劇の「変身写真館」でアントワネットのドレスを着てみたい私…。 本物は、かなり身体を締め付ける苦しいもののようですけれどね~。(くじらの骨のコルセットとか…) ★すみません、写真だけ先にアップしてしまいました。今から急いで書きます~。 (2008.05.25 22:58:39)
お久しぶりです。
服飾の講習会私も行きたかった。お菓子も薔薇の香りのデザートなんて、素敵です。 28日に従兄弟のお嫁さんが育てた薔薇たちを見にいきました。もちろんピエール・ド・ロンサールも咲いていました。 オールドローズは本当に香りが高いですね。お土産に薔薇の花びらをいただき、お風呂にいれると買った薔薇とは違い、香りが高くて、うっとり☆ 薔薇を育てるのは憧れてはいるのですが、虫が苦手で、いつも断念しています。 (2008.05.28 11:21:48)
ご無沙汰しています。
レーヌ・ブランシュさんのお好きな世界のはず、と書きながら思っていました。服飾史の中でも、この時代は特別ですよね。 >28日に従兄弟のお嫁さんが育てた薔薇たちを見にいきました。もちろんピエール・ド・ロンサールも咲いていました。 ↑ ピエールは薔薇の中でも本当にめだって美しく花もちもよく、素敵なお花なので、大好きです♪ >オールドローズは本当に香りが高いですね。お土産に薔薇の花びらをいただき、お風呂にいれると買った薔薇とは違い、香りが高くて、うっとり☆ ↑ 花びら入りのお風呂とは、まさに貴婦人の世界ですね~* 素晴らしい! 虫との闘い…は専ら夫の役目なのですが、それでも時々私が出くわしてしまうと、心をふるいたたせて「捕殺」しています。本当に嫌ですよ~~~ (2008.05.28 12:20:45) |
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