ニューヨークに来て4年目の冬のソニー・クラークである。
ブルーノートで様々なセッションを繰り広げたが、西海岸時代からの
“クスリ”の常習癖がたたり、中毒症状が悪化して58年春以降は
録音頻度が激減した。
60年はブルーノートではゼロでタイムの3セッションのみ。 どん底だ。
そんな中でタイムのトリオ盤は録音されたが、演奏はかつての輝きこそないが
ソニー・クラークならではの個性に彩られた魅力はある。
ソニー・クラークとの交流があったミュージシャンたちの回想を要約すると
彼は気立ての優しい善人でいつも無口だったが素晴らしい音楽でしっかり自己主張した
という像が結ぶ。
そんなソニー・クラークが自分名義のアルバムで聴ける“最後”が本アルバムである。
ジャケットを見ると重厚で壮絶のイメージを抱いてしまうけれど
聴けば『ソニー・クラークはまだ元気じゃないか! 』と
思わずにいられないオリジナルの「サムシン・スペシャル」や「メロディー・フォーC」。
あるいは、ミステリアスな曲想の「ヴードゥー」で見せる新しい創意。
曲作りも演奏もまだまだいけるじゃないか。
ブルーノート側も創感じた様子で、62年には録音の回数もまた増えた。
しかし、リーダー作はこれで残念ながら打ち止めになった。
リーピン・アンド・ローピン
リーピン・アンド・ローピン ジャズアルバム紹介 に加筆・修正を加え転載。
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