ベイビーステップの世界 第1巻#ベイビーステップ
ベイビーステップの世界第1巻 3-7ページ主人公 丸尾栄一郎 15歳 高校一年生「高校入学2週間にしてー優等生成績が 小学生から9年間 オールAで名前も 栄一郎 だからみんなには 『エーちゃん』と 呼ばれている。これでいいんだと 思っていた何ひとつ 疑問すら 抱かずに」これほどの優等生が漫画の主人公というのは珍しいのではないか。梶山一騎だったか、漫画の主人公の要件の一つとして 大きな欠点を持たせる というのがあった。ある漫画編集者も「欠点・弱点はむしろキャラクターの造形上は強みです。漫画の場合、やはり主人公クラスは格好良く描きたいですから、いかにその人物にギャップが生まれるような魅力的な弱点、欠点を考えることが重要です。」二ノ宮知子『のだめカンタービレ』 の野田めぐみは 天才的なピアノ演奏の能力を持っているが、片付け、家事の能力はカラキシ駄目で、「ぎゃぼー」「うっきゅっきゅ」等の奇声を発する。「野溜め」又は「野駄目」じゃないくらい、才能とのギャップがあるが、それが王子様としての千秋 真一の家事、料理の才能をきわだたせる。エーちゃんは、ギャップといえるようなものは、おそらくは世界的なテニス水準とのギャップであろうか。それをいかにして短期間でおいついていくかのテニスプレーヤーとしての技量と人格の成長物語でもある。のだめに対する千秋のように、鷹崎ナツが、エーちゃんノートを借りに出現する。「赤ラインが重要で 黄色ラインが重要エピソード 横の欄外が関連事項」という世界史のノートの原本を受けとったナツは「こんなノート作ってるなんて普通じゃない スゴいを通り越して 紙一重というか」とグザグサッと遠慮もなしに明るく言い放つ。ここからBoy Meets Girl のもう一つの物語が同時に始まる。物語の類型のひとつで、少年が少女と出会い恋に落ちる話でもある。ナツは「エーちゃんが毎日毎日書き続けている完璧なまでにシミ一つないノートの原本」を転んでしかも弁当の総菜のシミで汚してしまい、「うん。読める読める」といい、「エーちゃんごめん ちょっと汚しちゃった」とかわいく去っていく。どこか、「サウンド・オブ・ミュージック」でマリアが初めての大佐の家に来た時、子供達はさっそくマリアの服のポケットにカエルを入れて歓迎する。さらに家族との夕食の場面で、いたずら坊主がいすにおいた松かさにギャッと驚きながらも、大佐の「どうしました?」という質問に「なんでもありません。持病のリューマチで」と弁明し、子供たちにI'd like to thank each of you for the precious gift you left in the my pocket earlier today.『素敵な贈り物をありがとう』」とお礼する。大尉:Um... what gift?マリア:It's meant to be a secret between the children and me.大尉:Then I suggest that you keep it and let us eat.マリア:Knowing how nervous I must have been, a stranger in a new household. Knowing how important it was for me to feel accepted, it was kind and thoughtful of you to make my first moments here so warm, happy, and pleasant.(初めてのお宅だし心細かった。勤まるのか不安だった。それを察して考えてくれたのね。 温かい歓迎を。うれしかった。 )とぼけて、かえって子供たちに感謝する。すっかり怒られると思っていた子供たちはその場で大泣きしてしまう。その態度と子供たちの反応に、大佐がマリアに好意を持つのにも似ている。予期せぬ出来事の反応にその人間性がよく出るのである。学校帰りの影山との対話の場面は江の島海岸である。すると高校は漫画では「大杉高等学校」となっているが、おそらくは鎌倉高校を設定していることがわかる。後でテニスクラブの場面では善行駅が出て来るから、エーちゃんと影山は小田急江ノ島駅に歩いて通っていることが推測できる。漫画では、エーちゃんが帰宅すると、「あら おかえり 栄一郎 いつもどおり ぴったりの帰宅時間ね」と母親が出迎える。家にはお母さんの友達がつどっている。お母さんは「アンタたしか 運動したいとか 言ってたでしょ?ほら 近所にでっかいテニスクラブがあるじゃない?ちょっと今から行ってきなさいよ」とSTCの「無料 春期新規会員募集」のチラシを渡す。これがエーちゃんのクラブテニスとの出会いの始りである。「でも テニスはいいや」というエーちゃんに「ごちゃごちゃ言わずに行け!!」「キレた!!」(ったく 思いどおりに ならないと すぐキレる 本当面倒な親だな・・・・・)ここの自宅での重要場面、なぜエーちゃんは一人でテニスクラブの無料体験レッスンに出かけたのかを説明する場面がアニメでは全部カットされている。「近所にでっかいテニスクラブ」という自宅の設定を 場所不明 とする意図と、あとで駅までナツと帰る場面等に矛盾をきたさないためだろうか?さらにテニスクラブから帰る前の森本コーチからの説明やバスで帰る途中バスから降りて自宅までランニングする場面もアニメでは第2話にうつされている。森本「先に説明しとけば よかったんだけどここは ジュニア育成アカデミーと言ってねつまり『テニス選手』を育てるコースなのよ」「名門南テニスクラブ 通称STC ここにいる 子供達は みんな テニス選手として 強くなるため そして勝つために 練習してるの 世界に通用する 選手を育てる プログラムと環境が 実際多くのプロを輩出しているのよ だからウォームアップもキツめだし 上の方ともなると もっとハードで専門的な メニューを用意してるわ (以下略)」 「あの・・・・体力つけるには どうしたら いいですか?」 「そうねー とりあえずは 走ること じゃないかしら」漫画の原本とアニメでは、結構とりあげているエピソードに異なる場面や移行、カットしている場合がある。それはそれなりに楽しむべきなのであろう。細かいことではあるが 漫画の漢字は全ルビで 句読点はない、ふむ。エーちゃんは、テニスクラブで再び Boy Meets Girl ナツに出会い、エーちゃんはテニスにひかれていく。