一九二一年六月十五日地下ダムの建設は始まった。開削工法」によって河床を一気に掘り下げ、長さ327.6メートルの堰を埋設した。
水の奇跡を呼んだ男 平野久美子著〇一九二一年六月十五日、高雄州の知事や警察関係者、原住民の頭目らを招き、待望の起工式を行った。六月はすでに雨期に入っていたため、建設資材の運搬道路を作ったり、建材の調達、導水路の荒堀りという補助的な工事を進めた。十一月から乾季が始まると、地下堰の工事にとりかかった。翌年の四月までは川の水がまったく干上がるので、開削工法によって川底を一気に掘り下げ、長さ三百二十七・六メートルの堰を埋設した。翌年の一九二二年一月からは水源掘割残工事やトンネル工事、玉石積み上げ工事を進め、六月に通水テストを実施、引き続き、区画内の灌漑水路を造る工事に移った。 地下に堰き止めた伏流水を下流へ流すために、全長三千四百三十六メートルの地下導水路を通して農場の第一分水工まで送った。そこからさらに灌漑幹線を三方へ伸ばし、支線、小支線を補って、二千四百八十三ヘクタールに及ぶ農場地と周辺の農地に水がゆきわたるよう工夫した。(p.110-111)屏東県来義郷にある二峰圳(地下ダム)(1)2009年9月5日2009年8月8日台風8号が台湾を襲った際、南部地区の降雨量は2000mmを超過し、豪雨の影響を受けて至る所で土石流が発生した。 屏東県来義郷の林辺渓にある二峰圳(地下ダム)も露出していたダム上部は土砂に埋まって今はもう見えない 、然し用水路には今も水が流れているので地下ダムは損害を受けていないようだ。日台の知られざる水の絆の物語 ~ 「鳥居信平」社団法人土地改良建設協会の機関誌『土地改良』2008年7月号(262号)の巻頭で紹介文給水塔の地下を覗くと、川の水とは似ても似つかぬ清流が流れている。「農業用水として飲料水として、一日あたり、雨期なら12万ト立方メートル、乾期でも約3万立方メートルの供給量を保っています」と丁教授。地下に堰を設けて取水しているから雨期にどんなに豪雨が降ろうとも水は濁らず、乾期でも安定した水量が確保できる。しかも、ダム底部に土砂が堆積しないので維持管理にお金がかからない。戦後、二峰*の維持管理は、屏東県政府と国営企業の『台糖』の両者が、共同で行ってきた。毎年、補修点検をしているが、これまでに大規模な修理は台風の被害を受けた三回だけ。普通のダムに比べてはるかに管理がたやすい。1世紀近くも昔に、周囲の自然環境を破壊することなく、水の性質や地形を利用した持続可能な工法が台湾で実施されていた。地下ダムの建設は、1921(大正10)年6月から始まった。乾期にあたる10月から翌年の5月の間は川の水が干上がるので、「開削工法」によって河床を一気に掘り下げ、長さ327,6メートルの堰を埋設した。次に、半円形の土管を使って全長約17,7キロメートルの導水路を作り、第一分水工からまたさらに暗渠を三方へ伸ばし、さらに約57キロメートルの支線、小支線を補って、128平方キロメートルの扇形の流域に灌漑がゆきわたるよう工夫した。