扉座『トラオ』の感想
[お話] 夢や目標を見失ってしぼんでいたピースとホープの心が、野望犬(←こいつがトリックスターになっている)と出会って、非日常を体験しながら、友情を深め、最後には希望に満ち溢れていた頃の力をとりもどすという話。これが本筋なのですが、この紋切り型のストーリーがはちゃめちゃに展開していくところが、実はとてもハイレベルなのでは?と思ったりして。私はねー、評論家じゃありませんから、うまくいえませんけどね、ちょっとやそっとじゃ、こんなお芝居、観られません。贅沢だったな、得したな~♪----------------------------------------------------------------------------[工夫] いえ、ね、このお芝居、70分そこそこなんですよ。それでね、客席の照明がずっと明るいまんま。そして音響も舞台左サイドのスペースに、打楽器類と笛とウィンドベルの奏者がひとり。工夫です、く・ふ・う。工夫すればなんでも可能になる、ってホントなんだな。人間の言葉をしゃべれる野望犬の「トラ」に関係する言葉の解説が、ほどよいテンポで結構わかりやかったです。言葉の説明のかたわらでパントマイムをしたりするので、子どもにとってはビジュアル・ラーニング効果があるかもしれません。小学生の国語の学習法のヒントになるかもしれない、とまで思いました。気になる「押しつけがましさ」の点も、ぎりぎりセーフ、オッケーの範囲内だった、と私は思います。多少、唐突な展開で、「寅さん」やタイガー・ウッズ、タイガースファンが現れたりするので、子ども以外の観客も駄洒落を、おおいに楽しめます。しかも、アナログな駄洒落で、安心感があります(個人的にはどこかで"The Eye of the Tiger"をかけていただければ、大満足でしたが……あくまでも個人的ノスタルジーによる独り言です)。----------------------------------------------------------------------------[力強さ] フィジカル・パフォーマンスが一級さんでした。アクロバティックな動きも、ジャグリングも、ドローイングも、和太鼓もダンスも、すべてが、大迫力。大の大人が本気出して、子どもを楽しませようとしている!その心に感動しました。そしてなによりも普遍的でゆるぎないメッセージが込められたクライマックス。イマジネーションを使えば、なんでも可能になるんだ! ここ、どんぐらーとしては、嬉しかったですよ。言ってしまいますけどね、賢者の言うことは、みな同じです。……多少、ちがっても、共通するところがあります(そんなんでいいのか、あたし?)。それから、もうひとつのメッセージ。「俺たち、友達じゃないか」「うん」「ねぇ、……また、あえるよ、ね?」「……うん」深く、頷く。いま、ここで言葉にすると、ちと恥ずかしいこんなせりふが、ごくごく自然に、けれども、急速に感動するかたちでやってきます。そして、涙も乾かぬうちに、おくさん、オドロキの風船で大爆笑ですよ。詳しくしゃべりたい! でも、このネタだけは、たとえティガーに噛まれても明かせないね……。とにかく! 笑って泣ける、盛りだくさんの、ほんものの、パフォーマンスでした。---------------------------------------------------------------------------[アフター]よかったー、よかったよう。実は土壇場になって、子どもたちの友達が次々と行く~ということになり、自分、麻りあさん、りんりんさんちも含め大人4人の子供10名引き連れて行っちゃったので、みんなの楽しそうな顔が見られて、声かけた甲斐があったってもんです。子供たちの目が、本当に満足そうに輝いていました。そのことがすべてを語っていました。実は私、無理を言って4歳のお子さんを二人呼んでしまったのですが、ふたりとも、すっごい面白かったー!!って言ってました。小2くらいだと、「一休トラップ、めちゃ受けた」「『九』に点をうつと「丸」になるところの始め、変なところに点うってたでしょ、あれ、すっげーおかしかった」そして、上は小5の生意気ざかりの女の子たち。「ちょーおもしろかったよね」「うん、ちょーうけたー」「けっこーねー」「学校きたらうけるよねー」……。面白かったようです。こんな具合ではありますが、ずっとその話してましたから。---------------------------------------------------------------------------