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テーマ:鉄道(22012)
カテゴリ:駅・操車場・施設
貨車入換用:動車てこ(大宮操車場・ハンプ入換)
「動車てこ」ってご存知でしょうか? 鉄道マニアでも、おそらくはご存じない方が殆どだと思います。 通常、構内での貨車の入換は必ず動力を用いますので、切り離したり連結をするのに人間が押して動かす必要はありません。 しかし、動力車を持たない駅や何らかの都合で動力車を使えない場合でも、なんとか貨車を動かさなければならないこともあります。 私が勤務していた大宮操車場。ハンプ入換も基本的には動力車で坂を押し上げ、下り坂を転がってくる勢いで連結が行われますので、原則は人が貨車を押すことはありません。 しかし、当て込みを行った際に失敗すると、当てられた貨車だけ勢い良く前に飛び出し、当てた貨車が「ピタッ!」っとその場に止まってしまうことが良くあります。 この場合、次にまた当て込む貨車がくればそれに頼ることもできますが、入換がここで終わってしまうと、機関車はとっとと逃げてしまいますので、人間がなんとかしなくてはいけません。 ただの棒のようですが、これが「動車てこ」です。 空車の2軸貨車や緩急車くらいなら、1人の職員が力を入れれば動くことさえありますし、ホキ2200や空車のコキ50000などは走り装置が非常に滑らかなので、ブレーキを外しただけで勝手に動くことさえあります。 ただし、動きの悪い2軸貨車など、貨物を積載していたら、人力ではまず動きません。 ここで登場するのが「動車てこ」です。 要は、てこの原理により、貨車を持ち上げるように横にずらし、横方向の動きに変え、動き出したら人間が押して勢いを付けるということです。 これを図にするとこんな感じです。 寸法とかの感覚を忘れてしまったのですが、大体、長さが1.5m~1.8mくらいだったように思います。 支点から作用点までの長さも、大体5cmくらいしかなかったと思います。ですから、50kgの力で力点を押せば、30倍以上の力で横にずらす力が生まれると言うことですね。 これによって、軽いものや走り装置が良い貨車ならば、3両でも1度に動かすことが出来ます。また、何両も止めてしまったときは、1両を逆方向に移動させてからまた元の方向へと動かし、当て込みを行うことで全体を動かす、というようなテクニックもありました。 そうは言っても、あくまでも付け焼刃な道具でありますので、例えば走り装置が良くない50t級のタンク車など、1両でも動かせないことがあります。「動車てこ」を車輪と線路に差したまま、全体重を掛けたら身体が持ち上がったまま・・・なんて無様な経験もありました(笑)。 操車場内では、そこら中にこの「動車てこ」が転がっていました。また、ブレーキパットが車輪に密着してしまった場合にも、このてこを使って叩いたりもしましたね。 今では動力車入換が原則となってしまいましたので、このような道具消滅してしまったでしょうか?もしかしたら、不連結の際の応急用として、操車場にまだ存在しているかもしれません。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024.05.12 05:36:02
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