カテゴリ:古今憧憬
在原業平(ありわらのなりひら)
ちはやぶる神代も聞かず龍田川 からくれなゐに水くくるとは 古今和歌集 294 / 小倉百人一首 17 いにしえの霊威なる神々の時代でさえも聞いたことがない 龍田川が深紅色に水をくくり染めにするとは。 註 川面を流れてゆく一面の紅葉を川の水を括り染めにしたものと見立てた、濃艶唯美で洒落た趣向が楽しい、人口に膾炙した名歌。 ちはやぶる:「神」「氏」などに掛かる枕詞(まくらことば)。一般に「千早振る」と表記するが、語源は「逸早(いちはや)振る」とされる。 ■ 龍田川 水くくる:「水を括(くく)り染めにする」の意が定説だが、古来「水を潜(くぐ)る」(当時は濁点表記はなかった)の説もあり、もともと作者が両義性 ambiguity を意図したとの見方も可能と思う。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[古今憧憬] カテゴリの最新記事
|
|