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つれづれなるままに―日本一学歴の高い掃除夫だった不具のブログ―

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2019.08.29
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カテゴリ:百人一詩
「狐女子高生」
文月悠光

つむぎたいのは、その不規則な体温。
手肌をつらぬく つむじ風。
プロセスは机の隅に押しやって
唇に海を満たす、吐く。
たおやかに 狂いだす血潮。
この学校ができる前はね
ここで狐を育ててたんだって。
そう告げて、
振り向いたあの子の唇は、とっても青い
狐火だったね 覚えてる。

(狐女子高生、養狐場で九尾を振り回す。
(狐女子高生、スカートを折る。
(短きゃなお良い至上主義。
(十八歳は成人である由、聞きつけて
(選挙に行った受験生。
(単語帳の陰から盗み見立候補者、
(あいつ尻尾がないぜ。
(ごまかすね、襟巻き税。

はじめから
あらゆる脈絡と絶交していたけれど
ついに教室の窓を叩き割り、
夕陽の破片を
左胸に食い込ませる/深々と!

鼓動が血に濡れているなんて
いつ どこで だれが決めたの。
わだかまる窓という窓を吹き飛ばしたら、
カーテンだけが私の翻る顔になった。
壁に抱きついたまま、
風を装い、”私”は踊る。

ネクタイ結んであげる、の一声で
化かされる新卒教師はものたりない。
おかげで停学処分を免れて、
青い口紅 倒れたほうへ
いらんかね いらんかね
油揚げを売り歩く放課後。







最後の一行が笑いを誘いますが、そこに至るプロセスは​アルチュール・ランボーの詩​を思い起こさせます。若さゆえの怒りの詩にこれほどまでに惹かれるのは、鑑賞している当人が、すでに失ってしまった若さに、郷愁を感じているせいでしょうか。二度と再び見ることのない故郷に。


大人になるまでに読みたい15歳の詩 6





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Last updated  2019.09.29 23:34:22
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