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戦国ジジイ・りりのブログ

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2016年06月06日
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カテゴリ:城(東北・関東)
ちとガイジンシリーズが長くなりましたが、
大名や幕閣・役人が江戸城に登城するのは当たり前の話なので、
そういう広く知られている登城者以外にも結構色んな人が出入りしていたんだよ、
ってことでガイジンについて紹介してきました。
同じコンセプトで、今度は日本人バージョンを紹介します。

広い本丸御殿のうちで最も南にあるのが、ガイジン達も出入りした大広間。
そのすぐ南側には能舞台が設置されていた。
これは御殿とは別棟で、常設の舞台だったらしい。

舞台は大広間御上段・御中段・御下段の南北3間続きの部屋の正面にしつらえられ、
かなり遠くはなるけど将軍が御上段にいても舞台が見える作りになっていた。

この能舞台では、将軍宣下や若君誕生、婚礼などのお祝いごとや
遠忌の法会、日光参詣の折などの重要な儀式で「祝儀能」として能が上演された。
儀式が無事に済んだことを祝う目的で、数日間にわたって上演されたそうなんだけど、
その初日には江戸の町衆も能の鑑賞が許されたという。
これを「町入能」(まちいりのう)という。

町入能の歴史は意外に古く、慶長12年(1607)1月7日が最初。
『江戸幕府大事典』によると、この最初の町入能は「江戸城入城祝儀能」というそうで、
慶長12年といえば天下普請でリニューアルし、徳川江戸城に最初の天守ができた年でもある。
ので、天下に号令してようやく天下人にふさわしいナリを整えた
江戸城リニューアル記念祝賀会ってとこだろうか。
で、最後が文久2年(1862)の家茂様結婚おめでとう祝賀パーチーで、
255年の間に50回ちょっと町入能が行われたらしい。

招かれた町人は、

 【江戸八百八町(八百八町は東照宮関八州を領し給いたるときに江戸に置れたる町々にして
  三河町・駿河町をもってその第一とす。その他数千町ありといえども爾後新開のものたれば
  このうちに加えず)の町人(家主(今いう差配人なり)一町二人ずつ)どもへ能楽の
  見物を許さる。】
  (『徳川盛世録』より)

ということで、希望者が誰でも見物できた訳でもないようなんだけど、
対象者にはあらかじめ町触で麻上下(あさかみしも)の着用や関係者以外の見物の禁止といった
心得が示され、事前に鑑札も配られていたそうな。

音符音符花のお~江戸はぁぁ八百八町~ぉぉぉ
今日も決~めての今日も決~めての
ぜ~にがぁぁ飛~ぉぉぉぶ~音符
(by 銭形平次)

とは言うものの、初期は300ぐらいだった町数も
中期頃になると江戸の町は実に1000を越えていたそうで、
『徳川盛世録』の八百八町の定義が果たして正しいのかはわからないけど、
いずれにせよ町入能に招待される「町の名士」の数は結構な人数になったらしい。
それで、4代・家綱の代からは午前と午後の二交代制になって町衆の入れ替えがあったそうな。
二交代制になっても各回で2500人という数だったらしいから、
大広間と舞台の間にある白洲は相当ぎゅうぎゅう詰めになったことだろう。

大広間のある御殿と舞台は別棟だったため、町人席となる白洲には屋根がない。
しかし、これだけの人数を招待するのだから準備も色々と大変だし、
町入能に「雨天順延」という選択肢はない。

「家綱様お誕生おめでとう祝賀町入能」の時にはあいにく雨が降ったそうで、
それ以降、招待された町衆が二重橋を通って入城する際には、
傘(からかさ)が手渡されるのが慣例となったそうな。
慣例だから、当日の天候には関係ない。
よく晴れた日でも1人1本傘が渡され、それはそのままお土産として持って帰れる。

また、傘のほか強飯が配られた。
さらに、午前の部と午後の部の入れ替えの際には町奉行から饅頭と御酒(みき)が配られ、
後日には1人ずつに鳥目一貫文が下されたというから、
メシ・おやつ・お土産にさらにおこづかいが付くという、
江戸城での祝儀能にふさわしいものだった。

小布団や煙管などの持ち込みは禁止されていたそうなんだけど、
イベントムード満点だったためか、持ちこんじゃう不届き者もおったそうな。

さて、町入能といっても別にわざわざ本丸を提供して町衆のために上演する訳じゃない。
舞台正面の大広間には将軍をはじめ大名や公家衆もいた。
『徳川盛世録』によると、将軍は舞台に近い御下段まで出て見物をしたという。

各種おみやげもさることながら、お祭り好きで将軍のお膝元にいることを
なによりの誇りとしていた江戸っ子のこと。
そもそも町入能自体が何らかのおめでた系で行われることが多いイベントだったから、
かなりハイになった町衆もいたらしく、ぎゅうぎゅう詰めの白洲から
大広間にいる将軍や公家・武家などの高貴な方々に向かって

「親玉!」
「千両箱!!」


などと叫ぶ輩もいたというから、なんとも江戸っ子らしいエピソードとゆーか泣き笑い

・・・とまあ、本丸には結構色んな人種が出入りしていたようでございます。


ところで、「(37)」でケンペルが雷よけの地下室について語ってる話を紹介しましたが、
『江戸幕府大事典』によると、本丸御殿には「地震の間」なるものがあったらしい。
これは中奥にあり、

 【地震があった際に将軍が避難したとされる。五代将軍徳川綱吉の時代の中奥では、
  二ヶ所あり、休息間の北の山・泉水などがあった庭と御座間の南の廊下に囲まれた
  部分に建っていた。絵図には、ほかの部分とは違う描かれ方をしており、特殊な
  構造であったことがわかる。】
  (前掲書より)

だそうな。
手持ちのいくつかの御殿図を見たけど、あいにくはっきり「地震の間」と
描かれているものはなかった。
まあでも、御殿図に部屋が描かれているのなら、地下室ではなかったってことだよな。


さてと、それでは久々に現地に戻りますか。
え~と、「(35)」でカップルの邪魔が入ってイラつきながら
ご飯を食べたとこまで書いたんだっけかな。
ここからは、ランチ場所のオレンジの★のところから蓮池濠の近くへ行って、
そこからぐるっと園路沿いに反時計回りに歩いていきます。

    東山御物展・江戸城案内図-2(本丸)-2


この図で★の上に描かれている細い園路は所により少し小高い位置にあって、
広々とした御殿跡の園地とは違って木々の間を歩くコースになっている。
歩き出すと、明らかに江戸城時代の遺物であるこんな石もあった↓。

      東山御物展・江戸城・数寄屋多聞付近


実はこの蓮池濠付近は、今回のわたくしのお目当てのひとつでもあった。
なぜって、濠を挟んだ向こう側はかつての紅葉山なのだ。
東照宮が置かれ、歴代将軍の霊廟があった紅葉山は現在の皇居なので、
いつでも自由に立ち入れる訳じゃない。
もちろん、紅葉山の霊廟はとっくに撤去されてるけど、
別に霊廟なんかなくたってかまわない。
とにかく、徳川時代には神聖な場所であった紅葉山がどんなところなのか、
遠巻きにでも自分の眼で見て浸りたかったのだ。
しかし、歩き出したあたりの濠方向は


      東山御物展・江戸城・数寄屋多聞土塁


・・・くっ、見えね~ムカッ
いつもなら楽しい土塁を、この時ほどうらめしく思ったことはない。

上の写真を撮ったあたりはすでに大奥エリアで、
将軍の大奥での御座所があったあたりだろうと思われるものの、


      東山御物展・江戸城・この付近「鈴」


今ではその面影すら残っていない。
でも、かつてはこの付近で珍妙な床入りが行われたりしていたのだ。

その先にはこんなものがある↓。


       東山御物展・江戸城・石室


 【石室(いしむろ)

  抜け穴とか、金蔵とか諸説がありますが、大奥御納戸の脇という場所柄から、非常の際、
  大奥用の調度などを納めたところと考えられます。内部の広さは、20平方メートル
  あります。伊豆石(伊豆半島産の安山岩)で作られており、天上には長い石の板が
  使われています。】
  (現地解説板より)

内部の撮影にトライしてみたけど、


       CIMG2862


こんなボケた写真にしかなりませんでした雫
ので、解説板に掲載されている写真から内部の様子を紹介します。


       東山御物展・江戸城・石室2


おお、確かに金蔵っぽいな。
解説文には「大奥御納戸の脇」とあるけど、
石室の場所自体は大奥との境目に近い中奥で、
この付近にはかつて慶長期の天守があったともいう。
して、慶長期天守のあった場所が本丸エリアのちょうどど真ん中の位置にあたる。


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最終更新日  2016年06月06日 23時44分44秒
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