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テーマ:読書の愉しみ(960)
カテゴリ:詩とやまと歌と
紫陽花は咲きあふれたり月光(つきかげ)の青きひかりは庭にかがよふ 紫陽花のある風景を爽やかに詠んだ歌に思えますが、実は連作の中間に わが眠りいずくに求(と)めむけふのたより友の二人が血を喀きにけりの歌が挟まれています。 月が輝く(=「かがよふ」)庭に今を盛りと咲く紫陽花、あふれる生命を目にする作者の元に、友の喀血の報せが届きます。 当時、肺結核は不治の病です。喀血は死の予感を感じさせます。 眠れぬ夜を過ごした作者の目前に広がる情景は、あくまでも爽やかです。かなしみは露になって吹きこぼれます。 作者の大熊長次郎自身も結核を罹患していました。アララギ会員になり、古泉千樫に師事し、「日光」同人を経て後に「青垣」を創刊しました。 参照元:『現代短歌全集 第五巻』筑摩書房 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
June 26, 2021 02:37:43 PM
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