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2022.12.11
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テーマ:読書(8218)

本のタイトル・作者



リデザイン・ワーク 新しい働き方 [ リンダ・グラットン ]

"Redesigning Work
How to Transform Your Organization
and Make Hybrid Work for Everyone"
by Lynda Gratton

本の目次・あらすじ


はじめに 人も組織も、いますぐ変わるべきこと、変わらないこと
1 どのように仕事をリデザインするか
2 理解する
3 新たに構想する
4 モデルをつくり検証する
5 行動して創造する
おわりに 創造力を高める働き方へー道は未来へ続いている

感想


2022年320冊目
★★★

『ライフ・シフト』が日本で大人気となったリンダ・グラットンさん単独著書。
「働き方をリデザインする気骨をもったすべての人へ」という序文にあるように、これは経営者や人事労務担当にかなり有益な内容だなという感じ。

本で紹介されていた、レヴィンのモデル。
平常時の組織は「凍結」状態(文化、構造、慣行、プロセスの安定)。
外部からの脅威にさらされると、「解凍」状態へ移行する。
そしてまた脅威が遠のくと、「再凍結」の段階に入る。

今は、凍結して諦めていた制度や悪弊や何やかんやが、「コロナ」という御印籠のもとに無理やりにでも変わることを余儀なくされ、錦の御旗をこれでもかと振りかざして試行錯誤しつつガラッと「解凍」した組織が、コロナが日常になり「ウィズコロナ」の世界で「再凍結」に至っている状態、ということなんだろう。

で、再凍結するそのかたちは、前と同じなのか?という話。
コロナだけでなく、AIや自動化、機械化も脅威として変化に拍車をかける。
(現在の職の構成をしている業務の60%は自動化が可能で、コールセンターの発展途上国への移転のように、今後エンジニアなどもバーチャル勤務でより賃金が安い国への発注が行われていく。)

たとえ話としては、本の中で以前の働き方は「T型フォード」(色も形もすべて同じ)だった、という話が分かりやすかった。
でも、色や機能を変えたちょっとした「T型フォードのカスタマイズ」ではなく、真新しい車のデザイン(時間や場所の柔軟性を高めた新しい働き方)が必要になっている。

私の勤める会社は、緊急事態宣言の時こそ「リモートワーク…」「テレワーク…」とザワついたけれど、結局一瞬で終わり、現在は通常営業。
週5で職場出勤、フルタイムの8時間勤務。
業務内容的に仕方がない(現場があるので)。
そんな私としては、「世の中ってそうなんだ…」という印象を受ける一冊。

Twitterのワーキングマザー群を拝見していると、「テレワークの人って本当に存在しているんだ」と驚く。
東京だけ?それとも地方でもなの?
コロナを機に、本当にたくさんの人が在宅勤務に切り替わっている。

通勤時間って=無駄?なのかな、と私は疑問に思う。
それは地方路線で、過酷な通勤地獄を体験していないからかもしれない。
私にとっては、通勤時間は貴重な自分の時間。
移動は運動だし、移動時間は読書時間。

「1994年にイタリアの物理学者チェーザレ・マルケッティが提唱した法則によると、歴史を通じて人類が交通機関の利用に費やしてもいいと感じる時間は1日におよそ60分までだった」のだって。
昔の大規模都市のエンドは、その移動距離の限界までしか発展しなかった。
車が登場して距離が伸びても、その「時間」に対する感覚は同じなのだそうだ。
―――日本人はどうなるんだろうな?

私にとって電車に乗ることは、アイデンティティの切り替えを行う「バウンダリー・ワーク(境界線を引く作業)」。
仕事と家庭の間を、電車に乗っている間に徐々に移行していく。
本を読んで、音楽を聴いて。
それがない在宅ワークの人はすごいなと思う。
私も少しだけやったけど、始業ギリギリまで家事をして、昼休憩にも家事をして、なんかずっと家事してるな…と感じていた。

在宅ワークという選択肢を与えられた時、それを選ぶのは比較的女性が多いのだそうだ。
筆者は、これが家事や育児を担うのは女性である、という性別役割を固定化させることにつながるのではないかと指摘する。
女性のために、女性が働きやすい環境を、とテレワークや在宅ワークを導入しても、それが逆に女性の昇進や活躍の場を狭めてしまうことになるのでは?と。
これ、時短勤務なんかも同じだよな。
男女問わず導入されているけど、結局取得しているのは女性が圧倒的に多くて、その分任せられる仕事も変わって来たり、あるいは「働いていない」とされて評価されなかったり…。

コロナが落ち着いてきて(というよりは、リスク管理的に評価を改めて)、在宅ワークを出勤に見直している会社も増えてきている。
他愛ない対面のコミュニケーションって、私たちが思っているより、私たちに影響していた。
この本でも繰り返し「給湯室での会話がなくなったこと」を取り上げている。

マイクロソフトの社内調査で、「しかるべきテクノロジーおたくたちを同時に同じ部屋に集めて、ホワイトボードを与える―――これより優れた方法はまだ見いだせていない」とエンジニアが答えたそうだ。
ネットでも疑似環境をつくることは出来るけれど、完全に同じ効果が得られるかというとそうではないんだよね。
時間と場所の制約を外したら、ホワイトボードでブレインストーミングをするようなバーチャル空間を作って、そこに各自がアイディアを貼りだして、他の人がそれを見て…とすればいい。
ただそこに活発な議論は起こらない気がするんだよなあ。

対面では身体的なメッセージを受け取ることもそうだし、相手とのキャッチボールでどんどん会話が発展して進んでいく。
人と話すことって、「自分の枠組みを出ること」なんだもの。
自分と違う人間が、違う考えと感じ方をする人が、そこにいること。
それに触れること。なんだよね。
それがどこまでオンラインで可能か…。
メタバースみたいな空間が今後在宅ワークの通常になっていけば、またガラッと捉え方も変わって、完全にホワイトワーカーは在宅勤務で支障がなくなるのかもしれないけど…。

在宅勤務で不利な状況に置かれているのは、
「家庭で育児や介護の主な担い手になっている人たち」(在宅しか出来ない、出世に響く)
「若い働き手たち」(知識を吸収できない、家庭環境が狭いなど)
「在宅勤務を選択できない人たち」(工場やケアワークなど)
に3分類されている。
みんなが満足する形って、難しいな…。
その時の業務内容やライフステージで選択できるのが良いのだろうけど…。

職場に戻ったとしても、「効率的に働く」を追求することは変わらない。
1940年の調査ではマネジャーが邪魔されずに仕事に集中し続けられる時間は23分!なのですって。
私も、ひっきりなしにかかってくる電話の対応、部下からの相談、上司からの注文…と、「えっと、次なにするんだっけ?」と書きかけのメールが半日送れないことさえある。
私も、部下への指示を出すときは、その人の時間を奪っているんだな(集中力を途切れさせてるんだな)と肝に銘じないと…。

会社の中に「集中ルーム」みたいなのを作れたらなあと思ってるんですけどね。
半日なり1時間なり、どうしても今日やっつけないといけない仕事を持ち込む部署横断のシェアルーム。
内線も外線も引かず、その部屋では集中して業務に取り組む。
そしたら残業しなくても終わるだろう仕事が、山ほどある…。
でもまだ、「そこにいること」が何よりも重視される職場。
(そこにいないこと=サボってる、という認識なんだよねえ。だから在宅も踏み切れない)

新しい働き方、っていうと、「在宅勤務で地方移住!」みたいなイメージになるのだけど、結局は「効率的に働く」ということだと思う。
これまでの長時間労働を見直していくということにもつながる。

間違いなく世界は変わった。否応なしの外的圧力によって。
そして間違いなくこれからも世界は変わっていく。今度は内的圧力によって。

安穏としていたら置いてかれる。
解凍して再凍結するなら、もっとよいかたちに。みんなが幸せに働けるように。

出来ることからコツコツと、ね。


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最終更新日  2022.12.11 07:21:28
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