本のタイトル・作者
リスキリング [ 後藤 宗明 ]
本の目次・あらすじ
第1章 リスキリングの必要性と外部環境の変化
第2章 リスキリングする方法
第3章 リスキリングを実践する10のプロセス
第4章 リスキリングと「スキルベース採用」の時代の到来
第5章 リスキリングによるキャリアアップと人材の流動化
第6章 AIやロボットが同僚になる新たな時代に向けて
感想
2023年059冊目
★★★
「リスキリング」「リスキリング」最近喧しいけど、そもそもそれって何なん?ということで読んでみた。
(ちょうど、2023/3/19のNHK「日曜討論」が「リスキリング・「日本型雇用」 私たちはどう働く?」でしたね。NHKの「らじる★らじる」で音声をラジオみたいに聞けると気付いて、毎週聞いてます。)
私はてっきり、これまでの「リカレント教育」が言葉として古びたから、新しい言葉を使っているだけなのだと思ったんだけど、この本によると「リカレント教育」と「リスキリング」は全く別のもの。
この本によれば、「リスキリング」とは、テクノロジーの発達による雇用消失時代に、雇用企業が被雇用者に対し、主にデジタル分野の新しいスキルを習得することを短期間に業務として求めること。
一方の「リカレント」は、生涯学習時代に、個人が自主的に大学等で学び、長期間反復的に学習を行うこと。
日本ではOJTが中心だし、ジョブ型雇用も進まない。
だから日本の雇用環境では「新しいことを自ら学び続ける」ということをしているひとが少ない。
この本で、「人間はToo Good(自分にとってとても良いこと)かToo Bad(自分にとってとても損なこと)が起きない限り自分の環境を変えない」ということが紹介されていた。
そうして日本は、学ぶことでGood(昇進)もBad(解雇)も起こりにくいために、現在の日本の雇用環境では自分から新しいことを学び続けることは大変なのだと。
私の勤める会社でも、特に年配の人ほどそういう雰囲気。
仕事で自然と身につく知識以外に、自分から何かを勉強しようとする人はほぼ皆無。
それは年功序列で、何もしなくても賃金が上がっていくということとも関係しているんだろう。
それを見ている下の世代としては、でも自分たちが同じように「逃げ切れる」世代だとはとても思えなくて、焦燥感がある。
給料の頭打ちはもっと早くなるだろう。正社員は年々減って、非正規に置き換えられている。
人員整理が行われたとき、自分が残る事ができるのか?
あるいは転職を出来るほどのスキルを身に着けているのか?
一昨年くらいから、転職サイトに登録して、色々な応募条件を見ていた。
その時、私がこの十年くらいで身につけた知識やノウハウって、今の会社じゃなければ役に立たないものが山程あるんだなと気付いた。
汎用性や一般性が乏しい。応用が効かない。
いや、ほかの会社でも役に立つ能力もある程度は身についていると思うんだけど、それでも。
そりゃあ中途採用がガクッと給料下がるのも納得…と自分を見て思った。
本当は、年を経るほど学習が積み重なって、高値で取引される人材になっているはずなのに!
そうなってない自分!どうしよう!!笑
けれど一方で私は英語を学び、本を読み続けてきた。
同年代の同期たちとの「差」があるとしたら、私はこれくらいしかアピールできることがない。
でもこれ、じわじわと効いてきている気がする。
リスキリングではなく、リカレントのほうの教育だけど。
本で、最近の学びの形態はMOOCs(Massive Open Online Courses:大規模オンライン講座)からCBCs(Cohort-Based Courses:共通目的を持つ仲間との共同学習モデル)に移ってきているとあった。
これ本当にそう。
勉強はひとりでやる。でも伴走者は必要。チームで目的達成を目指す。そこでは誰もが皆勝者になる。
Twitterでラジオ英会話のコミュニティ(学習者どうしのやり取りとつながり)が活発なのも、CBCsじゃないかと思った。
著者が、トラブルシューティングを「知らないことを学ぶ絶好の機会」と考え、エラーが起きたり使い方がわからない時に「自分は今リスキリングしているんだ」と捉え直しているの、良いなと思った。
特にパソコン関係だと、「こういうことが出来たら、もっと作業時間が短くなるのになあ」「ミスが少なくなるのになあ」と思う瞬間。その時が学び時なんだろう。いつやるの?今でしょ!
年配の方々は、機器の入替があったり、システム変更があるとすぐに私を呼ぶ。
「ノマちゃ〜ん、これどうなってんの〜」
はいはい、と飛んでいって、私も分からなくてグーグル先生に教えを請うたり(だいたいここで解決する)、ヘルプデスクに問い合わせたり、所管部署に連絡したり。
面倒くせえ…と思っていたけど、あれは私にリスキリングの機会を与えてくれていたのね!笑
ごめん、学習の機会を奪ってる!
この本で『抜擢される人の人脈力』の「人脈スパイラル・モデル」5つのステップというものが紹介されていた。
①自分にタグをつける(自分が何屋なのか訴求ポイントをはっきりさせる)
②コンテンツを作る(「お、こいつは」と思わせる実績事例を作る)
③仲間を広げる(コンテンツを試しあい、お互いに切磋琢磨して、次のステップを共創する)
④自分情報を流通させる(何かの時に自分のことを思い出してもらうよう、種を蒔く)
⑤チャンスを積極的に取りに行く(実力以上のことに挑戦し、人脈レイヤーを上げる)
孫引きになるけれど、この本読んでみたいな。
私、無意識にこれをやってきたと思った。
そして今の会社の中では、他部署ともかなり「〇〇のノマちゃん」として認識されるようになった。
中途半端であるけれど(だからこそもっと勉強したいんだけど)、他の人にアドバイスしたり、相談に乗ったり、学んだことを発揮できるようになってきた。
自分の趣味的なところ(読書や英語)をもっと売り込んでいけたらいいのになあ。
資料作成も、グラフィックを入れたり、視覚的にまとめるのは得意で、サラッと作ったものを絶賛されると鼻高々になって、「そうか、自分が得意で息をするように当たり前に出来ることが、他の人から見るとすごいと評価されることもあるのか」と気づく。
この本では、AIがその人のキャリアや得意を評価するということも紹介していた。
人から見たときのその人の「強み」って違ったりする。
「弱み」もまた…。(人事評価で言われたところを今強化しようと昼休みに勉強中。)
「学習履歴とスキル証明」の章では、ベネッセコーポレーションの社会人教育事業部部長(日本事業責任者)の、「最終学歴以上に最新学習歴を誇れる社会を作りたい」という言葉が紹介されていた。
新型コロナの感染とともに、「Skills as a New Currency(スキルは新しい貨幣)」という言葉が広がったのだそうだ。
ジョブとスキルの関連性の図解がとてもわかり易かったのだけど、
ジョブ(職務)…職位、肩書、職種、給与【人事管理システム】
→ロール(役割)…目標、行動、プロジェクトチーム、アウトプット【業務】
→ケイパビリティ(能力)…日常利用
→スキル(技術)…覆われていて見えないもの
ここで、「ジョブ」と「ロール」はまあ、明文化されていて、目に見えてわかりやすい。
その下の「ケイパビリティ」と「スキル」はレベルが千差万別。
この人の出来る・出来ないを見極めていく必要があるし、自分自身の「スキル」を磨いていく必要がある。
本に50歳でリスキリングをした人、しなかった人のifストーリーがあって、ぞっとした。
こえええええええ。リスキリングしない自分が想像できてこえええええええ。
過去の遺物すぎるううううううう。
というか、
30代後半から40代前半あたりから市場評価は下がっていくが、
リスキリングをすることで、自己評価も市場評価も上がる。
しかし、リスキリングをしないと市場評価はさらに下がっていく。
のですよ!まさにそこにいる私!分岐点!過渡期!!!
私が最近、「やべえ」と思っているのは、まさにこの市場価値の低下を感じていたからなのか。
いや、感じられてよかったよ。
ここでリスキリングの方向性をどう道筋付けていくかで、将来が変わる。
65歳定年まで、あと30年近くある。
70歳定年か、75歳定年になるかも?(そこまで働きたくないけど)
労働力不足で、死亡退職が普通になっている未来なのかも。
私は「どうせ働くなら、自分の持てる能力を発揮し、それを伸ばし、楽しく働きたい」のですよ。
さて、下がっていく市場評価にどう抗うか。
自分のキャリアをどう形成していくか。
会社の一声であっちやこっちやに流れ流れて、その部署部署で求められる知識を得て。
経理に労務に、いろいろやりまして。
さてここからまた、どうしたもんかな!
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