|
カテゴリ:オリジナルBL小説「落日」
BLの苦手な方は読まないでください。 苦情は受け付けません。 何卒お許しくださいませ。m(_ _)m ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 先生と別れた数日後、僕は学校帰りに加藤君に誘われて、 伊藤君と一緒に加藤君家に遊びに行った。加藤君家は 豪邸だった。およそ百坪の土地を囲む高さ三メートルの 外壁に守られた要塞のような3階建ての家だった。庭には 獰猛そうな犬が2匹いた。 「今日はみんな出かけてて、誰も家にいないんだ。」 と加藤君は言って、玄関の鍵を開けた。玄関には高そうな 壺に花が活けてあった。廊下にも高そうな絵が飾られていて、 吹き抜けの螺旋階段を上って2階に行くと、長い廊下の両端に いくつものドアが見えた。 「すっごいね。この家、全部で何部屋あるの?」 「10部屋くらいかな。3階は事務所と倉庫になってるんだ。」 「事務所?!」 「事務所って言っても、組の看板掲げてる事務所は駅前の 繁華街のビルにあるから。家を建て直す時に10LDK+ 事務所って設計にしたらしいんだけど、実際には組員が 自宅に出入りするのをおふくろが嫌がって、使ってないんだ。」 「へぇ~。」 僕は加藤君が別世界の住人のような気がした。 加藤君の部屋も別世界だった。壁一面の棚にプラモデルと ゲームソフトが並べてあって、ゲーム機が5台置いてあった。 テレビ、ステレオ、ガラスのテーブル、学習机、ベッドと ウォークインクローゼットのある広い子供部屋だった。 「すげぇ。想像以上の金持ちだぁ。」 伊藤君も初めて加藤君の部屋に入ったのか、驚きの声を あげた。伊藤君の家は2DKのボロアパートだから、自分の 部屋が伊藤君はなかった。小学校1、2年の頃は何度も 遊びに行ったから知ってるけど、お母さんと二人暮らしだった。 お父さんと離婚してから看護士のお母さんが一人で育てて くれているらしい。今でもお母さんと一緒に寝てるのかなって 僕はふと思った。 「まあ、座れよ。ゲームでもやるか?あ、そうだ。飲み物と 食べ物とってくるから、ちょっと待ってろ。」 と加藤君が言った。僕と伊藤君は部屋に二人きりになった。 僕は少しドキドキした。先生にフラれたばかりだっていうのに 不謹慎な気もするけど、僕は伊藤君の事が好きだった。 初恋の人って言うのかな。小学校入学に合わせて引っ越して きた僕は知っている子が誰もいなくて不安だった。そんな 僕に伊藤君は笑顔で話しかけてきてくれた。僕達はすぐに 仲良くなって、毎日、学校から帰ると、家の近所の神社で よく遊んでた。あの忌まわしい神社は僕の家から徒歩2分。 忘れたくても忘れられないほど近い。あの日、伊藤君に遊ぶ 約束をすっぽかされたことを今でも僕は根に持っている。 でも、それとこれとは話が別で、やっぱり僕は伊藤君が 好きだ。何を話そう。緊張すると僕は何も喋れなくなる。 「お待たせ。いいもの持ってきたぜ。」 会話する暇もなく、加藤君があっという間に戻ってきた。 (続く) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2012年01月18日 08時46分26秒
コメント(0) | コメントを書く
[オリジナルBL小説「落日」] カテゴリの最新記事
|