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北京ビジネス最前線改め中国ビジネス後方基地

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2004.12.17
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Good Jobを終えて仲間と飲むビールには格別なものがありますが、落ち込んだ日に一人寂しく部屋で飲むビールにも味があります。私は近所の小さな商店から「燕京ビール」の大瓶(約640mL)を1ダースごと買っています。空き瓶を持っていくと1本2.2元(30円弱)です。同じお店でペットボトル(500mL)のミネラルウォータが2元します。
これが外国ブランドとなると話は別です。350mLの缶ビールが5元以上します。量が少ないのに大瓶の2倍以上の価格です。高級レストランや洒落たバーで飲む時は、こうした外国ブランドなのでしょうが、そういうお店で飲む中国人は、バドやハイネケンやコロナのほうが、日本ブランドよりカッコがつくと思っています。
中国のビール市場にもプレミア市場があって、外国ブランドのビールの多くはここを目指しているのですが、日本の発泡酒とプレミア・ビール以上の価格差がありますから、出荷量ではビール市場全体の1%にも満たないニッチ・マーケットなのです。

中国が世界一のビール消費国になった、と発表したのは日本のビール会社でした(日経Web)。それでも一人当たりの消費量(20L)はドイツ(130L)の6分の1、日本(51L)の4割程度なので、まだまだ成長の余地があるというわけです。
しかし、そう発表した当の日本のビールの中国戦略には一貫性を感じません。傘下のオーストラリア会社経由で投資してきた中国第2位の華潤ビールから資本を引き上げてしまい(日経Web)、代わりに大連の地ビール会社の出資することにしたのです(日経BP Web)
華潤ビールは他の地ビール工場などを積極的に買収してきたのですが、華東エリアの競争激化で採算が立たないという判断で、「ミラー」を手がける世界第3位のビール資本に投売りしてしまったようです。この日本のビール会社は元々中国東北地方に地盤を持っていたので、今度はその地のビール会社に出資して、再起をかけようと言うことなのでしょう。

90年代後半、日本のビール会社は前述のプレミア市場を狙っていましたが、市場自体が小さいことに気づき、大衆ビール市場に目を向け始めました。サントリーは上海地区にエリアを絞り成功し、このエリアでは揺ぎ無いトップシェアを誇る地ビールとして定着しています。とは言え、あくまでも上海と周辺エリアの話であって、広大な中国となるとそうは行きません。
中国には500を越えるビールブランドがあると言われています。中国に行けばどこでも「チンタオビール」が飲めるかといったら間違いです。青島・華潤・燕京の上位3社合計の市場シェアは40%強で、トップ1社で40%を越えてしまう"特殊な"日本のビール市場とは大違いです。しかも、例えば「青島ビール」という一つの会社でも「チンタオ」「ハンス」「ラオシャン」「サンシュイ」などいくつかのブランドで売っていますから、日本人が中国を代表するビールだと思っている「チンタオビール」ですら、中国全体では一桁の市場シェアです。

中国は地ビール天下です。いや中国に限らず、お酒系はそういうものでしょう。
かつてシドニーで仕事をしてた頃、モータースポーツで良く広告を目にしオーストラリアを代表するビールだと思っていた"FOSTER"を探すのが大変でした。あのあたりは"TOOHEYS"というビールが幅を利かせていて、「"FOSTER"はメルボルンのあるヴィクトリア州の地ビールだから置いてない」と言われました。出張でメルボルンに言ったとき、こんどこそ"FOSTER"にありつけると楽しみにしていたら、"VB"というビールが主流でした。ブリスベンあたりでは"XXXX(Four X's)"と言う怪しげな名前のビールばかりです。日本でも「越の寒梅」の地元新潟に行って「松竹梅」を飲むなんて、野暮な話です。どこでも同じブランドのビールが飲める日本の市場が"特殊"なのです。
中国に赴任してきて「チンタオビール」はオーストラリアにおける"FOSTER"なんだ、と妙に納得したものです。

物流のことを考えたら消費地に近くで生産するのは理にかなっています。しかも中国の消費者はビールに鮮度を強く求めています。夏場の瓶ビールだと、製造年月日から10日過ぎたものは嫌がるくらいです。地元のブランドには地元の消費者の長年にわたる支持があります。
日本のビール会社も、全中国を一つのブランドで展開するには無理があると、考えたのでしょうか。別の日本のビール会社は、北京の地ビールの会社を買い取って、商品とブランドのリニューアルを行いました。また、深センにある青島ビールの会社にも投資し、ここで日本へ輸出する「チンタオビール」の生産を行うことになりました(つまり、日本で飲まれている「チンタオビール」は青島産ではありません。しかも、日本のビール会社資本の工場で生産されているのです....内緒ですが)。しかし、北京では「燕京」と言う市場シェア80%の巨大ブランドの壁が厚く、日本主導のリニューアルも保守的な北京っ子にはあまり評判がよろしくないようです。

サントリーを除く日本のビール会社は、中国における自社ブランドでの展開をもはや放棄したのではないか、と思ってしまいます。中国の有力なビール会社や地域で支持の厚い地ビール工場への資本参加という形で、世界最大のビール消費国でのビジネスに乗り遅れまいと必死な状況でしょう。
しかし、中国第二のの華潤ビールは日本以外の外国のビール資本の手に譲ることになってしまいました。No.1の青島ビールには日本のビール資本も参画していますが、青島の本体にはバドワイザーのアンハイザー・ブッシュ(AB社)のほうが食い込んでいるように見えます。洛陽や西安など観光地で日本人も飲むことがある「金星ビール」も、黒龍江省を中心に北方市場で比較的強い「ハルビンビール」も、AB社が先に押さえてしまいました。
"Fuji Sankei Business i"に「拡大する中国ビール市場、実情は利益なき繁忙」という記事(Wen版)が載っていますが、これは日本のビール会社だけの「愚痴」であって、中国の大手ビール会社は外国からの投資により中国国内のシェア争いにより積極的に打って出ることができる状況になっていますし、日本以外の外国ビール資本は収益性の見込める投資を積極的に続けているです。

日本の"特殊な"市場で戦ってきた企業は、グローバルな市場では苦労します。そして、それは中国市場にもあてはまるのです。





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Last updated  2004.12.17 15:27:07
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