カテゴリ:危機管理・PRとメディア
昨年末のNIKEに続き、今度はマクドナルドの登場です。中国人を"侮辱"する内容のテレビCMと"認定"され、オンエア中止になってしまいました(asahi.com)。
この「取り立て篇(30秒)」の冒頭の5秒に、割引期間を延長して欲しい顧客が、マクドナルドの店長に"跪いて"懇願するシーンがあり、これが問題になったとのことです((大公網=人民日報より転載記事)。どうも北京でオンエアされる前に中止になったので、私自身このCMは見ていません。中国人が”跪いて"いるシーンが、中国人を侮辱している、ということになったようです。 実は北京でオンエアされていた、中国のインスタントラーメンのCMで、中国人が"跪く"シーンを強調していたものがありました。低価格の袋麺のCMで「(値段が)高くない」という意味の中国語と「跪かない」と言う中国語の発音が同じなので、皇帝の前で「跪く、跪かない」と言うやり取りを「(値段が)高い、高くない」と言う意味に転化させていく、いわばダジャレCMなのですが、しっかり中国人が"跪く"シーンが描かれていたのです。もちろん、こちらのCMは何ら違和感無く受け入れられていました。 この二つの事例の大きな違いは、広告主が中国企業であるか無いかです。どちらのCMも、"跪いた"ほうも、"跪かれた"ほうも中国人なのですが、マクドナルドの店長さんは、星条旗を背負っていた、というわけです。 ちなみに、マクドナルドのCMは所定機関への"広告審査"を受けていなかった、と言う点でも批難を浴びました。以前も書きましたが、中国では広告表現は当局の許可を受けるのが"原則"です。しかし、どの機関の許可かと言うとハッキリしていません。"原則"としては監督官庁である広告を実施する地域の「工商行政管理局」なのですが、地域によって対応がバラバラです。ですから通常商品のテレビCMなどは、オンエアするテレビ局の"審査"で代用する場合が多いのです。テレビ局も"国家機関"ですし"検閲"機能を有していますから、いろいろチェックしますし、そこのチェックが通れば"広告審査"をクリアした、と一般には思い込んでしまいます。こうした問題に発展しなければ、テレビ局のチェックでOKだったはずです。 今回の"不祥事"では欧米系の大手広告エージェンシーが晒し者になってしまいましたが、医薬品や健康食品など当局の管理が厳しい商品を別にすれば、テレビ局のチェックで"広告審査"を代用することは多くの広告主が黙認しています。 "記者発表会"やプロモーション・イベントなどの場合も"原則的には"当局の"許可"が必要だ、と言うことは覚えておいてほうが賢明です。たいていの場合は許可無しで大丈夫であっても、何かあった際に、"晒し者"にされるリスクを覚悟すべきでしょう。 ことろで、P&Gのヘアケア・ブランドである"PANTENE"も、その成分表示に疑惑が持ち上がりテレビCMのオンエアを取りやめたそうです。最近では、ケンタッキーのチキンに認可されていない着色剤が使用されていたとか、ネスレの粉ミルク、ハーゲンダッツのアイス、ジョンソンのベビーローションなど、日本ブランドでは無い外国ブランドがバッシングを受けています。 ただ私は、これら外国ブランドは中国で十分浸透しているからこそバッシングの対象になり得たのだと思います。ファストフード、食品、トイレタリー商品など、日常生活に欠かせないカテゴリーで欧米ブランドが浸透している証拠と言えるでしょう。 アサヒビールや吉野家やトヨタや東芝やJALなどの日本ブランドがバッシングを受けた状況とは、別な視点で捉えるべきでしょう。 日本企業の皆さんは、バッシングが欧米企業に向かっているから、一安心、などと考えないほうがよろしいかと思います。"反日運動"は一休みの状況ではありますが、7月~8月、さらに9月にかけて、中国の反日スケジュールは目白押しです。日本の企業はその活動に細心の注意を払うべきですし、中国在住の日本人の皆さんも中国国内の報道は常にチェックしておいたほうが賢明だと思います。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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