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北京ビジネス最前線改め中国ビジネス後方基地

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2007.05.13
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カテゴリ:ビジネス習慣
中国東北部遼寧省の大都市S市の共産党委員会書記(まぁ市長みたいなもの)兼遼寧省の常務委員でもあるC氏が上海にやってくるので時間を取ってほしい、そんなお仕事があったので、のこのこ出かけてしまいました。
S市のハイテクパークから企業誘致のお誘いを受けたのは、ほんの1ヶ月前。ちょうどオフショアの開発拠点を中国で拡張する必要に迫られていたので、いろいろお話を聞くと、これがなかなか好条件。まぁ、数十億円もの投資をそんな短時間で決められないのが日本企業であるわけですが、こっちがモタモタしている間に、S市のほうからトップ・セールスかぁ、と思いつつ、指定された上海市内の外資系5つ星高級ホテルに赴いたわけです。

指定された時間の30分ほど前にホテルのロビーに着くと、日本人や韓国人や欧米人を含むビジネスマンらしき5~6人の集団が10組以上もラウンジを占領していました。S市ハイテクパークの担当者が私たちを見つけて、ホテルの従業員を呼び、満席のラウンジに無理やり席を作らせました。
周りを見渡すと、やっぱり知り合いの日系某IT関連会社の幹部も呼ばれていたようです。アポの時間を尋ねると、私たちと同じ時間。このラウンジに陣取っている人たちは、みんなS市の党書記に呼ばれて来た人たちだったのです。嫌な予感がしてきました....。

S市の担当者は慌しく私たちの席にやって来ると、私たちの会社概要について念を入れて確認し、S市への進出メリットを繰り返し説明しました。この間、ロビーには更に多くの誘致検討企業の幹部がやって来て、ほぼ同数のS市担当者が対応にあたっていました。私たちのような誘致検討企業をボスである市の書記に紹介することで、この担当者たちは出世に繋がるんだろうなぁ、と思いつつ、担当者の描いたシナリオを元に、C書記との面談の構成などを考えていました。

ようやく、コンベンション・ルームのある階に案内されたのですが、通されたのは"待合室"。そこには既に数十人の誘致検討企業の幹部たちが、病院の診察を待つが如く、S市書記との面談を待っていたのです。
知った顔があったので、いろいろ尋ねてみると、外資のIT関連企業だけではなく、上海地区の中国企業にまで声をかけているようで、私たちのアポの時間と同じ時間に17もの誘致検討企業にアポを入れていたのです。ダブルブッキングどころの話ではありません。"待合室"の外のロビーにまで、誘致検討企業の人たちが溢れています。もう、何と言う段取りの悪さ....。

当然のことながら、アポの時間が過ぎてもいっこうにお呼びがかかりません。コーヒーどころかミネラルウォーターすら出ない"待合室"で、いらいらしながら待っていると、ようやくS市の担当者がやってきて、「次にご案内します。ご覧のように時間が押しているので、5分しか時間が取れません。手短にお願いします。」とキター。そして、約束の時間から1時間以上過ぎて、ようやく"会談"の部屋に案内されたのです。

S市側と誘致検討企業側は向かい合うようになっていて、双方の最前列にのみテーブルが置かれ、テーブルにはネームプレートが置かれていました。C書記とS市党委員や某区の区長など5名が最前列のテーブルに座りましたが、その後方には4列も椅子が並べられていて、30人以上の担当者(事務方)が座っているのです。
5分の持ち時間ということなので、こちらから手っ取り早く優遇政策などのずうずうしいリクエストを並べ立てようと考えていたのですが、C書記の"挨拶"がなかなか止まりません....。
東京、大阪だけでなく日本の5つの都市と直行便で結ばれているとか、空港からすごく近いとか、技術系の大学生を毎年10万人規模で輩出しているとか、日本語人材を毎年数万人規模で輩出しているとか、挙句の果てにおいしい日本料理のお店があって、特に刺身は日本で食べたものより新鮮だとか.....。こんな話は、ハイテクパークの主任や担当者から何度も聞かされてるわけで、いい加減C書記の話を遮って、こちらの要望を手短に伝えました。

C書記の反応は、「要望は理解できた。主任や担当者がきちんと対応する。問題があれば、私に直接言ってください。」と言う、在り来たりで想定の範囲内のものでした。持ち時間の5分をはるかに越え、"会談"は20分近くに及びました。それでも、会談が終わってエレベータまで見送ってくれたS市の担当者はメンツが保てたようで、私たちに何度も何度もお礼をしてくれました。

ご存知の通り、S市あたりはかつて重工業が盛んだったのですが、大部分が国有企業だったもので、この10年はすっかり業績が悪化し、潰れたり、規模を縮小したりしていて、失業者をどんどん産み出してしまいました。日系の某自動車メーカーも大規模なエンジン組立工場を持っているのですが、パッとしません。
工場なんかと比べるとソフト開発なんて、あんまり地元にお金が落ちないと思って、大型の製造業やプラントなどの誘致に固執していたようですが、環境対策なんかが厳しくなってきていろいろ面倒ですし、同じ遼寧省のD市あたりはオフショアのソフト開発系企業の誘致に力を入れ、そこそこ成果を上げているので、中高年の失業者対策を諦め、ようやく重い腰を上げて、ソフト開発を中心としたIT関連企業の誘致に乗り出したという次第でしょう。

それにしても保守的な東北部S市だけあって、華東・華南の地方都市と比較すると、スマートな売り込みではなかったですね。
外資系企業が多く集まる上海にまで、C書記を連れ出したのは良かったものの、お客さんである私たち誘致検討企業をさんざん待たせるし、パワポやムービーでプレゼンテーションするわけでもなく、一方的に喋り捲るボスに金魚のフンのように何十人もの役人がついてきて.....。挙句の果てに、ご一行の皆さんはその外資系5つ星高級ホテルにご宿泊とのこと。誘致費用は、彼らの上海観光とご宿泊代に消えてしまうのでしょう。

S市も、もう後がない感じで、企業誘致に必死なのは分からなくも無いのですが、これじゃあ先が心配です。





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Last updated  2007.05.13 21:42:59
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