テーマ:AOR(111)
カテゴリ:洋ロック・ポップス
80年代後半AORの名バラード、あなたの好みはどちら? 和製英語AOR(Adult-Oriented Rock、訳せば「大人向けロック」)という表現は、ボズ・スキャッグスの1988年のアルバム『アザー・ロード』、そこからのシングルカット曲「ハート・オブ・マイン(Heart Of Mine)」を日本国内で売り出す際に普及した表現である。AORの定義や語源には諸説あるけれども、この「大人向けロック」の特徴がポップでメロウな、いわば“甘め”のロックという点はおおむね同意が得られるのではないか。 そのAORの代表格としてよく名が挙げられるのが、このボズ・スキャッグス(Boz Scaggs)やボビー・コールドウェル(Bobby Caldwell)、さらにはTOTOやピーター・セテラ(元シカゴ)といった面々である。なかでも特にボビー・コールドウェルは“ミスター・AOR”と呼ばれたりもされ、ボズ・スキャッグスもボビー・コールドウェルも、米国では「日本で特に人気のあるシンガー」と認識されている。 さて、このボビー・コールドウェルがデビューしたのは70年代末のこと。ところが、初期の曲はそこそこのヒットにとどまったまま、デビューから2作でレコード会社が倒産するわ、ろくにプロモーションもされぬまま、次第に消えゆく人となってしまった不幸な人物である。80年代に入ってアルバムも発表はしていたが、他のアーティストへの楽曲提供でむしろ成功する。そうしたソングライターとしての彼の成功を象徴するのが、ボズ・スキャッグスに提供した本曲「ハート・オブ・マイン」と、ピーター・セテラ(エイミー・グラントとのデュエット曲)がヒットさせた「ネクスト・タイム(原題:Next Time I Fall)」である。 他方、ボズ・スキャッグスは、AORと呼ばれることになる甘めロック~バラード路線でヒットを飛ばしてはいたが、上記のアルバム『アザー・ロード』は、前作(『ミドル・マン』)から8年ものブランクを経てのリリースだった。しかし、このアルバムからカットされた「ハート・オブ・マイン」がリリース翌年の89年に大ヒットし、見事なカムバックを果たした。 ボズ・スキャッグスによる「ハート・オブ・マイン」の成功を受けて、今度は作者であるボビー・コールドウェル自身がこの曲を吹き込み、89年のアルバム『ハート・オブ・マイン』をリリースする。ここに収められた同曲はテレビCM(タバコのCM)にも使用されてオンエアされた。 ボズ・スキャッグスの歌う「ハート・オブ・マイン」もボビー・コールドウェルによるそれも基本的なアレンジは大差ないが、後者の方がヴォーカルがやや甘めに感じる。よく耳にするのはボビーのヴァージョンだが、個人的にはボズのヴァージョンの方がしっくりくる気がする。単にリアルタイムで先に聞いたからそう思うだけなのかもしれないのだけれど、筆者はサビ部分のヴォーカルの表情とメリハリの点でボズに軍配が上がるように思う。ちなみに、これをお読みの皆さんはどちらがよいだろうか。何となく耳にしていたという方は、一度聴き比べてみるのもいいかも知れない。 [収録アルバム] Boz Scaggs / Other Roads (1988年) Bobby Caldwell / Heart Of Mine (1989年) その他、各々のベスト盤類にも同曲の収録されたものあり。 【楽天ブックスならいつでも送料無料】ハート・オブ・マイン +1 [ ボビー・コールドウェル ] Boz Scaggs ボズスキャッグス / Other Roads 【CD】 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2016年02月04日 22時19分04秒
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