エルヴィス・コステロ&ジ・アトラクションズ 『トラスト(Trust)』
コステロ、変化の兆候 1977年に『マイ・エイム・イズ・トゥルー』でデビューしたエルヴィス・コステロ(Elvis Costello)は、当初はパンク調の曲を演じる“怒れる若者”、ニューウェーヴのミュージシャンといった位置づけだった。だが、1980年代に入って徐々に作風を変えていき、若者向けというよりは大人向けの音楽を発信するようになっていった。 本盤『トラスト(Trust)』は、そのような変化の時期を迎える80年代初頭の作品である。セカンド作(過去記事はこちら)以来のエルヴィス・コステロ&ジ・アトラクションズ(Elvis Costello and the Attractions)の名義で、これまでと同様にニック・ロウのプロデュース(本盤では14.のみコステロ自身がプロデュース)で、1981年にリリースされた。この盤からのシングルのヒットがなかったこともあり、この時期の彼の作品としては売れた方というわけではなかったが、イギリスで9位、アメリカで28位となった。 筆者の考える注目曲をいくつか見ておきたい。1.「クラブランド」は、デビュー時からのコステロらしい曲調ながら、個々の音や演奏に耳を傾けると、いくつもの新しい工夫が感じられる。3.「ユール・ネヴァー・ビー・ア・マン」は楽曲そのもののよさが目を引くナンバー。これに次いで楽曲のよさが光ると思うのは、7.「足下に注意!(ウォッチ・ユア・ステップ)」や10.「ディファレント・フィンガー」といったナンバー。他に聴き逃がせない収録曲としては、グレン・ティルブルック(イギリスのバンド、スクイーズのヴォーカリスト)とのデュエットを聴かせる9.「フロム・ア・ウィスパー・トゥ・ア・スクリーム」、ピアノをバックに歌う12.「ショット・ウィズ・ヒズ・オウン・ガン」なんかがある。 アルバム全体としては、それまでのコステロの音楽性のベースは維持されているものの、ジャズ、ロカビリー、カントリーといった要素を取り込んだ作品に仕上がっている。そういう意味では、従来の作風を基本にして幅を広げつつあるコステロの姿を窺い知れるアルバムということができるかもしれない。[収録曲]1. Clubland2. Lover's Walk3. You'll Never Be a Man4. Pretty Words5. Strict Time6. Luxembourg7. Watch Your Step8. New Lace Sleeves9. From a Whisper to a Scream10. Different Finger11. White Knuckles12. Shot with His Own Gun13. Fish 'n' Chip Paper14. Big Sister's Clothes1981年リリース。 【中古】 トラスト/エルヴィス・コステロ&ジ・アトラクションズ,エルヴィス・コステロ,ジ・アトラクションズ 【中古】 Trust / Elvis Costello / Elvis Costello / Rykodisc [CD]【ネコポス発送】 ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓