カテゴリ:邦ロック・ポップス
兄弟デュオによるスティーヴィー・ナンバー スティーヴィー・ワンダーの「心の愛(I Just Called To Say I Love You)」を前回記事で取り上げたとくれば、次はこの曲にも言及しなくてはならない。先に書いたように、本来、「心の愛」は「特別な気持ちで」という日本語タイトルでブレッド&バターが自身のアルバムでリリースするはずだった(結局、彼らはカバー・バージョンとして後にこの曲を発表している)。彼らが歌った別のスティーヴィーの曲というのがあって、それがこの「リメンバー・マイ・ラヴ」という曲である。 ブレッド&バターは、岩沢幸矢(さつや)と岩沢二弓(ふゆみ)という茅ヶ崎出身の兄弟のデュオで、60代になった今も現役である。70年代前半から積み上げてきたアルバム・リリースは、ベスト盤を除いても20枚近くあるようだ。余談ながら、弟の二弓さんの方は楽天にオフィシャル・ブログを開いておられる。 さて、前項で書いたように、ブレッド&バターはスティーヴィーから提供された「特別な気持ちで」(後の「心の愛」)を吹き込み、リリースする予定だった。この曲は79年のアルバムに収録予定だったらしく、詞は松任谷由美が担当した。ところがスティーヴィー側から待ったがかかり、いったんこの曲はお蔵入りになってしまう。この一連の経緯が起こったのは1979年リリースとなったアルバムだったというのがミソでもある。 後にスティーヴィーが1984年にサントラ収録曲として「心の愛」を発表し大ヒットさせたたわけだが、そこでスティーヴィーの共同制作者との訴訟が起こる。リー・ギャレット(「涙をとどけて(Signed, Sealed, Delivered I'm Yours)」などの共作者として知られる)が、「心の愛」をパクられたと訴えたのだった。その時にスティーヴィーのオリジナルであることを証明する決め手になったのは、ブレッド&バターのデモテープだったという。おかげでスティーヴィーは勝訴し、スティーヴィーが謝意を込めてあらためてブレッド&バターに贈ったのが「リメンバー・マイ・ラヴ」だとのこと。 ちなみにこの曲もスティーヴィーがタイミング良く自作として出せば、平気でTOP10ヒットになったのではないかというようなシンプルで美しい曲。この手のスティーヴィー・ナンバーは70年代との比較の上でとかく批判されがちだけれど、メロディメイカーとしての実力はやはり相当のものなんだな、とあらためて実感する。NASAから電話がかかってきて宇宙へ旅立っていくという詞のストーリーはどうかとも思うけれど、それでもメロディメイカーという観点での評価は変わらない。もちろん、それをシンプルに美しく作品にしあげたブレッド&バターも見事というべきだろう。 [収録盤] ブレッド&バター 『セカンド・セレナーデ』(1984年、CD特別企画盤にボーナストラックとして収録) ブレッド&バター 「Remember My Love」(1986年、アナログシングル盤、B面に日本語バージョンも収録) [関連記事] スティーヴィー・ワンダー 「心の愛(I Just Called To Say I Love You)」 下記3つのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、ひとつでも“ぽちっと”応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓ ↓ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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