テーマ:日本のロック・ポップス(192)
カテゴリ:邦ロック・ポップス
不安…それとも希望? ここ数日、震災後の福島の原子力発電所のニュースが気になって仕方ない。とくに昨日はそうで、現在も予断を許さない状況が続く。報道を見ると、どうしても“何が真実なのか”という疑問がついて回ってしまう。曖昧な説明、二転三転する報道、現場にいる人たちが精一杯頑張っているはずのことはわかるが、それがニュースとなる過程の動きについ猜疑心を持ちたくなる。 一連の報道を見ながら、頭から離れない曲がいくつかあった。うち2つはRCサクセションのアルバム『COVERS』に収録された「ラヴ・ミー・テンダー」と「サマータイム・ブルース」。もう1つは佐野元春の1988年のシングル「警告どおり計画どおり」だった。 「警告どおり計画どおり」は、日本の原発行政をストレートに批判したもので、ウィンズケール(1957年、英)、スリー・マイル・アイランド(79年、米)、チェルノブイリ(86年、ソ連)の名を挙げながら、真実はどこにあるのか、いったいこのままでいいのかを強く問い詰める詞。佐野元春のキャリア上、唯一のピクチャーレコードとしてリリースされ(カセット、CDも同時発売)、結果的には最後のレコードとなった(この年にCD売り上げが伸びて、次のシングルからはEPは発売されなくなったため)。ジャケット裏およびピクチャーレコードB面には“IMAGINE OF / THREE MILES Is. U.S.A. / CHERNOBYL U.S.S.R. / WINDSCALE U.K. / AND NEXT?”という文字が二色刷りになっているのが印象的。バービーボーイズのいまみちともたかがギター参加し、いつものHEARTLANDではなく、REDSというバンドを中心とした演奏。つまりは、特別企画的にレコーディングされたシングル曲であり、当時の佐野元春のイメージからすると、ギターを中心にしたかなりストレートでハードなロック・サウンドに仕上げられている。 でもよく考えてみれば、ここで不安を煽りたてて終わりというのは、よくない。この記事に付す上記の曲の動画はないかと探していたら、別の曲が目にとまり、その曲のことを思い出した。自分の中では長らく記憶の片隅に追いやられていた「約束の橋」。佐野元春が上記「警告どおり計画どおり」の次にリリースしたシングル曲だ(発売は翌89年)。こちらの「約束の橋」の方は発表から数年後にテレビドラマ(『二十歳の約束』)の主題歌にもなった有名ヒット曲である。 “今までの君はまちがいじゃない/君のためなら橋を架けよう”、“これからの君はまちがいじゃない/君のためなら河を渡ろう”。佐野元春は1956年生まれでこのシングルのリリース当時は33歳。どこかの若造が歌うのではなく、三十路を過ぎたロッカーが敢えて歌うからなおのこと愛と希望を感じさせてくれる。加えて、このPVの溌剌とした動き(動きに関しては、ほんとB・スプリングスティーンそのまんまのアクションですが、まあそれもよし)。 原発の曲を探していて希望の曲を思い出した。それだけでも少し前を向くことを考えさせてられたように思う。 [収録アルバム] (上記両方の曲を含むベスト盤2種を挙げておきます。) 佐野元春 『Moto Singles 1980-1989』 (1990年) 佐野元春 『THE SINGLES EPIC YEARS 1980-2004』 (2006年) 下記3つのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、ひとつでも“ぽちっと”応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓ ↓ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2011年03月16日 08時43分34秒
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