テーマ:洋楽(3286)
カテゴリ:洋ロック・ポップス
天才少年から天才アーティストへと踏み出したきっかけの1枚
一般に、スティーヴィー・ワンダー(Stevie Wonder)が本格的なアーティストへと変貌していったのは、プロデュースを手掛けられるようになった1970年(この年にアルバム『涙をとどけて』をリリース)からと言われる。その結果、1970年代前半から半ばかけて、『トーキング・ブック』、『インナーヴィジョンズ』、『キー・オブ・ライフ』といった名作群が生み出されていった。 本盤『アップタイト(Up-Tight)』は、それに先立つ1966年の作品である。『涙をとどけて』が本格的にアーティストへと向かった第一歩だとするならば、そのきっかけを生み出したのは、実は本盤だったとも言える。11歳で見いだされ、12歳でデビューした天才少年には、声変わりが訪れ、数年後には契約打ち切りも検討され始めていたという。けれども、本盤は、そうした発想を否定することにつながった。 表題曲でもある6.「アップタイト」は、R&Bチャートで1位のヒットとなり、さらには、初めてグラミー賞にもノミネートされることになった。また、この曲はスティーヴィーの共作曲でもあり、共作者はシルヴィア・モーイ(彼の芸名から“リトル”を取るようレーベルに提案した人物だったと言われる)、ヘンリー・コズビー(本盤のプロデューサーの一人)だった。さらに、本盤には他にもいくつかの共作曲が含まれている。ちょうどこの時期のスティーヴィーは、作詞作曲者としても頭角を現し、他のアーティストのソングライティングも手掛けるようになっていった時期だった。 本盤からは上記6.の他にもヒットが生まれた。ボブ・ディランのカバーである3.「風に吹かれて」である。これもシングルとしてリリースされ、全米チャート9位、R&Bチャート1位のヒットとなった。本盤自体も全米チャートで33位、R&Bアルバムのチャートで2位の売り上げを残すことになった。 このように、成功を収めたアルバムとなったものの、本盤全体を見ると、統一感のない部分もあるにはある。例えば、11.「コンタクト・オン・ラヴ」は1962年のシングル曲の採録だし、9.「プリティ・リトル・エンジェル」も1964年の録音曲である。それ以外の曲の並びにもどこかちぐはぐに感じる曲配置が感じられないわけでもない。とはいえ、個々の楽曲の演奏や歌唱は確かによくできているし、上で見たような経緯を踏まえると、何かまだまだ模索をしている部分もあったのかと想像させられる。そうした中でも個人的に立ち止まって聴きたい曲として特に推したいものとしては、上記2つのヒット曲に加えて、1.「ラヴ・ア・ゴー・ゴー」、5.「今夜教えて(ティーチ・ミー・トゥナイト)」、10.「ミュージック・トーク」といったところ。後々の堂々たるアーティストとしての完成作には負けるとしても、結局のところ、天才ぶりがこの盤にもしっかり収められている。 [収録曲] 1. Love a Go Go 2. Hold Me 3. Blowin' in the Wind 4. Nothing's Too Good for My Baby 5. Teach Me Tonight 6. Uptight (Everything's Alright) 7. Ain't That Asking for Trouble 8. I Want My Baby Back 9. Pretty Little Angel 10. Music Talk 11. Contract on Love 12. With a Child's Heart 1966年リリース。 ↓今回の盤はこちら↓ アップタイト [ スティーヴィー・ワンダー ] ↓以下は今回の記事で触れたその他の盤↓ 【輸入盤CD】【ネコポス100円】Stevie Wonder / Signed Sealed & Delivered (スティーヴィー・ワンダー) インナーヴィジョンズ/スティーヴィー・ワンダー[SHM-CD]【返品種別A】 トーキング・ブック [ スティーヴィー・ワンダー ] 【国内盤CD】【ネコポス送料無料】スティーヴィー・ワンダー / キー・オブ・ライフ[2枚組][期間限定盤(期間限定(2017/8/17まで))]【K2017/5/17発売】 ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2020年05月03日 08時48分49秒
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