福島県のJR在来線はみな赤字だと思った方がいいかも
前のエントリに関連して、「福島県内の赤字ローカル線はどのぐらい利用者があれば黒字化するのか?」というのを、ちょっと調べてみました。調べ方は本当にザックリで、2020年度のデータにおける「営業費用(百万円)÷運輸収入(百万円)×平均通過人員(輸送密度・人/日)」で収支トントンとなる輸送密度(人/日)を割り出した次第。福島県内の関連線区については、以下のようなデータが出ました。(水郡線)常陸大子~磐城塙間 488÷6×109≒8,865磐城塙~安積永盛間 1,098÷96×796≒9,104(只見線)会津若松~会津坂下間 478÷69×1,009≒6,990会津坂下~会津川口間 739÷17×141≒6,129只見~小出間 878÷11×82≒6,545(磐越西線)会津若松~喜多方間 805÷88×1,509≒13,804喜多方~野沢間 840÷31×429≒11,625野沢~津川間 1,045÷5×69≒14,421(磐越東線)いわき~小野新町間 746÷20×196≒7,311路線によって異なりますが、最低でも6,000台の輸送密度がないと収支トントンにならないという厳しい現実が伺えます。なお、2020~2021年度の各路線の利用状況を確認すると、収支データが公表されていない各線区の輸送密度は以下の通りになっています。(東北本線)黒磯~新白河間 2020年度2,620 2021年度3,087新白河~郡山間 2020年度5,837 2021年度6,518郡山~福島間 2020年度8,711 2021年度9,884福島~白石間 2020年度4,798 2021年度5,532(常磐線)高萩~いわき間 2020年度6,099 2021年度6,300いわき~原ノ町間 2020年度1,286 2021年度1,311原ノ町~岩沼間 2020年度3,148 2021年度3,332(奥羽本線)福島~米沢間 2020年度2,701 2021年度3,731(磐越西線)郡山~会津若松間 2020年度1,638 2021年度1,820(磐越東線)小野新町~郡山間 2020年度1,835 2021年度1,809特急列車が走っていない東北本線黒磯~新白河間および福島~白石間、磐越西線郡山~会津若松間、磐越東線小野新町~郡山間は、間違いなく赤字と判断していいでしょう。また、特急列車が走っている線区においても、収支データが公表されている羽越本線および奥羽本線の各区間における損益分岐点となる輸送密度のラインが、(羽越本線)村上~鶴岡間 5,477÷222×697≒17,196酒田~羽後本荘間 2,850÷129×645≒14,250(奥羽本線)東能代~大館間 3,444÷153×1,012≒22,780大館~弘前間 2,551÷102×701≒17,532と、特急列車が走らない線区に比べて跳ね上がっていることから、恐らく常磐線の全区間、奥羽本線福島~米沢間も赤字と判断して良かろうと思います。東北本線の新白河~郡山間および郡山~福島間も、全線複線で保線費用が単線区間の倍かかると考えれば赤字なのではないでしょうか。てか、福島県どころか東北地方全体を見回してみても、黒字になりそうな在来線線区って、東北本線の岩沼~仙台~松島・高城町間、仙石線あおば通~本塩釜間、仙山線仙台~愛子間ぐらいしかなさそうですね。新幹線も、盛岡以北は赤字なんじゃないかと(涙)[ポイント図解]損益分岐点の実務が面白いほどわかる本 [ 天明茂 ]