ウエスタン
評点 ★★★★ 進行が遅いなあ・・・。でも、言わんとしたことは理解できる気がする。【中古】 ウエスタン /クラウディア・カルディナーレ,ヘンリー・フォンダ,チャールズ・ブロンソン,ジェイソン・ロバーズ,セルジオ・レオーネ(原案、脚色、監督),エンニオ 【中古】afb●1968年度 イタリア・アメリカ合作 監督:セルジオ・レオーネ 脚本:セルジオ・レオーネ セルジオ・ドナティ ミッキー・ノックス 音楽:エンリオ・モリコーネ 出演:◇ハーモニカ/チャールズ・ブロンソン 謎のガンマン◇ジル・マクベイン/クラウディオ・カルディナーレ かつては娼婦。西部の男と結婚する。◇フランク/ヘンリー・フォンダ ならず者、ボス◇シャイアン/ジェイソン・ロバーズ 山賊一味の頭領◇モートン/ガブリエル・フェルゼッティ 病魔に侵された鉄道王●あらすじ 物寂しい西部、アリゾナの或る駅。ホームで何者かを待ち受ける屈強な三人のギャングたち。が、そこに列車で現れたハーモニカを吹く謎のガンマンは、あっというまにその三人を射ち殺してしまう。舞台は変わって荒野の一軒屋。そこでは開拓者のブレット・マクベインが、再婚相手を迎え入れるための準備をしていた。しかし突如として現れたならず者・フランクとその部下達によって一家は皆殺しにされてしまう。更にフランクは偽の証拠を現場に残すことで、事件を山賊のシャイアン一味の仕業に見せかけた。そこに遣ってきたブレッドの新妻であるジルは、あっけにとられるが、都会へ戻る選択はせずに、西部で生きていく決心をする。●感想 原題は「Once Upon a Time in the West」となっていて、「昔々、西部で」とでもいうところでしょうか? その意味は、映画を見て行くと分かってきます。 今回はテレビの放映で視聴したのですが、まあ、何とも冒頭の場面の気長に進むこと! 事件らしきが起こるのに20分近い映画なんて、今時ありえないです。待ち続けるガンマンが顔に纏わりつくハエを追うシーンだって長い! なんか現代人には付いて行けない程ゆっくりで、ビックリしてしまいました。 でも、ハーモニカの銃さばきが終わって場面が映ると、結構良いテンポに変わる。で、飽きなく見て行けますが、派手な演出、緊張感を連続する進行具合、これはまさにマカロニ・ウエスタンの監督の作だな、ということがヒシヒシと感じられました。また、ジルが列車で現れ、町から牧場へと向かうときに見える西部の山や大地の様子が素晴らしい。一幅の絵になっています。 物語を進行させてゆく原動力は、ハーモニカがどこか得体がしれないこと。また、何が彼の目的なのかがはっきりしない。それと、かつては高級娼婦だったジルが、一人でこの西部で生きようとする辺りの、先の分からない感じや期待感。この辺の取り合わせは、構想として、脚本として、上手いなあ、と思いました。 ジルは西部に一人、生きてゆこうとしますが、それが故の困難さは無論、伴う。そうした中で、シャイアンとハーモニカだけは、手荒ながら彼女を一人の女性として扱う。その辺りに、悪党ながら紳士的な面を持つ二人の良さが、上手く表現されているかと思いました。 物語の最後は途中で見当が付きますが、シャイアンの最後も、鉄道のある文化的な町へと変貌しつつある時代によって腕の立つガンマンの終焉を迎えようとする塩梅も、情緒を感じさせて良く伝わりました。全般的に、イタリア人作家の作は、心理面的にラテン的な温かみみたいなものが、底に流れますね。●アメリカの正義を演じることが多かったヘンリー・フォンダが悪役を演じ、謎の男を演じるはチャールズ・ブロンソン。ブロンソン演じるハーモニカは、最後の最後まで男臭くて格好良かったです。音楽はエンリオ・モリコーネ。この人ならではの、どこか哀愁を感じさせる音楽も、作品に映えてました。西部劇の分野では、かなり良い方の出来と思いました。