アルファリポ酸についての海外の臨床研究
アルファリポ酸はアメリカでもコエンザイムQをしのぐ勢いで躍進中のサプリメントですが、その作用については抗酸化作用よりも、糖質からのエネルギー産生を高める脂肪蓄積減少効果に注目されぎみです。先日の「あるある」でも、後者が強調されていました。しかし、まだ広く調べているわけではありませんが、外国の学術文献を調べてみると、その抗酸化作用に由来すると思われる効果についての研究報告が沢山あります。今回は、糖尿病における酸化ストレスによると考えられる、糖尿病性神経障害に効果があるのではないかという文献を幾つか見つけましたので、その一部を紹介します。一つは、フランスのパリ大学の薬学部の先生の総説論文(レビュー)で、いろいろなミネラルや、ビタミン、サプリメントが直接的または間接的な抗酸化物質として使われているが、なかでもアルファリポ酸については客観的な試験(無作為二重盲検比較対照試験)で糖尿病性の自律神経障害への効果が示されていることを紹介しています。(Bonnefont-Rousselot,D:Traet Endocrinol.,3:41,2004)ブルガリアのソフィア医科大学の内分泌臨床センターのグループは、アルファリポ酸の注射剤を一定期間使用した後、内服剤を50日間使用して、やはり糖尿病性自律神経障害に効果があったという無作為比較対照試験の結果を報告しています。(Tankova,T.&Dakovska,L.:Rom.J.Intern.Med.,42:457,2004)ドイツの糖尿病研究所とハインリッヒ・ハイネ大学(デュッセルドルフ)のグループは、アルファリポ酸の注射剤を投与した研究報告の中で、一定の要件に適合する論文の結果を合わせて解析したメタアナリシスという手法を用いて検討したところ、アルファリポ酸の注射剤は糖尿病性神経障害を改善するという結果が得られたと報告しています。(Ziegler,D.et al.:Diabet Med. ,21:114,2004)サプリメントは医薬品ではなく、特に糖尿病のような専門医の指導の下に治療しなければならない疾患では、安易なサプリメントへの依存は禁物です。糖尿病の治療を受けられている方は、食生活の変化や飲んでいるサプリメントの妥当性などについてもできるだけ医師等の専門家と相談されることをおすすめします。