[50＆60年代オムニバス]の記事一覧 | 英国民謡好きの戯言

＃993　V. A. 《FOLK CLASSICS (ROOTS OF AMERICAN FOLK MUSIC)》　89年アメリカ

Alberta (new words & music adapted by H Ledbetter) LeadbellyJesse James Pete Seeger, Ramblin’ Jack Elliot & Ed McCurdyThe Buffalo Skinners Ramblin’ Jack ElliotThe Streets Of Laredo Harry JacksonWayfaring Stranger Burl IvesPretty Polly The Stanley BrothersJohn Henry Lester Flatt & Earl Scruggs and The Foggy Mountain BoysWorried Man Blues (A P Carter) Lester Flatt & Earl Scruggs with Mother Maybelle CarterThe Banks Of The Ohio The Carter Family with Johnny CashEast Virginia Pete SeegerThe Rising Of The Moon (new words arranged & adapted by P Clancy/T Clancy/W Clancy/T Makem) The Clancy Brothers & Tommy MakemSwing And Turn Jubilee Carolyn HesterJohn Hardy (new verses & adaptation R DeCormier/M Okun) Leon BibbBlack Is The Color (adaptation by W Raim) Orriel SmithThe Cuckoo The Alfred Deller ConsortMattie Groves The Beers FamilyJimmy Grove And Barbara Ellen The New Christy MinstrelsMuleskinner The Brothers FourLittle Boxes (M Reynolds) Malvina Reynolds　アメリカの古いフォークを集めたコンピ。　レッドベリーから始まりマルヴィナ・レイノルズまで全19曲を収録しています。　知っている名前もあればここで初めて目にした名前も。　ランブリン・ジャック・エリオット、クランシー・ブラザーズ、トミー・メイケム、ニュー・クリスティ・ミンストレルズは過去レビューしていて、ピート・シーガーは今後レビュー予定あり。　アール・スクラッグスやカーター・ファミリーなんかはどっかのアルバムにゲスト参加してた記憶があります。ニッティ・グリッティ・ダート・バンドだったかな？　音源はかなり古く、1935年から66年までコロムビアに残されたものがチョイスされています。　レッドベリーの“アルバータ”なんかは35年１月の録音なんだけど、思ったほど音は悪くない。　ちなみにこの曲、録音してから実に35年を経てようやく日の目をみたらしいよ。もったいぶるにも程があるね。　シーガーがリード＆バンジョー、ランブリン・ジャックがギターとコーラス、エド・マッカーディがバスを歌う２はメリケンフォーク好きの皆さんにとっては超豪華な組み合わせだったりするんでしょうか。　私はマッカーディ氏については知らないから（他の２人もよく知らないが）ピンと来ないのですがね！　４は“カウボーイズ・ラメント”ってタイトルでも知られていて、歌っているハリー・ジャクソン自身カウボーイ。　アイルランドが起源のこの歌ではチャーリー・バードがギターを弾いてます。　低音でもっくりした声質のジャクソン氏、ギターもおなじく低音で抑え気味。　カーター・ファミリーの３人の娘たちとジョニー・キャッシュによる９は随分とのんびりした曲調なんだけど、内容は愛と殺人。　バラッドってこういうのが本当に多いのです。　メロディからは想像もつかないほど内容はとことんダークだったりエログロだったり。　しかしキャッシュのバリトンはいつ聴いても素敵だなあ。　この当時は30歳そこそこだったはずだけど、その年齢でこの超低音。今時こんな渋い声を持つ三十路っているのか！？　たいていは男性が歌っていますが12のキャロリン・ヘスターはキュートな歌声がとってもかわいい！　元気なハーモニカを吹いているのはボブ・ディランだよ。　彼が残している録音でも最も古いものの１つみたいです。　読めないなりに無理矢理読んでみると、英文ライナーには興味深い事柄がたくさん。　５はのちにバール・アイヴスのテーマ曲になったとか、“プリティ・ポリー”はアパラチア地方の愛と殺人を歌ったバラッドでイングランドのブロードサイド“ザ・ウェックスフォード・マーダー”から生まれたとか。　他にも一般には“バーバラ・アレン”のタイトルで出回っている17はスコットランドのチャイルド・バラッド（84番）で17世紀までさかのぼることができること等。　アイルランド出身のクランシーズとメイケムはアメリカのフォーキーとして認識されていたようですね。　なおクランシー兄弟は今ではほとんどが天上の人となっていて、メイケムも今年（2007年）肺癌で74年の生涯を閉じました。　本作に登場している音楽家達で今も存命なのって何人いるんだろうね？　ラストのレイノルズも30年ほど前に亡くなってる。　収録されているトラディショナルは出所はブリテン諸島が多いのだけど、広まっていたのはアパラチア地方ってのが多いです。　どうもアメリカ人によるフォーク音楽って能天気な旋律が大半ってイメージを持っていました。　ところがどっこい、アラヤダ切ないわよ心に響くわよ！な歌もそれなりにあるんだね。　オペラ歌手のオリエル・スミスが歌う14なんて泣けて泣けてたまらんよ。　どうやら彼女は若い頃のシーガーとその家族と一緒に歌ったりして育ったらしく…　でもバンジョーがカラカラと軽快に走ってるのは期待通りです。　15は他のとは印象がだいぶ違ってます。　歌ってるのもロンドンのアルフレッド・デラー・コンソートで「最高のクラシカル・シンギングの１つ」と謳われています。　この歌も様々なメロディが存在しているんだけど、ここでのバージョンはペンタングル型のメロディで嬉しい♪　その次の16はフェアポート・コンヴェンションで有名だよね。　しかしモンタナ出身のビアーズ・ファミリーの手にかかるとまるで違う曲。　奥さんのイヴリンが美しい声で歌い、旦那のロバートがプサルテリーを弾いとります。　フェアポートのバージョンもいいけどマイナー調炸裂のこれも好きだなあ。　ジョーン・バエズやボブ・ギブソンやドック・ワトソン等で少しずつメリケンフォークの心に触れてきたとはいえ、この界隈はまだまだ不案内の私。　購入する際も1000円以上だったら大いに悩むのですが、こうして聴いてるとアメリカのフォーク音楽も集めようかと思えてきました。　たぶんこのあたりの歌は私のような若輩者よりも私の親（昭和20年代前半生まれ）の方が好反応を示すんじゃないかな。＜今日の私＞今日は仕事納めでした。みんなでお掃除して11時前には終了。夕方には通帳に記帳しに行ってきたよ。５回目でようやく成功しました。残高がどれくらいなのかずっとわかってなかったけど、意外とたくさん入ってた♪人気blogランキングへ

レビュー＃484　V.A. 《THE IRON MUSE》　93年英国

The Sandgate Girl’s Lament/Elsie MarleyHigh Level Ranters feat Johnny HandleDoon The WaggonwayHigh Level Ranters feat Johnny HandleA Miner’s LifeTommy GilfellonThe Coal Owner And The Pitman’s WifeEwan MacColl acc Peggy SeegerThe Trimdon Grange ExplosionLouis KillenThe Blackleg Miners (England)Louis KillenThe Auchengeich DisasterDick Gaughan acc Alistair AndersonEe Aye, Aa Cud HewEd PickfordThe Durham Lockout (England)Maureen Craik acc Colin RossAa’m Glad The Strike’s DoneHigh Level Ranters feat Johnny HandleThe Weaver’s MarchCelebrated Working Man’s BandThe Spinner’s SongRay Fisher acc Colin Ross & Alf EdwardsOh, Dear MeEwan MacColl acc Peggy SeegerThe Doffing MistressAnne BriggsThe Little PiecerDave BrooksThe Hand Loom Weaver’s LamentHarry Boardman acc banjo & fiddleThe Dundee LassieRay FisherSuccess To The WeaversOldham Tinkers feat John HowarthFourpence A DayEwan MacColl acc Peggy SeegerUp The RawLouis Killen acc Colin RossBonny Woodha’ (Scotland)Dick GaughanThe Banks Of The Dee (Scotland, America)Louis KillenThe Row Between The CagesBob Davenport acc Celebrated Working Man’s BandAw Wish Pay Friday Would ComeLouis Killen acc Colin RossKeep Your Feet Still, Geordie HinnyLouis Killen acc Colin Ross & Johnny HandleFarewell To The MontyLouis Killen　採鉱や機織業などにまつわる歌を集めたコンピ。　元々は63年に20曲入りでトピックから出ていて、これは93年の改訂版。収録曲を大幅に変更し曲数も全部で26曲に増やしています。　63年のバージョンには４曲入っていたＡ･Ｌ･ロイドがライナー寄稿のみの登場となり、新たにハイ・レヴェル・ランターズ、ディック・ゴーハン、エド・ピックフォードなどを追加。　この中だとイワン・マッコール、ゴーハン、アン・ブリッグスあたりが英国フォークの基礎、ランターズ、ルイス・キレン、レイ・フィッシャー、オールダム・ティンカーズ（このバンドはポップス方面で知った名前だけど）が中級、残りが上級ってとこでしょうか。　モーリーン・クレイクとデイヴ・ブルックスなんてこのアルバムでしか聴いたことないよ。伴奏者のコリン・ロスは名前よく見かけるけど。　古い録音だからってびびらなくても平気です。　歌ってるのか喋ってるのかよくわからないフィールド録音ものとは違ってちゃんと歌っているし、音質も良し。演奏形態は非常にシンプルで、歌＋笛、コンサーティーナなど最小限のバッキング、１や11もほかより少し音数が増えている程度。　いやもう本当に素朴。飾り気なさすぎ。古くから歌い継がれてきた伝承曲をさらっと楽しめます。　こういう企画盤は単独アルバムがなかなか見つからないマイナーさんの演奏も手軽に聴くことができて便利なのだけど、聴いてるうちにコンピだけじゃ満足できなくなってくる人が出てきちゃうなあ。　たとえば７曲も収録されてるキレン氏。アルバム１枚丸ごとキレン氏ってのがほしくなってきたんで、とりあえずアマゾンで探してみた。ついでにほかの人たちも。（このコンピに入っている曲が収録されているかは関係なく）　単独アルバムのヒット数は…　14組中０件ヒットが７組かあ。でもレイ･フィッシャーは１件あったしボブ・ダヴェンポートも２件。オールダム・ティンカーズは５件も出てきた。　でも一番聴きたいキレン氏はかすりもしないでやんの。ケッ。　ランターズ、マッコール、ゴーハン、ブリッグスは単独作をレビュー済なんで参考にしてね。あとレイ・フィッシャーが在籍してたフィッシャー・ファミリーのアルバムも。　ちなみにコリン・ロス、トミー・ギルフェロン、アリステア・アンダーソンの３人はランターズのメンバーです。●６：スティーライ・スパン「ハーク！ザ・ヴィレッジ・ウェイト」(70)＆「バック・イン・ライン」（86）フリバーティギベット「ホイッスリング・ジグズ・トゥ・ザ・ムーン」（78）●14：マディ・プライア＆ジューン・テイバー「シリー・シスターズ」（78）●21:アンディ・アーヴァイン＆ポール・ブレイディ「同」（76）ニーヴ・パーソンズ「イン・マイ・プライム」（2000）人気blogランキングへ

レビュー＃426　V.A. 《THE BIRD IN THE BUSH》　96年英国

The Two Magicians (Child#44)The Old Man From Over The SeaThe Wanton SeedGathering Rushes In The Month Of MayThe Banks Of Sweet PrimrosesThe Maid On The Shore (Child#43)The Bonny Black HareThe Whirly WhorlPretty PollyThe Night Visiting Song (Scotland)The Old BachelorThe CockThe Stonecutter BoyThe MowerThe Bird In The BushThe Pegging AwlOne May MorningMartinmas TimeThe Widow Of Westmorland’s Daughter A. L. Lloyd: 1, 3, 7, 9, 11, 14, 16, 19Anne Briggs: 4, 8, 13, 18Frankie Armstrong: 2, 6, 15Louis Killen: 5, 12, 17Norman Kennedy: 10The accompanists:Dave Swarbrickfiddle (1, 7, 11, 19)Alf Edwardsconcertina (11, 16, 19)Louis Killenconcertina (5)　もういっちょコンピものを出してみるかな。　今度のはアン・ブリッグス、ルイス・キレン、Ａ・Ｌ・ロイド、フランキー・アームストロング、ノーマン・ケネディの歌唱を集めたやつ。　元々のリリースは66年で、そこにはキレンとケネディ、それからアームストロングの６以外の14曲が収められていました。　ブリッグスも録音した曲数は多くないけど、彼女以上に聴くチャンスの少ないキレン＆ケネディのシンギングが楽しめるのは嬉しいね。　伴奏付きとしてクレジットがあるもの以外はアカペラ。　それぞれの特徴を簡単に言うと、ブリッグス→天然気取りなしスレなし、キレン→歯切れよいがわずかにショボン入り、ロイド御大→陰でかわいいおじさんと言われてそうな気弱系、アームストロング→ブリッグスと同傾向だがさらに朴訥、ケネディ→町工場系の親父が朗々と。　こんな感じかな。　副題は「Erotic Folk Song～Traditional Songs Of Love & Lust～」。戯れ歌特集ですね。　同じくトピックからは労働歌を集めたコンピ「アイアン・ミューズ」も出ています（484号でレビュー予定）。●１：マーティン・カーシー「マーティン・カーシー」（65）→メロディも一緒だしスウォブリックがフィドルなとこも一緒　　スティーライ・スパン「ナウ・ウィー・アー・シックス」（74）　　スプリガンズ・オブ・トルガス「ジャック・ウィズ・ア・フェザー」（75）　　シティ・ウェイツ「ザ・イングリッシュ・トラディション」（2000）●４：シャーリー・コリンズ＆ドリー・コリンズ「アンセムズ・イン・エデン」（69）●５：シャーリー・コリンズ「ザ・スウィート・プリムローゼズ」（67）　　マーティン・カーシー＆デイヴ・スウォブリック「バット・トゥ・ケイム・バイ」（68）　　フェアポート・コンヴェンション「エンジェル・ディライト」（71）　　フェアポート「ハウス・フル」（86）※録音は70年●６：マーティン・カーシー「セカンド・アルバム」（66）　　ジョン・レンボーン・グループ「魔法の庭」（80）　　ニーヴ・パーソンズ「ブラックバーズ＆スラッシュズ」（99）●７：フェアポート「エンジェル・ディライト」（71）●８：イライザ・カーシー＆ザ・キングズ・オブ・カリカット「同」（97）●９：トム・ペイリー＆ペギー・シーガー「フーズ・ゴーイング・トゥ・シュー」（64）　　バート・ヤンシュ「ジャック・オライオン」（66）　　スウィーニーズ・メン「ザ・トラックス・オブ・スウィーニー」（69）　　サンディ・デニー「ザ・オリジナル・サンディ・デニー」（70）　　ジュディ・コリンズ「ウィンド・ビニース・マイ・ウィングス」（92）　　セイディーズ「プレシャス・モーメンツ」（98）●10：フィッシャー・ファミリー「ザ・フィッシャー・ファミリー」（66）●15：シャーリー･コリンズ「ザ・スウィート・プリムローゼズ」（67）　　スティーライ・スパン「ナウ・ウィー・アー・シックス」（74）※タイトルは“ドリンク・ダウン・ザ・ムーン”　　ブレンダン・パワー「ニュー・アイリッシュ・ハーモニカ」（94）●18：アンディ・アーヴァイン＆ポール・ブレイディ「同」（76）●19：フェアポート「ティプラーズ・テイルズ」（78）　　デイヴ・スウォブリック＆サイモン・ニコル「クローズ・トゥ・ザ・ホワイト・ベア」（84）　　フェアポート「イン・リアル・タイム」（87）人気blogランキングへ

レビュー＃267　V.A. 《THE BEST OF ENGLISH FOLK》　99年英国

The KeeperIan Campbell Folk Group 64Reynardine (England, Ireland, Canada)John Renbourn Group 77Byker Hill (England, Scotland)Dave Swarbrick 76What If A Day (Campion)Young Tradition 68The Agincourt SongLondon Saxophone Quartet 75Sovay (England)Pentangle 68The Three Ravens (Child#26)Black Country Three 66Rosemary LaneBert Jansch 71Let No Man Steal Your Thyme (Ireland, England, Scotland)Pentangle 68My Johnny Was A Shoemaker (England, Wales, Ireland)John Renbourn 70The Whitsuntide CarolYoung Tradition 67The Card SongIan Campbell Folk Group 67John PeelDave & Toni Arthur 67Lovely Joan (England)/The NightingaleAndrew Cronshaw 74To Hear The Nightingale SingIan Campbell Folk Group 64White Cockcade (Scotland)/Doc Boyd’s Jig/Durham RangersDave Swarbrick 76Farewell SheArchie Fisher 68Randy Dandy-Oh!Young Tradition 67 Pastime With Good Company (King Henry VIII)Gryphon 73John Barleycorn (England, Scotland)Young Tradition 68GreensleevesIan Campbell Folk Group 67Scarborough Fair (British Isles)John Renbourn 70Strawberry FairBrighouse & Rastrick Band 77The Devonshire Farmer’s DaughterGeorge Deacon & Marion Ross 73The Bold AstrologerRoyston Wood & Heather Wood 77Derwenter’s Farewell (Scotland/Child#208)/Nobel Squire Of D’acreDave Swarbrick 77Nottamun TownBert Jansch 66The Derby Ram (England)Ian Campbell Folk Group 64Bruton Town (England)Pentangle 68The Cuckoo (England, America)/The Blacksmith (England)Andrew Cronshaw 74The Unquiet Grave (Child#78)Gryphon 73The Lyke Wake Dirge (Scotland)Young Tradition 66Cushy Butterfield (England)Ian Campbell Folk Group 65The Floral DanceBrighouse & Rastrick Band 77　キャッスルが出したトランスアトランティック・レーベル産イングリッシュ・フォーク２枚組コンピ。　超有名どころからあんた誰状態なマイナーさんまで全部で34曲を収録、英国フォーク最初の一歩としてはいいかもしれません。　フェアポートもスティーライも入ってないじゃないの、と怒られたって聴く耳持ちませんがね、だってレーベル違うんだし。　そのかわり売っている現場に出くわすことがとても困難な（少なくとも私の場合は）ロンドン・サキソフォン・カルテットやブラック・カントリー・スリー、ブリグハウス＆ラストリック・バンドの演奏が聴けることに感謝しようじゃないですか。　そう、「この曲滅茶苦茶いいなあ、アルバム売ってたら絶対買わなきゃ」ってやつをこういうコンピで見つける手もありですね。　個人的にはディスク１の７がその筆頭。濃度の高いギターに低音声が渋すぎる。レイヴン兄弟やばい。しびれる。　姉妹盤としてアイルランド編、スコットランド編もあり。