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2004/12/25
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テーマ:社交ダンス(8324)
カテゴリ:下町人情物語
毎年クリスマスの季節になると、「今年のクリスマスは何事もなく過ごせるだろうか」という不安が、一瞬なりといえども脳裏をよぎるのです。

私が小学校3年のクリスマスイブのことです。冬休みにはいって、宿題さえ考えなければ、あとは、クリスマスにお正月、楽しいことばかりです。まだ、サンタを信じていたし、家族で囲むクリスマスの食事も楽しみでした。この年は、父が、チョコレートケーキを買ってきてくれました。

食いしん坊の私でしたが、なぜか、この時ばかりはお腹が痛くて、ろくにケーキが食べられません。ただ、目の治療で、痛みに対して我慢強くなっていたので、じっとこらえて、ご馳走に手を出しますが、とうとう、耐えきれず、「お腹が痛い」とうったえました。

母は、折角作ったご馳走を食べないなんて変だと思ったようですが、よく、お腹を冷やして痛くなることがあったので、

「ストーブの前で、寝てなさい」

といいました。私は、いわれた通り、ストーブの前に横たわり、両親が美味しそうにご馳走やケーキを食べているのを痛みに堪えながら見ていました。自分が「マッチ売りの少女」になったような、たまらなく惨めな気持ちでした。

翌朝目が覚めても、まだ、痛みは続いていました。お腹が痛くて真っ直ぐ立てないので、腰を曲げたまま、近所のかかりつけのお医者さんにいくと、先生は、父に、病院を紹介するから、一刻も速く連れていくように告げていました。「入院」という言葉に、自分がなんだか悲劇のヒロインになった気分がして、少し嬉しかったのを覚えています。

病院に行くと、先生から連絡がいっていたらしく、大きなガラガラいうベットに乗せられて廊下をどんどん進み、他の患者さんを押しのけての緊急手術でした。背中に大きな注射を打たれ、お腹がチョキチョキ切られている音が聞こえました。

後から聞いた話ですが、急性虫垂炎で、腹膜炎も併発していて、あと30分遅かったら、盲腸が破裂して死んでいたということで、両親は肝を冷やしたようです。特に母は、幼いころ、自分の母親を腹膜炎で亡くしていたので、手術を待つ間、
「母だけでなく、私の子供まで同じ病気で奪わないで下さい」
と必死に祈ったそうです。

盲腸は、暖めるとよけい大きくなるのが早いそうなので、我慢強いお子さんをお持ちの方は、お気をつけ下さい。

私はその後、チョコレートがのどを通らなくなりました。多分このことがトラウマになっているのだろうと思いますが、いまでもチョコは苦手です。

冬休みが明けて、始業式。その日は雪が降っていました。体重が半分になって、骨と皮になっしまった小さな少女は、それでも学校に行きたいといいました。しかし、学校までの1キロ半を歩ききる体力はなく、途中で力尽きました。もう、前にも後ろにも一歩も進めません。頬に降り掛かる冷たい雪。このまま死んだらどうしよう、と思いました。

心配になって、あとからついてきた母に、私は連れ戻されました。そのまま風邪をひいて寝込み、結局、1月一杯は学校をお休みしてしまいました。

このことがあってから、私は雪が降ると学校を休むようになりました。関東地方に雪が降ることはめったにないので、それでもなんとかやって来れたのです。今でも、雪が降ると、出かけるのにかなりの気合が必要です。好きなダンスの競技会でも、雪が降ったらパスしたいくらいです。

子供の頃の体験は、結構、人生全般に大きな影響を与えるものですね。





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Last updated  2004/12/25 12:28:07 PM
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