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Jun 21, 2005
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カテゴリ:書評
心を煩わされていたせいで、まったく読書出来なかったのですが…やっと読み終りました。『死の棘日記』。はっきり言って傑作としか言いようがない。小説と同じように、蚊帳をつらなくなったという記述で始るこの日記は、小説で描かれる以降の生活……つまり、島尾敏男が妻と共に精神病院に入院し、その後、奄美大島に移住するまでを描いている。
小説を読んだだけではわからない、当時の新進作家の貧乏ぶり…仕事をもらうために汲々としている描写が身につまされる。そして、地獄の一丁目で死にかかってる島尾敏雄に手を差し伸べる仲間たち…庄野潤三、吉本隆明、吉行淳之介あたりの友情に心が熱くなる。『死の棘』という作品は一般に夫と妻との地獄の日々の記録と思われがちなのですが、実際は伸三(小説では伸一)とマヤというふたりの小さな子供との関係を描いた作品でもあるのですが、この日記だと、この二人の子供がより、リアルに、また魅力的に描かれているから恐れ入ります。
とにかく、小説『死の棘』を読んだだけでは分からなかった部分が理解できますし、なにより、小説の後日譚を読める喜びに浸れます。なお島尾敏雄の奄美での生活は『日の移ろい』『続・日の移ろい』という随筆みたいな文章で読めます。

さて、この『死の棘日記』を読んで思ったことがひとつ。
僕は小説とは「叙述」と「構造」の建築物だと思っていたのだけれど、結局そんな考えは安易なポスト・モダンの域を越えていないだけではないか…? 確かにピンチョンもバースもマルケスも素晴らしいけれど、僕には島尾敏雄の方が偉大に思える。ポスト・モダン作家になくて、島尾敏雄にあるのは何なのか…? そう、それは「人生」なのだ! 真剣に真摯に生きた人間こそが、本当の「文学」に到達するのではないか…? こんな、今までの僕なら蛇蝎の如く忌み嫌っていた「文学主義」「文学精神論」に、結局のところ屈服せざるを得ないのは、僕自身がそれだけ日々を惰性でやり過ごしているだけだからだ…。
だから僕も出来るだけ真面目に生きて、平成の文豪になるべく努力しなければ!

……でもいまは…ちょっとだけ、弱音を吐いていてもいいですか…? ちょっとだけ…。





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Last updated  Apr 19, 2012 03:15:22 AM
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