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カテゴリ:【本】自分のペースで生きる
8人の著者が、無職についての考えをそれぞれ自由に書いた本。
7人は文章で書き、1人は漫画で描いていらっしゃいます。
1. 一度、立ち止まってみる 2. 「自己責任」で片付ける危うさ 3. 自分の心と向き合う
1. 一度、立ち止まってみる
編集部によるまえがきの最後に
「他の人の考えを知ることで、少しでも読者のみなさんの想像力の幅が広がっていけばと思っています。」
と書かれています。
例えば、この本の中で
「結局のところ皆、誰かにマウントを取りながら自尊心を保って生きているので、無職やらニートなんかの吹き溜まりにいる人々は社会から格好の餌食にされるんだろう。」(p.103)
という文章があるのですが、この「餌食」という言葉をもとに考えてみると、
「餌食」にする側の人には、餌食にしようとする前に相手の背景をちょっと想像してみて、と。
「餌食」にされる側の人、つまり無職の人には、他の人の無職についての考えを知ってもらうことで、いろんな考え方があるよ、自分を追い詰めないで、と。
そういった、一度立ち止まって考えてみることの重要性を、この本で改めて考えさせられたような気がします。
2. 「自己責任」で片付ける危うさ
一番印象に残っているのは、(上記p.103の文章を書いたのとは)別の著者が『ざんねんないきもの事典』というベストセラーになった児童書について書いている箇所で、
「動物の生態を人間から見て面白おかしく書いている。人間を含め多様な生き方を「ざんねん」という一言で処理するような風潮に危惧を覚えた。」(p.156)
という部分です。
続けて他の本『わけあって絶滅しました。世界一おもしろい絶滅したいきもの図鑑』については、
「仲間を守ろうとして自分が犠牲になることを笑ったり、動物の生態を「自己責任」のようにあざ笑ったりと終始この調子で様々な生き物が描かれている。」(p.157)
とのこと。
さらに、
「ベストセラーのこの本で育った子どもたちはどう育つのだろう?この本を読んでいじめられるのも自己責任、学校の勉強という競争で敗れるのも自己責任と思ってしまうのだろうか……。」(p.157)
とも書かれています。
私は、 『ざんねんないきもの事典』 『わけあって絶滅しました。世界一おもしろい絶滅したいきもの図鑑』 いずれも読んだことはありませんが、世間で売れていることは認識していました。 というのも、書店で大々的に売られていたり、テレビで紹介されていたりしたからです。
のんきな私は「この本がきっかけで、子どもたちが生き物に興味を持ってくれたらいいよね」程度にしか思っておらず、先ほど引用した、この本で育った子どもたちへの影響なんて考えていなかったので、そのような考え方を知って目から鱗、のんきな自分を反省しました。
今回読んだ『無職本』は無職についての本ですが、私は無職だけの話ではなくて、相手への寛容さ、相手を思いやる気持ちを持つことの大切さを感じ取りました。
3. 自分の心と向き合う
SNSでの誹謗中傷が問題になることも多い現代。 私は、日本は心のゆとりとか心の豊かさといったものから、どんどん離れていっているような気がします。
それは、例えばいくら働いても手取りのお給料が増えなかったり(税金の負担ばかり増える)、経済的に苦しくて共働きをすることで心身共に余裕が無かったり、頑張ってはいるけれどどうにもならない……という事実があるように思います。 (もちろん、人付き合いを避け世間知らずな私には認識できていない、他の要素も多々あるでしょう。)
とはいえ、新型コロナウイルスの影響で働き方や日常生活が強制的に変わった今だからこそ、一度立ち止まって自分の心と向き合う時間が必要なのだと思います。
ゆとりが出来たその先に、相手を思いやる気持ちも出てきて、結果的に世の中全体として、相手をむやみに攻撃したり貶めたりすることが無くなればいいなぁと思ったのですが……話を広げすぎでしょうか。 ![]() 無職本 [ 松尾 よういちろう ] お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2020.07.25 00:10:07
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