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カテゴリ:【本】社会の生きづらさ、社会の現状
家庭格差、学校教育、SNS、不登校、ゲーム依存、非行など、様々な側面から国語力について取材した本。
『ルポ 誰が国語力を殺すのか』 石井光太 文藝春秋 2022年
以下は、本を読んで印象に残った内容です。
・子供たちに、読解力以前の基礎的な能力が欠けている。 コミュニケーションに必要な最低限の語彙を備えていない。
・子供がトラブルを起こしても、(子供も、その親も)それを悪いことだと理解できない。 言葉で考える習慣がなく、言葉によって客観視できない。 想像する力が欠如している。
・日本の子育ては、親の責任といった風潮がある。 (ただしその風潮は、戦後、核家族が形成される中で生まれた、わずか数十年でできたもの。) 一方の欧米は、社会全体で育てていこうという空気がある。
・今の社会が子供に求めるものが一時代前と比べてはるかに大きく、十分な国語力を磨く余裕がない。
・「日本語でしっかりと物事を考えて表現できない人が英語で何を語ろうというのだろう。他者の気持ちに寄り添えない人がプログラミングで何をつくろうというのだろう。」(p.100)
・学校の教員は、かつては「明るく元気な子」を育てればよかったのが、今は「AIに負けないグローバル人材」を育てることが求められる。
・日本政府が子供の教育にかけている予算は、国際的に見ても著しく低く、OECD加盟国の中で最低レベル。
・将来、子供たちが社会に出た時に、今のプログラミング技術やICTがどれだけ必要になっているのか。 (例えば、30年前には先端技術だったポケベルのやり方を、その当時子供たちに教えていたとして、その子供たちが大人になった今、どれだけそのスキルを活用できるか。)
・日本では、高いコミュニケーション能力が必要な感情労働が、低学歴の人たちによって担われている。 しかし、家庭格差の犠牲となった子供たちが感情労働に就いたとして、どれだけ社会や会社が求める高い要求に応えられるか。
など。
この本は300ページ以上あり、何より内容が濃いので、読むためには本とじっくり向き合える時間を確保しなければならないでしょう。 中には、いじめ自殺事件の詳細のような重い内容が含まれていたこともあり、私は二日に分けて読みました。 時間はかかりましたが、それでも読んでよかったと思う本です。
国語力は、いずれ日本の将来に大きくかかわってくるテーマだと思います。 引きこもり子なし専業主婦の私が、子供たちの国語力のために直接できることは何もありません。 ただ、「こういう本があるんです。日本の現状を知ることができて、とてもよかったので読んでみてください。」と、ブログを通して紹介することはできるので、今こうしてブログに書いています。
本のタイトルを見て少しでも興味を持った方は、ぜひ読んでいただきたいです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023.02.03 13:16:21
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