|
カテゴリ:福島第一原発過労死訴訟
※5/23
5月19日に仙台高裁で判決が下されたのを受けて追記し、一部、文章を変更・削除 ※この記事で呼びかけた署名は4月19日・5月8日(郵送)に仙台高裁へ提出されました。個人3200筆・団体277筆の、合計3477筆でした。ご協力頂いた皆様、有難うございました。 (「福島第一原発過労死責任を追及する会」の記事へのリンク) ●署名総数3,477筆!! 追加集約分を高裁に提出(5月8日) ●署名とともに寄せられたメッセージ(5月8日) フクイチ過労死訴訟は、和解協議決裂・判決言い渡しへ 拙ブログで以前からお伝えしている「フクイチ過労死訴訟(※)」は、和解協議が決裂しました。 ※「福島第一原発過労死訴訟」の略。 フクイチ構内の自動車整備工場で働いていた二級自動車整備士の猪狩忠昭さんが、2017年10月26日の昼休憩明けに致死性不整脈で亡くなったことについて、遺族3人が、責任の明確化・謝罪・損害賠償を求めて、2019年2月に東京電力ホールディングス株式会社(発注元)・株式会社宇徳(元請け)・いわきオール㈱(雇用元)を提訴したもの。忠昭さんが亡くなる前6ヶ月間の残業時間は、月間平均・約100時間に及んでいた。 2021年3月30日、福島地裁いわき支部は、いわきオールと同社元役員らの責任を認めて約2500万円の損害賠償支払いを命じ、宇徳・東電への請求は棄却した。 4月12日、遺族(原告)は、フクイチ構内の救急医療体制に関して宇徳・東電の責任が認められなかったことを理由に、仙台高裁へ控訴した。 9月16日、控訴審の第一回弁論で小林裁判長は弁論終結・和解勧告を宣言。以後、22年2月まで複数回に渡って協議が行われるも、和解は不成立となった。 フクイチ過労死訴訟の経緯・一審判決の内容・忠昭さんの略歴等は、拙ブログの下記記事をご参照下さい。 (リンク) ●フクイチ過労死訴訟・控訴棄却と、その理由(拙ブログ/5月21日) 仙台高裁へ提出する署名の呼びかけが開始 和解協議が決裂し、判決に進むことが確定したのを受けて「福島第一原発過労死責任を追及する会」等4団体が共同で「公正な判決を勝ち取るため(の)賛同署名」の呼びかけを開始しました。 呼び掛け文・郵送先等については、全文を紹介しておきます(読み易さの為、段落は一部変更。個人名は省いたが、文字や文章は変更していない)。 (リンク/署名用紙ダウンロードWebサイト) ●公正な判決を勝ち取るために賛同署名への協力を呼びかけます ====署名呼びかけ文・集約先、ここから==== 福島第一原発過労死裁判の高裁判決が5月19日に行われます 公正な判決を勝ち取るために賛同署名への協力を呼びかけます 2017年10月26日、福島第一原発(イチエフ)構内の自動車整備工場で働いていた猪狩忠昭さん (57歳)は全面マスク・防護服姿のまま倒れ、帰らぬ人となりました。死因は致死性不整脈でした。 東京電力は、猪狩さんの死亡当日に記者会見を行い「労災、過労死といったものではない」と発言。しかし、調査によって猪狩さんは亡くなる直前の半年間に毎月100時間を超える残業を強いられており、その残業代もまともに払われていませんでした。遺族の闘いが始まります。 2018年10月、いわき労働基準監督署は猪狩さんの死を「長時間労働による過労が原因」として労災を認定。未払賃金の支払いを求める裁判でも勝利判決を勝ち取りました。 猪狩さんを雇用していた、いわきオールそして東京電力、元請け・宇徳を相手取り損害賠償請求裁判も闘われていました。 2021年3月、福島地裁いわき支部は雇用者いわきオールの安全配慮義務違反を認め約2500万円の支払いを命じる判決を下しました。しかしながら東京電力と宇徳への損害賠償請求は棄却され、闘いは仙台高裁・控訴審へと移行しました。 控訴審は、イチエフ構内の緊急医療体制の不備を問う闘いとして展開されています。 猪狩さんが亡くなった当時、東京電力はイチエフで働く労働者に「傷病者発生の第一報は ER(緊急医療室)へ」とするカードを配っていました。 しかし、猪狩さんが倒れた時周囲に携帯電話を持っている労働者はひとりもいませんでした。整備工場にも電話は設置されていません。そのためERへの連絡ができず処置が遅れたことは明白です。東電も「2~3分の遅れ」は認めています。東電は傷病者発生の際に速やかにERへと架電できる体制を構築する義務があったのにそれを怠ったのです。 9月に行われた第一回口頭弁論では裁判長が東電の道義的責任を追求せんばかりの発言を行い和解が強く勧められ和解協議が始まりました。しかし協議で示された和解案は遺族の納得いくものではなく、遺族は控訴の原点に立ち返り救急医療体制の不備を問い判決を求めていきます。 口頭弁論に先立ち、遺族は元イチエフ労働者の陳述書を提出しました。福島地裁での判決は「携帯電話の持ち込みは禁止していない」「作業員全員に携帯を支給するのは支出と管理が困難」という東電と宇徳の主張をそのまま認めていました。その地裁判決がイチエフの労働実態を無視したものであり、誤りであることを明らかにするためです。さらに全労協(全国労働組合連絡協議会)の申し入れによって猪狩さんの死亡当時、イチエフ構内に携帯電話の持ち込みを禁止していたとする東電の回答を証拠として提出しています。東京電力自体が裁判での主張を覆したと言えます。 以上の証拠提出について東電・宇徳は反論を行っていません。すでに結審をし、判決を迎えるという状況です。私たちはこの重要な陳述と証拠を充分に審理した公正な判決を求めます。高裁での闘いは最後の局面を迎えようとしています。イチエフでの救急医療体制の不備を問い、原発労働者の命を守りたいという遺族の闘いにさらなる支援を訴えます。 2022年3月 【署名呼びかけ】 福島第一原発過労死責任を追及する会(共同代表ーー) 全国一般労働組合全国協議会(中央執行委員長ーー) 東京労働安全衛生センター(事務局長ーー) いわき自由労働組合 (執行委員長ーー) 【署名集約先】 〒973-8403 福島県いわき市内郷綴町堀坂18-1 フクシマ原発労働者相談センター気付 福島第一原発過労死責任を追及する会 (事務局長 狩野) ※集約日 4月15日(金)必着で、上記集約先に送付をお願いします。 ご協力いただける方へ *署名用紙は 3 種類用意しましたので、それぞれの都合に合わせてお使いください。 (複数種類の使用も可ですが、名前が二重になるのは不可です。例えば、署名用紙個人用と5人用の両方に、同一の人は署名しないで下さい。) *団体署名は、出来るだけ朱印の押印をお願い致します。 *団体個人を問わず、ご家族・友人・知人にも是非お声を掛けてください。 (用紙はコピーでお願いします) *「取扱団体」と「裁判官へ一言」の欄は、 記入・未記入を問いません。 *郵便局が土曜日の普通郵便配達を廃止しましたので、4 月15日(金曜日)必着でお願いします。 ご協力をよろしくお願い致します。 福島第一原発過労死責任を追及する会 事務局 ====呼びかけ文・集約先、ここまで==== ====小林久起裁判長宛ての文章、ここから==== 仙台高等裁判所第2民事部 小林 久起 裁判長 様 福島第一原発で過労死された猪狩忠昭さんのご遺族の損害賠償を求める裁判(「令和3年(ネ)第152号損害賠償請求控訴事件」)において、第一回口頭弁論に先立ち控訴人は、元福島第一原発(イチエフ)労働者の陳述書や、全労協(全国労働組合連絡協議会)が行った東京電力への申し入れの反訳文を証拠として提出しました。 控訴理由書や陳述書では、2021年3月1日(春橋注:「3月30日」の誤記と思われる)福島地裁いわき支部の原判決における認定は「携帯電話の持ち込みについてイチエフ作業現場での特殊性を無視したものである」ことを明らかにしました。 また証拠として提出した、全労協申入れに対する東京電力の公式回答は、基本的に「携帯電話の持ち込みを禁止していた」ということであり、被控訴人らの主張を被控訴人たる東京電力自身が否定したものです。 しかし原判決は、「携帯電話の持ち込みは禁止していない」という被控訴人らの地裁における主張をそのまま認定しています。控訴人側からの陳述書や証拠提出に対して被控訴人らは反論を提出していません。 原告控訴人らは、家族が突然死亡するという耐え難き体験から「イチエフ作業現場で働くすべての労働者とその家族に、同様の思いを抱かせる事があってはならない」として、控訴審に訴えたものです。 裁判の公正こそは、社会の正しい指針であると信じています。貴裁判所が、国民の負託に応え公正な判断を示されることを切望いたします。 2022年4月 ====裁判長宛ての文章、ここまで==== 私が本訴訟を追う理由と、訴訟の意義 私は、猪狩忠昭さんが亡くなったことを伝えた東電の第一報から追っていますが、全て個人としての行動です。支援する会や労組といった組織、訴訟には一切関わっていません。 本記事の最後に、私が本訴訟を追ってきた理由と、訴訟の意義について書いておきます。 追う理由 1.フクイチ・フクニの電気を消費していた(消費者としての責任)。 2.日本国の主権者の一人として、国策の結果としての災害を防げなかった(主権者としての責任)。 3.上記2点を踏まえ、核災害の現場で被曝しながら収束作業の実務を担って下さっている方達には、永久に「借りが有る」状態。 訴訟の意義 1.核災害の現場で働き、亡くなった方のご遺族が起こした訴訟で2件目(施設を管理している事業者[=東電]が、核災害の現場で雇用責任を負っていない事への問題提起)。 2.発注元(東電)・元請け(宇徳)・雇用元(いわきオール)の三者の責任をまとめて追及できる可能性があった(多重請負構造で、雇用責任や安全確保に関する責任の分散・曖昧となっている現状を是正できる可能性)。 3.核施設での死亡案件でありながら、「低線量被曝による影響」の証明や論争に多大なリソースを費やすことなく、原子力事業者の責任を追及できた(第三者にも、より、説明し易い)。 以上です。 春橋哲史(ツイッターアカウント:haruhasiSF) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2022.05.23 09:56:17
コメント(0) | コメントを書く
[福島第一原発過労死訴訟] カテゴリの最新記事
|