最良の出来のブドウで作られたワインは濃縮感もあり価格も高額で,飲み頃になるまでに年月が掛かります。一方,そこそこの出来のブドウで作られたワインは,一般的に濃縮度こそ低いものの,ワインは早く飲み頃となる傾向があります。天候の悪い年は,生産者にとっては苦労の多いワイン造りになりますが,価格は控えめとなります。こういうワインを適度な熟成のタイミングで飲めば,良い年のワインを早すぎる段階で飲むよりも,より複雑な味わいをむとワインとなりうるのです。
このようなワインの選び方や飲み方は,ワインの産地フランスで一般に行われていることで,それだけフランスの人々の生活の中にワインとその情報や知識が浸透しているということの証でしょう。
日本では,グラン・シャトーの高級ワインを選ぶか,もしくは酔えれば安いワインで良いという飲み方をしている消費者が多くおいでになることを考えると,まだまだワインの発展途上国ですね。
【参考資料】
安藤光弘(2007年)等身大のボルドーワイン:醸造産業新聞社,東京