「きらりの旅日記」

[美術館・博物館] カテゴリの記事

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  ジョアン・ミロ　1934年（41歳）〜1936年（43歳）ミロの野生絵画の時代　スペイン内戦勃発　三人の女　月の前の女と犬　記号と図案　排泄物の山を前にした男と女　メゾナイトに描いた絵画

  ​ミロは自ら『野生の絵画』と称したこの時期の作品は攻撃的なフォルムや珍しい画紙に興味を示したことがわかる（写真はブログとはほぼ関係なくニューヨーク・メトロポリタン美術館の前）まだまだ訪問は我慢です​​Joan Miró ​​ジョアン・ミロ1893年4月20日〜1983年12月25日（90歳没）​​​​Joan Miró i Ferrà​（ジョアン・ミロー・イ・ファラー）​​スペイン・カタルーニア地方出身の画家・彫刻家・陶芸家・壁画家。ホアン・ミロ（カタルーニア語読み）パリでシュルレアリスム運動に参加し​​​​​​​​​​​​​​​​​​20世紀美術に独自の地位を築いた。あらゆる物に独自の表現媒体を見出し、さらにフォルムや色彩においても完全に熟達した頃、​​1934年（41歳）〜1936年（43歳）​​新たな危機が突然やってきた・・・と言っても、危機というよりは手法の変化だが。ミロはここで、再び将来に向け、技法や素材を通し、創作上の新しい解決法を確実にもたらす新たな道に挑戦しようという衝動にかられた。モンロチでの滞在がだんだん長くなり、逆にパリでのアヴァン・ギャルドとの結びつきが薄れた頃、ミロの絵的宇宙には、やがて来る政治不安を予知するような怪物的な生きものが住むようになったスペイン内戦の二年前に描かれたこうした一連の絵画を、​ミロは・・・“野生の絵画”と称した。​この野生の最初の兆しが見られるのは、​1934年（41歳）の夏​に描いた15点の大きなパステル画である。平坦な描法を捨て、ここでは苦痛の雰囲気を表わすためにキアロスクーロ（明暗を基調とする画法）が取り入れられた。作中の人物は、骨や人間の生きた器官を思わせる有機的な形をなし、悪夢におけるダンテ風な生きものの様相を呈している。ここには、変形されたエロティシズムに取り巻かれた新しい劇的な内容がほの見えてくる。このエロティシズムは、初期の作品ではあまり目立たず、序々に表に出て来るようになるが、決して卑しい下品なものではない。ミロにとってセックストは、感情のほとばしりとしての要素であり、規律を混乱させ、因習的価値をひっくり返す手段なのである。このパステル画を描き終えた直後、ミロは厚紙の粗いザラザラした表面を使い、11点の油彩画の制作に取りかかった。この新しい連作にも、完全に変形された怪物のような人物が登場する。これらの変形した生きものは空想の産物ではなく、ミロの作品によく見られるような日常の生活から取り入れられた・・・女やカタロニアの農夫、農園の周りの動物たち、山、そして海など。『三人の女』では、不均衡なそれぞれの図形のふくらみが互いに均衡を保っている。細長い脚と性器を付けた、右側の人物の頭部を表わす大きな白い斑は、中央の人物の大きな黒い塊・・・ミロはこれに砂を混ぜている・・・と対比している。また、二つの丸い色斑に縮小された三番目の人物は宙に吊るされているようだ。​1936年（43歳）​の時に描いた『月の前の女と犬』では・・・残酷さと攻撃性が一段と強まり、女の姿が非常に暴力的に描かれている。だが、これに反し、犬だけはそれから救われるように見える。横顔の女は、存在しないある生きものを捕らえるかのように厚ぼったい舌をぐんと伸ばしている。目ざわりなほどの色彩のコントラストによって、画面の劇的な効果が高まっていると言える。​1935年の暮れ​に描いた『記号と図案』は6点の連作で、ミロはこれを“タールを塗った紙のグラフィティ”と呼んだ。粗いしわのよった画紙の表面を使い、即興的に記号を描く方法を思いたったミロは、さらに砂とタールで覆ったこの厚い紙に、直接、壁の表面にでも描くような感じで、筆を使い速いタッチのストロークを施した。この時期の作品を見ると、ミロが攻撃的なフォルムや珍しい画紙に興味を示したことがわかる。近づく内乱の大災害を予期するかのように描かれた​怪物は“野生絵画”の主要な要素だった。​この怪物を負かす方法は・・・唯一彼らにそのものを示させることである。ミロがしたことはそのことだった。​​1935年10月23日〜1936年5月22日までの間に、​​彼は銅板とメゾナイトを使い、それぞれ6点のテンペラ画を表わした。再び職人肌の技術を用い、実に丹念に12点の作品を完成させた。線の素晴らしさは、人物や風景に施した攻撃性や変形とみごとなコントラストをなしている。銅板に筆で短く、非常に繊細なストロークを施した『排泄物の山を前にした男と女』は、画面に滲み出る苦悩とは別に、こうした細密な画法の好例である。ここにもまた、黒で塗られた恐ろしい空と大地を分かつ地平線が置かれ、その大地には身振りで話し合う二人の人物が見てとれる。彼らの性器と手足は長く伸びて、まるでお互いに自分の方へ引き寄せたがっているようだ。これらのテンペラ画には、モンロチ近郊の田舎や農園の周りの人物や動物たちも登場するが、かなり攻撃的に変形されている。​1936年7月18日、​スペイン内戦勃発これ以降、ミロの絵画からは証言的なものが消え、一種の暴力的で直接的なエクソシズムを表わした27点の『メゾナイトに描いた絵画』が登場する。この連作には・・・野生は表現されないが、描き方そのものにわずかに現われている。つまり怪物は、画板に向かう画家の直線的な攻撃に置き替えられた。背景はメゾナイトそのものをむき出し、この上にミロはカゼインの白、タールの黒、砂、アスファルトなどを置いた。風景は消え、生きものたちは最も基本的な特徴だけを残している。球体や大きな足の指の爪、豆などから、派生したフォルムは明らかにミロのものだが、すっきり図案化されている。また、男根の形がしょっちゅう現われるが、これは時に人物そのものとして表わされた。“メゾナイト”には・・・あらゆる叫びの力があるが、ただそれだけである。それはある出来事に対する画家の積極的な表明でもあるが、どんな新しい道も切り開きはしない。ミロがもう一度自分自身を見つめ、適切な表現媒体を見つけようとするためには、モンロチを、さらにはスペインを出なければならなかったのである。​​​​​​​​​​​​​​​​​（参考文献：美術出版社/Joan​​Miró​​ジョアン・ミロより）（写真撮影：ほしのきらり）​​​​ミロにぽち​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​

  2022.02.13

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  画家　ジョアン・ミロ　1929年（36歳）〜1934年（41歳）ミロの表現の危機　絵画の圧殺　コラージュによる絵画　フォルムと色彩の研究　ジョアン・プラッツとは？

  ​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​ミロは油彩画の制作をしなくなり経済状態はますます厳しくなりますがそんなとき彼はコラージュからフォルムと色彩の研究に没頭するようになりますこの運河べりに座ってのんびりパンをかじってまったりと今となれば贅沢なパリでのひと時。​​Joan Miró ​​ジョアン・ミロ1893年4月20日〜1983年12月25日（90歳没）​​​​Joan Miró i Ferrà​（ジョアン・ミロー・イ・ファラー）​​スペイン・カタルーニア地方出身の画家・彫刻家・陶芸家・壁画家。ホアン・ミロ（カタルーニア語読み）パリでシュルレアリスム運動に参加し20世紀美術に独自の地位を築いた。ミロはとても几帳面な性格であった。​​1929年（36歳）〜1934年（41歳​​）にかけて、ミロは・・・表現の危機に陥り、これを自ら​“絵画の圧殺”​と呼んだ。​おそらく、この時期に絵画を一点も表わさなかったことからこう呼んだものと思われる。実際、油彩画は姿を消し、代わって素描画とコラージュが現れる。​1930年（37歳）の夏​に描いた一連の素描画は、​男女のカップルや女だけをテーマにしたものだが、線は自在かつ確かで、フォルムやボリュームの点においても申し分ない。​この素描画に並行して、彼が​“構成”​と呼んだ​作品も表わされた。彼はここで初めて三次元技法を用いるが、これは当然のことながら、彫刻とか他の物体を意味するものではない。二次元の画面構成にあたっては・・・鍵とかその辺から拾い集めた小物、貝がら、サンドペーパーなどに加え、断片的に油で絵を描き足したりもしている。だが、この場合はあくまで二次元的な手段として扱わているにすぎない。いずれにしろ、ミロがこうした作品のなかに意図したことは、非常に日常的な物がいかに芸術的なオブジェに変えられるかを示すことにあったと言えよう。ミロの表現の危機は・・・その時期からしてたまたまシュルレアリスム運動の危機と同じだった。アンドレ・ブルトンを長とするシュルレアリスムは、全体として政治的な立場を採用するかどうかの必要に迫られていた。「革命に奉仕するシュルレアリスム」という機関誌の題名からして彼らの立場ははっきりしていたが、問題は共産党への固守を宣言するか否かである。ミロはどんな政党でも、党の活動員であるべきではないとの断固たる姿勢を貫いた。つまり、彼にとってそれは後退であり、また党の規律による自由の束縛をも意味したのである。彼の作品には、いかなる政治的立場も不要とする自由の証が明白に現れていた。​1923年（39歳​）、ミロはその夏を家族とともにモンロチで過ごし、そこで小さな板を使い12点の油絵を描き上げた・・・これらの作品は、同じ年の12月にピエール・コル画廊で発表された。『男の頭部』を除く、『空間の炎と裸婦』や『立っている女』『座っている女』『水浴する人』などの残り11点の作品はいずれも女性を題材にしたバリエーションである。この題材は、ミロを常に惹きつけたものだが、彼の場合は個々に女性を扱うのではなく、全宇宙ででもあるかのような捉え方をしている。その意味でも今度の作品は、フォルムと色彩の造形的な研究に役立ったと言える。図形はかすかにも女性の様相を呈してはいるが、構図をリズムカルにするために変形が施され、色彩は強烈なほど生き生きし、地味な色調のなかに落ち着いた優雅さが感じられる。これらの作品ではまた、現実の空間を画面空間にまとめているという研究や、遠近法に頼らず水平線を使う空間処理の方法が再びとられている。板に描いたこの一連の小作品は・・・​1933年（40歳）​大きなカンヴァスに描き移された。この年、経済状態は非常に悪く、ミロは家族ともどもバルセロナに留まらざるを得なくなった。母が住んでいたクレディト街のアパートに身を寄せ、そこでこれまでにつかんだ技法や創作力を試すように18点の作品を仕上げたのである。この18点の作品を描くにあたり、ミロはまず、下絵用のコラージュを一点一点念入りに作った。新聞広告や広告カタログのイラストなどを切り抜き、アングル製の紙に貼り付ける。こうして作ったコラージュは全く色彩に欠ける・・・1930年代の出版物はほとんど白黒だった・・・が、そこからすべての要素の相互関係に新たなアプローチを施す。つまり、それぞれにフォルムや色彩の点で徐々に手を加えていく。そして次に、紙面に白いままで残っている空間部分に構図を考えながら図形を描き入れ仕上げるのである。ただし、この前段階の作業としては自由なひらめきは抑え、全体に要素だけを表わすようにする。​つまり、コラージュは・・・​前もって組み立てられたその要素を通して生み出されるもののために作られたのである。こうして最後に、本質的な要素だけを残し、フォルムは簡潔にまとめられる。​​『コラージュによる絵画』は・・・コラージュをもとに絵を描き起こすというこうしたミロのやり方を示している。まず、上の左手隅には一列に並んだ皿が見える。その反対側の隅には車椅子があるが、カンヴァスには車輪だけしか描かれていない。中断左手と下の右手にはグラスがあり、これらは白、赤、黒の色斑で表されている。中央にあるナイフや、いろんな形の包丁は、いくつかが人間の形に描き変えられ、大工用の折りたたみ物差しは、中段右手に曲線で現れたテイル。そして下の左手隅の鋸は、本来の線を生かして図形化され、そのすぐそばにはヤットコが置かれている。こうしたいろんなフォルムを盛り込んだ空間は、とぎれとぎれにならないようにグレーや濃いグリーン、オークル、ブルーなどの地味な色彩のグラデーションを基調に仕上げられている。また、この『コラージュによる絵画』の連作においては、与えられた作品に変形を施した『オランダの室内』シリーズとは違い明らかにバラバラの要素をもとに一つの作品を組み立てている。ミロの幅広い作品の中でも、この18点の『コラージュによる絵画』シリーズは、この画家独特の作風を最も反映している作品と言える。ミロは決して、思いつきだけとか根拠のないものとされることはなかった。​1933年（40歳）の夏、​いつものようにモンロチで過ごしたミロは、『コラージュによる絵画』の連作に施したような几帳面なやり方を止め、もっと自由に一連の“コラージュと素描”を制した。なかでも、『ジョアン・プラッツへのオマージュにおけるコラージュ』は特筆される。​​​​​ジョアン・プラッツ​・・・とは？​​​​生涯をカタロニアで過ごした前衛芸術の世界ではよく知られた人物だが、前にも述べたようにミロの親友であり、自分の店を構える帽子屋でもあった。そこでミロは、この友人に気の利いたコラージュをプレゼントしようと思い立ち、雑誌から切り抜いた帽子の写真と素描によるフォルムを組み合わせたコラージュを作った。​​このコラージュによる連作では、主に、広告カタログからではなく、新しい時代の絵葉書や、当時の教科書からモティーフが切り取られ、全体に生き生きした力を感じさせる。そして、コラージュと組み合わせたアラベスク風な素描は、作品全体にかなり大きな役割を果たしている。​1933年（40歳）から翌年にまたがる冬​に、タペストリーの下絵用に描いた2点の絵画・・・『蝸牛・女・花・星』と『つばめの愛』・・・には、再び言葉に表記が見られ、1925年に描いた“詩画”を想起させる。だが、今度の作品ではその目的なかなり異なっている。シュルレアリスム期の作品に見られた言葉は、それ自体に力がみなぎり作品を盛りたてていたが、今度の場合では文章は全体の一部の要素として扱われ、画面の人物とぴったり絡まっている。フォルムはそれぞれに・・・赤、黄、黒などの平坦な色調で描かれ、実に丹念に塗られた背景から浮き立っている。そして、緑から茶か、あるいは深い赤へとグラデーションされたこの背景は実になめらかで、これらの作品からタペストリーを織り上げようとする職人の作業を手の込んだものにするのは明らかである。（参考文献：美術出版社/Joan​​Miró​​ジョアン・ミロより）（写真撮影：ほしのきらり）​​ミロにぽち​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​

  2022.02.12

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  ジョアン・ミロ　1928年（35歳）〜1929年（36歳）オランダ旅行　17世紀オランダ絵画に感銘！　オランダの室内１　1928年　ニューヨーク近代美術館　古典の巨匠たちの作品よりヒントを得た！

  ​​​​​​​​​​​​​​​​​​​ミロはオランダ旅行で美術館巡りをします。そこで古典の巨匠たちに触れて作品にも影響を与えるのであります ​​​​​​​​​​​​​​​オランダ国立美術館で古典の室内絵画を鑑賞する人々​​Joan Miró ​​ジョアン・ミロ1893年4月20日〜1983年12月25日（90歳没）​​​​Joan Miró i Ferrà​（ジョアン・ミロー・イ・ファラー）​​スペイン・カタルーニア地方出身の画家・彫刻家・陶芸家・壁画家。ホアン・ミロ（カタルーニア語読み）パリでシュルレアリスム運動に参加し20世紀美術に独自の地位を築いた。​1928年（ミロ35歳）の春、​ミロはオランダに旅行し、二週間にわたって主要な都市やその主だった美術館を回った。連作『オランダの室内』はこの旅の成果である17世紀オランダの巨匠たちによるアンティシスムの写実に深い感銘を受けたミロは、ここで『農園』に見たようなオブジェの感覚をもう一度甦らせた。人物やオブジェは、いずれも変形され、独特の画面構成をなしている。この変形の全過程は・・・現在ジョアン・ミロ財団に収蔵中の下絵を通して確認することができる。『オランダの室内１』は・・・H・M・ソルグの「リュートを弾く人」がもとになっている。組んだ足の上のリュートは、楽器に脚がついているとさえ思えるほどの大きさで、それを弾く人物の頭部は・・・長くのびたテーブルの白い面に繰り込まれている。テーブルの下には・・・毛糸玉にじゃれる猫がいるし、手前の左手には・・・骨をしゃぶる犬とか昆虫を狙っているヒキガエル、りんごの皮をむく包丁などが描かれている。画面の反対側には・・・床に残った足跡、飛んでいるコウモリ、壁の絵（風景画）などが見える。そして、この絵の右方の窓からは・・・アムステルダムの街並みが眺望できる。運河や橋、はしけ、白鳥、後方の家並みなど。室内の空間は・・・二面の壁と床を表わす色彩で区切られ、これら三つの色面が集まる角に主要素を置くことによって強調されている。『オランダの室内』の連作に施された細部描写は、フォルムと色彩の密接な連携から言って、たとえば『アルルカンの謝肉祭』のようなこれまでの作品に見たいずれとも異なっている。どちらも記述的な描写はあるが、これまでのものが図案の全体的な調和に軸を置いて描かれたのに比べ、今度の作品は、むしろそれぞれの要素にリズミカルな動きが出るように画面構成に手が加えられている。つまり、単なる図案の並置ではなく、真の意味でまとまりのある作品と言える。ヤン・ステインの『猫と踊りのけいこ』からヒントを得た『オランダの室内2』では・・・原作のモデルに実に文学的な趣向をこらし、想像の行きつくままに変形を施している。曲がりくねった線は、構成上とられた処置だろうし、人物のオブジェのサイズも必要に応じて自由に変えられている。『オランダの室内』シリーズの最後の作品は、その題材からして最も厳しい。山羊を生む女を題材に非常な空想の世界が描かれている。この劇的なばかりに状況を、ミロは鮮烈な色彩のコントラストによって強調している。​1929年（36歳）の初め​に描いた4点の連作『想像的肖像』は、この『オランダの室内』シリーズの延長で、やはり古典の巨匠たちの作品を改変したものである。制作的には、こうした古典の肖像画を単に描き移すのではなく、フォルムをつかむきっかけだけに使い、真にミロ風な図形を生み出している。この過程は、連続写真のような下絵を通して見ることができる。ピカソもやはり古典をもとに絵を描いているが、彼の場合は・・・常に参考にした作品との間の関連性を残している。だが、ミロにおいてはそのようなことはなく、フォルムは念入りに描き変えるなど、あくまでミロの独特のやり方で自由な改造を施している。連作の最初の作品は『1750年のミルズ夫人の肖像』で、これはレイノルズの弟子であるジョージ・イングルハートの同名の作品をもとにしている。ディティールにおいては連作中、最も豊かで、特に記述性の点からして『オランダの室内』にかなり近いと言える。原作には、贅沢なドレスに派手な宝石をちりばめた上流階級の女が描かれ、彼女はラブレターを読んでいる。ミロはこうした状況をつぶさに描写しながら、一方で人物の装身具にはユーモアも混じえたりしている。この作品、いや、それだけでなくこの連作の全作品においては、線だけでなく色そのものがフォルムに輪郭をつけている。空の黄色と赤茶色の大地の間には再び地平線が置かれ、帽子や胴着、スカートなどを表わす色斑は線を使わず構成された画面の背景からくっきりと浮き出ている。コンスタブルの肖像画をもとにした『1820年の婦人の肖像』では、簡略化がさらに進む。曲がりくねったシルエットの人物は、色彩の塊で外形がきめられ、黄色の背景から浮き立っている。モデルの他には、ブラウスを留める五つのボタンしか描かれていない。ラファエルの作品をもとにした『ラ・フォルナリーナ』は、連作中で最も図案化されている。ここでは、装飾的な細部描写はいっさい施されず、実にすっきりした背景に人物が際立っている。『プロシアのルイーズ王妃』は特筆に値しよう。作中の人物は、もともと機械の新聞広告から生み出された。と言うのは、この新聞広告を利用して地下鉄の切符の上に素描を試みたところ、その機械の輪郭が、長いドレスの女性のシルエットを連想させたのである・・・ミロの子供の頃は、女たちはいずれも床まで届く長いドレスを着ていたから、彼には実になじみのものだったに違いない。そしてこれを土台に少しずつ形に手を加え、最終的に色彩で画面構成したわけである。連作『想像的肖像』は、1924年に始まる時代の終わりを告げるものとなるが、ミロはこの間、特にフォルムと色彩に見られるような創作上のあらゆる可能性を切り開いてきた。彼が大きく飛躍し、同時にシュルレアリスムに関わった時代は、この時点で幕を閉じ、この後、興味は・・・モンドリアンとカンディンスキーに代表される抽象絵画の研究へと移って行く。​1929年（36歳）10月12日、​パルマにおいて、ピラール・ジュンコーサと結婚その後パリに移り、フランソワ・ムートン街3番地に新居を構えるが、経済的な理由から独立したアトリエを借りることはできず、アパートの一部屋で制作に励んだ。二人はモンロチとバルセロナのアパートをしょっちゅう旅行し、そして、​1931年7月17日、​バルセロナにおいて一人娘マリア・ドロレスの誕生を迎えたのである。（参考文献：美術出版社/Joan​​Miró​​ジョアン・ミロより）（写真撮影：ほしのきらり）​​ミロにぽち​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​

  2022.02.11

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  ジョアン・ミロ　ミロはシュルレアリストだったのか！？　1924年（31歳）〜1927年（34歳）　パイプを加えた男　白い手袋　鳥に石を投げる人　風景　月に吠える犬　蛇のいる風景

  ​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​ミロは意外にダンスが上手でとってもきれい好きで無口な男でした。パリでのミロは、シュルレアリストだったのでしょうかね​ジョアン・ミロSPANISH,1893-1983The Birth of the World 1925 Oil on canvasニューヨーク「近代美術館」MOMA所蔵。​​Joan Miró ​​ジョアン・ミロ1893年4月20日〜1983年12月25日（90歳没）スペイン・カタルーニア出身の画家・彫刻家・陶芸家・版画家。パリでシュルレアリすむ運動に参加し、20世紀美術に独自の地位を築いた。​​​​​​​1924年（31歳）〜1927年（34歳​​）ちょうどミロが・・・『アルルカンの謝肉祭』の制作に没頭していた頃、作家のアンドレ・ブルトンが、​「シュルレアリスム運動」​を起こし、その第一宣言を発表した。そのなかで彼はこう宣言している。「夢と現実という　明らかに矛盾する二つの状態を、　一種の絶対的な現実、　つまり超現実の世界として表すことを　確信するものである」。シュルレアリストたちは・・・夢の世界がもたらす​​無限の可能性に研究の基盤を置いた。したがって、そうした状態を得ることがまず重要であり、そのためには薬や催眠法までも用いられた。実際のところ、何人かのシュルレアリストの作家たちは、こうした手段を取り入れ、そのなかでこそ意識下に潜む未知の事柄を表面化できると信じていた。自動記述法はシュルレアリストの作家たち・・・この運動の初めの頃、文学だけを対象としていた・・・が、用いた最も古典的な制作手段で、心に浮かんだ事柄すべてをそのまま書きとめる方法である。絵画においても、これと同じ方法がとられた。彼らは要素を外部に求めず、あくまでも潜在意識の世界から湧き上がってくるものだけを対象に、夢にに見たものを自在に画面に表した。ミロは・・・絵を見る者に夢をもたらす要素を画面に置きはしたが、夢そのものは描かなかった。催眠法とか薬、アルコールなどの力を借りて創作したことは一度もなく、生活は作品同様、常に整然とし秩序立っていた。だが、内部のひらめきをすべてカンヴァスに具現するやり方、言わば彼のそうした芸術的個性は、アンドレ・ブルトンをしてこう言わしめたのだ。​「​ミロこそ最たるシュルレアリストだ！」​​​1925年（32歳）​から、ミロの絵画は、「シュルレアリスム革命」誌に掲載され、1925年6月12日、ピエール画廊でオープンした個展は、グループの旗揚げそのものの雰囲気があった。招待状には、シュルレアリスムのメンバー全員のサインがあり、カタログのテキストを書いたのはベンジャミン・ペレである。オープニングは・・・パリ中の著名人が一堂に会した感じだった。当時名を馳せたモンパルナスのキキのようなボヘミヤン・タイプから、スウェーデン皇太子や、クレルモン−ネール伯爵夫人のような上流階級の人々まで。場内は、画廊の支配人ピエール・ローブが、床が抜けやしないかと心配するほどの混みようで、会場には万一の騒動に備え、警察官すら積めていた。ミロは・・・とりあえずダンディーなふるまいでこうした客全員を接待し、このあと皆と連れだって夜のダンスホールへと繰り出した。そしてそこで、自分より数インチも背の高い女性を相手に、実に几帳面なステップでタンゴを踊り、友達をあっと言わせたのである。この個展は記憶に残る盛大なものだった。これから数ヶ月、同じ画廊でシュルレアリスムの画家たちの作品展が開かれた。これには、ピカソとクレーの作品も並び、ミロは『アルルカンの謝肉祭』と、やはり1925年に制作した他の2点を出品した。この頃にはグループとの関係も深まり、他のメンバーとの仲はミロがいちばん良かった。とは言え、シュルレアリスムの考えにドップリ浸かって絵を描いていたわけではない。彼の姿勢はあくまで、シュルレアリスムを信じてはいても実行するものではなかった。ブランシュ広場のカフェ・シラノで議論し合うメンバーのなかにミロの姿を見るのは実に珍しいことだったし、仮にそこにいたとしても、めったに口を挟んだりはしなかった。この頃ですら、​ミロの無口は有名だった。​​1925年（32歳）​絵文字風な独自の造形言語を通し、風景や生きものなどのなじみの世界を表わした空想絵画をミロは捨てた。以降、作品は生きものの動きを表現するようになる。画面に動きは夢の絵画を思わせるが、シュルレアリスムの画家が描いた夢の世界とは同一ではない。1925年、26年、27年の毎冬に描いた100点近い絵画にはこの夢の雰囲気が漂っている。ただしこれは、ミロの他の作品ともシュルレアリスムの画家の自動描写によるものとも違ったものである。作品は全体的に単色画に近く、青やグレー、茶などの地色に文字や色斑、記号などが置かれ、その明るい色調のフォルムからは、地色が透けて見える。また、まれにではあるが、色彩による細部描写も施されている。​ジョアン・ミロ作品のなかには判読不能なものも見られる。たとえば『絵画』のような作品に描かれている直線や円といった、我々が前に見た図形である。これは一般的に言って、散歩や読書中に、あるいは飢餓による幻覚状態でもたらされた印象をカンヴァスに映し出したものと考えられよう。ミロはシュルレアリストたちとは違い、壁のひび割れとかしみ、雲の動きなどが作る形のなかにインスピレーションを求めた。そして、こうした観察を一つもたらさずスケッチブックに記録し、創作の出発点としたのである。それほど多くはないが、この時代の何点かは、たとえば風景のような見なれたものとか、自分が直接体験した現実のなかにモティーフを見つけ描いている。​ジョアン・ミロBorcelona,1893年-Palma de Mallorca,1983Pintura(Hombre con pipath)Painting(Mon with a Pipe)1925自分が直接体験した現実のなかにモティーフを見つけて描いている。『パイプを吸う男の頭部』や『午睡』はその例だ。現在、ジョアン・ミロ財団に収蔵されているこの時代のスケッチブックを見ると、後者の作品『午睡』は、初め海のそばの二人の人物を表わしたものだということがわかる。一人が、正午を報せる日時計のかかった家の壁にもたれてうとうとしている。だが、画面ではこれは一個の白い斑として表される。一方、もう一人の人物は岩の付近で泳いでいるが、画面に見るのはこの岩を表わしたとさか状の青い斑だけである。そしてスケッチでは、真昼の太陽がさんさんと降り注いでいる。​ジョアン・ミロ『絵画（白い手袋）』は、マジシャンの白い手袋を主要素とし、おそらくマジックの世界から想起したものと思われる。赤い色斑を伴った一匹の蝶が、全体的に色彩的なポイントと軽やかさをもたらしている。画面を言葉や文章で構成する、いわゆる画家の言う、“詩画”もこの頃描かれた『オー！一人の紳士がこれをすべて成し遂げた』はその例である。こうした作品では、言葉や文章が一つの要素として画面構成され、詩的な言葉が絵的な詩へと造形化される。このような一連の夢の絵画によって、ミロは現代美術の世界に新しい道・・・象徴的叙情の道・・・を切り開いたと言える。だが、彼が創造した、質感と構成のみごとな組み合わせによるこの暗示的な空間を世界中の芸術家が認めるまでには20年という歳月がかかった。​1926年と27年の夏、​ミロはモンロチで過ごすが、ここでこの夢の絵画に見切りをつけ、​風景に戻る。​自分の足で再びしっかりと大地を踏みしめ、自然に沸き上がってくる衝動に添って創作をつづけた。『鳥に石を投げる人』（1926年）では、作中の人物の巨大な片足が大地にぴったりとくくりつけられたように描かれている。また、いなごを題材とした『風景』（1926年作）は、ミロの得意とする小さな野生動物や昆虫の世界を再び思い起こさせ、『月に吠える犬』（1926年作）には、1940年から翌年にかけて描いた連作『星座』にしょっちゅう登場する脱出の梯子を予告するような梯子が現れる。そして『蛇のいる風景』では、一匹の蛇が茶褐色の砂漠の風景に命を吹き込んでいるようだ。こうして、このふた夏を通し、14点の作品が仕上げられた。作業はパリでの作品同様、実に手間のかかる細かなものだったが、彼にとっては土に戻り、しばらくの間、冬に仕上げる題材から離れている必要があった。夢の絵画に見られた暗示的な背景は、いまでは姿を消し、代わって空と地を分かつ地平線・・・教師モデスト・ウルヘルを思い出させる・・・が登場する。この線は実線であるとともに地の色と空の色を対照するために置いた虚線であり、すなわち下界と空で表される天界を仕切る線だった。そして画面にあふれる色彩には、それまでのミロの作品には見られない力がみなぎっていた。（参考資料：美術出版社/ジョアン・ミロより）（写真撮影：ほしのきらり）ミロにぽち​​​

  2022.02.10

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  ジョアン・ミロ　激烈な時代　1923年（30歳）〜1924年（31歳）　パリとモンロチを行ったり来たりする理由とは？　農園→耕地→カタラン風景（狩人）→田園→カタロニアの農夫の頭部→K嬢の肖像→葡萄酒の瓶→アルルカンの謝肉祭　ミロが乗り越えたフォルムの集大成！

  ​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​ミロが30歳頃にはフォークアート「農園」を描細密画で描きますがいきなり記号化して行きますどれどれJoan Miró​ジョアン・ミロBorcelona,1893年-Palma de Mallorca,1983Pastorale(Pastoral)1923-1924Oleo sobre Lienzo​『パストラル』1923年〜1924年​スペイン「国立ソフィア王妃芸術センター」所蔵。記号化した農園ですね​​​Joan Miró ​​​ジョアン・ミロ1893年4月20日〜1983年12月25日（90歳没）​​​​Joan Miró i Ferrà​（ジョアン・ミロー・イ・ファラー）​​スペイン・カタルーニア地方出身の画家・彫刻家・陶芸家・壁画家。ホアン・ミロ（カタルーニア語読み）パリでシュルレアリスム運動に参加し20世紀美術に独自の地位を築いた。​1923年（30歳）の冬、​ミロはパリに戻るが、完全に表現手段に行き詰まり、独自の道を見失ったその頃、ダダの運動は・・・あらゆる先入観を捨て、新しい表現主義を生むことを狙いとし、「ブロメ街グループ」の間で、新しい言葉が作られていた。ミロは、こうした仲間といることで気が安まり、難局を切り抜ける自信を感じた。前の年の夏『農園』を描き上げるためにモンロチから草をパリのアトリエに持ち込んだが、この時、それまで熱中していたものは一切捨てて、『耕地』の制作に取りかかった。自分の“目の前の”現実をそのまま描写するのではなく、自分が見たものとそれによって、自分の内部に湧き上がってくるその時の感情を大事にしようとした。つまり、見たものから受けた衝撃を表そうとしたと言える。ミロ自身、外の現実に幻想を求めようとはしないし、それどころか、自然のなかに避難しようとも思わない、と語っている。​​『耕地』​​は多くの面で、『農園』を思わせる。画面にはまたしても、家や畑、そして蝸牛、トカゲ、鳥といった生き物が描かれている。こうしたものにはすべて細部描写がなされているが、もっと隠喩的で詩的なレベルまでもって行こうと言う思いが明らかに見てとれる。植物に関しても同じだ。松の木には生きものであることを強調するため、人間の目や耳がついている。画面全体は平坦で、面の分割は遠近法によるものではなく、むしろ感情のままという結果である。だが、生きものたちは、どれも同等に処理されている。この作品には、実と嘘がぴったり同居している。この架空の世界が、ミロのこれからの作品を序々に占めて行くことになるが、ここで注意しなければならないのは、想像、つまり存在しないが・・・存在可能なものを見る能力と、空想、つまり存在もしないし、存在も可能なものを見る才能とを混同しないようにすることだ。『耕地』で初めて見られた変革は、『カタラン風景』へと繋がって行く。時には『狩人』とも呼ばれるこの作品では、様式化がさらに目立つ。たとえば、イナゴマメの木には、想像上の変形が最大になされている。この木の丸っぽい形状は、円として描かれ、そこから、先端に一枚の葉をつけた枝が突き出ている。そして、『耕地』で見た松の木のように、ここでも人間の目がついている。これと同じように、人間の姿も、ひげや毛糸帽子やパイプといった人間の姿を暗示させるものと変えられる。その日の猟から戻った狩人は、やせた腕のその右手に火を吹く重い銃を持ち、左手にはウサギを一匹ぶら下げている。フォルムは・・・円、円錐、直角、三角といった幾何学的な図形か、あるいはシンプルな線でまとめられている。この線には・・・狩人の胴体やいわしの場合のような直線か、あるいは生命を表す場合のような波線があり、動と不動が対立している。ご覧のように、曲がりくねった表現をなすのは口ひげ、いわしの舌、太陽の光線、心臓、炎などである。画面右下の​​Sardの文字は・・・カタルニアの伝統舞踊の名称Sardanaか、手前の魚Sardinaから来たものだろうか。このあいまいな文字の意味を、ミロ自身は・・・陸にあがった水生動物を見た経験から死んだ魚を意図して表した、と言っている。これと同じ年の夏、『田園』という作品が描かれている。油彩を使わず、カンヴァスに単にドローイングしたものだが、このなかには、この先、ミロ独自の造形言語となるさまざまな事案や記号が山と盛り込まれている。​1924年（31歳）​の時に描いた三点の連作の最初の作品『カタロニアの農夫の頭部』は、またまた、他の作品の一部を引き伸ばしたような錯覚を与える。『狩人』のなかの狩人の頭部がそれだ。だがこの場合はむしろ、本当に人間の姿というよりは、農夫の頭部を支える木の足のせいで、オートマットかあやつり人形のように見える。直角は普通、女性を表すが毛糸帽子になり、水平軸の両端の目はロボット的な効果を高めている。そしてこのロボットが大きなパイプをくゆらしている。二作目『K嬢の肖像』は・・・女性を象徴化した恒例と言える。三角形と直角がまた出てくるが、ここでは人物が女性であることを表している。乳房は、一つは真正面から、もう一つは横向きに描かれ、横の線を軸に結びついている・・・カタロニアの農夫の両目が水平軸とつながっていたのを思い出す。大地には野葉が実り、植物とも根とも見える。空には鳥、そして心臓についた炎は人物の感情を表象している。三作目『母性』では記号がさらに進み・・・構図的にもすっきりしてくる。ここでは、斜めに交差する二本の線のそれぞれの端に置かれた要素が女を表している。まず、画面右下の穴のあいた黒い扇型が女性器で、その他、端が頭部。洋服屋のマネキン人形のような頭には毛が逆立っている。もう一本の線の両端はいずれも乳房で、真正面から見た丸くて白いのが月、横向きの茶と黒の混じったのが太陽をそれぞれ記号化している。そして白い乳房では女の子（髪の毛からして）、他方では男の子が乳を飲んでいる。また、くねくねした黄色の線は女の心臓である。画面に置かれた要素はこれで全部、つまりは、こうしたわずかな要素で十分に生命の歌を歌いあげられるのだ。『葡萄酒の瓶』・・・1924年〜1925年の『昆虫たちの会話』も同様だが、ある意味で、大地と取るに足らない小さな動物たちへの賛歌である。葡萄酒の瓶は火山となり、大地の生きた力をほのめかしている。その大地には山によっても象徴される。蛇や昆虫は、ラフォルスに手紙で伝えたことの現れだ。その手紙には、小さな草の葉や昆虫たちの命、それにモンロチの田舎で育くまれるすべてのものにこそ心を惹かれる。と書かれていた。『アルルカンの謝肉祭』は、想像を軸に描き続けてきた時期の最後の作品である。細部描写がみごとに行き届き、観察にも注意がいるほどだ。ミロがこれを描いたのは実に生活の苦しい時期で、事実、飢餓状態にあったが、彼には試練に耐え作品を描き続けた。それはまるで、上流に向かってろを漕ぐこぎ師のようだった。と述懐している。ここでの主要な要素は、ギターを弾くオートマットと大きなひげを蓄えたアルルカンだ。毛糸玉にじゃれる二匹の猫、卵から飛び出してきたばかりと思える青い羽の鳥、星に向かって跳んでいるとび魚、サイコロのなかから出て来た昆虫なども見える。そしてテーブルの上には地球儀があり、梯子からは巨大な耳がとび出し、目のついた円筒や円錐形が床に散らばっている。あいた窓の向こうには、太陽と、エッフェル塔を表した円錐形が見えている。色彩は明らかにバロック的だが、画面全体の調和は保たれている。よく見ると、格子を使った画面部分によって、それぞれを処理しているのがわかるだろう。『アルルカンの謝肉祭』は・・・きつく絶え間ない一年の創作活動を通した​ミロが乗り越えたフォルムの集大成である。​ちょうど『農園』を完成させた時のように、画家は長い画歴の一時代をまとめあげた・・・​短期間だが実に激烈な時代だった。​（参考文献：美術出版社/Joan​​Miró​​ジョアン・ミロより）（写真撮影：ほしのきらり）​​ミロにぽち​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​

  2022.02.09

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  ​​Miró​​　ジョアン・ミロ　フォークアート　細密描写の時代　1918年〜1922年　ミロ＝25歳〜29歳　ミロ、パリへ行く　極貧生活　恥ずかしがり屋の性格　1922年　農園がヘミングウェイに渡るまでの経緯とは？

  ミロは、細密画を描いていた時代もあったのですね〜ヘミングウェイとミロの関わりも知っておきましょうスペイン・マドリッドにて​​​Joan Miró ​​​ジョアン・ミロ1893年4月20日〜1983年12月25日（90歳没）​​​​Joan Miró i Ferrà​（ジョアン・ミロー・イ・ファラー）​​スペイン・カタルーニア地方出身の画家・彫刻家・陶芸家・壁画家。ホアン・ミロ（カタルーニア語読み）パリでシュルレアリスム運動に参加し​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​20世紀美術に独自の地位を築いた。​1918年〜1922年「細密描写の時代」​（ミロ＝25歳〜29歳）自分のアトリエ以外で、初めて自分の作品を見るという経験をしたミロは、その年の夏をモンロチで過ごし、作品に新しい方向を得ようとした。そこから送った友人のリカルトへの手紙にはこう書いている。「他の何にもまして僕の興味を惹くのは、　木や屋根がわら、　木の葉、木の枝、　草の葉などのカリグラフィーだ」。これには、作品に対する姿勢の変化がはっきり現れている。この頃ミロは・・・実に手間のかかる細かな手法に夢中になっていた。この年の夏に仕上げた風景画が４点だけというのも理解されよう。『ロバのいる楽園』『かわら工場』『やしの木のある家』『小径』と題する４点の作品は、まるで、モンロチ周辺の田舎で育くまれた大地の実をすべて描き表しているようだ。どんな小さな野菜でも樹木と同じように細かくていねいな仕上げが施されているし、畑は畝ごとにきっちりと隣との区別がついている。また、アクセントも忘れてはいない。『ロバのいる楽園』では・・・ロバが草をはもうと近寄っているところだけに草の描写がなされている。色彩は、ほかの３点と変わらない。これは４点の作品全体の印象を一つにすることと同時に、それぞれの細部を考えたためであろう。​1918年から翌年前にまたがる冬の間、​再び肖像画に戻り、『少女の肖像』と２作目の『自画像』を描くが、いずれも前年の夏に得たディテールの手法を施している。色彩は、もはや、1917年から翌年にかけて描いた肖像画のようなバラバラな感じではなく、少女のドレスの青にも自画像のジャケットの赤にも見られるように、フォルムを強調し、構図をより強めている。だが、フォルムの処理に関して両者は同じではない。アーモンドのような形の目をした少女の顔は、浮世絵を思わせる。おそらく、当時のバルセロナでは見慣れない顔だったはずだ。一方、自画像の平坦さは再びロマネスク絵画を想い起こさせるが、加えて、ジャケットの折り目などには、キュビスムの手法が取り入れられている。2点の肖像画を描き終えた後、ミロは初めてのパリ旅行に出発し、​1919年3月3日、​現地に到着する。すでにミロの作品において、バルセロナやモンロチ、あるいはパルマが果たした役割を述べたが、画家に決定的な影響を与えたもう一つの土地についてはまだ何も語っていない。パリ、当時、ダダイズム全盛のパリで、ミロは初めて前衛美術に触れる。ルーヴルは・・・彼がそれまでに知る最初の大美術館だった。青年の衝撃はあまりにも大きかった。彼は滞在中に絵を描くことも、スケッチをすることも忘れ、カタロニアに戻った。見たもののすべてを反芻し、消化するには明らかに時間が必要だったのだ。二度目の旅行こそ真の重要性があったと言えよう。カタロニアに戻ると、彼はすぐモンロチに向かい、そこで、前年に描いた風景画と同じ手法で『モンロチの教会と村』を表した。この作品は、三つの面に区切られ、画面の下から順に積み重ねたような構図になっている。その区分は遠近法によるのではなく、現実描写の内容の違いによってなられている。たとえば、画面手前の第一面には、さまざまな穀物を植えた幾何学的な形の畑が細かいいくつか見られるし、とんで、後方の第三面には、細部まで詳しく描写した村が描かれている。そして、この翌年には静物画を4点完成させた。『カード・ゲーム』『馬・パイプ・赤い花』『葡萄の房』『テーブル、あるいはウサギのいる静物』作品はいずれも、こり過ぎと言えるほど実に慎重に描き出されており、明らかにキュビスムの手法を取り入れている。全体的に平坦な画面に奥行きを出そうと、相当量の線を斜めにとぎれとぎれに置いたりしているのを見てもわかるだろう。ミロのキュビスムへのアプローチは、一見、かなり上っ面だけのように思えるかもしれない。だが、実のところ、ピカソやブラック、グリスらが抱えていた課題とは大きくかけ離れていた。最初のパリ行きは・・・ある意味で探検旅行でしたなかった。1920年の暮れ、ミロは再び現地に赴き、まず、アトリエを捜すことから始める。彫刻家：パウ・ガルガリョは、バルセロナ美術館学校で教鞭をとっていたためパリにいるのは夏の数ヶ月だけだった。二人は、ガルガリョがバルセロナに滞在中は、ミロがこのプロメ街45番地のアトリエを使うことで合意した。そしてミロは毎年の夏をモンロチで過ごした。このころのミロの経済状態は・・・それは大変なものだった。もちろん家族の援助はあったが、彼の方から求めたりはしなかったから、貧乏生活は実に厳しく、事実、まともな昼食をとるのは、一週間に一度という有様だった。アトリエにあるのはフライパンやソファ、椅子ぐらいのもので、しかもみんな蚤の市で買ったものだ。だが、こうではあったが、アトリエはきちんと片付き、ミロのきれい好きは友だちの間でも評判だった。そうでなければ、制作できなかったのだ。パリでの難題は・・・経済的なことばかりでもなかった。恥ずかしがり屋で生まれつき無口な彼は、パリにいるカタロニア人たちとほとんど交流がなかった。唯一付き合いのあったロレンス・イ・アルティガスを通し、徐々に芸術の世界に知人を得るようになる。たとえば、“ダダの夕べ”に参加し、代表者トリスタン・ツァラに初めて会ったのもアルティガスを通してだったことだった。アトリエのあったブロメ街は、まもなくして、バル・ノアールのおかげで有名になった。そこにはパリの著名な人々がひっきりなしに出入りしていた。ミロはそこで、さまざまな作家や芸術家たちと出会った。ブロメ街の住人アンドレ・マッソンもその一人で、彼はミッシェル・レイリスやジョルジュ・ランボー、ロベール・デスノス、アントナン・アルトーといった連中と​“ブロメ街グループ”​を作っていた。ダルマウが、ボエティエ街のラ・リコルヌ画廊で、ミロの個展を企画するのは1921年のことである。パリにおけるミロの最初の個展ではあったが、結果は惨憺たるもので、絵は一枚も売れなかったこの失敗の後、ミロはモンロチに戻り、そこで、細密描写の時代の傑作であり、また将来へのカギを握ることとなる作品『農園』の制作にとりかかる。完成を見るのは1922年、​パリにおいてである。​この作品は、都会にありがちな金目当ての社会や、せせこましさに対するミロの拒絶が歴然と現れている。画面には・・・家畜や植物や農作業用の道具などが描かれ、どの細部描写にも人々の生活の姿が滲みでている。ミロはこうした細部の一つ一つを実に詳しく観察した。パリに戻る時には、ブロメ街のアトリエで制作が続けられるようにモンロチから草を持ち帰ったほどである。モチィーフはいずれも、それぞれ別々に研究されたが、全体はきれいにまとまっている。たとえば、家の壁にできたひび割れやコケの細部描写は、鶏小屋の四角い金網とうまく釣り合っている・・・鶏小屋を一部しか描かなかったのは、なかの家畜を見せないため、とミロは語っている。また、地面のあちこちに散らばっているオリーブしぼり用の桶や踏み台、じょうろ、バケツなどの位置は、ミロの注文どおりに農夫が置いたものだった。植物は、とうもろこし、アガーべ、画面中央の木などが目につくが、とにかくあらゆる植物を描き出そうという努力が伺える・・・ちなみに、画面中央の木はトゲのある巨木だが、木が持つあらゆるものの象徴と言える。畑の中に巨木を置くというこの表現は、一見、不釣合いのようだが、熟考したうえでのことである。つまり、木も草の葉も同等に重要なモティーフであるという画家の考えを表そうとしたものと思われる。それほど気は進まないが、ミロはこの『農園』を抱え、興味を持ってくれそうな画商を何人か回った。だが、買ってくれる者はいなかった。考慮の末、モンパルナスのカフェに掛けることにした。ここでは、画家たちに一晩に一点だけ作品を掛けさせてくれた。しかし、結果はここでも同じだった。アメリカの詩人エヴァン・ジップマンが、この作品に興味を持つのは、これから何年かのちである。彼は、アーネスト・ヘミングウェイに買ってあげたいと思ったのだ。購入資金に不足していた二人は、友だちの間を駆け回り、当時、ミロの代理人だったジャック・ヴィオがこの絵につけた5000フランをついにかき集めた。こうして『農園』は、ヘミングウェイの所有するところとなった。ミロとヘミングウェイは、この頃すでに知り合っていて、アメリカン・センターでのボクシング仲間だった。ミロの回想によれば・・・二人は実に奇妙なコンビで、​​ヘミングウェイは、背が高くてがっしりしていたが、ミロは、やせて背も低かった。それでも二人は互いに打ち合いを楽しんでいたと言う。『農園』で頂点に達したディテールの手法は、このあとミロの作品から徐々に消えてゆく。1921年、『スペインの踊り子の肖像』を表すが、これは色刷の印刷物からヒントを得たものだった。モデルの独特の顔立ちを別にすれば、付随するモティーフをすべて剥ぎ取った強烈で明確な手法で描写した作品と言える。この踊り子は、巨匠：パブロ・ピカソのコレクションに収蔵されることになる。1922年の夏は、写実の時代の最後となった以下の作品を描いた。『農婦』『花と蝶』『アセチレンランプ』『小麦の穂』。『農婦』は『農園』の一部を引き延ばし、型通りに描いたもののように誤解されやすいかもしれない。構図的には、農婦の抽象的な雰囲気によって、何か現実からかけ離れた感じを与えている。ミロが常に、フォークアートに心を惹かれていることを強調する作品と言える。最初に目につくのは農婦の体に不釣合いな​​大きな足​​で、​ミロが大地のエネルギーと触れ合うと信じる足が​この作品でも表現されいる。​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​（参考文献：美術出版社/Joan​​Miró​​ジョアン・ミロ/ロサ・マリア・アレ著より）（写真撮影：ほしのきらり）​​​​ミロにぽち​​​​​​​​​​​​​​​​​​​

  2022.02.08

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  ミロ​​​​　Joan Miró I Ferrà ​青年期初期　作品　画学生時代の出会いとは？　1915年〜1917年　22歳〜24歳　ガリ美術学校　聖ルカ文化サークルのデッサン教室　ダダ　フランシス・ピカビア　マルセル・デュシャン

  ​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​ジョアン・ミロは、ガリ美術学校に入学した後、聖ルカ文化サークルのデッサン教室で学び、1918年にバルセロナで初めての個展が開かれるまでを学んでみましょう​Joan Miró ​​​Joan Miró ​​ジョアン・ミロ1893年4月20日〜1983年12月25日（90歳没）​​​​Joan Miró i Ferrà​（ジョアン・ミロー・イ・ファラー）​​スペイン・カタルーニア地方出身の画家・彫刻家・陶芸家・壁画家。ホアン・ミロ（カタルーニア語読み）パリでシュルレアリスム運動に参加し20世紀美術に独自の地位を築いた。​1911年（18歳）​うつ病と腸チフスにかかり、モンテロッチで、療養生活を始める。​1912年（19歳）​バルセロナのガリ美術学校に入学。​病気も完全に回復し、画家として身を立てていこうと心に誓いモンロチから戻ったミロは、​フランセスク・ガリの主宰する美術学校に入学した。​ここは私立の画塾で、ラ・ロンハ美術学校に比べ、もっと自由な姿勢があった。教室は校舎内に留まらず、生徒たちが自由に外に出て、自然のなかから自然の要素を題材に絵が描けるようになっていた。そして、またここではしょっちゅう詩の朗読とか盛んに繰り返された。ミロがカタロニアの詩人たちと接触するのはこの時代が初めてであり、以来ずっと彼らの詩に親しむことになる。ガリが、新しく入ったこの画学生に最初に試みたことは、色を使わずオブジェ（たとえば水滴や水差し、じゃがいも・・・）だけを題材に静物画を描かせることだった。仕上がりを見て教師は呆気にとられた。ミロは与えられたオブジェを、ガリの言葉をそのまま使えば、“壮麗な夕日”に描き表わしていたのだ。ともあれ、ガリの言葉は、少なくともミロの色彩豊かな構成から受けた印象だったと言える。ガリはすぐにもミロのなかの生まれついた色彩感覚を見抜いたが、一方で、フォルム描写の無器容さを見てとった。これを訓練するにあたり、まず彼はミロにハンカチで目隠しさせ、そのままの状態でオブジェを指で触れさせたり、隣の生徒の頭に手をやって輪郭を捉えさせた後、オブジェを見ないで感じたままを描き表すよう伝えた。このような触覚によるガリの教授方法は、ミロの新しい感覚を磨き、この先もずっとミロの制作画において非常に重要なものとなった。ミロは画家になりたての頃、ある友人と親交を深めるが、彼と初めて出会うのは・・・ガリ美術学校においてだった。この親友は、E・C・リカルトで、何年か後、二人はサン・ペドロ街に共同でアトリエを借りる。​1915年（22歳）​ガリ美術学校で学んだ最後の年から​1918年（25歳）​にかけては、聖ルカ文化サークルのデッサン教室に通い生活描写の訓練を積んだ。この間に描かれたスケッチブックは、当時のミロの日常生活や興味を知る大きな手がかりとなる。たとえば、典型的な裸婦のデッサンはなく、代わりに踊り子や道化師、あるいは、ミュージックホールの人々がスケッチされている。これは明らかに、ミロが自分なりのスタイルを完成させたいと願っていたことを意味している。そして同時に、より自由で自信にあふれる線描は、こうしたエンターティーメントの世界の人々をスケッチしたもののなかに見られる。聖ルカ文化サークルでは・・・生涯の親友となるジョアン・プラッツや、のちに長年にわたり共同作業をする陶芸家：ロレンス・アルディガス、そしてのちに、「農園の前のミロ」を著わす　J・F・ラフィルスらと知り合う。ここでは、これから画家になろうとする人ばかりか、たとえば著名な建築家：アントニー・ガウディー のような、（1852年6月25日〜1926年6月10日）すでに名声を確立した芸術家までも学んでいた。ガウディー はその頃、人生の終わりにさしかかってはいたが、このデッサン教室の勤勉な学生であった。​1914年（21歳）​ミロは、ガリ美術学校在学中に「農夫」を描いている。この題材は、何度も描かれた。土に求める画家のルーツとモンロチでの長い滞在で得た影響が、このようにかなり早い時期から作品中に表れていると言えよう。人物のフォルムは・・・たっぷりした色と非常に厚ぼったいフォビスムを思わせるタッチで描かれている。フォルムのゆがみや非現実的な色彩、そして厚ぼったいタッチに象徴されるフォビスムの影響は、実にミロの早い時期の作品のほとんどに見てとることができる。「リフォーム」と題するバルセロナで描かれた作品以外に、​1916年（23歳）とその翌年​には、モンロチ、カンブリス、シウラナ、プラデスなどで、一連の風絵画が描かれるが、フォビスムの特徴はどの作品にも現れている。ミロ自身、​1918年（25歳）まで​の自分の作品はいずれもフォビスムであると説明している。しかし、この場合、ミロの意味するフォビスムと、フランスのフォビストたちが言うそれとは同一でないことを心に記す必要がある。確かに、コントラストを成すように単色を並置し、色そのものに現実とは全く違う独自の表現価値を持たせるという点では両者とも同じである。だが、筆の運びにおいて両者は異なり、ミロのタッチは他方に比べ、やや線が細く、それほど自在ではない。​1916年（23歳）から翌年にかけて​描かれた風景画のなかには、フォビスムの影響を受けていない作品もある。「プラデスの街路」や「シウラナの村」などは、それぞれゴッホとセザンヌの作品を思い出される。ミロがダルマウに作品を見せるのは、1916年（23歳）の時である。ダルマウはのちにバルセロナにおけるミロの初の個展を企画する画商で、彼の画廊は時代の最先端を行く動向を知るための一種の広報機関のようだった。第一次世界大戦によって、バルセロナには多くの外国の芸術家たちが天地を求めてやって来ており、その結果、街の文化や芸術面の動きはかなり活発化していた。若いカタロニアの芸術家たちは・・・当然のことながら、ピレネー山脈の向こう側で生まれる作品がどんなものかをしきりに知りたがっていた。ダルマウ画廊には・・・さまざまな芸術愛好家たちが集い、たとえば、フランシス・ピカビアとの会話に長い時間をさいたりした。ピカビアは、マルセル・デュシャンと並びアメリカにおけるダダ・グループを代表する運動家である。このグループの主な狙いは・・・1914年の戦争勃発を許した偽善的な社会をあざけることだった。ブルジョワとアカデミックな芸術に対する攻撃は、最も多様な形で現れ、その巧妙さと想像力は注目に値した。ピカビアは、バルセロナで評論誌『391』を発行していたが、この地にもいろんな前衛誌が定期的に入っていた。『レ・ソワレ・ド・パリ』『ノール-シュド』『ランスタン』などはその例で、『ノール-シュド』は・・・ミロの一枚の油彩画のなかに描かれているし、バルセロナとパリで同時発行の『ランスタン』は・・・1919年作の最初のポスターに見ることができる。またこの頃は、当時注目を集めていたフランス詩人たちの作品が、J・V・フォアやジョセフ・マリア・ジュノイらによって、カタロニア語に翻訳された。・・・ちなみにジュノイは、ミロの最初の個展のカタログに紹介記事を書いている。この頃のミロは、ある意味で、事の成り行きを静観していたと言っていいだろう。彼自身認めているように、ダダの影響を受けるのは・・・二・三年後、パリに住むようになってからである。また、当時サン・ペドロ街51番地にE・C・リカルトと共有していたアトリエで、12点ばかりの静物画と、9点の肖像画を描いているが、それらの線描は、いまだにフォビスムに添って表されている。これらの静物画にはまた、ほとんどにキュビスムと、とりわけセザンヌの影響も現れている。「ナイフのある静物」は・・・セザンヌとキュビスムとフォビスムが独特の手法によって何時に表された作品と言える。「青い瓶」と「バラ」では・・・自由な色使いに比べ、構成とオブジェを整然と、しかもそれぞれの個性を失わずに表現しょうと努力した形跡がはっきり見られる。「ノール-シュド」には・・・ミロが望んでいた色彩とオブジェのバランスの良さを見ることができる。テーブルクロスの色合いは、構成上の軽やかさを考え、円状の流れにアレンジされているようだが、オブジェはそれぞれの形を保ち、全体の調和を図ろうとしている。ミロは、頑固とも言えるほど、ただひたすら制作に打ちこんだ。1917年から翌年にかけては、9点の肖像画を描いている。これらの肖像画を描くにあたっては、学生時代同様、またしても人物描写という難題にぶちあたった。ミロの人物描写はいささか荒っぽい。たとえば、​「E・C・リカルトの肖像」では、黄、青、ピンク、緑、紫といった強烈な色彩がジャケットの縦縞で強調され、背景の黄色や、人物の後ろの壁に貼ってあるコラージュのような浮世絵と鮮やかな対照をなしている。肖像画に登場する手はいずれもぶかっこうで、ねじれて、ほとんど関節炎でも患っているようだ。「V・ヌビオラの肖像」は、その好例で、この苦痛を感じさせる手が全体に異常な生活とか暴力といった扇情的な感じを与えている。テーブルは、キュビスムの技法によってゆがんでいるが、このテーブルに長いこともたれていたかに見えるモデルが、画面構成にある独自のリズムをもたらしていると言えよう。「自画像」・・・1917年、1919年、1937年、1960年にそれぞれ描かれた4点の自画像のうちの最初の作品・・・のなかの聖職者のような姿勢は、少年の頃に強い印象を受けたロマネスク絵画から想起されたように思われる。構成的には主題以外には何もなく、画家の姿だけが描かれている。9点の肖像画は、前述の３点の他、「マリア（シウラナの農婦）」「J・F・ラフォルス」「ヘリベルト・カザニィ」「ファニータ・オブラドール」「ラモン・サニエール」らの肖像と、「立っている裸婦」である。​1918年2月16日から3月3日まで、​バルセロナ、ポルタフェリーサ街のダルマウ画廊で、ミロの最初の個展が開かれ、1916年からそれまでの作品のほとんどがこの個展で発表された。（参考文献：美術出版社/Joan​​Miró​​ジョアン・ミロより）（写真撮影：ほしのきらり）​​ミロにぽち​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​

  2022.02.07

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  ジョアン・ミロ​​　Joan Miró ​幼年期と学修期　1893年〜1915年　0歳〜22歳　ミロの性格とは？　ミロの作品の意味を理解するうえでの基礎的な要素を知る！　幼い頃のミロの絵とは？

  ​​ミロの幼年期から詳しく知りたくなってまいりましたね〜どんな時代だったのでしょうねワクワク​ジョアン・ミロ​​　Joan Miró ​​Joan Miró ​​​ジョアン・ミロ1893年4月20日〜1983年12月25日（90歳没）​​​​Joan Miró i Ferrà​（ジョアン・ミロー・イ・ファラー）​​スペイン・カタルーニア地方出身の画家・彫刻家・版画家・陶芸家・壁画家。ホアン・ミロ（カタルーニア語読み）パリでシュルレアリスム運動に参加し20世紀美術に独自の地位を築いた。20世紀における急速な技術革新は、さまざまな職業にかつてない専門化をもたらしてきた。だが、こうした現象も芸術の分野においては、それほど強い影響があったとは思われない。制作上のあり方から言って、ジョアン・ミロは、おそらく精神的には原子力時代にふさわしいというよりもルネサンス期の流れをくむ芸術家の典型と言っていいだろう・・・つまり、この時代の芸術家は、ある日、「受胎告知」を描いたかと思えば、翌日には、新しい市壁の建造計画に携わる、といった風だったのである。ミロのこうしたあり方は、時代錯誤といった問題とはいっさい関係なく、次の二つの事実要素から論理的に導き出される。一つは、家系的に受け継いだものであり、もう一つは、素材やフォルム、色彩のなかに見出されるあらゆる可能性を探求しないではいられない彼自身の飽くことなき性格である。絵画、彫刻、版画、タペストリー、陶器、舞台とミロの作品分野が多岐にわたっているのは実にこのためである。​ジョアン・ミロの名前は・・・​父方の祖父から受け継いだものだが、この祖父は、タラゴナ県コルヌデラで鍛冶屋を営んでいた。父は、ミケル・ミロ・アツェリアスで、村を出てバルセロナに行き、宝石類の細工や時計製造の職人として働いた。のちにパルマの家具職人の娘ドロレス・フェラーと結婚彼女は、父の店の近くのオロミという靴屋の親戚にあたり、ちょくちょく遊びに来ていたのである。タラゴナとマヨルカに、それぞれ父方と母方の祖父母を持ったことで、ミロは幼い頃からこの二つの土地にしょっちゅう出かけていた。ミロが暮らしたり、あるいは滞在したさまざまな土地は、彼の作品の意味を深く理解するうえでの基礎的な要素と言える。たとえば、カタロニア美術館に設置されたばかりのロマネスク様式のフレスコ画の世界に初めて接するのは、生地バルセロナにおいてだった。簡潔な構成、豊かな色彩、精確な線描、想像力に富むフォルムは、のちに画家としてのミロを捉えたように幼いミロの心を魅了した。​​バルセロナではまた、ガウディー の建築にも触れた。その曲線と波打つようなリズム。そのリズムに、ミロは影響されつづけたと認めている。とは言え、ミロの画歴の過程において、バルセロナが果たした役割は二次的なものでしかなかった。要するに、どんな大都市にも画家の根底に流れるルーツを見出すことはできないのだ。ミロはずっと、タラゴナの田舎に強く心を惹かれていた。初めのコルヌデラと、のちのモンロチ・・・1910年、両親がここに農園を買い、それはのちに、ミロの代表作の一つとなる作品に表される・・・で、彼は生まれて初めて農作業とか、雑草や小さな昆虫などを間近にした。言わば、大地から自然に湧き上がって来る力を感じたのだ。足元から肉体に伝わるその力を感じようと、じかに大地を踏ん張っていたいとミロは常々思っていた。大地に触れる足とその壮大とも言える光景をくまなくカンサスする目、この二つはほとんど妄想的な像としてミロの作品中にしばしば出現する。そこに、タラゴナの田舎との非常に強い結びつきを見て取れることができよう。海の青さと、マヨルカの光り輝く空の素晴らしさは、モンロチ近郊の田舎の攻撃性とは、唐突なほど対照的だった。ミロが地中海に魅せられたのは、マヨルカにおいてであり、バルセロナではなかった。マヨルカでミロは、生きた色彩を捉えることができた。この張りつめんばかりの青を、画家は終生カンヴァスに表しつづけた。そしてまた、詩やフォークアートのあどけない魅力に取りつかれるようになるのもマヨルカにおいてだった。フォークアート・・・たとえばシュールだ。この一風変わったプラスター製の笛は、人物や動物の形をした小さな彫刻で、遠い昔から、マヨルカの農夫たちの手で広められてきた。ミロのカタルニアへの思いは、子供の頃からつちかってきたこの土地への広い理解に裏打ちされたもので、作品および制作の姿勢に現れている。彼は・・・農夫が農作業をするように絵を描く、と告白している。たとえ創作熱にとりつかれた厳しい瞬間にも、絵に必要なタッチや欠けている要素を見る冷静な目を忘れてはいない。現存するミロの最初の素描・・・現在、ジョアン・ミロ財団に収蔵中・・・には、1901年の日付けがあり、画家8歳の時のものである。花瓶、傘、魚、亀などを題材にしたものだが、いずれも現実描写に富み、色彩的にも不足はない。なかでも最も注目に値するのは、変わった題材と構成から言って、おそらく足治療医院での光景を描写したものだろう。この作品では、足、ミロを虜にした人体の一部である足が中心として現われている。また、現存する最も古いスケッチブックには、1905年当時のコルヌデラやパルマでの生活描写が収められている。だが、人物描写はかなりむづかしかったと見えて、どこにも見当たらない。幼いジョアン・ミロの絵に対する興味はますます募っていくが、一方で、それに反比例するように、学業はだんだんおろそかになっていった。1907年、上の学校に進む年齢となり、両親は彼を商業学校に入れることを決める。安定したいい仕事を見つけるのに必要な教養を身につけされるためである。当時のバルセロナ社会を支配していた風潮が、なによりも、秩序と、倹約と、勤勉を重んじる精神に色どられていたことを考えれば、息子の野望に対してとった両親の態度が自然なものであったことは理解されるはずである。彼らにとって、芸術家になりたいという後継ぎの考えに同意することなどとういてい不可能なことであったろう。当時、芸術家は、女や酒におぼれ、自堕落な生活を送る人のように一般には思われていたのだから。商業学校で学びながら、ミロはラ・ロンハの名で一般に知られる（バルセロナの株式取引所のなかにあったことからこの名がついた）有名な美術学校のデッサン教室に通った。同校には12年前、ピカソが入学している。​​ピカソのデッサン力は教師をしのぐほどで、学校じゅうの人々が舌を巻いたという。ミロは勤勉ではあったが、不自然なものはどんなものでもはねつけ、アカデミズムとか、しきたりといったものには見向きもしない生徒だった。だが、モデスト・ウルヘルとホセ・パスコという二人の教師との恵まれた師弟関係は、在学中のいい思い出だった。ジョアン・ミロ財団には、ウルヘルの作品を描写した画家の素描が数点収められている。ウルヘルの作品に見られる悲しげないと杉とか、今にも崩れ落ちそうな壁などは、ミロの素描には見られない。作品はあくまで遠回しな描写を避け、木でも、石でも写実的に描かれている。だが、何もない空間の意味とか、空と地を分かつ地平線の妙味とか、星を絶え間なく散りばめる感覚などは、ウルヘルから学んだものである。ホセ・パスコは、ラ・ロンハでの装飾美術の教師だった。ミロの父は、前にも述べたように、息子が絵に夢中になっているのをよしとなしなかったが、パスコなら少なくとも宝石商売に役に立つ何かを息子に教えてくれるだろうと考えていた。いずれにしろミロは、パスコのおかげでカタロニアの職人の技能に見られるような簡潔な表現や、生き生きした色彩を識別する目を養うことができた。さらに付け加えれば、パスコは当時のあらゆる芸術運動に詳しく、そうした運動から得た新しい考えを装飾美術の分野に取り入れ、その分野の向上と装飾美術のマンネリ化を防ぐために努力していた。1908年にミロがパスコの教室で描いた2点の素描を見ると孔雀と蛇をそれぞれ題材にしたこれらの素描は、いずれもブローチの下絵として描かれたものだが、当時、はやっていたアール・ヌーボー調のアラベスク模様や曲がりくねった線が実にはっきり表れている。商業学校を卒業し、ミロは17歳でダルマウ・イ・オリベラス商会に見習い会計士として就職した。だが、まもなくして、この新しい仕事に全くなじめなかったこともあって、重病を患ってしまう。この神意とも言える病気により、彼はモンロチで長い療養生活を送ることになる。そして、自然や野生的な田舎の風景、農作業などを間近に見たその地で、生涯を絵画の世界に生きようと決心したのである。（参考文献：美術出版社/Joan​​Miró​​ジョアン・ミロより）（写真撮影：ほしのきらり）​​ミロにぽち​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​

  2022.02.06

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  ミロ　カタルニア風景　狩人　The Hunter(catalan Landscape)1923-1924 ニューヨーク　近代美術館　MOMA所蔵　カタルニアの風景　カタルニアの空を引き裂くトゥールーズ＝ラバト飛行

  ジョアン・ミロの宇宙を感じさせる代表作『カタルニア風景』狩人を鑑賞してみましょう「耕地」に現れた眼がここでは画面中央で、眼と標的の二重像になっている。眼とつながった樹木は、標的のようなその断面によって表されているのだ。一瞬の閃光、「ああ！何もかもあの殿方たちの誰かがしたことなのです」とミロは翌年の作品にかき入れる。ここでは・・・彼の頭文字「M」が画面の右側をただよい、海の波となって、空のカモメたちと共鳴し、鏡像のように互いを映し合う。ここに提示された光線は、まったく新しいものだが、ミロにとっては現実そのものだ。焼き網があり、薬があり、梯子（はしご）がある。この作品のためのデッサンの一枚には、正確に描写された木の葉とともに、「カタルニア風景：カタルニアの空を引き裂くトゥールーズ＝ラバト飛行」と記されている。​​​​Joan Miró ​​ジョアン・ミロThe Hunter(catalan Landscape)1923-1924Oil on canvas  65.0cmx100,0cm​​『カタラン風景（狩人）』1923年〜1924年『カタルニア風景​（狩人）』1923年〜1924年​ニューヨーク「近代美術館」MOMA所蔵。Purchase,1936​​Joan Miró ​​ジョアン・ミロ1893年4月20日〜1983年12月25日（90歳没）​​​​Joan Miró i Ferrà​（ジョアン・ミロー・イ・ファラー）​​スペイン・カタルーニア地方出身の画家・彫刻家・陶芸家・壁画家。ホアン・ミロ（カタルーニア語読み）パリでシュルレアリスム運動に参加し20世紀美術に独自の地位を築いた。​ミロの飛行によって・・・​空は、まさしく引き裂かれている。事物は、幾何学的な形に還元され、あるいは、逆に幾何学的図形が事物になる。切り離された内臓、表意文字、点線の軌跡、触れ合う形象、習作のデッサンには、左側の「狩人」のわきに「性器」とと記されていた。そして完成作では・・・その言葉に対応して、せいえきを放出する性器が描かれている。それは地中海沿岸に生育する、指で触れたとたんに種子を遠くへ飛ばすエクバリウムの実のようだ。遠くから見ても、あるいは近づいて見ても、アポリネールが目指したように、事物と言葉の区別がつけられなくなっている。魚の網と、イワシ（sardine)を表す「sar​​d」の文字は、同じ書体で描かれている。しかし、イワシの形象は、その名前を示す文字と共通するところはない。そして、この魚の名前は、半分までしか書かれていないために、イワシ（sardine)ともサルダーナ（sardana、カタルニア地方の踊り）とも読むことができる。このカタルニアの風景は、記号の踊りであり、エロスの踊りでもある。どちらか一方が欠ければ、もう一方も成立しないだろう。（参考文献：​​Miró​​・岩波/世界の巨匠ミロより）（写真撮影：ほしのきらり）​​​ミロにぽち​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​

  2022.02.05

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  きらり　旅の計画その２　Mallorca 憧れの「マヨルカ島」計画【世界遺産】トランタナ山脈の文化的景観　ジョアン・ミロ　母と妻の故郷　マヨルカ島のミロ美術館

  ​​​​こんな時代だからこそ「夢」と「希望」を膨らませないといけません〜スペインから「マヨルカ島」へ渡ってみましょうマヨルカ島までは、スペイン・マドリッドから１時間15分バルセロナからは、50分Mallorca『マヨルカ島』は・・・右下（地図：るるぶスペインSpain’21オラ！芸術と世界遺産情熱の国へより）なんと〜ハネムーンにぴったしなのだとか​​どうですこのビーチ​​ホテルの窓を開けると・・・​​【マヨルカ島へのアクセス】​​マドリッドから・・・１時間15分バルセロナから・・・50分イビサ島から・・・40分（ヨーロッパ主要都市から直行便がある。）バルセロナからフェリーで、６時間半〜８時間半バルセロナから高速船で、３時間半〜４時間イビサ島からフェリーで、４時間〜５時間イビサ島から高速船で、２時間〜２時間半バレンシアからフェリーで、７時間〜９時間半バレンシアから高速船で、４時間〜６時間半（便数や料金はシーズンによって異なるのでサイトで確認）（地図：地球の歩き方2020〜21バルセロナ＆近郊の町イビサ/マヨルカ島より）バルセロナの南東、西地中海に浮かぶバレアレス諸島は、マヨルカ、メノルカ、イビサの３つの大きな島と、フォルメンテーラなど小さな島々からなる。なかでも最も大きく、バレアス自治州の州都があるのがマヨルカ島だ晴天の日が年間300日以上、1年を通して温暖な気候と、変化に富んだ自然のため、​「地中海の楽園」​と呼ばれてきた。現在では、太陽とビーチを求めて年間500万人以上もの観光客が訪れる、ヨーロッパ屈指のリゾート地になっている。古くから地中海交易の重要な拠点であったマヨルカ島は、1229年にアラゴン王ハイメ1世が、イスラム教徒から奪還。その後マヨルカ王国を建国し、サンチョ王の辞世下に繁栄を極めた。州都パルマ・デ・マヨルカには、王国時代の栄華を伝える街並みが今も残り、１歩町を離れると、オリーヴやアーモンド、レモンの林が広がる。​​断崖が続く複雑な海岸線には、小さな砂浜や入江が点在する。（地図：地球の歩き方2020〜21バルセロナ＆近郊の町イビサ/マヨルカ島より）​『​ミロ美術館​』​Fundasió  Pilar i Joan Miró 「ベルベル城」から南西へパルマ市郊外の海を見下ろす高台に、画家：ジョアン・ミロが・・・晩年を過ごしたアトリエがある。​​Joan Miró ​​ジョアン・ミロ1893年4月20日〜1983年12月25日（90歳没）​​​​Joan Miró i Ferrà​（ジョアン・ミロー・イ・ファラー）​​スペイン・カタルーニア地方出身の画家・彫刻家・陶芸家・壁画家。ホアン・ミロ（カタルーニア語読み）パリでシュルレアリスム運動に参加し20世紀美術に独自の地位を築いた。​​このアトリエに隣接して、ミロ美術館が1992年にオープンした。​コレクションは・・・基本的に、ミロが亡くなったとき、アトリエに残されていた作品で構成されている。ほとんどは、1960年〜1970年代に、マヨルカで制作されたもので、絵画、版画、リトグラフ、スケッチ、水彩画、彫刻など、その一部が展示されているが、いかにもミロらしい子供のらくがきのようなスケッチなどもあって楽しい。幼年時代から母の故郷マヨルカで休暇を過ごしていたミロにとって、マヨルカの自然は深く心に刻まれたに違いない。美術館のテラスから見るパルマの真っ青な海と空は、まるでミロのように明るく澄み渡っている。​「ミロ美術館」​住所：C,de Saridakis 29 971-701-420開館＝火曜日〜土曜日　10：00〜18：00（5月16日〜9月15日　〜19：00）日曜日・祭日　10：00〜15：00休館日＝月曜日・1月1日・12月25日​料金＝​7.5ユーロ​​16歳〜18歳・65歳以上　4ユーロ無料＝土曜日の15：00以降と毎月第1日曜日、16歳未満【行き方】マヨルカ島のスペイン広場またはマヨルカ通りなどからバス46番に乗りSaridakis下車ジョンアン・カルロス1世広場などから、バス3番、20番で​Joan Miró 270（Hotel Nixe Palace)下車後、進行方向右側に続く坂道を上がって10分。（参考文献：地球の歩き方2020〜21バルセロナ＆近郊の町イビサ/マヨルカ島より）（写真撮影：ほしのきらり）​​​​世界遺産マヨルカにぽち​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​

  2022.02.04

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  きらり　スペイン・バルセロナへの旅（希望）ジョアン・ミロを訪ねる旅　カタルーニャ訪問計画　空港→スペイン広場→ミロ公園→カタルーニヤ美術館→ミロ美術館→リセウ駅　パブロ・ピカソ　ジョアン・ミロ　アントニ・ガウディー

  ​​​​​​​​​​​​​​​​ジョアン・ミロ、パブロ・ピカソ、アントニ・ガウディーと言えばスペインのカタルーニヤ地方への旅を計画してみましょう〜2016年スペイン・マドリッドにてるるぶスペイン’21​​晩年のガウディとミロ青年は面識があったのです。​​Joan Miró ​​ジョアン・ミロ1893年4月20日〜1983年12月25日（90歳没）​​​​Joan Miró i Ferrà​（ジョアン・ミロー・イ・ファラー）​​スペイン・カタルーニア地方出身の画家・彫刻家・陶芸家・壁画家。ホアン・ミロ（カタルーニア語読み）パリでシュルレアリスム運動に参加し20世紀美術に独自の地位を築いた。​​Miró​​に特化しての旅・・・地球の歩き方2020〜21​​バルセロナ＆近郊の町イビサ島/マヨルカ島ミロ生誕の地：バルセロナはここ終端の地：マヨルカ島にも行きたいですね（地図：地球の歩き方2020〜21バルセロナ＆近郊の町イビサ/マヨルカ島より）（地図：るるぶスペイン’21まち歩きマップより）スペイン広場周辺​「スペイン・バルセロナ計画」​日本（成田空港）　バルセロナ・エル・プラット国際空港着（ターミナル１）Planta 0 到着（ターミナル２＝ミロの大壁画が飾られている）　空港バス　Aerobus(Planta 0)地上階が乗り場８チケット（バス乗り場のスタッフ又は運転手から購入）［行き］スペイン広場下車　スペイン広場「エスパーニャ駅」北へ　ミロ公園Parc Joan ​​​Miró​​ミロの巨大なオブジェ「鳥と女」​　スペイン広場に戻り10分　カタルーニャ美術館Museu Nacional d'Art de Catalunya　​ミロ美術館​Fundació Joan Miróタクシー乗車　地下鉄「リセウ駅」下車ミロがデザインしたモザイクの敷石・・・・・・・・・・・・・・・『​カタルーニャ美術館​』Museu Nacional d'Art de Catalunya住所＝Park de Monjuic９３６−２２０−３７６地下鉄「エスパーニャ駅」から10分開館＝火曜日〜土曜日　10：00〜20：00　　　（10月〜4月〜18：00）日曜・祝日　10：00〜15：00休館日＝月曜日、1月1日、5月1日、12月25日入館料＝12ユーロ、学割8.40ユーロオーディオガイド＝4ユーロ無料＝16歳未満、65歳以上、無料＝土曜日の15時以降、第1日曜日、5月18日、9月11日・24日​​『ミロ美術館​』​Fundació Joan Miró住所＝Park de Monjuic９３４ー４３９ー４７０スペイン広場から150番バスで5分パルク・モンジュイック駅（ケーブル）から3分開館＝4月〜10月火曜日〜土曜日　10：00〜20：00日曜日　10：00〜18：0011月〜3月火曜日〜土曜日　10：00〜18：00日曜日　10：00〜15：00休館日＝月曜日、1月1日、12月25日・26日入館料＝13ユーロ、学割・65歳以上＝7ユーロ無料＝15歳未満オーディオガイド（日本語あり）は別途5ユーロ無料ガイドツアーあり（予約不要）（英語：木曜日13：00〜スペイン語：土曜日11：00〜）1年間有効（年パス）14ユーロ（お得！）『少女の肖像』1919年『白い手袋』1925年『財団のタペストリー』1979年などがある。ざっくりと​Miró​​を訪ねてみましたそうそう「マヨルカ島」にも行きたいですねマヨルカにも「ミロ美術館」があります。（写真撮影：ほしのきらり）​​​​マヨルカにぽち​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​

  2022.02.03

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  ミロ​​​​　Joan Miró ミロを知る！ ミロ星人になってミロ！ ミロの絵は宇宙人が描いた絵みたいだ！​　子どもにも知ってほしい画家ミロの絵本（参考）大人にも分かりやすいミロの経歴

  ​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​ミロの絵本『ぷっかり地球へ』文＝結城昌子さん（小学館あーとぶっく13）より。ミロについて楽しく知ることができる絵本でです​​（写真：ほしのきらり）​くね　くね　くね​くね　くね　くね自由に　動きまわるいきいきとした　線みたことない生きものミロの絵は宇宙人が描いた　絵みたいだまだ暗い　朝の空​星たちが　形をつくって​おどりだすあらっ目が　できた鳥が　飛んだとかげになった​​黄色​い空の　まんなかに​​ぽっかり生まれた　青い空​空に　うかんだ　宝石みたいだあら　なんでしょう黒い線がのびてきて・・・のびてきて・・・・・・うっかり　地球に　まいおりたあら　ここは　どこでしょう考えるのは　やめましょうわたしは　だれでしょう​​プカ　プカ　プカ​​​遠くの​星​から　やってきた​​プカ　プカ　プカ​ミロ星から　やってきた​プカ　プカ　プカ​ミロ星人　なんです​​​​音楽を​きくのが　好きです　ミロ星人飛びます飛びますおどりますたまにはお祈りもします昔の　絵をみるのも　好きです　ミロ星人音楽が　きこえてきそうな　絵だったらなおさらです​​おや　おや　おやっこんな　ところにいぬがいるねこもいる​​ちょっと　ちらかっているけど・・・おみせしますねミロ星人　部屋のなかすみっこまで　よ〜く　​ミロ​はしごも　目がある　耳があるつなひきしてる？机の上をおよぐ　さかなバイオリンひきかな？この絵を描いたとき、ミロは貧乏だったので　おなかが、とても空いていました。　空腹しすぎて、幻覚をみました。　それを絵にしたのがこの作品ミロ星人の　絵ことば　です​くね　くね　くね　くね　くね　くね​アメーバもようのおもしろい　形ミロ星人は　絵ことばで陽気な　夢を　伝えています（きみも　ミロ星人に　なってみないか）目を　とじて　​ミロ​耳を　すまして　​ミロ​​ミロの　宇宙が　みえるかい？​宇宙の　声が　きこえるかい？みて　​ミロ​遊んで　​ミロ​感じて　​ミロ​ミロの宇宙と　交信して　​ミロ​​ミロ星人・・・とは？​​​Joan Miró ​​ジョアン・ミロ1893年4月20日〜1983年12月25日（90歳没）​ジョアン・ミロは・・・​1893年、スペイン・カタルニア地方の大きな港町バルセロナに生まれた。地中海の面したカタルニア地方は、昔から独特の文化をもつ誇り高い土地だ。20世紀のはじめころには、建築家：ガウディーが、​​聖家族教会（サグラダ・ファミリア）に代表されるような風変わりな建物をたて、カタルニアの人々にアートの豊かさを伝えた。ミロも子どものころから、絵を描くのが大好きだった。けれど、時計職人だった父に画家になることを反対され、しかたなく会計士の仕事についた。が、それは長続きしなかった。やがてミロは病気になり、療養のために、バルセロナの南にある母方の田舎でしばらく暮らすことになった。ここが​モンロチ​村。そこでミロがみつめたカタルニアの自然こそ、ミロを画家に目覚めさせ、ミロ芸術のインスピレーションの源となるものだった。ミロはのちにモンロチという土地が、いかに自分にとって大きい存在かをくりかえし語っている。ミロは26歳ではじめてパリに出たミロは当時、芸術の都だった。パリではたくさんの刺激的な仲間に出会った。ミロは食事を切り詰めるほど貧乏だったが、パリとモンロチを行き来しながら絵を描き続けた。最初にミロの絵を絶賛したのは・・・​​作家のヘミングウェイ。ミロの初期の​『農園』​を手に入れるために、友だちのもとを走りまわってお金を集めるほどだった。このころパリに超現実主義（シュルレアリスム）をかかげるグループがあった。超現実主義・・・とは？いろいろな方法を使って古いイメージからぬけだし、思いもよらない新しいイメージを作り出そうという主義。ミロも同じカタルニア出身の​​サルバドール・ダリらとともにグループのひとりになった。たくさんの詩人や小説家たちと親しくつきあうようになって、ミロの絵は明るく自由で、どこか不思議なものになっていった。そしてミロはグループの中心的な画家といわれはじめた。ミロの人生に暗いことがおこった。スペイン内乱や第二次世界大戦だミロは戦火を逃れて北フランスやマジョルカ島へと逃げまわった。そしてそのそあいだでも『星座シリーズ』を製作し続けた。戦後は・・・アメリカ、フランス、スペインに滞在し、マジョルカ島にもアトリエを持ち、版画、陶版、彫刻などに活躍の場を広げ、さらに楽しい作品をつくるようになるユーモラスな雰囲気さえ漂わせるミロ作品は、地中海風土が生んだ軽妙な詩的表現として、多くのファンをもっている。​​​​​​​​（参考文献：ミロの絵本『ぷっかり地球へ』結城昌子・小学館あーとぶっく13より）（写真撮影：本文とほぼ関係なくミロ作品→ほしのきらり）​​​ミロにぽち​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​

  2022.02.02

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  ジョアン・ミロ​​　 ​第1回​​　Joan Miró ​1893年4月20日〜1983年12月25日（90歳没）ミロの言葉　ミロの略年譜　Cataluna カタルーニャ地方・・・とは？

  ​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​ミロについて今日から知識を深めてまいりましょうか〜20年振りにカタルーニャへの旅の夢を見ながら​​【ジョアン・ミロの言葉】「3000年後に　私の絵を見た人が、　私が絵画だけでなく、　人間の精神を解放する　手助けもしたことを、　理解してくれればと思う」​​ジョアン・ミロ・・・とは？​​​​​​Joan Miró ​​ジョアン・ミロ1893年4月20日〜1983年12月25日（90歳没）​​​​Joan Miró i Ferrà​（ジョアン・ミロー・イ・ファラー）​​スペイン・カタルーニヤ地方出身の画家・彫刻家・陶芸家・壁画家。ホアン・ミロ（カタルーニア語読みの氏名）パリでシュルレアリスム運動に参加し20世紀美術に独自の地位を築いた。​カタルーニヤ地方・・・とは？​​Cataluna​​​スペイン・カタルーニャ州カタルーニャ州は・・・スペイン北東部の地中海岸にあり、交通の要衛として古代から栄えた。カタルーニャ州は独自の歴史・伝統・習慣・言語をもち、カタルーニヤ人としての民族意識を有している。中世には・・・アラゴン連合王国として、地中海の​覇権​を握ったが、スペイン王国成立後には衰退した。1979年には・・・スペイン国家内で自治州の地位を得たが、2010年代には・・・カタルーニャ同率運動が盛んになり、2017年10月には・・・カタルーニャ共和国として独立宣言が行われるに至った。アントニ・ガウディとサルバドール・ダリもカタルーニャの出身。​​『​ミロ略年譜​』​​​1893年（ミロ＝0歳​）4月20日、スペイン・バルセロナで生まれる。父は、金銀細工師のミケル・ミロ・イ・アゼリアス。母は、マリヨルカ島出身のドロレス・フェラ。​1901年（8歳）​「足の治療師」、「亀」などの水彩によるデッサンをする。​1907年（14歳）​バルセロナのラ・ロンハ美術学校に入学。ムデスト・ウルジェイの授業を受ける。​1908年（15歳）​装飾美術「蛇」を制作。​1911年（18歳）​うつ病と腸チフスにかかり、モンテロッチで、療養生活を始める。​1912年（19歳）​バルセロナのガリ美術学校に入学。​1914年（21歳）​「農夫」「海景、モンテロッチ」などを制作。​1918年（25歳）​ダルマウ画廊で最初の個展を開く。「リカルトの肖像」などを展示するが、まったく買手がつかず。わだち「轍」「ヤシの木のある家」「ロバのいる菜園」「モンテロッチの耕作」「少女の肖像」「自画像」などを「細密主義」の手法で制作。​1919年（26歳）​「モンテロッジ、教会と村」「モンテロッチのブドウ畑とオリーブの木」などを制作。​1920年（27歳）​はじめてパリに行き、パブロ・ピカソのもとを訪ねる。「分析的キュビスム」の影響を受けた「ブドウ」「馬とパイプと赤い花」「スペインのカードゲーム」「ウサギのいる風景」などを制作。​1921年（28歳）​「立っているヌード」などを制作。3月29日、パリのラ・リコルヌ画廊で個展を開催するも失敗。​翌22年にかけ、写実主義時代​の傑作で、のちにヘミングウェイが買い取ることになる「農園」の制作に没頭。​​1922年（29歳）〜1924年（31歳）、​​画家デュビュッフェのアトリエを借り、「花と蝶」「カーバイドランプ」「麦の穂」「農婦」などを制作。​1923年（30歳）​モンテロッチにて、「耕地」「狩人」「牧歌」「家族」の4点を制作。​1924年（31歳）​「母性」「紳士」「K婦人の肖像」などを制作。翌25年にかけ、シュルレアリスムの影響を受けた作品「アルルカンのカーニヴァル」を制作。​1925年（32歳）​パリのピエール画廊で個展を開催し、画商のジャック・ヴィオから契約の申し出を受ける。「カタルーニャの農夫の顔」などを制作。​1926年（33歳）​「愛」「ヌード」「月に吠える犬」などを制作。舞台「ロミオとジュリエット」の装飾・衣装のデザインをマックス・エルンストとともに制作。​1928年（35歳）​オランダを旅行し、「オランダの室内」と題した3点の絵画を制作。コラージュ作品「スペインの踊り子」を制作。​1929年（36歳）​マリョルカ島出身のピラール・ジュンコサ・イグレシアスと結婚​1930年（37歳）​長女：マリア・ドロレス誕生。​1934年（41歳）​「野生の絵画」シリーズ始まりとなる15点のパステル画が完成。​1936年（43歳）​スペイン内戦が始まるニューヨーク近代美術館で開催された「空想芸術、ダダ、シュルレアリスム展」に出品。​1937年（44歳）​パリで万国博覧会が開催され、スペイン館に「刈り入れ人」を出品。ポスター「スペインを救え」をデザイン。​1938年（45歳）​「自画像１」「星が黒人女の胸を愛撫する」「座る女」などを制作。​1939年（46歳）​フランス北西部ノルマンディー地方のヴァランジュヴィルへ移動。「星座」シリーズの制作を開始。​1941年（48歳）​美術史家スウィーニーがニューヨーク近代美術館で、ミロの最初の回顧展を開催し、本格的な研究書を出版。​1944年（51歳）​ブラッツによって「バルセロナ」シリーズが出版される。​1945年（52歳）​画商マティスが、ミロの初期の陶芸作品と「星座」シリーズの23点を展示した展覧会が大成功に終わる。​1947年（54歳）​アメリカ滞在。テラス・プラザ・ホテルの「壁画」を制作。​1948年（55歳）​マーグ画廊で絵画と陶器の最新作が展示される。ツァラの詩集「反頭脳」の挿絵を制作。​1956年（63歳）​パルマの「ソン・アブリネス」にアトリエが完成。​1957年（64歳）​ヴェネツィア・ビエンナーレ展版画部門国際大賞を受賞。​1958年（65歳）​アルティガスと共同制作したユネスコ本部の壁画が完成。パルマのアトリエの近くの土地「ソン・ボテール」を購入。​1959年（66歳）​アルティガスと共にグッゲンハイム財団国際大賞を受賞。ブルトンの散文詩を添えた「星座」シリーズを出版。​​​1960年（67歳）「赤い円盤」​​​などを制作。​​​1961年（68歳）「青」​​​3部作が完成。​1962年（69歳）​パリ国立近代美術館で回顧展が開催される。​1964年（71歳）​ロンドン、チューリヒ、バルセロナで展覧会を開催。​1966年（73歳）​東京、京都で展覧会を開催。​1968年（75歳）​バルセロナで最初の公式展覧会が開かれる。​1969年（76歳）​「ミロ・オトロ」展を開催。​1974年（81歳）​グラン・パリとパリ市近代美術館で回顧展が開催。「死刑囚の希望」３部作画完成。​1975年（82歳）​バルセロナにジョアン・ミロ財団を創設。​1979年（86歳）​マリョルカ島にピラール＆ジョアン・ミロ財団を創設。バルセロナ大学から名誉博士号を授与される。​1982年（89歳）​最後の彫刻制作である「女と鳥」を制作（バルセロナ市役所）。​1983年（90歳）12月25日、​パルマで死去。（参考文献：創元社・ミロー絵画を超えた絵画より）（写真撮影：ほしのきらり）​​​​​ミロにぽち​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​

  2022.02.01

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  カンディンスキー　最終回　【保存版】　作品　パリ・ポンピドゥー・センター　ニューヨーク・ソロモン・R・グッゲンハイム美術館　解説　ローマ・ヴァチカン美術館　ニューヨーク・近代美術館　きらり　撮影

  ​​​抽象絵画の創始者「​​ワシリー・カンディンスキー 」の作品を何点か研究してみました​​​​フィンランドの流氷とともに私の『カンディンスキー美術館』ワリシー・カンディンスキー​Vassily Kandinsky​​​1866年12月4日〜1944年12月13日（78歳没）ロシア出身の画家・理論家。抽象絵画の創始者。ドイツ・フランスでも活躍。​Vassily Kandinsky​Mosca 1866-Neully-sur-Seine 1944​​​​​​Sunday-old pussia1904-1905Woodcut on paper18.0cmx27.0cmヴァチカン市国「ヴァチカン美術館」所蔵。カンディンスキーは・・・抽象画家でありながら、自然とその法則、その論理を深く愛し、のみならず現実より世俗的な側面をも愛していた​Vassily Kandinsky​​Blue Mountain(Der blaue Gerg)1908-1909​Oil on canvas（油彩・カンヴァス）106.0cmx96.6cm​『青い山』1908年〜1909年​​ニューヨーク「ソロモンR.グッゲンハイム美術館」所蔵。垂直に切り立つ赤と黄の岩肌（？）を背景に、中央に青々と山がそびえ。その手前を白馬にまたがる男たちの一行が横切る！赤・青・黄の面を主体とした堂々たる構図と、白馬の隊列がもたらす斜めの動きが噛み合って、みごとな効果を上げている。この作品のすぐ後に、やはりターバンと長衣をまとう男たちの登場する『インプロヴィゼーションII』などが描かれており、一連の作品には、エキゾティックなテーマが潜んでいるようだ​Vasily KandinskyFrench,born Russia.1866-1944Picture with an Archer 1909​Oil on canvas​　177.0cmx147cm​『射手のいる絵画』1909年​​(射手のいる絵）​ニューヨーク「近代美術館」MOMA所蔵。馬上の射手は、カンディンスキーの好みの主題のひとつ。この絵の射手は後ろ向きで、狙っているものもはっきりぜず、この点では、これ以前の作品とは違っている。左前にはふたりの人物が見え、またふたつの岩に囲まれて、性格不明の建築的モティーフが見える。何本かの木と緑っぽい形態は風景を暗示している。​Vassily Kandinsky​​​1866年-1944年Im provisation XIV,1910​Huile sur toile 74.0cmx125.5cm​『インプロヴィゼーションXIV』​『即興　HIV』​​1910年​パリ「ポンピドゥー・センター」（国立近代美術館）所蔵。カンディンスキーは、二人の騎士の対決を描き、色彩と線のダイナミズムを高揚させることを目論んだ！カンディンスキーの述べるところによれば、動きの概念を絵画表現に託することによって、「ダイナミックな事実」をこの絵に集約しようと考えたのである。​​​​Vassily Kandinsky​Improvisation28(second version)(Improvisation28[zweite Fassung])1912Oil on canvas  113.0cmx158.0cm​​『即興２８』​1912年​​​『即興XXVIII』(第二版）『インプロヴィゼーション28』ニューヨーク「ソロモン・R・グッゲンハイム美術館」所蔵。​​​Vassily Kandinsky​Small Pleasures(Kleine Freuden)June 1913Oil on canvas（油彩・カンヴァス）109.8cmx119.7cm​『小さな喜び』1913年6月​ニューヨーク「ソロモン・R・グッゲンハイム美術館」所蔵。1912年10月〜12月、モスクワに帰郷したカンディンスキー が、ドイツに戻って間もなく、6月に完成したのがこの作品であり、ちなみに同じ月には、彼はモスクワを謳いあげて終わる「回想」を書き終えている。画面中心に聖堂を戴く丘の上の都市が描かれその彼方（右上コーナー）に天上の都市が見える。また画面右手には荒波の中のボートが、左下には、男女のカップルが、左上には、山稜を駆け上がる騎手や、赤々とした太陽などが配されている。タイトルの中の「喜び」が複雑形であるのは、いくつもの小さな喜びを抱きとめるものとしての大きなモスクワといった意味でしょうか？​Vassily Kandinsky1866年-1944年Im Grau,1919[Dans le gris]​『灰色のなかに』1919年　​(灰色の中に）Huile sur toile  129.0cmx176.0cmパリ「ポンピドゥー・センター」（国立近代美術館）所蔵。この大作は「コンポジション」シリーズに加えるべき作品。この作品は、よく知られた作品であり、完成された作品であり、抽象的、風景と複雑かつ広々とした背景に浮かぶ長い形態を、変化に富んだ薄塗りの灰色の中で組み合わせたものである。​Vassily Kandinsky​Circles on Black(Krugi na Chyornom)1921Oil on canvasニューヨーク「ソロモン・R・グッゲンハイム美術館」所蔵。Vassily Kandinsky​Sin titulo(Unitled)1922Acuarela y tinta sobre papelスペイン・マドリッド「ティッセン・ボルネミッサ美術館』所蔵。​​Vassily Kandinsky​En el ovalo claro 1925In the Bright ovalOleo sobre cartonスペイン・マドリッド「ティッセン・ボルネミッサ美術館』所蔵。Vassily Kandinsky​​​1866年-1944年Gelb-Rot-Blau,1925[Jaune-rouge-bleu]​『黄・赤・青』1925年3月〜5月​Huile sur toile（油彩・カンヴァス）127.0cmx200.0cmパリ「ポンピドゥー・センター」（国立近代美術館）所蔵。ひとえに赤・青・黄の三原色というが・・・これは言葉の上、図表の上の区分かけに過ぎず、カンディンスキーが扱うのは、それらの無限かつ具体的なヴァリエーションだこの作品では濃い紫と黄（補色関係）の地の上に、黄・赤・青のゾーンが並んでいる。陰の主役は「円」である。輪郭のはじけた円（黄のゾーン）から、円と短形の蓄積するゾーン（赤）へ、そして青い正円へと、３つのゾーンは、「円」を変奏しながら、左から右上へとゆるやかに動いていく。​​Vassily Kandinsky​Several Cireles(Einige Kreise)January-February 1926？？Oil on canvas  129.4cmx131.1cm​『黒い線１』1913年​​ニューヨーク「ソロモン・R・グッゲンハイム美術館」所蔵。​​​Vassily Kandinsky​Several Circles(Einige Kreise)Januari-February 1926​『いくつかの円』​『多数の輪』​​1926年​Oil on canvas(油彩・カンヴァス）140.0cmx140.0cmニューヨーク「ソロモン・R・グッゲンハイム美術館」所蔵。妻ニーナは、1925年〜1927年をカンディンスキーの「円の時代」と呼んでいる円は、それ自身のうちにいかなる方向性ももたない図形であるが、本作品を見るとわかる通り、円相後の関係は、画面にさまざまな方向性をもたらすし、大小の違いは、奥行き方向の運動や浮き沈みを示唆する。変化のある黒は・・・色とりどりの円の存在感を際立たせ、また画面に宇宙的な静寂を授けている​​Vassily Kandinsky​​​1866年-1944年​​Auf Spitzen,1928[Sur les pointes]  ​油彩・カンヴァス　140.0cmx140.0cm​『尖りに拠って』1928年​パリ「ポンピドゥー・センター」（国立近代美術館）所蔵。空中に懸かるステージの上で、倒立した鋭角三角形の上に円を載せた不安定な線の構造体が、右に左に揺れている。空中に浮かぶ円、台の上に置かれた小さな正方形と比べても、それらの形はいかにも不安定であり、ここではバランスを取って立つことの危うさじたいがテーマになっているようだまた、画面中央の上方にまた一つ、三角形の尖端が見えており、それらの形象は空から降りてきてステージに降り立ったもののようです​Vasily KandinskyFrench,born Russia.1866-1944White-Soft and Hard 1932​Oil on gouache on canvas​カンヴァスに混合技法　80.0cmx100.0cm​『白、柔らかく、そして堅く』1932年​The Riklis Collection of McCrory Corporation,1985ニューヨーク「近代美術館」MOMA所蔵。​​​Vassily Kandinsky​​​​1866年-1944年Trente,1937​Huile sur toileパリ「ポンピドゥー・センター」（国立近代美術館）所蔵。Vassily Kandinsky​​​​1866年-1944年​Entassement regle,1938『規則的な体積』1938年（多彩色なアンサンブル）​​Huile et ripolin sur toile116.0cmx89.0cmパリ「ポンピドゥー・センター」（国立近代美術館）所蔵。この作品は、顕微鏡で見た細胞のようであるがこの類推は正しくない！それはふたつの点から証明できる。まず題名である。カンディンスキーの題名は、常に作品を説明する但し書きである。ここでは形態要素が、何らかの秩序に従って沈殿し堆積していることを表している。ふたつめの理由は、色彩のポリフォニーは、「自然」の要素を思わせるものが何もない。ということである。​Vassily Kandinsky​Various ActionsAugust-September 1941Oil and enamel on canvasカンヴァス　混合メディア　89.0cmx116.ocm​『さまざまな動き』1941年​​『様々なアクション』​ニューヨーク「ソロモン・R・グッゲンハイム美術館」所蔵。有機的形態と幾何学的形態、大きなものと小さなものとの戯れを表したような絵で、その題名に示されるように、軽快な線的要素が絡み合っている。​​（写真撮影：ほしのきらり）​​​​​​​カンディンスキーにぽち​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​

  2022.01.31

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  カンディンスキー　総集編　カンディンスキーの全てがわかる年譜　Vassily Kandinsky 画家　理論家　抽象絵画の創始者　1866年12月4日（誕生）〜1944年12月13日（享年78歳）　きらり

  ​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​カンディンスキーの生涯を辿ってまいりましたが、さらに詳しく調べてみると新しい知識がモリモリと湧き出てきたのです〜ここで今更ですが全体が見えてきましたVassily Kandinsky​Sin titulo(Unitled)1922Acuarela y tinta sobre papelスペイン・マドリッド「ティッセン・ボルネミッサ美術館』所蔵。​​ワリシー・カンディンスキー​Vassily Kandinsky​​​1866年12月4日〜1944年12月13日（78歳没）ロシア出身の画家・理論家。モスクワ大学で法学・国民経済学を学ぶ。抽象絵画の創始者ドイツ・フランスでも活躍。​​​カンディンスキー年譜 ​​​​1866年12月4日（0歳）​ワシリー・カンディンスキーは、東シベリアの生まれの裕福な茶の商人を父とし、モスクワ生まれのドイツ系女性を母として、モスクワに生まれる。しかし、なぜかカンディンスキーは、1916年までは12月5日に自分の誕生祝いをしている。​1869年（３歳）​両親と共にイタリアに旅行。​1871年（5歳）​一家は黒海沿岸の港町オデッサに移り住んだが、転居後に両親は離婚。カンディンスキーの教育は叔母のエリザベート・ティチェーフが見る。カンディンスキーは生涯彼女に恩義を感じ、彼が音楽と童話を愛するようになったのも彼女の感化によるとしている。彼の『芸術における精神的なもの』（ミュンヘン、1912年）は、彼女に捧げられた。​1876年（10歳）​オデッサの高等学校に通い古典教育を受ける。素描やピアノとヴァイオリン、チェロの演奏を習う。1885年まで、年に一回父と共にモスクワに旅行。またこの間クリミアとコーカサスにも旅行。​1886年（20歳）​モスクワ大学に入学し、アレクサンドル・イヴァノヴィッチ・クプロフ教授に国民経済学、アレクサンドル・ニキティク・フィリポフ教授にローマ法とロシア法を学び始める。​1889年（23歳）​5月28日〜7月30日、自然科学・人類学・民族誌学協会より、調査研究のためにロシア北部のヴォログダ地方へ調査旅行。その成果として、シラエネン地方の東フィンランド部族の宗教に残る若干の異教徒的な遺物についてのレポートをまとめ刊行。「モスクワ国の農民法廷の評決における刑罰」についての論文を刊行。サント・ペテルブルクでエルミタージュ美術館を訪問。初めてパリを訪問する。​1892年（26歳）​​モスクワ​大学を卒業。従姉妹のアーニャ・セミヤキンと結婚（1911年、離婚）第２回パリ旅行？​1893年（27歳）​「労働者賃金の適法性」についての博士論文を提出。モスクワ大学法学部の助手となった。​1895年（29歳）​モスクワのクズネリョフ印刷会社のコロタイプ部門の美術主任となる。​1896年（30歳）​モスクワのフランス絵画展を見に行く。（この中にモネの『積みわら』1点が含まれていた。）ドルバート大学から講師として招かれるが辞退し、12月、絵の勉強のためミュンヘンへ行く。1904年9月30日までフリードリヒ街１番地に住む。​​1897年（31歳）​​アントン・アズベの私設アカデミーで若い画学生に混じって人体デッサンなどを２年間学ぶ。同じロシア人のマリアンネ・フォン・ウェレフキンとアレクセイ・ヤウレンスキーに会う。​1898年（32歳）​ミュンヘン美術アカデミーの入試に落ちる。​1899年（32歳）​独学で絵を学ぶ。​1900年（33歳）​ミュンヘン美術アカデミー合格・入学。フランツ・フォン・シュトゥックのもとに学ぶ。画家としてはひどく遅い出発のように見えるが・・・とはいえ、カンディンスキーはその頃すでに、みずからの目指す絵画が旧来の美術学校などで習えるものでないことをはっきりと自覚していたようである。​1901年（35歳）​カンディンスキーは、彫刻家：ヴィルヘルム・ヒュスゲンら仲間と共に芸術家集団「ファーランクス」グループを結成して展覧会の自主運営に乗り出すと共に、芸術家が数多く住むシュヴァービング地区に絵画学校を開設した。1904年5月までに11の展覧会を組織。ファランクス美術学校で教鞭をとる。最初のテンペラ画と小品の風景。ローテンブルクに初めての旅行。オデッサに旅行。​1902年（36歳）​ファーランクス絵画学校の生徒の中にミュンヘン時代の彼のパートナーとなるガブリエーレ・ミュンタと出会う。1月〜3月、第二回ファランクス展に出品。夏の間、自分のクラスをミュンヘン郊外のコッヘルに移す。ベルリン分離派展に初めて参加、以後1911年までほとんど毎年参加。最初の木版画。彼が母国ロシアの新聞・雑誌などに美術批評を寄稿し始めるのもその頃である。​​1903年（37歳）4月14日〜16日、ウィーンに滞在。夏、​​ファーランクス絵画学校の生徒たちとカルミュンツを訪れる。ファランクス美術学校閉鎖。9月5日、ヴェネツィア・ウィーン経由でオデッサへ（9月14日〜10月17日）10月18日〜29日、モスクワ滞在。モスクワで『言葉のない詩』刊行。11月5日、ローテンブルクを訪れる。​​1904年（38歳）​​​​フランクス団解散。5月11日〜6月21日、​恋人ミュンタと共に​クレーフェルト、デュッセルドルフ、ケルン、ボンを経てオランダに旅行。9月、妻と別れる。10月19日、ベルリン経由でオデッサに旅行（10月22日〜11月11日）1910年まで、パリのサロン・ドートンヌに毎年出品。​11月27日〜12月2日、パリ滞在。​12月6日、ストラスブール、バーゼル、リヨン、マルセイユを経て、チュニジアへ旅行。12月25日〜1905年4月5日、チュニスとその周辺に旅行。（ミュンターと共に数ヶ月滞在する）​1905年（39歳）​4月6日、​チュニスから​パレルモ、ナポリ、フィレンツェ、ボローニヤ、ヴェローナを経てミュンヘンに帰る。4月16日〜20日、インスブルックとイグルスに滞在。5月15日〜20日、シュタルンベルク滞在。5月21日〜23日、ドレスデン滞在。5月24日〜31日、ザグセンを自転車で旅行。6月1日〜8月15日、ドレスデン滞在。ドイツ芸術家協会会員となる。8月17日〜9月28日、ミュンヘンとその周辺に滞在。9月29日、ウィーン、ブダペスト、レンベルクを経てオデッサへ（10月10日〜11月10日）。11月13日〜25日、ケルン、デュッセルドルフ、ボン、リュージュ、ブリュッセルへ12月9日〜22日、ミラノ、ジェノヴァ、セストリ、レヴァンテ、モネリア、サンタ・マルゲリータ、モンテ・テレグラフォを経てラッパロへ。12月23日〜1906年4月30日、ラッパロのモンテベロ街24番地に住む。​1906年（40歳）5月1日〜21日、ミュンターと共にジェノヴァ、ミラノ、コモ、ベラジオ、ルガーノ、ルチェルン、バーゼルを経てパリへ。5月22日〜6月27日、パリのユルシリーリーヌ街12番地に住む。文学美術国際協会の会員となる。6月28日〜1907年6月9日、セーヴルのプティト・リュ・デ・ビネル街4番地に住む。​1907年（41歳）ロシア風のテーマによる木版画、小さな風景、大型のテンペラ画を制作。6月10日〜13日、ミュンヘン滞在。6月16日〜7月23日、バート・ライヒェンハルに滞在。7月30日〜8月19日、スイスに旅行。9月4日〜1908年4月26日、​ミュンターと共に​ベルリン滞在。​1908年（42歳）3月、​ベルリンでルドルフ・シュタイナーの公演を聴く。5月、南チロルにハイキング。5月6日〜29日、ミュンヘンに帰る。6月17日〜20日、シュタルンベルガー湖、シュタッフェル湖を訪れる。7月24日〜8月8日、ザルツブルク、アッター湖、ヴォルフガング湖、シャーフベルク、モント湖を訪れる。8月15日（またはこの頃）〜9月30日、ミュンター、ヤウレンスキンらと共にムルナウに初の滞在。グリースブロイ・インに投宿。9月4日、ミュンヘンのシュヴァービング地区アインミラー街36番地に住む。12月10日〜15日、ウアフェルト、ヴァルヘンゼーに滞在。​1909年（43歳）​1月、ヤウレンスキー​、ヴェレフキン、ミュンター、クビーンらと共に「ミュンヘン新美術家協会」を創設し、会長となる。2月20日〜3月8日、ガルミッシュ＝パルテンキルヘン、ミッテンワルト、コッヘル（2月22日〜3月8日）に滞在。ガブリエーレ ・ミュンター、ムルナウに家を買い、夏の数週間を、また冬の何日かを第一次大戦勃発の1914年8月1日までカンディンスキーと共に過ごす。この家は今でも「ルッセンヴィラ」（ロシア人の家）として知られている。5月22日〜27日、6月20日〜9月20日、10月5日〜9日、ムルナウにしばしば滞在するようになり、ガラス絵の制作を始める。パリのタンダンス・ヌーヴェル社より『シログラフィー』刊行。12月1日〜15日、ミュンヘンのタンハウザー画廊でミュンヘン新芸術家協会第一回展。（インプロヴィゼーション）シリーズの制作開始。​1910年（44歳）​（コンポジション）シリーズ制作開始。タウンハウザー画廊での上記の展覧会についてのフランツ・マルクの好意的なパンフレット刊行。2月22日〜3月25日、4月12日〜15日、7月1日〜8月17日、ムルナウに滞在。デュッセルドルフのゾンダープント展に出品。9月1日〜14日、タンハウザー展でミュンヘン新芸術家協会第二回展。マルクとアウグスト・マッケ、タンハウザー画廊でカンディンスキーに会う。9月10日〜11日、9月30日〜10月10日、ムルナウ滞在。10月10日〜13日、ワイマールとベルリンに滞在。10月14日〜11月29日、モスクワ滞在（10月20日〜31日、サント・ペテルブルク滞在）12月、オデッサのサロン・イデブスキー第二回展に52点の作品を出品。12月1日〜20日、オデッサに滞在。12月22日、ミュンヘンに戻る。​​​1911年（45歳）1月20日〜28日、ムルナウ滞在。2月5日、​​​​​​​マルク、ミュンヘン新芸術家協会のメンバーとなる。5月17日〜19日、カンディンスキー、ジンデルスドルフのマルクを訪ねる。5月23日〜6月13日、6月20日〜8月21日、ムルナウ滞在。（6月26日〜30日、ミュンヘン滞在）。10月12日〜15日、ジンデルスドルフにフランツとマリア・マルクを訪ねる。マルクと共に「青騎士」（ブラウエ・ライター）を創立。12月2日、カンディンスキー、マルク、ミュンター、クビーン、ミュンヘン新芸術家協会を脱退。12月15日〜1月1日、タンハウザー画廊で​『青騎士第一回展』​​​​​​1912年（46歳）「芸術における精神的なもの」初版、ミュンヘンで刊行。​​​​​​​​​​​​​​​1月17日〜21日、ニュルンベルク滞在。2月12日〜3月、ミュンヘンのハンス・ゴルツ画廊で​『青騎士第二回展』​3月12日〜5月10日、ベルリンのシュトルム画廊で『青騎士展』4月、『芸術における精神的なもの』第2版。5月15日〜31日、ムルナウに滞在。5月、『青騎士年鑑』、ミュンヘンで刊行。6月16日〜7月8日、ムルナウ滞在。7月7日〜31日、チューリッヒの現代協会展に出品。7月10日、ヘルニアの手術。8月5日〜17日、9月6日〜19日、ムルナウ滞在。秋、『芸術における精神的なもの』第３版。10月6日、ベルリンのシュトルム画廊で初の個展。その後ドイツの各都市を巡回。10月16日〜26日、オデッサに滞在。10月27日〜12月13日、モスクワ滞在。12月15日〜16日、ベルリン滞在。​1913年（47歳）1月13日〜15日、ムルナウに滞在。2月17日〜3月15日、ニューヨークでアーモリー・ショー開催。この後、シカゴ、ボストンを巡回。3月5日、​『コンポジションVI』が完成。3月29日〜4月1日、4月28日〜5月9日、6月10日〜30日、ムルナウに滞在。夏の間に、アメリカにおける彼の最初の大コレクターとなったシカゴのアーサー・ジェローム・エディーの訪問を受ける。7月6日〜7日、ベルリン滞在。7月8日〜9月1日、モスクワ滞在。9月6日、ミュンヘン滞在。9月20日〜12月1日、ベルリンのシュトルム画廊での第一回ドイツ秋季展に参加。秋、ミュンヘンで『響』刊行。秋、ベルリンで（『回顧録』）を含む『シュトルム・アルバム』刊行。11月25日〜28日、『コンポジションVII』を描く。​「カンディンスキー・アルバム：1901-1913」（「回想」など4篇を収蔵）が刊行される。​​1914年（48歳）1月1日、元来はハンス・ゴルツにより、1912年の秋に予定されていた個展が、ミュンヘンのタンハウザー画廊で開催される。2月4日、4月1日〜3日、ムルナウ滞在。4月9日〜20日、母とメランに滞在。4月23日、『芸術における精神的なもの』が、『精神的調和の芸術』として英訳され、マイケル・T.サドラーの序文を付してロンドンとボストンで刊行。5月5日〜6日、ムルナウ滞在。『青騎士年鑑』第2版。6月3日〜8月1日、ムルナウ滞在。7月1日、オーバーアンマーガウとエッタールに行く。7月3日、ガルミッシュ＝パルテンキルヘンとヘレンタールクラムに行く。7月28日、​​第一次世界大戦勃発。（〜1918年11月11日）8月1日、ドイツの対ロシア宣戦の報を受けて、ミュンターと共にミュンヘンからスイスに向かう。8月3日、リンダウに行く。8月4日、スイスのロールシャッハに行く。8月6日〜11月16日、コンスタンツ湖畔のゴルダッハに近いマリアハルデ（スイス）に滞在。11月16日〜25日、チューリッヒ滞在。11月25日〜12月12日、オデッサに滞在。11月末、ミュンターと別れ、ロシアに帰国。12月20日〜1915年4月30日、モスクワ滞在。​​​​​​​​​​​​​​​​​1915年（49歳）5月2日〜22日、オデッサ滞在。5月24日〜8月17日、モスクワ滞在。8月19日〜9月7日、クリミア半島のエウパトリアに滞在。9月9日〜12月3日、モスクワ滞在。この年油彩画は1点も描かれなかった。12月23日〜1916年3月16日、​​​​​ミュンターと共にストックホルムに滞在。これがミュンターと過ごす最後の機会となった。​​​​​​​​1916年（50歳）ストックホルムで小冊子『芸術家について』刊行。ストックホルムのグンメソンス画廊で展覧会。3月19日〜20日、サント・ペテルブルクに滞在。3月22日〜7月22日、モスクワ滞在。7月24日〜26日、キエフに滞在。7月29日〜8月18日、オデッサに滞在。9月、​​​​​​未来の妻、ニーナ・アンドレエフスキーと出会う。​​1917年（51歳​）2月11日、​​ニーナと結婚1921年12月までモスクワのドルギー街1番地の彼のアパートの４階に住む。フィンランドに旅行。9月、長男ヴセヴォロドが誕生する。11月7日、10月革命が勃発​1918年（52歳）​教育人民委員会の造形芸術・工芸芸術部（IZO)のメンバーになる。7月、イゾの演劇・映画部長にもなり、IZOの刊行する「造形芸術」誌の編集長にもなる。妻のニーナは、ここで夫より収入の良い地位についていた。22の地方美術館の設立に協力。10月、モスクワ国立自由芸術学校の教授に任命される。モスクワで『回想録』のロシア語訳出る。​1919年（53歳）​​モスクワの芸術文化研究所と​新設されたモスクワの絵画文化美術館の館長となる（〜1921年1月）。7月、休止していた油絵の制作を再開する。​​1920年（54歳）モスクワ大学の名誉教授に任命される。6月、​​長男ヴセヴォロド死去。10月、第19回官設美術展（モスクワ）に約50点の作品を出品。​1921年（55歳）5月、​芸術科学アカデミー設立のための科学・芸術委員会の会長に就任。10月、ロシア芸術科学アカデミー設立に参与し、副総裁となる。12月、ロシアを離れ、クリスマス・イヴにベルリン着。1922年（56歳）​​ベルリンの無審査展に壁画を描く。​グローピウスからワイマールの州立バウハウスに正式な招聘を受け6月、ワイマールに移り、バウハウスの教授に就任。ここで初めて生きたモデルを使うクラスを担当。9月、バルト海沿いのティンメンドルファーで休暇を過ごす。ストックホルムのグンメソンス画廊で展覧会。ベルリンで『小さな世界』と題する版画連作を刊行。​1923年（57歳）​カンディンスキーがのちに副会長となった無名協会でニューヨーク初の個展。​1924年（58歳）12月、​ワイマール・バウハウス開校。カンディンスキー、クレー、ライオネル・ファイニンガー、ヤウレンスキーによる「青の４人」グループが、彼らの作品をアメリカで扱った画商兼芸術家のガルガ・シャイヤーの呼びかけて結成される。（彼女はそのコレクションをパサディナ美術館に寄贈した。）バウハウス友人サークルが結成され、H.ベルラーへ、ペーター・ベーレンス、アドルフ・ブッシュ、シャガール、アイリッシュタイン、エドウィン・フィッシャー、ゲハルト・ハウプトマン、ココーシュカ、シェーンベルク、それにアドルフ・ゾンマーフェルトがメンバーとなる。​​1925年（59歳）​4月、チューリンゲンの政治グループ​（のちのヒトラーのナチス党）の襲撃にあい、ワイマールのバウハウス閉校。6月、デッサウ市長のフリッツ・ヘッセの協力でバウハウス復活。リューゲン島のビンツで夏期休暇。ブラウンシュヴァイクのオットー・ラルフスによりカンディンスキー協会創立（彼はこの前にクレー協会を創立した）ラルフスの他、メンバーには次のようなコレクターがいた。ドレスデンのイダ・ビーネルト、バーゼルのリヒアルト・デーチェ＝ベンツィンガー、ヴッペルタールのルドルフ・イバッハ、ヴィースバーデンのハインリッヒ・キルヒホーフ、ドルトムントのヘルマン・シュリッデ、ケルンのハインリッヒ・シュネスとヴェルナー・フォーヴィンケル。​1926年（60歳）​「点・線から面へ」刊行。父オデッサで死去。バルト海のバート・ミュリッツに夏期休暇を過ごす。カンディンスキーの60回目の誕生日の記念展がこの後２年間にわたりブラウンシュヴァイク、ドレスデンを振り出しにドイツ各都市、およびヨーロッパの若干の年で開かれる。1931年まで「バウハウス造形雑誌」の編集んい携わる。​1927年（61歳）​スイスとオーストリアに夏期休暇を過ごし、オーストリアのヴェルターゼーにシューンベルク夫妻と一時を過ごす。​​​1928年（62歳）​3月8日、ドイツ国籍を取得。フェリックス・クレー、ゲオルク・ハルトマンとデッサウで「展覧会の絵」（ムソルグスキー作曲）の舞台美術を構成する。フランスのリヴィエラに夏期休暇を過ごす。『点・線・面』第2版。​1929年（63歳）1月、​パリで初めての個展をザック画廊で水彩、グワッシュを含み開催。ベルギーで夏期休暇を過ごす。オステンドにジェームス・アンソールを訪問。のちにコート・バスクのアンデー海岸に行く。​1930年（64歳）​パリのギャラリー・ド・フランスで展覧会。パリの「円と正方形」展に出品。イタリアに夏期休暇を過ごす。​1931年（65歳）​​ミース・ファン・デル・ローエ設計の​音楽のための部屋の磁器をデザイン、「ドイツ建築展」（ベルリン）の音楽室のための陶版壁画を制作。夏、地中海に遊ぶ。パリの「カイエ・ダール」誌に寄稿を求められる。​​​​1932年（66歳）チェコのドゥヴロヴニクで夏期休暇を過ごす。9月、デッサウのバウハウス、ナチ政権により閉鎖される。10月1日、​​​​デッサウ市議会がバウハウスの閉校を決定。10月半ば、バウハウスはベルリン郊外に私立学校として移転。カンディンスキーもベルリンに移住。12月10日、ベルリンの南のバーンシュトラーセ19番地に引っ越し約１年間住む。​​1933年（67歳）3月、カンディンスキーによるベルリンのバウハウス継続の努力も空しく、​​ナチスによりバウハウスの建物が封鎖される。レ・サブレット（フランス）で夏期休暇を過ごす。7月20日、バウハウス教授会が閉校を決める。ニーナを伴いドイツを出国し、10月、パリに行き、ここに居住可能かどうか調べる。12月、ヌイーユ＝シュル＝セーヌに移り、ブールヴァール・デ・ド・ラ・セーヌ（現在のブールヴァール・デュ・ジェネラル・ケーニング）135番地に住む。​1934年（68歳）​パリのカイエ・ダール画廊で展覧会。ノルマンディーで夏季休暇を過ごす​。​1935年（69歳）​カイエ・ダール画廊で個展を開催する。イタリアのフォルテ・デイ・マルミ、ピサ、フィレンツェで夏季休暇を過ごす。​1936年（70歳）​ニューヨークのノイマンの画廊にて個展開催。ニューヨーク近代美術館における「キュビスムと抽象画」「幻想芸術、ダダ、シュルレアリスム」展に出品。パリのジャンヌ・ビュシェ画廊で個展開催。​​1937年（71歳）​​ニューヨークのニーレンドルフ画廊で個展。同展はクリーグランド、ケンブリッジに巡回。ドイツの美術館に所蔵されている作品57点がナチスによって没収される。7月、ミュンヘンでナチスによる「退廃芸術」展が開幕。カンディンスキーの油彩1点、水彩6点が展示される。スイスで夏期休暇を過ごす。ベルリンにクレーを訪問。​​1938年（72歳）3月、カンディンスキーの論文「具体芸術」を収録した「20世紀」誌発刊される。サン＝ジャン＝カブ＝フェラで夏期休暇を過ごす。​​ロンドンのグッゲンハイム・ジュヌ画廊で個展開催。​​1939年（73歳）​ニーナと共にフランス国籍を得る。最後のコンポジジョン『コンポジションX』が完成する。​1940年（74歳）​ドイツ軍のフランス侵攻に伴い、ピレネー山中のコトレーに2ヶ月疎開する。8月末、ヌイーユに戻る。​1942年（76歳）6月〜7月、​カンヴァスに描いた最後の油彩画『繊細な緊張』を完成。ドイツ占領下のパリのジャンヌ・ビュシェ画廊で隠密裡に個展を開催。12月〜翌年2月、ニューヨークのニーレンドルフ画廊で回顧展が開催される。​1944年（78歳）​パリのレスキース画廊で個展を開催。これが最後の個展となる。3月、病気にかかるが、6月まで仕事を続ける。12月13日、​カンディンスキー、ヌイーユで​死去。享年78歳。​​​​​​​​​​​​​​カンディンスキーにぽち​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​

  2022.01.30

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  Vassily Kandinsky 晩年のパリ時代　カンディンスキーの生涯にわたる最大の目標　芸術における精神的なもの実現

  ​​​​​​​​​​​​​​​カンディンスキーの生涯とは・・・？人となりを最後にまとめて答えていただきましょう​Vassily Kandinsky​​Various Actions ​​​​​​(August-september)1941カンヴァス　混合メディア　89.0cmx116.ocm​​『さまざまな動き』​​​『様々なアクション』​​1941年ニューヨーク「ソロモン・R・グッゲンハイム美術館」所蔵。​Vassily Kandinsky​ワシリー・カンディンスキー​​​1866年12月4日〜1944年12月13日（78歳没）ロシア出身の画家・理論家・美術評論家。抽象絵画の創始者である。ロシア・ドイツ・フランスで活躍した。​​​カンディンスキーの生涯にわたる最大の目標が・・・「芸術における精神的なもの」の実現にあったとすれば、晩年のパリ時代の、彼の新しい様式の意味を明らかにする必要がある​​1934年（68歳）​​にフランスに移り住んだカンディンスキーにとって、第一次大戦前の宗教的衝撃、あるいは彼の様式に根本的変化をもたらすに十分であった1922年〜1933年、幾何学的な原理が彼の作品に及ぼした影響に比肩するような霊感源はあったのだろうか？これに対しては・・・たったひとつの解釈しかないようである。つまり彼は自然への回帰を試みたのである。といっても無論それはかつて彼が初期の風景の中で再現したような自然ではなく、いわゆる「構成的（能産的）自然」natura naturansである。彼は最も下等な生物における顕微鏡的な有機的構造を、あらゆる種類のアメーバや微生物をある種の宇宙的なドラマをうたい上げるためにその画面を取り入れた。たとえば黙示録の四人の騎士とは違って、これから微生物界からの借り物は、何か形而上的なものを表すのでもなく、また三角形、円、長方形のようにそれ自体で自立しうるものでもない。むしろそれらはマリオネットのように、大規模で崇高な神秘劇を演じているようであり、あるいはまたユーモアと皮肉にみちた楽しいゲームにふけっているようでもある。黙示録の第三の啓示にかかわる一切の宗教的思想からは遠く離れ、あるいはまた数学的な精神から生まれた芸術からも遠く離れたところに、魔術師カンディンスキーは、「名人ルーディ」のように、その晩年の作品に彼独自の「原初の言葉」を、「オルフィッシュ」（Orphisch)なものを創造したのである。これまでは・・・カンディンスキーの芸術家としての功績のいく分かを見、また彼の作品の複合的な性格についてもふれてきたので、ここで多少なりとも、彼の人間性について語るのも必要なことであろう。ただし芸術家の人と作品は、本来切り離せないものであり、その一方だけを解明することは容易なことではない。芸術家としても、人間としても、彼の性格の大きな特徴は・・・その秘密主義的な点にある。初期の頃は、その私的な書簡の中で、またのちには、刊行された彼の著作の中で、彼が生来的に自分の感情を、したがってまた自分の超自然的あるいは形而上的なメッセージの本質をも隠す傾向のあることに注意を促している。そして彼の芸術をいわば視覚化された「リチェルカーレ」（ricercare)とするならば、彼の人となりは・・・容易には説明のつきにくい謎としなければならない。​​1902年に彼が着ていたものを見ると・・・カンディンスキーは、ボヘミアンというよりは、学者とみられたがっていたというクレーの観察の正しさがわかる。​​ミュンヘン時代の彼は・・・​こうした服装を変えなかったが、彼の親友たちは、こうした外観にだまされることはなかった。1916年、ストックホルムでとった写真では、彼はロシアの大公のように見える。バウハウス時代の彼の同僚や弟子たちだったら、彼のいで立ちや振る舞いは、教授というよりは、外交官のようであったことを思い出すであろう。パリでの彼は・・・ピカソやブラックとは違い紳士然とした学者のようであった。ガブリエーレ ・ミュンターは・・・その晩年に「カンディンスキーは貴公子のようであった」と述べている。天与の才、歴史的条件、個人的な決断、それに運命などがひとつになって、カンディンスキーという大芸術家が生まれた。彼は生まれはロシアであったが、その教育や精神的親近性、それに彼自身の選択によって実現的にはドイツ人となった。しかし政治的状況のためフランス人として死んだ。その生涯と作品においてカンディンスキーは、ゲーテの言う「世界市民」に、単なる世界の市民ではなく真のコスモポリタンであると証明したのである。（参考文献：Kandinsky TEXT BY HANS K.ROETHEL   IN COLLABORATION WITH JEAN K.BENJAMINより）（写真撮影：ほしのきらり）​​​​​カンディンスキーにぽち​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​

  2022.01.29

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  カンディンスキー　1921年〜　ロシアからドイツに戻る！　美術学校バウハウスの教授に就任　バウハウスの最大の目的とは？　親友クレーとカンディンスキーの活動を知る

  ​​​​​​​​​​​​​​​​​​ワシリー・カンディンスキーはドイツのワイマールに行き「バウハウス」の教授となります親友クレーとの活動を知りたいです。Vassily Kandinsky​En el ovalo claro 1925In the Bright ovalOleo sobre cartonスペイン・マドリッド「ティッセン・ボルネミッサ美術館』所蔵。​​Vassily Kandinsky​​​ワシリー・カンディンスキー​​1866年12月4日〜1944年12月13日（78歳没）ロシア出身の画家・絵画評論家・理論家。抽象絵画の創始者と称された。​Paul Klee​パウル・クレー​​1879年12月18日〜1940年6月29日（60歳没）20世紀のスイスの画家・美術理論家。​1921年12月、​カンディンスキーはドイツに戻った。​ベルリンに6ヶ月住んだ後、​1922年6月​、ワイマールに行き、グロピウス​が1919年に創立した美術学校「バウハウス」の教授に就任した。これは教育者としての彼の経歴の頂点を示す出来事であった。​彼はドイツの他の前衛芸術家、とりわけ​親友のパウル・クレーと共に、若い世代を教え、導きながら生涯にわたる実験的な試みを展開してみせた。バウハウスの最大の目標は・・・19世紀に生じた職人的な技術と芸術とのギャップを埋めることであった。具体的には・・・用いられる素材の特性を尊重しながら、​​創造的な仕事をするという原理に立ち返ること、科学技術の成果を摂取し、これから逃げないこと、模倣は絶対しないこと、芸術の法則を学ぶこと、あるいはアカデミックな意味での教室というよりは工房に学ばせることにより、徒弟から一人前の職人になれるような学生に創造への意欲をもたせること、などがその狙いであった。こうして​グロピウスが実現したのは、中世の石工組合の伝統の一部と、ゲーテの『ヴィルヘルム・マイスター』の「教育の国」に述べられるような原理とを統合した近代的な美術学校であった。それだけでなく、この学校は、ウイリアム・モリスがイギリスで、のちにアンリ・ファン・フェルデがワイマールで始めた近代美術革新運動の思想にも負うところが多かった。要するにバウハウスは、単なる学校以上のもので、いわば若い世代の新しい生活様式の温床ともいえるものであった。カンディンスキーにとって、それは単に伝記的な意味からだけでなく（彼はその生活様式を変えることはなかったが）、芸術的な再生という意味からも、新しい生活の始まりであった。ワイマールのこの進歩的な学校の活気にみちた雰囲気に刺激されたカンディンスキーは、彼がその後死ぬまで描き続けることになるあのきびしい美しさと抑制された熱情、それを秀抜な技術を特色とする多くの作品を描き始めた。戦前の彼の作品は、抽象的ではあっても多くの意味を含んでいたのに対し、戦後の作品は、前にも増して謎めいたものとなり、その結果生まれた非具象的な形態は、美的にはこれを見、理解することはできても、言葉でこれを理解することはできない。とはいえここにもまた、かつて用いられた多少再現的なパターンのいくつかは用いられている。たとえば馬上の人を表す一種の象形文字、「トロイカ」を表す三本の波形の平行線、中央に長い垂直線とこれに交わる二本の水平線のある、舟のような形の仰向けの半円形、あるいは漕ぎ手を表す簡略な記号、などである。『回想』にはこれらすべてが登場している。​1921年にモスクワで描かれた『多色の円』で、純幾何学的な円を初めて使って以来、バウハウス時代の彼の作品は線、鋭角（または鈍角）の線、三角形、円、半円、正方形、長方形などの極めて単純で簡素な形態で構成されるようになった。​​​Trente,1937​この頃のカンディンスキーが、非ユークリッド幾何学的な構成をつくるのに、ほとんど常に定規やコンパスを用いたのは当然であった。この種の禁欲的な様式にふさわしく、ここには厚塗りは一切見られない。それぞれの面は薄い絵具の層で塗られているだけである。しかしながら、一見冷やかでまたいわば極めて几帳面でありながら、これら極めて複雑なコンポジションは、画家の熱っぽく、高揚した精神を発揮している。その「秘密」はいぜん神秘的な形でそれらの中にひそんでいる。バウハウス時代のカンディンスキーの作品を特徴づけるのは、精神性と数学的な法則のふたつである。1927年に刊行された彼の​​『点・線・面』はこうした作品に理論的に対応するものである。カンディンスキーとクレーの素晴らしい友情を言葉で説明をするのは不可能である。カンディンスキーは・・・かつてミュンヘンで青騎士の第二回展にクレーの参加を呼びかけ、またクレーのデッサンをその『年鑑』に掲載して以来、彼とは知り合いであった。それはライヴァル意識なき友情であり、常に交換し合い、ふたりが共に与える側にも受ける側にも立つ関係であった。クレーの作品が、カンディンスキーの影響を受けたこともあったし、またその逆もあった。ふたりが互いをたたえ合って、時にはユーモアをもって、また時にはいたって真面目に、相手のために描いたように思えるケースもしばしばあった。これらふたりの画家のヒエログリフのような作品は、これらを見る多くの人に、ニュー・カレドニアの貝殻の表面に刻まれた謎めいた文字を思い起こさせるであろう。しかしながら、これらの記号は、単なる伝達手段にすぎないように思えるのに対し、クレーとカンディンスキーの謎めいた形態は、実際には意味深い略符号であり、あの非分化的な風変わりな象徴的表現とは正反対のものである。ふたりはワイマールで、またのちにデッサウでバウハウスの教授として、共通の職務を全うしたのみならず、自分自身の作品を分析するのに熱心であったという点でも共通していた。（参考文献：Kandinsky TEXT BY HANS K.ROETHEL   IN COLLABORATION WITH JEAN K.BENJAMINより）（写真撮影：ほしのきらり）​​​​​カンディンスキーにぽち​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​

  2022.01.28

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  ワシリー・カンディンスキー　1915年　油彩画を1枚も描かなかった謎とは？　生涯で最も危機的な時代！　ロシア→ロシア革命→ソビエト連邦へ

  ​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​カンディンスキーは、第一次世界大戦で友人たちを失い母国ロシアへ帰り若いニーナ・アンドレーフスキーと結婚しますが・・・​​Pari​Vassily Kandinsky​ワシリー・カンディンスキー​​1866年12月4日〜1944年12月13日（78歳没）ロシア出身の画家・理論家・美術評論家。抽象絵画の創始者である。カンディンスキー48歳のとき、​1914年7月28日​、第一次世界大戦が勃発し、大戦はこうした実り多かるべき理想のほとんどすべての実現の可能性を失わせた。​マルクとマッケは、戦場に倒れた。クレーは、1916年に徴兵された。外国人は、ドイツを退去しなければならなかった。カンディンスキーは・・・1914年12月にロシアに帰った。1915年〜1921年にかけての時期は、おそらく彼の生涯でも最も危機的なものであった。彼が1915年になぜ油彩画を1枚も描いていないのかについては・・・満足な説明はできない。そのうちの何点か、たとえば『白い緑のある絵』の聖ゲオルギウスのテーマを取り上げたウィーンのアルベルティーナにある水彩などは、明らかに以前のヴァリエーションである。彼は1915年のクリスマスから、1916年の3月半ばまで、ガブリエーレ ・ミュンターとストックホルムで過ごした。これがふたりの最後の対面であった1917年の2月、カンディンスキーは、モスクワでニーナ・アンドレーフスキーと結婚1944年にパリで死ぬまでこの若く美しい女性と暮らした。彼が、ストックホルムで製作した6点のドライポイントは、彼のすぐれた版画家としての才能を示す作品である。その内の4点は抽象的、2点は具象的で、このことは次に来る彼の対立的な葛藤の時代を予告している。彼は1916年にストックホルムで、自ら『バカテル』と呼んだ一連の水彩に着手し、そのあと1917年と1918年には、ガラス絵を何点か描くが、これらふたつのシリーズは共に、20世紀初めの木版画とテンペラ画同様、その精神においてロマンティック、その様式において具象的である。たとえば1917年の『青い緑のある絵』は、主題にも様式的にも1913年の『小さな喜び』を思い出されるSmall Pleasures(Kleine Freuden)June 1913しかしながら、1917年には彼はまた『射手のいる絵』Picture with an Archer 1909と『聖ゲオルギウス』を描いたが、これらはいずれも抽象絵画がまるで存在していないかのように、またあたかもカンディンスキー自ら自分の最も誇りとする作品を否定でもするかのように描かれている。1917年〜1920年にかけて、カンディンスキーはまた、クレムリンを見下ろすモスクワの自分のアパートからの眺めを含む10点以上の散文的な風景を描いているが、これもその真意は解し難い。1918年にはまたしても、油彩画は1点も描かれなかった。かつて経済学の学生で、「労働賃金の合法性」と題する学位論文を書き、またのちに実際的な労働問題にも接したことのあるカンディンスキーが、マルキシズムに詳しかったことは言うまでもない。伝道者的な熱意をもって新しい、より理想的な世界の創造を夢見、近い将来に精神の啓示があると信じていたカンディンスキーであれば、ニコライ二世の退位によって500年以上にわたるツァーの支配が終わりを告げた1917年2月のロシア革命を歓迎したとしても不思議はない。レーニンの政治的天才によって始められ、完遂された1917年10月の共産主義革命は、より良い世界の実現へのもう一歩をしるすものであろうか？当時のカンディンスキーはおそらくそう考えたか、少なくともそう望んだに違いない。ただし、これを裏付ける資料があるわけではなく、ただいくつかの事実がそう語っているだけである。レーニンの革命思想は、カール・マルクスとフリードリヒ・エンゲルスの哲学に基づいている。彼らの終末論的な、またユートピア的な理論・・・とりわけ革命は、「精神と肉体の自由」を一気に実現するという彼らの信念・・・は、カンディンスキーの終末理論的なヴィジョンと、また新しい時代の到来に対する彼の希望と明らかに多くの共通点を有している。「ヨーロッパを妖怪が徘徊している」という『共産党宣言』1848年、の冒頭にある有名な言葉は、カンディンスキーが『芸術における精神的なもの』の中で、クービンについて語った「この種の終末の見者の最たる例」という言葉と取り替えてもおかしくないほどである。カンディンスキーは、個人的には控え目なタイプであったが、芸術家としてはしばしば他人と協力してその目的の達成に協力した。彼はモスクワ大学の学生だった頃にすでに、よくまとまったグループ全員の協力によって、共通の目的を達成できることの希望を抱いていたが、こうした考えはのちに1901年に彼がファランクス団の創立メンバーとなった時に実践された。ファランクス団の試みが、主として財政難のため、失敗すると、カンディンスキーは、1906年〜1907年のパリ滞在中に「美術文芸国際協会」の会員となった。1909年にミュンヘンに戻った彼は、ミュンヘン新芸術家協会の会長として新しい試みに着手した。カンディンスキーとマルクが、その新しい理想を共同で実現すべく「青騎士」を組織したのは、彼らとそのごく親しい友だちがこの協会を脱退してからのことであった。1918年3月14日、モスクワは新生ソ連邦共和国の首都となり、カンディンスキーは、この新しい国家の芸術生活を建て直すため最善を尽くしたようである。彼は人民啓蒙委員会の中の視覚芸術部門のメンバーのひとりとなった。その美術組織と購入資金をつてにカンディンスキーは作品購入と、地方の22の美術館の整備に大いに力を発揮した。彼はまた新設された国立芸術学校の教授に任命された。（この学校の前身のひとつであるストロガノフ美術学校は　1903年にカンディンスキーの最初の著作である　『言葉のない詩』を出版した。）Im Grau,1919[Dans le gris]　1920年、カンディンスキーは、芸術文化研究所の創設に一役買い、その実現のための長い計画案を書いたが、これは1923年に多少の修正を加えて公判された。絵画（または芸術）文化博物館は、その一環であった。1920年、彼はモスクワ大学の名誉教授に任ぜられた。彼自身の考えでは、ロシアにおける彼の最大の功績は、1921年の夏にモスクワにロシア芸術科学アカデミーを創設したことであった。しかしその会長は、共産党員という条件付きだったため、彼がつとめたのは副会長の職であった。レーニン自身は・・・彼が計画していた社会の芸術的、文化的生活には直接には干渉しなかった。しかし人民啓蒙委員長のルナチャルスキーとレーニンの妻のナデズダ・クルプスカヤの推奨もあって、近代美術、とりわけ様々な形の構成主義は、ロシア社会で重要な地位を締めることになった。しかしながら、1921年の夏には共産党の下部組織があらゆる分野にわたって「人民による、人民のための芸術」という官僚的な理念をおしつけ、ルナチャルスキーは、当時皮肉っぽく「５カペイカは（100分の１ルーブル）の芸術」と呼ばれたものをつくるように芸術家に要請した。カンディンスキーは、この「勇敢な新世界」には、もはや自分を容れる余地がないことを速やかに感知した。思想的にも、また心情的にも、これは彼の生涯における最大の失望のひとつであったであろう。（参考文献：Kandinsky TEXT BY HANS K.ROETHEL   IN COLLABORATION WITH JEAN K.BENJAMINより）（写真撮影：ほしのきらり）​​​​​カンディンスキーにぽち​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​

  2022.01.27

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  カンディンスキーVASSILY KANDINSKY ミュンヘン　青騎士　1912年12月刊行　青騎士年鑑　第一回・第二回青騎士展に参加したメンバーとは？

  ​​​​​​​​​​ワシリー・カンディンスキーの青騎士時代のことを詳しく調べてみましたパリ「ポンピドゥー・センター」国立近代美術館内​VASSILY KANDINSKY​ワシリー・カンディンスキー​​1886年12月4日〜1944年12月13日（78歳没）ロシア出身の画家・美術評論家・理論家。ドイツ・フランスでの活躍目覚しく両国の国籍取得。抽象絵画の創始者。フランツ・マルクと『青騎士年鑑』を刊行。1910年代初めのミュンヘンにおける前衛運動を語る時、「青騎士」をグループとして、さらにはひとつの流派として語る・・・それも理由なしとしないが・・・ことが慣わしとなっている。しかしながら実際問題として、​真に「青騎士」と呼べるのは・・・​​​1912年12月に刊行された​『青騎士年鑑』​を編集したカンディンスキーとフランツ・マルクだけである。彼らはまたミュンヘンで２回の「青騎士展」を開いたが、第一回の絵画展は、1911年の12月、第二回の版画・素描展は、1912年1月のことであった。やはりミュンヘン新芸術家協会の脱退者であったミュンターとクビーンは確かにこのサークルに属していたし、『年鑑』のために重要なエッセーを寄稿し、人類学的な資料を集めたアウグスト・マッケも同様である。クレーは、まだ「雑魚」にしかすぎなかったが、招かれて17点のデッサンを出品した。一方、新芸術家協会のメンバーであり続けたヤウレンスキーは、これら初めての展覧会には参加しなかったが、しかし、1913年以後へルヴァルト・ワルデンが主催した青騎士展には出品した。『年鑑』の刊行を思いつき、また新しい、型破りの展覧会の方法を始めたのが、カンディンスキーであることは間違いない。彼はのちに次のように書いているが、これは冗談まじりの、しかもそれ以上に彼の友人に対する見事な外交辞令であった「『青騎士』という名前は・・・　ジンデルスドルフの​（フランツ・マルクの）​別荘で　コーヒー・タイムに思い浮かんだものです。　私たちは共に青を愛し、　マルクは馬を、　私は騎士を愛していました。　こうしておのずから　この名前が生まれました。　そのせいかマリア・マルクのいれる　素晴らしいコーヒーの味は、　なお良くなったのです。」カンディンスキーが・・・第一回展のカタログ序文に書いているように、主催者たちの狙いは、ひとつの特定の様式の宣伝ではなく、むしろ「様々な形式により、画家がその内容的な願望を明らかにする様々な方法を示す」ことであった。カンディンスキー自身やドローネーの抽象画から、税関史ルソーのナイーヴな具象画に至るこうした可能性の幅の広さは、彼らの選択の結果であった。​第一回「青騎士展」に参加したメンバーは、次の通りであるアルベルト・ブロッホ（Albert Bloch）1882年8月2日〜1961年12月9日ダヴィドおよびラウディミール・ブルリックハインリッヒ・カンペンドンク(Heinrich Campendonk)1889年11月3日〜1957年5月9日ロベルト・ドローネー（Robert Delaunay)1885年4月12日〜1941年10月25日エリザベート・エプスタインオイゲン・フォン・カーラー（Eugen von Kahler)1882年1月6日〜1911年12月13日カンディンスキー（Vassily Kandinsky)1886年12月4日〜1944年12月13日アウグスト・マッケ（August Macke)1887年1月3日〜1914年9月26日フランツ・マルク（Franz Mark)1880年2月8日〜1916年3月4日ガブリエレ・ミュンター（Gabriele Munter)1877年2月19日〜1962年2月19日ジャン・ブロエ・ニースレ（Jean Bloe Niestle)1884年8月16日〜1942年2月9日アルノルト・シェーンベルク（Arnold Schonberg)1874年9月13日〜1951年7月13日である。1911年12月18日から3週間だけ、43点の油彩画が展示された。白黒の作品にのみ限られた​​​第二回展では、さらに多彩な人物と様式が見られた。第一回展に参加を求められた画家の他、​第二回「青騎士展」に参加したメンバーは​ハンス・アルプ（Hans Arp)1886年9月16日〜1966年6月7日ジョルジュ・ブラック（Georges Braqe)1882年5月13日〜1963年8月31日アンドレ・ドラン（Andre Derain)1880年6月10日〜1954年9月8日マリア・フランツ＝マルク（フランツ・マルクの妻）1876年6月12日〜1955年1月25日ロジェ・ド・ラ・フレネー（Roger de La Fresnaye)1885年7月11日〜1925年11月27日エルンスト・ルードヴィッヒ・キルヒナー（Ernst Ludwig Kirchner)1880年5月6日〜1938年6月15日パウル・クレー（Paul Klee)1879年12月18日〜1940年6月29日アルフレート・クビーン（Alfred Kubin)1877年4月10日〜1959年8月20日ミハイル・ラリョーノフ（Michail Larionow)1881年6月3日〜1964年5月10日ロベール・ロティロン（Robert Lotiron)1886年10月29日〜1966年4月18日オスカー・リュティマレーヴィッチ（カジミール・セヴェリーノヴィチ・マレーヴィチ）1879年2月23日〜1935年5月15日ヴィルヘルム・モルグナー（Wilehelm Morgner)1891年1月27日〜1917年8月16日モーリッツ・メルツァーオットー・ミュラー（Otto Mueller)1874年10月16日〜1930年9月24日エミール・ノルデ（Emil Nolde)1867年8月7日〜1956年4月15日マックス・ペヒュシュタイン（ Hermann Max Pechstein)1881年12月31日〜1955年6月29日パブロ・ピカソ（Pablo Picasso)1881年10月25日〜1973年4月8日ゲオルク・タペールトバウル・ヴェラモーリス・ド・ヴラマンク（Maurice de Vlaminch)1876年4月4日〜1958年10月11日などが出品した。しかしながら、短時日に集められ、ふたつの展覧会で展示された絵画、デッサン、版画、これら限られた数の作品をもってしては、青騎士のもつ本来の内容を伝えることはとてもできなかった。これに対し『年鑑』の方はそこに収録された論文と図版により、彼らの狙いを十分明らかにしていた。ピカソとブラックは・・・キュビスムの創成期にあっては、もっぱら油彩画のみを手がけ、また「橋」派の画家たちは・・・自作に注解をつけることは、高踏的すぎるとして、これを嫌った。イタリアの未来主義者は・・・激高した調子で既成価値を攻撃し、未来の芸術のためのスペースを得るため、ルーヴル美術館を焼き落すことを要求した。一方、青騎士とその友人たちは・・・極めて教養豊かな知識人であり、科学技術の急速な進歩にも十分ついてゆけるだけのエリート集団であった。彼らは自然科学の領域における大発見についても知っており、また哲学、神学、宗教における変化をも十分理解していた。とりわけカンディンスキーは、神智学、心霊学、人智学等、精神的なものをあらわにするための新しい、あるいは一般的な方法に対して敏感に反応した。ただし彼はそれらのどれにも転向することはなかった。しかしながら、フランツ・マルクの「彼らは未来の精神的宗教の祭壇に供えるための　現代の象徴を創造しようと欲した」という言葉は決して空念仏ではなかった。カンディンスキーも全く同じ考えをもっていたのである。（参考文献：Kandinsky TEXT BY HANS K.ROETHEL   IN COLLABORATION WITH JEAN K.BENJAMINより）（写真撮影：ほしのきらり）​​​カンディンスキーにぽち​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​

  2022.01.26

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  カンディンスキー　抽象絵画の創始者　抽象絵画誕生の決定的な瞬間　カンディンスキーは造形芸術における新しい表現形式の真の創始者である！　印象とは？　即興とは？　コンポジションとは？

  ​​​​​​​​​​​​​​​​​カンディンスキーと彼女さんはヨーロッパからアフリカへと長い旅をしますいやいや羨ましいですね！そしてパリでマティス に ドイツにて​Vassily Kandinsky​ワシリー・カンディンスキー​​1866年12月4日〜1944年12月13日（78歳没）ロシア出身の画家・理論家・美術評論家。造形芸術における新しい表現形式の真の創造者。『抽象絵画の創始者』ドイツ・フランスで活躍を認められ両国の国籍を取得。カンディンスキーのパートナーであるガブリエーレ ・ミュンターと共に、ヨーロッパとアフリカ・・・特にラッパロとチュニスには、比較的長く滞在した・・・を数年間旅行した後、カンディンスキーは、1906年の5月〜1907年の6月までパリとその周辺に滞在し、マティス の芸術に触れたが・・・ただその影響は受けなかった。しかし、カンディンスキーの友人のアレクセイ・ヤウレンスキーはすでに1903年にマティス の作品を見ており、その後、1905年にパリで彼の教えを受けている。カンディンスキーが1908年にミュンヘンに帰った時、ヤウレンスキーが当時の近作をこの旧友に見せた事は疑いもない。当時のヤウレンスキーの作風は、色彩の解放という点から見れば、カンディンスキーが持ち帰ったどの作品よりも「先んじて」いた。実際、カンディンスキーは、1934年のヤウレンスキー宛の手紙で、彼がヤウレンスキーからいかに多くを学んだかについて感謝している。1904年〜1906年にかけてのドラン、ドローネー、ヴラマンクの一連の絵は、カンディンスキーの一部の絵に極めて近く、そのため美術史家はとかくカンディンスキーは、彼らの影響を受けた、と考えがちである。しかしながら、これまでのところ、この興味深い仮説を裏付ける有力な証拠はない！カンディンスキーがミュンヘンに帰った時、思想的にもまた実践上も、抽象芸術誕生の素地はできていた。ただ、それが実現されるための最後の点火が必要なだけであった。彼は、のちにその『回想録』の中で、自分の抽象絵画誕生のいきさつについて語りながら、​​ワグナーの『ローエングリン』を聞いた時の総合的な経験、原子の分割についてのニュースに接した時の衝撃についてふれ、また最後に、​​​モネの『積みわら』を見て、絵の中のいわゆる主題ないし対象は、余計なものであることを悟ったことを記している。​抽象絵画誕生の決定的な瞬間について、​カンディンスキーは次のように記している。「かつて私はミュンヘンのアトリエで、　思いがけずも心躍る経験をした。　夕闇が迫っていた。　戸外でのスケッチを終え、　絵の具箱をかかえて、　私はちょうど帰宅したところだった。　それまで取り組んでいた作品に　まだ夢見るように　のめり込んでいた私は突然、　内的な輝きにみちた言いようもなく　美しい絵に眼をとめた。　一瞬たじろいだ私は、　足早にその絵に近づいたが、　私がそこに見たのは、　単に形態と色彩だけで、　その内容は私には、　全く合点が行かなかった。　この謎は素早くとけた。　それは壁に横向きに立てかけられた　私自身の絵であったのだ。　翌日、私は日中の印象を　反復しようと努力たが、　半ば成功したに過ぎなかった。　たとえその絵を横向きに置いても　主題は私にはっきり識別できたし、　また昨夜の夕闇の中で作られた　薄く透明な色彩も消え失せていた。　今や私は主題は私の絵には　邪魔であると確信した。　こうして負うべき責任にまつわる　恐るべき溝が私の前に生じ、　また様々な問題が起こってきた。　その中でも重要なものは、　それでは失われた主題に　とって代わるのは何か？　であった。」おそらくこれは1909年のことであった。​​Improvisation28(second version)1912​『即興28』​1912年​いずれにしても1910年〜1914年にかけカンディンスキーは、一連の極めてドラマティックな作品、今日でいう「抽象絵画」を創造したが、これは20世紀における最も重要な芸術的現象となった。これと似た試みは当時もあったが、それにもかかわらず、あるいはそれゆえにカンディンスキー は、造形芸術における新しい表現形式の真の創造者と見なさるべきである。いつ、どこで誰が最初の抽象絵画を描いたかは大した問題ではない。それは事実的な証明の問題というよりは、定義の問題である！同時代の他のどの試みよりも、カンディンスキー の作品は意味において重要であり、表現形式において力強いのである。自然から出発して描かれた抽象絵画をカンディンスキーは​「印象」​と名付けた。一方​「即興」​と呼ばれたのは、内的世界の経験とそれに伴う感動に根ざすものであった。彼が最も重要視したのは、一連の​「コンポジション」​で、​​​『コンポジション７』​彼はこれらに、大作曲家が自作の交響曲にするように番号をつけた。​​『コンポジション８』こうして別格扱いされたのは10点にすぎず、その内の7点はミュンヘンで、1点はワイマールで、2点はパリで描かれた。（参考文献：Kandinsky TEXT BY HANS K.ROETHEL   IN COLLABORATION WITH JEAN K.BENJAMINより）（写真撮影：ほしのきらり）​​​『コンポジション６』​​カンディンスキーにぽち​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​

  2022.01.25

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  1896年　カンディンスキー30歳　崇拝したのはアーノルド・ベックリン　カンディンスキーの版画作品の特徴には深い意味が！

  ​​​​​​​世界のあちこちに旅した幸せな時代を思い起こしては、ため息の毎日でありますが・・・自宅で学ぶことも有意義な時間だと考えております。 ニューヨーク「メトロポリタン美術館」にて買い物三昧​Vassily Kandinsky​ワシリー・カンディンスキー​​1896年12月4日〜1944年12月13日（78歳没）ロシア出身の画家・理論家・美術評論家抽象絵画の創始者。ドイツ・フランスでも大活躍。1896年にミュンヘンに着いたカンディンスキーが、まず直面したのは・・・カンディンスキー自身の言葉を借りれば、「私を真の芸術から隔てていた壁」をとり壊すことであった。アントン・アズベの私塾での生きたモデルの研究、モリエ教授による解剖学講座、美術アカデミーでのフランツ・フォン・シュトゥックによるデッサン教室、衣装の歴史の本の挿絵の模写、さらに古今の芸術論、色彩論の購読などがそれであった。しかしながら、こうした技術的協力や知的研究も、1900年前後名声の絶頂にあったアーノルト・ベックリン（1827-1901）が、カンディンスキーに及ぼした影響に比べれば物の数ではなかったミュンヘンは、ベックリン崇拝の「神殿」であった。その影響は一義的なものにとどまらず、またこれを様式研究中心の美術史的観点から説明することもできない。プッサンと古代のかかわり方のように、ベックリンとカンディンスキーの関係は・・・物質的というよりは精神的なものであった。ふたりは、一度も会ったことがなかった。カンディンスキーによればベックリンの芸術は、新しい意味内容にみち、とりわけ戦争についての終末的なヴィジョンと幻想的なイメージで注目されるロマンティックな芸術であった。ベックリンをして、半印象主義運動のリーダーたらしめ、またいわゆる「芸術のための芸術」の対立者たらしめたのは、何よりもその色彩の用いかたにあった。カンディンスキーにとって、ベックリンは詩的ヴィジョンと独自の形態感覚をそなえた画家であった。彼はベックリンが好んで用いた「写し絵」「即興」など、いくつかの用語を採用さえした。Vassily Kandinsky​​​1866年-1944年Im provisation XIV,1910『即興　HIV』​​1910年また『芸術における精神的なもの』の中で彼は、ベックリンを外的形式の中に内的な意味を探求した画家のひとりとしてあげ、次のように述べている「ベックリンは　その印象的なイデーを　極めて物質的で、　量感豊かな形態に包むことで　神話とメルヘンの世界を捗猟した。」1901年、カンディンスキーは・・・のちにその会長ともなったファランクス団の創立メンバーのひとりとなり、美術学校を開き、（カンディンスキーはここでガブリエーレ ・ミュンターと出会う）グループ展を開催した。カンディンスキーは、1900年〜1907年頃にかけミュンヘンおよびその周辺で小品の風景を描いたが、これらが正当な評価に浴した事はなかった。この後の抽象絵画と比較しながら、批評家たちはこれらを単に手と眼の修練に過ぎないとして片付けた。しかし、これらを単独に眺めれば、そこには画家の極めて感受性豊かなヴィジョンと、驚くほど変化に富むパレットがうかがえる。これらの作品は、カンディンスキーは画家としての才能に欠けていたから抽象絵画を始めたのだという・・・かつて唱えられたことのある有力な反証である。ここに見られる絵筆、およびそれ以上にパレットナイフの使い方は、その後の構成主義的な作品を予告している。クレーがその『日記』の中で、フランツ・フォン・シュトックのもとで、共に学んだ日々を回想しながら述べているように、「カンディンスキーは無言で、　極めて熱心に、　またその頃の私にはそう見えたのが、　一種の学者らしきをもって　パレットの上で絵の具をまぜたものだった」。これらの作品の特徴を当時の基準に照らして見る限り、それらが、想定的に言って、印象主義からも、外光派の絵画からも、等しく異なっていることに驚かされる。カンディンスキーの初期の木版画と同様に、それらは彼が真の芸術と考えたものを実現するための個性的な様式を池に熱心に追求したかを明らかにしている。驚くべきことに、1913年にはすでにドイツの批評家ヴィルヘルム・ハウゼンシュタインが、「嵐」誌の中でこれらの作品について次のように語っているのである。「そもそもの初めから小品の風景には、　全く独自の深みがある。　それらはリアスティックではあるが、　しかしどこかリアリティーから離れて、　主題を超えた形而上的な意味を　有しているように思えるのである」Vassily Kandinsky​Mosca 1866-Neully-sur-Seine 1944​​​​​​​​Sunday-old pussia,​​1904-1905​Woodcut on paper1902年から　1906年〜1907年にかけ、とりわけ彼が「着色したデッサン」と呼んだ絵において、カンディンスキーは黒または暗灰色の紙を好んで使い、これに一筆ずつ、一種のモザイク様式で色をつけていった。こうした技法による最大の傑作は、1907年の『色とりどりの人生』である。その暗い背景は中小の第一歩と見ることができる。それは夜でもなく空間でもなく、中性的な地を、中小的な面を表すもので、そこでいわば非肉体化された人物は、着色された線的な構造体として動いているのである。木版画について言えば・・・これらはカンディンスキーの芸術的成長にとって、ふたつの点で大きな意味をもっていた。そのテーマは、一見自明のもののように見えるが、ここでもまたその意味は、表面的なものを超えたところにある。その題名はいかにも控え目なものが多い。つまりそこには常にそれ以上の、また時には予想外の感動や連想が隠されているのである。カンディンスキーの人と作品について、最も特徴的な事は・・・そこでは可視的な事実が不可視的な何かを伝えるための架け橋にすぎない、ということである。カンディンスキーの版画作品のもう一つの特徴は・・・その形態的な面があるが、これも、言うまでもなく、第一の特徴と分かちがたく結びついている。それは一定の黒い、あるいは白い面における曖昧性で、これらは時によりポジティヴな、あるいはネガティヴな形態と映るのである。つまり前景と光景の間には互換性が生じ、それにより、のちのカンディンスキーの抽象絵画にあって極めて重要な意味をもつことになるパターンの相互関係が確立されてゆくのである。言い換えれば、こうした特色は結果的には対立法的な調和ある統一を生み、そこでは黒い面と白い面という一見対立的なパテーンが、例えば大洪水と復活というやはり対立的なテーマと同じ精神で並び合っているのである。（参考文献：Kandinsky TEXT BY HANS K.ROETHEL   IN COLLABORATION WITH JEAN K.BENJAMINより）（写真撮影：ほしのきらり）​​​カンディンスキーにぽち​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​

  2022.01.24

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  カンディンスキーと音楽　Vassily Kandinsky　舞台のための作品　カンディンスキーのお気に入りの楽器とは？

  ​​​カンディンスキーは楽器を一心不乱に弾いたりしていたことなんて知りませんでしたね〜知りたいことがまだいっぱいありますPARI​Vassily Kandinsky​ワシリー・カンディンスキー​​1866年12月4日〜1944年12月13日（78歳没）ロシア出身の画家・美術評論家。抽象絵画の創始者。音楽愛好家であった。ドイツ・フランスで活動し両国の国籍を得た。​Vassily Kandinsky​Small Pleasures(Kleine Freuden)June 1913カンディンスキーの最も野心的な文学的な試みとしてあげられるのは、「舞台のための作品」で、ここで彼は音声、音楽、言葉、舞踊、色彩、それに照明といった様々な要素の総合を試みている。彼はこれまでにない全く新しいアプローチを取ることにより、伝統的な演劇が医術を超えた抽象的内容の感情、感動ないし感覚を表現することに成功した。のみならず彼は、こうした彼の創造物はワグナーの「総合芸術」にとって代わるものと確信していた。彼は生涯に一度だけ、つまり1928年にムソルグスキーの「展覧会の絵」を​​デッサウで演出するよう招かれた時に、近代演劇についての彼の理念を表明する機会を得られた。音楽に対する彼の情緒的、精神的関心は、宗教的、形而上的な問題に対するそれに次ぐものであった。彼は二種類の楽器をひいた。学生時代の気に入りの楽器は・・・チェロであった。パリとミュンヘン時代の彼は・・・リード・オルガンを好んだようである。夏の数ヶ月をムルナウで過ごした時は、これを賃借りしたほどである。アウグスト・マッケの妻エリザベート・マッケは、彼女がムルナウを訪れた時に、カンディンスキーが一心不乱にオルガンを弾いて自分の感情を若い聴き手たちに伝えようとしたのに対し、彼らが演奏の間にこらえきれずに笑い出したという微笑ましいエピソードが伝えられている。音楽愛好家としてのカンディンスキーは、決して単なるディレッタントではなかった。ハーモニーの基本的な理論を知っていた彼は、ガブリエーレ ・ミュンターが作曲した歌曲の一部を手直ししただけでなく、自分の知識がまだ十分でないことを知りつつ、ちょうどどんな画学生でも教えられた通りにすれば絵が描けるように、どんな初心者でもありきたりの歌ぐらいは作れるものだとよく口にした。彼は個々の楽器の性格や特色をよく知っていたので、自分の色彩や形態についての解説を、打楽器、管楽器あるいは弦楽器の音になぞらえていたが、そんな時の彼の解説は極めて適切でまた詳細にわたっていた。彼の音楽的素養は、若干の音楽書に馴染んでいたことにもよるが、それ以上に自分で演奏することに多くを負っていた。彼は音楽用語を好んで用いていたが、それは作曲、演奏の様々な方法について述べる時も、その効果、印象について述べる時も等しく適切なものであった。彼がムソルグスキーの特別な功績を高く評価したこと、またすでに1909年に、ロシアの作曲家による主音の使用がドビッシーに与えた影響を看破していた事実は、音楽に詳しかった彼の面目躍如というところである。しかしながら、彼が本格的に好んだのは彼と同時代の音楽だけにとどまらなかった。諸芸術の真の指導者としての彼の最大の功績のひとつは、彼より若い現代音楽の何人かの担い手を彼が励ましたことであった。「新しい音楽」の最も重要な先駆者のひとりは、七音階を用いたアレクサンダー・スクリアビンであった。1909年〜1910年にかけて彼は、『プロメテウス』を作曲したが、これはハ調、嬰ヘ調、変ロ調、ホ調、イ調、それにニ調の一連の四分の、六分音符からなる「神秘的和音」に基づいている。これを作曲したころのスクリアピンは、カンディンスキーと同じく神智学にのめり込んでいた。したがってカンディンスキーが彼の『芸術における精神的なもの』の中になぜスクリアピンを引用したのか、​​またその『青騎士年鑑』の中になぜスクリアピンの技法と、芸術と宗教はひとつとする彼の思想を論じたレオニード・サバネーエフの論文を収録したかについては十分な理由があったのである。『プロメテウス』は管弦楽曲で、そのオルガンのパートが演奏されるとスクリーンに色彩が投射されたが、スクリアピンがここで示した音符と色彩の関係は、たとえばハ音は赤、ニ音は黄色、嬰ヘ音は強い青、というようにかなり機械的であった。このように現代音楽に深くかかわっていただけに、カンディンスキーが、アーノルド・シェーンベルクを発見したのも決して偶然ではなかった。すでに1910年に彼はシェーンベルクの論文「第八音程と第五音程について」をロシア語に訳し、また音楽にあっては「調性は自然の永遠の法則ではない」と説くシェーンベルクの『和声論』を読んだカンディンスキーは『青騎士年鑑』にシェーンベルク作の絵の2点の挿絵および彼のエッセー、「テキストとの関係」を収録した。1912年にはシェーンベルクについてのカンディンスキーの論文がのせられた。おそらく、絵画以外の領域に、彼と同じ理想のために闘っている同士を発見したことはカンディンスキーにとって予想外のことだったに違いない。（参考文献：Kandinsky TEXT BY HANS K.ROETHEL   IN COLLABORATION WITH JEAN K.BENJAMINより）（写真撮影：ほしのきらり）​​​カンディンスキーにぽち​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​

  2022.01.22

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  カンディンスキーの作風・・・とは？　芸術家としての最終目標・・・とは？　カンディンスキーの最大の特徴とは？

  ​​カンディンスキーの作風をまとめて理解すべく研究してみましょうワシリー・カンディンスキー​​Vassily Kandinsky1866年12月4日〜1944年12月13日（78歳没）カンディンスキーの作風は・・・その生涯の各時代に応じてさまざまに変わっており、それらすべてに共通する特色をひとつだけ取り出すことは至難の技である。​過去の芸術にも流し目を送っていた初期の風景とアール・ヌーヴォー風の作品、第一次大戦前の表現主義的象徴の作品、バウハウス時代の幾何学的構成の作品、パリ時代のクールで謎めいた作品と、これらを互いに結びつけているものがあるとしたらそれは何か？それが形態的な特質とは異なり、あるいはそれを超えたものであることは明らかである。実際的な様式基準をもってしては、たとえば初期の木版と、後期の油彩画を、同じ作者のものとすることはまず不可能であろう。ひとつの明らかな特質としての統一性がそこにあるとすれば、それは画家自身によって感じ取られた意味の中にある。それは20世紀初頭のいく分ロマンティックな作品や、最初の抽象の時代の表現主義的かつ終末論的なイデー、あるいは晩年の神秘的な作品にみられるほとんど定義しがたい内容の中に求められる。おそらく、人として、芸術家としての彼の努力の最終目標は・・・対立的なさまざまな要素を包括的な一種の交響楽の中に融合させることにあった。こうして彼は東洋的なもの、ロシア的なもの、あるいはドイツ的、フランス的なものを、彼の環境、生まれ、教育、運命などに応じて身につけ、これを総合することを志向した。芸術家としての彼は、対立的な宇宙的な力の全体を描くことに努めた。このことは何点かの彼の作品とりわけ『荒々しい安らぎ』、『平面的な深み』、『硬ー軟』などの水彩の題名に端的に現れている。その謎めいた性格にもかかわらず、次にかかげる文章・・・1910年にミュンヘンで開かれた第二回新芸術家協会展に寄せられたカンディンスキーのカタログ序文・・・は、それまでの彼のどの文章よりも、彼の高揚した、しかも持続的な目的意識をよく語っている。「秘かなものを　秘かなものによって、　伝達すること。　それが内容ではないだろうか？」こうした伝達の手段となるのが、内的必然性から生まれた、変化してやまない形態である。その個々の作品構造は、常に最も単純で基本的な形態に・・・具体t気なモティーフの抽象によってであれ、これらを幾何学的要素に還元することによってであれ・・・到達しようというカンディンスキーの努力の結果に他ならないのである。カンディンスキーの創造活動の中に確たる法則性を発見するのは困難には違いないが、しかし彼の作品の根底となっているある種の構造を明らかにすることは可能のようである。クレーの作品の最大の特徴として、途切れることのない流れるような線が引き合いに出されるが、確かにその通りである。同様にしてカンディンスキーの最大の特徴は、斑点のような色彩の使用にあるといえよう。言い換えれば、彼の作品全体を通じ、線よりも面の方が優勢を占めているのである。しかしながら、カンディンスキーのデッサンと比較すると、これも事実に即さないように思えてくる。これには、たとえば初期のドライポイントや、バウハウスないし、パリ時代の緻密な線的な作品を思い浮かべれば十分であろう。とはいえ・・・線というものはすべての造形作品に不可欠なものであれば・・・カンディンスキーの作風は、点や線よりも面を重要視していると見た方が分かり易く、定義し易いし、実際こうした見方は、抽象絵画は色彩によって生命をうるという考え方にもよくかなっているのである。カンディンスキーは、単に絵画を通じてでなく、著作によってもそのヴィジョンの実現を図った。彼は自分の仕事の理論的背景を明らかにし、自分の芸術の目的ないし精神を分析した。彼は詩人として、リズミカルな音声によって、彼の「色とりどりの生」の秘密であり、謎であったものを多少でも明らかにし、伝達しようとの意思と希望をもって言葉の世界を探索した。そこに用いられた彼の言葉は、アルファベットや文法の常識的な結合によるありきたりの結果とは全く異なるものであった。それは彼の絵のように新しく革命的なものであった。（参考文献：Kandinsky TEXT BY HANS K.ROETHEL   IN COLLABORATION WITH JEAN K.BENJAMINより）（写真撮影：ほしのきらり）​​​カンディンスキーにぽち​​​​​​​​​​​​​​​​​​​

  2022.01.21

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  カンディンスキーの時間と空間　コンポジションVI コンポジションVII 青い山　白、柔らかく、そして堅く　自分の作品の理論ならび実践的な研究に努力を注いだ！

  ​​​​​​​​​​ワシリー・カンディンスキーは、ロシア出身の画家で美術理論家で抽象絵画の創始者とされていている。モスクワ大学で法律と政治経済を学ぶも30歳で画家を志しドイツへ私もドイツ旅へワシリー・カンディンスキー​​Vassily Kandinsky1866年12月4日〜1944年12月13日（78歳没）彼はその『回想録』の中で語っている。「私はデッサンすることが、　私を時間と空間を超えた所に住まわせ、　まるで自分が自分でないように　感じられるようにしてくれたお陰で、　あの不安な状態に　終止符を打つことができた。」思うにロシアの聖人伝説もこれと似た役割を果たしたであろう。ここでもまたウラディミール、ゲオルギウス、あるいはふたりの殉教聖人ボリスとグレブなど、比較的少数の聖人がカンディンスキーの作品の中に認められるが、しかし、『コンポジションVI』​​​『コンポジションVII』​​​​​などの彼の宗教的作品がロシア正教のイコノグラフィーに深く根ざしていることは疑いをいれない。彼は1913年の何点かの油彩画の中に、これらコスクワのフレスコ画の人物のモティーフを取り入れるだけでなく、ロシア・イコンの超時間性、超空間性は、疑いもなく彼の芸術に影響を及ぼしているのである。カンディンスキーは、非具象的な方法で形態の新しい世界を創造したが、それは決して対象を欠いたものではなかった。それが誕生した時、新しい宗教的内容を表現したのは、内的必然性から生まれた形態であった。すでに1904年にカンディンスキーは次のように書いているが、これは単に芸術家としての彼の役割についての考え方を明らかにしているだけでなく、のちに彼が直面することになる芸術上の問題の解決の足がかりの大略をも示している。「もし運よく私に十分な時間が与えられたら、　私は不滅でしかも絶えず自己を　より豊かにしてゆくような　新しい国際的な言語を発見できるだろう。　しかもその名は　『エスペラント』ではないだろう。　その名は絵画・・・濫用されてきた　この古い言葉・・・であるだろう。　それは写し絵と呼んでも　いいものだったかも知れない。　今まではもっぱら模倣で　それは成り立っていたのだから。　色彩がコンポジションとして使われることは　ほとんどなかったのである。（仮にあったとしてもそれは無意識的なものだった）」。​『青い山』1908年〜1909年　​ソロモン・R.グッゲンハイム美術館所蔵。​カンディンスキーの生涯と芸術を総合的に理解するためには、​彼の最大の関心事は、形態それ自体の問題ではなく、いかにして新しい内容をそれにふさわしい形で表現するかの問題であったことを知る必要がある。すでに述べたようにこの新しい内容とは？ラファエロにおける「あるイデー」、つまり一定の、しかしまだ規定されていないイメージに近いものであった。それは、ドイツ・ロマン派の詩人のあの魔術的な「青い花」にも比すべきヴィジョン、カンディンスキーにしばしば、​​​​「形のない何かを形あるものにすることは可能でろうか？」というドフトエフスキーの問いを思い出させたに違いないヴィジョンであった。​『白、柔らかく、そして堅く』1932年 カンヴァスに混合技法　80.0cmx100.0cm19世紀後半のロシアで様々な形をとって現れた黙示録的な精神状態の影響下に、また近い将来（「第三の啓示」の力で）、精神が優位に立つことを信じることで、彼の関心はいわゆる「四終」に集中した。彼はその著作の中で、滅びゆく時代と新しい時代の誕生に際して、運命によって予め決められた自分の場所についてしばしば語っている。1910年〜1914年にかけての彼の作品は、この点を十分に裏付けている。神学的にも、芸術的見地からもほとんど考えられないことであるが、（カンディンスキーが想像したような）大洪水、最後の審判、それに復活を総合して視覚的に表現することは少なくとも初めは「形のない」何かのように思われたに違いない。その上、使用言語は国際的に通用し、また最も重要な伝達手段は色彩であるべきであった。にもかかわらず、預言者的な熱意に燃え、また自分で課した課題に倦むことなく取り組みながら、自分の作品の理論的ならびに実践的な側面の研究に多大の努力を注ぐことにより、カンディエンスキーはついに、その内実が存在理由となりうるような絵画の創造に成功したのである。この成功の秘密は第一に、与えられた視覚的事実を、短縮化と象形文字化の過程において抽象することにあった。第二に、色彩に内在する力を抽出することにあった。これらの作品は、その明らかな芸術的存在感にも関わらず、理解することは容易ではない。また実際、カンディンスキーの作品の多くがいまだ満足に解明されないままに残っているのである。（参考文献：Kandinsky TEXT BY HANS K.ROETHEL   IN COLLABORATION WITH JEAN K.BENJAMINより）（写真撮影：ほしのきらり）​​カンディンスキーにぽち​​​​​​​​​​​​​​​​​​​

  2022.01.20

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  カンディンスキーの作品とは？　昔々あるところにだった！　1896年（30歳）学者から画家に　モスクワからミュンヘンへ

  ​​​​​​​カンディンスキーについて更に深く研究したいと思うのであります〜彼の作風はどのようにして生まれたのでしょうかワリシー・カンディンスキー​Vassily Kandinsky​​​1866年12月4日〜1944年12月13日（78歳没）ワシリー・カンディンスキーは・・・法学で学位をとり、経済学も修めた。​1896年（30歳）、​絵を学ぶためミュンヘンに行く決心を固めた。彼は卒業前に民族学と法制史の研究で、セント・ペテルブルク帝室アカデミーから表彰を受け、またドルバット大学の教授としての招聘も受けた。ミュンヘンに行く前の彼は、モスクワの大きな印刷工場のアート・ディレクターをつとめていた。これらわずかな伝記的事実からも、一見対立的な、あるいは矛盾するとさえ言える彼の性格がうかがえるようである。カンディンスキーの知的ヴァイタリティーは、彼を法学者、歴史家、民俗学者たらしめた。しかし彼のさらにすぐれた豊かな感受性は、天職に対する稀にみる使命感とあいまって、彼をしてその生涯と作品において知性と直感の総合を試みたひとりの芸術家たらしめた。彼が自分の人生を思い切って方向転換したこのころの作品らしきものは、全く残っていないようである。初期の何編かの詩は書かれてから間もなく彼自身の手で反古にされてしまった。モスクワの教会を描いた若干のデッサンと、​1889年（23歳）​の時にヴォログダ地方に調査旅行した時つけた日誌の中に描いた何点かのスケッチはあるが、そこに個性らしきものは一向に感じられない。カンディンスキーが・・・学者あるいは実業家としての道をすて、芸術家として生きる決心をしたのは、手先の器用さとか、絵を描くのに特に優れた技術を持っていたからではなかった。彼の心の中にヴィジョンとして存在し、ラファエロの言う「あるイデー」にふさわしい形式を発見するため彼を画家らしめたのはむしろ、彼の最も有名な著書の題名をかりれば・・・「芸術における精神的なもの」であった。彼の夢を表現するに適当な手段を探し求める内に、彼は抽象絵画を創造した。彼が「20世紀のジョット」と呼ばれるのも十分な理由あってのことなのである。芸術家としての自分の歩みを顧みながら、彼は法学、自然科学、音楽、フランス文学、それにもちろん絵画など、様々な方面から影響を受けた言を認めている。彼は「母なるモスクワ」とその教会が与えた大きな感銘を声を大にして語り、またヴォログダ地方の農家のカラフルな内部について語り、のみならず芸術家としての自分の仕事を「ロシア農法」に関係づけてさえいる。しかしながら、一見奇妙に見えるかも知れないが、彼はロシアの知識人としての背景については、何ひとつはっきりしたことを語っていないのである。また彼の宗教的な生い立ちや、ロシア正教への生涯変わらぬ信仰についても黙して語らない。例えば彼は、プーシュキンと同じく中世に関心を抱いていたが、しかしロシアの詩、文学、哲学が、彼の芸術に及ぼした影響については何も語っていない。トルストイは・・・その芸術に対する使命感により、カンディンスキーと比較されるのはもっともであり、また、イワン・クリロフのユーモアのセンスは、カンディンスキーに通じるものをもっているが、彼らについてさえカンディンスキーは一言もしていない。おそらくこれは意図的にしたことではなかろう。たとえば同じような状況下のイギリス人やドイツ人だったら、その読者にわざわざシェークスピアやゲーテの影響を教えることなど普通だったらしないであろうから。​Vassily Kandinsky​Mosca 1866-Neully-sur-Seine 1944​​​​​​​​Sunday-old pussia1904-1905 Woodcut on paper 18.0cmx27.0cm​​​​​​ヴァチカン市国「ヴァチカン美術館」所蔵。カンディンスキーは・・・ロシアの童話や伝説については、何ひとつ書いていないが、しかしドイツの童話を愛したことは声を大にして語っているので、彼がロシアのそれにもよくなじんでいたことは十分に考えられる。彼はそれらの内容、形式双方の影響を受けており、実際彼の作品は一時『イワン・レヴィッチ』のような物語やババ・ヤガのような登場人物に由来し、あるいは基づいた主題をふんだんに取り入れている。しかしカンディンスキーが、ロシアの伝統的な民話の挿絵を描いたことはほとんどなかった。『美しきワシリッサ』の一場面を描いたらしい1907年のテンペラ画『夜』と1916年の『火の鳥』と題する水彩は、唯一の例外である。これらに似た他の作品は概して挿絵ではなく、カンディンスキーの創造にかかる「眼で見る」童話ともいうべきものである。この種の若干の油彩画、グワッシュ、それに多くの木版には鏡やヴェールなどの童話的なモティーフが登場している。しかしながら、カンディンスキーの作風の形成に貢献したのは、童話の筋や内容ばかりでなく、むしろそれ以上に、その伝統的な表現形式であった。この点で、ロシアの作家やプーシュキンのような大詩人だったら、さまざまな物語のモティーフを自分なりに自由に組み合わせることにより、新しい物語りを創造したであろう。また当時のことながら、伝統的な物語りに何かを加えたり、何かを取ることによっても同じことをしたであろう。ディアギレフは、1910年に新しいバレエをプロディユースしようとしたが、（のちにストラヴィンスキーはその音楽を作曲している）彼は、その舞台装置担当のフォキーヌに、イワン・レヴィッチ、火の鳥、灰色の狼、魔術師コルチェイなどロシアの童話の中でも特に興味深いモティーフを取り入れてくれるように依頼している。カンディンスキーのすべての作品と密接に関わっているのは、何ものにも増してこの時間と空間を超えた童話的性格「（昔々あるところにで・・・）」であり、またこの点で彼の作品全体が、彼の創造精神と切っても切れない関係にあることは興味深い。​​​​（参考文献：Kandinsky TEXT BY HANS K.ROETHEL   IN COLLABORATION WITH JEAN K.BENJAMINより）（写真撮影：ほしのきらり）​​​​​​カンディンスキーにぽち​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​

  2022.01.19

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  カンディンスキー　Several Circles January-February 1926　いくつかの輪　多数の輪　1926年 ニューヨーク　ソロモン　R.グッゲンハイム美術館　円を描いた理由とは！？

  カンディンスキーの絵を見ていると、この時期には『円』を多く描いています〜何故なのでしょうか​​​​​Vassily Kandinsky​Several Circles(Einige Kreise)Januari-February 1926​『いくつかの円』​『多数の輪』​​1926年​Oil on canvas(油彩・カンヴァス）140.0cmx140.0cmニューヨーク「ソロモン・R・グッゲンハイム美術館」所蔵。Kandinsky-EINIGE KREISE The Solomon R.Guggenheim,New Yorkワリシー・カンディンスキー​Vassily Kandinsky​​​1866年12月4日〜1944年12月13日（78歳没）ロシア出身の画家・理論家。抽象絵画の創始者。ドイツ・フランスでも活躍。この時期のカンディンスキーには、円を描いた（他の形態との複合も含めて）作品が多い。その理由を質問したグローマンに彼は次のように箇条書きで答えている・・・（１）もっとも控えめな形態、　　しかし無条件に自己を主張する。（２）明確、しかし無限に可変的。（３）安定、と同時に不安定。（４）声高で、しかも低音。（５）内に無数の緊張を孕む単純な緊張。・・・円は、極端に対立するものの綜合である。集中と拡散とを単純な形態とバランスで結び合せる。円は、三つの基本形態（三角形、方形、円）のなかではもっとも明瞭に四次元を指し示す」この作品は他の要素を交えずに四次元を支持する大小の円だけで構成された画面で、それだけに平面ではなく空間を、静止ではなく流動を、絵画よりは音楽をストレートに感じさせる。基礎平面の黒や、流れる雲のような絵肌からして、夜空に明減するイルミネーションか？見る者を宇宙的な夢に誘う楽しい光波の音楽を奏でている​​​​​​​​​​丸い形は・・・カンディンスキーの新たな思想を伝える手段となった。「僕はかつて馬を愛したように、円形を愛している」と語ったカンディンスキー。バウハウスがデッサウに移転したのち、元生徒のひとりだったデザイナーのマルセル・ブロイヤーが、カンディンスキーの家の食堂用に椅子のセットを制作したことがある。だが、「この椅子は角ばりすぎている」と恩師に却下された彼は、椅子を作り直すはめになった。最終的に出来上がったのは、円形の座席の付いた椅子だったという。カンディンスキーは、丸い形に魅了される気持ちについて、明確に述べている。この形においては抑制とじゅういつ充溢（満ち溢れること）のどちらもが許され、本人の言葉を借りれば・・・「最大のパラドックスが結合」され得るのだと。彼は円形を”静かな形態”と呼び、こう語った。「沈黙が騒音より雄弁な場合が、多々あるものだ」この時期の作品は・・・どこか超然とした、水晶のように透明な美しさを備えている。以前の作品に見られたような表現豊かでロマンティックな要素からは、次第に距離を置くようになっていったカンディンスキー。この時期に制作された作品は・・・本人の人柄同様、ロシアにいた時期に着想を得た「大いなる平穏」を体現しているように見える。​​​​​​​​​​​（参考文献：パイインテーナショナル・芸術たちの素顔８・僕はカンディンスキーより）（参考文献：KANDINSKY/ET L'EXPRESSIONNISME　カンディンスキーと表現主義・世界の名画14中央公論社より）（写真撮影：ほしのきらり）​​​カンディンスキーにぽち​​​​​​​​​​​​​​​​​​​

  2022.01.18

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  カンディンスキー　灰色の中に　1919年　Im Grau,1919 パリ　ポンピドゥー・センター　国立近代美術館　有名な作品！

  ​​​なんと〜複雑な作品ですよね！しばらく作品制作を休んでいてドイツに戻って時間をかけて描いた最も成熟し完成された作品ですVassily Kandinsky1866年-1944年Im Grau,1919[Dans le gris]​『灰色のなかに』1919年　​(灰色の中に）Huile sur toile  129.0cmx176.0cmパリ「ポンピドゥー・センター」（国立近代美術館）所蔵。この大作は『コンポジション』シリーズに加えるべき作品である。なぜならば・・・この作品は複雑で、構成は熟考され、時間をかけて、慎重に制作されたものだからであるしかし、グローマンはこの作品について、「極度に複雑で、　過剰が混乱を生んでいる。　何かを探し求める過程で、　制作されたに違いない」と述べている。この作品は・・・1919年から、1920年に描かれた作品のうち、唯一今日に伝わるものであり、それゆえによく知られた作品であるしかし、これは・・・そのような状況が想像されるようにまたグローマンの言うように、過渡期の状態を示す作品ではなく、完成された作品であり、「抽象的風景と複雑かつ　広々とした背景に浮かぶ長い形態を、　変化に富んだ薄塗りの　灰色のなかで」組み合わせたものである。　​​​左上の弧は・・・1912年の『黒い弧』を彷彿させ、その背後にある重ねられた四角い面に溶けこもうとしている。カンディンスキーは、「この作品は、形態を集積した　ドラマチックな時期を締めくくるものである」と述べている。有機的な要素と形態の法話の時代の次に、幾何学的形態の時代が続く。それはカンディンスキーのドイツ帰還に伴うもので、1922年、カンディンスキーに戻り、しきりに絵を描くようになった時期と一致する。​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​ワリシー・カンディンスキー​Vassily Kandinsky​​​1866年12月4日〜1944年12月13日（78歳没）ロシア出身の画家・理論家。抽象絵画の創始者。ドイツ・フランスでも活躍。（参考資料：KANDINSKY/岩波・世界の巨匠カンディンスキーより）（写真撮影：ほしのきらり）​​​​​​カンディンスキーにぽち​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​

  2022.01.17

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  カンディンスキー　様々なアクション　1941年8月〜9月　Various Actions August-September 1941 ニューヨーク　ソロモン・R.グッゲンハイム美術館　芸術にとっての最大の幸福・・・とは？

  うふふ〜これは多くのモティーフが楽しく複雑に絡み合っていますね〜洋裁が趣味の私とすれば連続して「布地」にしてみたいと感じた作品です​​Vassily Kandinsky​Various ActionsAugust-September 1941​『様々なアクション』1941年​8月〜9月​Oil and enamel on canvas（カンヴァスに混合技法）89.0cmx116.0cm左下にモノグラムの署名と（19）41の年記​​​​​​​​​​​ニューヨーク「ソロモン・R・グッゲンハイム美術館」所蔵。ワリシー・カンディンスキー​Vassily Kandinsky​​​1866年12月4日〜1944年12月13日（78歳没）ロシア出身の画家・理論家。抽象絵画の創始者。ドイツ・フランスでも活躍。『様々なアクション』は・・・有機的形態と幾何学的形態、大きなものと小さなものとの戯れを表したような絵で、その題名に示されるように、軽快な線的要素が絡み合っている1935年の「二つの方向」と題するエッセーの中で、カンディンスキーは当時の思想について語っている。それによると、これには次のような特徴が認められている。（１）内面の眼の発展についての意識、　その結果としての、（２）巨視的、超視覚的自然の間の　大小の相互関係の経験、　のふたつである・・・。​​​『様々なアクション』は・・・​​​芸術（および哲学）におけるこうした新しい傾向についてのカンディンスキーの考え方を反映しているようであるが、彼は1912年に​​「青騎士年鑑」に書いた論文、「形態の問題」を引用しながら、さらに続けてこう述べている。「線は椅子、　井戸、　ナイフ、　本と同様に　実際的で有用な目的をもつものである。　ただしこの線は、　その純粋な内的響きにより　純絵画的な目的のために用いられる。」彼の言う「巨視的、微視的自然の間の大小の相互関係の経験」に関して、カンディンスキーは、「二つの方法」の中で言明している。「言うまでもなく線は、　絵画を構成する　様々な抽象的要素のひとつに過ぎない。　・・・絵画的構成そのものは、　『自然のディテール』によって　なされるのではなく、　自然全体の法則に従って、　つまり宇宙を支配する　自然の法則に従ってなされるのである。　抽象芸術が、（『純粋』音楽のように）、　『純粋』芸術であるのはそのためであり　また『見る』人が、　抽象芸術を見ながら、　『宇宙的な』印象をもつのも　稀でないのもそのためである。　『i』の上に点をおくこと。　つまり抽象芸術は、　『自然』なしでも行けるが、　しかし自然の法則には従っているのである。　その声を聞き、　これに従うことは　芸術にとって最大の幸福である。」この最後の一節は・・・この絵だけのカンディンスキーの考え方の最も本質的なものをも語っているのである。​​​​​​（参考文献：Kandinsky TEXT BY HANS K,ROETHEL  IN COLLABORATION WITH JEAN K.BENJAMINより）​​​（写真撮影：ほしのきらり）​​​​​​​​カンディンスキーにぽち​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​

  2022.01.16

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  カンディンスキー　即興XIV 1910年　インプロヴィゼーションXIV　Im Provisation XIV,1910 パリ　ポンピドゥー・センター　国立近代美術館　カンディンスキーの目論み！

  カンディンスキーのインプロヴィゼーション『即興』について理解を進めてまいりましょうこの作品にも馬と騎士が描かれております。Vassily Kandinsky​​​1866年-1944年Im provisation XIV,1910​​​​​Huile sur toile 74.0cmx125.5cm​『インプロヴィゼーションXIV』​『即興　XIV』​​1910年​パリ「ポンピドゥー・センター」（国立近代美術館）所蔵。鉛筆と墨汁によるこの作品を見ると、ふたりの騎士の対決を描いたものであることがわかる。この作品には・・・下絵の線にみられる静的な簡潔さはまったくみられないカンディンスキーは、色彩と線のダイナミズムを高揚させることを目論んだのであり、カンディンスキーの述べるところによれば、動きの概念を絵画表現に託することによって、「ダイナミックな事実」をこの絵に集約しようとしたのである。一対の馬と騎士がぶつかりあい、そこに動きが集中している。また『即興VII』に見られるような、上昇する動きも見られる。しかし不安定、あるいは混乱という印象は、そこから生まれてくるのではない。緑色と色彩の対応関係からの解放、平面と色彩の塊の不明瞭さ、さらにそれらがカンヴァスの表面を滑るような錯覚・・・これらの効果によって、生み出されたものなのである。それは伝統的な絵画からかけ離れたものであり、ある評論家の言葉を借りれば、カンディンスキーはこうして「純粋絵画の渦」に飲み込まれていったのである。​ワリシー・カンディンスキー​Vassily Kandinsky​​​1866年12月4日〜1944年12月13日（78歳没）ロシア出身の画家・理論家。抽象絵画の創始者。ドイツ・フランスでも活躍。​（参考文献：KANDINSKY/岩波・世界の巨匠カンディンスキーより）​（写真撮影：ほしのきらり）​​​​​カンディンスキーにぽち​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​

  2022.01.15

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  カンディンスキーの即興とは？　Improvisation28 1912 即興28 即興XXVIII インプロヴィゼーション28 1912年　ニューヨーク　ソロモン・R・グッゲンハイム美術館　館内（英文）解説文

  ​​​​​カンディンスキーの『インプロヴィゼーション』は心の動きのままに描かれていますね即興＝インプロヴィゼーションとは？​​​​​​​​​​​Vassily Kandinsky​Improvisation28(second version)(Improvisation28[zweite Fassung])1912Oil on canvas  113.0cmx158.0cm​​『即興２８』​1912年​​​『即興XXVIII』(第二版）『インプロヴィゼーション28』ニューヨーク「ソロモン・R・グッゲンハイム美術館」所蔵。即興（インプロヴィゼーション）は、最初に1909年夏ころからはじめられた。カンディンスキーの言うインプロヴィゼーションは、言葉による思考や記憶などを含む心と精神の動きのすべての直接的表現という意味。『即興』が対象を超えるとき、当然おこってくるのは、形式の不定という問題である。もともと定まった形式をとり得ないのが即興であるカンディンスキーは、​​『青騎士年鑑』のなかでこの問題に触れて、「ある形式（フォーム）からユニフォームを作ってはならない」と述べている。彼によれば、形式は精神を表現する一手段に過ぎず、それゆえに固定的であってはならなず金科玉条とすべきものでもない。ある形式を絶対と考えるとき、その人はもはや創造者ではなく模倣に墜している。創造者が耳を傾けるべきは、「内面の響き」であり、精神の必然こそ活力ある形式を生んでいく。​「深海魚に目がなく、象の鼻が長いように」。​​個性はこういう躍動するフォルムに刻印されるのである。​​​​​​​ワリシー・カンディンスキー​Vassily Kandinsky​​1866年12月4日〜1944年12月13日（78歳没）ロシア出身の画家・理論家。抽象絵画の創始者。ドイツ・フランスでも活躍。Solomon R.Guggnheim Museum ​館内（英文）解説文​​​Vassily Kandinsky​Improvisation28(second version)(Improvisation28[zweite Fassung])1912Oil on canvasSolomon R.Guggenheim Museum,New YorkSolomon R.Guggenheim Founding Collection,By gift 37.239In 1911,Kandinsky began corresponding with Viennese composer Arnold Schonberg,whose musical experiments,which ruptured conventional compositional structure,resonated with Kandinsky's desire for a free,expressive visual art.In his first major aesthetic treatise,Uber das Geistige in der Kunst(On the Spiritual in Art).published in 1911(Though dated 1912),Kandinsky examines color's capacity to communicate innermost psychological spiritual concerns,and connnects Theosophical thought with painting.In this text,Kandinsky identifies three types of paintings through associations with music-impressions.(1909-14)as "chiefly unconscious,for the most part suddenly arising expressions of events of an inner character,hence impressions of ' internal nature.'"Improvisation 28 depicts-through schematized meanscataclysmic events on the left of the canvas and symbols of hore and redemption on the right.Images of a boat and waves emerge,signaling a deluge.A serpent and,perhaos,cannons also are visible.In contrast,he depicts an embracing couple.a shining sun,and what appears to be a church or tower in the top-right corner.〜〜〜〜〜〜〜〜「強い自我の意識をもって想像する芸術家は、　対象を描くことだけに満足することはできない。　そこに表現主義を与えたいと思うのは必然である。　かつてはその作業は理想化と呼ばれて、　ある時から様式化と呼ばれるようになった。　明日は、間違いなく別の言い方になるだろう」。カンディンスキーはこうして芸術家が、「文学的な見せかけからコンポジションへ」と移行していく過程を定義している。​​しかし、カンディンスキーは・・・さらに正確を期して次のようにも述べている。​「（印象派の）様式化は、　有機的な形態を美化することを求めなかった。　そこでは有機的形態は　固有の音を表現していたものの、　外部の要素が混入し支配してしまう。　今後は、有機的形態に処理を施し、　変換させ、そうすることによって　内面の音を顕にせねばならない」（『芸術における精神的なもの』より）（参考資料：KANDINSKY/岩波世界の巨匠カンディンスキーより）（写真撮影：ほしのきらり）​​​​​カンディンスキーにぽち​​​​​​​​​​​​​​​​​​​

  2022.01.14

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  小さな喜び　カンディンスキーの説明とは？　Small Pleasures , June 1913 　ニューヨーク　ソロモン　R.グッゲンハイム美術館　館内解説文（英文）

  ​カンディンスキーの「小さな喜び」とは何！？​​​​​​​彼の説明がありましたので読んでみましょう（美術館内の解説文も）​Vassily Kandinsky​Small Pleasures(Kleine Freuden)June 1913Oil on canvas（油彩・カンヴァス）109.8cmx119.7cm​『小さな喜び』1913年6月​ニューヨーク「ソロモン・R・グッゲンハイム美術館」所蔵。​左下に署名と年記：KANDINSKY 1913​ワリシー・カンディンスキー​Vassily Kandinsky​​​1866年12月4日〜1944年12月13日（78歳没）ロシア出身の画家・理論家。抽象絵画の創始者。ドイツ・フランスでも活躍。作品どうしの比較と、この『小さな喜び』についての作者自身のコメント（未刊）から明らかなように、この絵は、これより少し前の『太陽のあるガラス』と題する作品にもとづいている。カンディンスキー自身の言うところによると、この絵の柔らかな色彩・・・それは金と銀の使用によってアクセントをつけられている・・・が、こうした特徴をカンヴァスの上に再構造したいという気にさせたのだという。​​​​彼に​​よれば『小さな喜び』の構図は、​​​​​​​​​他のどの作品とも異なり、およそ複雑ではないのでたとえ盲人でもその意識的に単純な構図を把握できるだろうとしている。彼の説明によると、画面中央はふたつの部分から成り、その内容の大きな方は、その上の多彩な部分と対照されている。彼は自分の絵をこのように言葉で説明しながら、実際にそこに見えるものについて沈黙している。つまり絵の中の中央にある宮殿のような建造物をいただいた山がそれである。この平明な構図についての説明の中で彼はまた、この絵の四隅に注意を喚起し、それらはいずれも互いに「異なり、強く、自明のもの」であるとしている。この絵を描いた時の楽しさについても、彼は多くの言葉を費やしている。また極めて細い筆で慎重に引いた「細い、極めて細い線」についてもふれている。金と銀を使いながら、それが光沢の出ないようにうまく処理した時の満足感についても語っている。そして最後に、「多くの小さな喜びをカンヴァスに注いでいる時」の自分の心の高まりを思い出している。しかしこうした彼の言葉のどこを探しても、描かれた喜びがどんな種類のものかについては何の説明もない。しかしながら、ガラス絵に見られる若干の手がかりから想像すると、ここにある『小さな喜び』とは・・・輝く太陽の下での、快い世界での乗馬、散歩、恋、あるいは舟遊びなどのそれである。画面右上には、水平線上に黒雲が生まれてきそうな兆しが見える。この絵は全体的には、水に落ちる小さな水滴の楽し気な響きのような印象を彼に与えたが、しかしこの黒雲のような形態は、また、未だ本当に危険とは言えないが、しかしその音に思わず立ちどまり、考え込んでしまうような、沈鬱なバスの響きのように彼には思われた。全体的には、この『小さな喜び』は、幸福で快活な絵であり、カンディンスキーも大いに気に入っていたようであるこれより10年以上経ってから、カンディンスキーは、若い妻ニーナに、この絵がどんな風であったかを教えるため『回想』（1924年）を描いたが、これは、​​​​​​1913年の『小さな喜び』​​を思わせるところ大である。（参考文献：Kandinsky TEXT BY HANS K.ROETHEL   IN COLLABORATION WITH JEAN K.BENJAMINより）Solomon R.Guggnheim Museum ニューヨーク「ソロモン・R・グッゲンハイム美術館」​​館内解説文Small Pleasures(Kleine Freuden)June 1913Oil on canvasSolomon R.guggenheim Museum,New TorkSolomon R.Guggenheim Founding Collection 43.921By 1913 Kandinsky's aesthetic theoris and aspirations were well developed.He valued painterly abstraction as the most effective way to reveal hidden aspects of the empirical world,express subjective realities,aspire to the metaphysical,and offer a regennerative vision of the Future.He sought to interrelate colors,shapes,and lines that would elicit specific responses from viewers.The inner vision of an artist,he believed,could thereby be translated into a universally accessible statement.He realized,however,that developing such a style would have to be done slowly in order to foster public acceptanceand comprehension Therefore,most works from this period retain fragments of recognizable imagery."We are still firmly bound to the outard appearance of natureand most draw forms from it."Kandinsky wrote.He also suggested that a hidden pictorial construction existed and would"emerge unnoticed from the picture[would thus be]less stited to the eye than to the soul."Small Pleasures is filled with veiled imagery of the Last Judgment,as are many paintings from his Munich period,but its title suggests other readings.In an unpublished essay on the Work,Kandinsky wrote that his goal"was to let・・・[himself] go and scatter a heap of small pleasures upon the canvas."（写真撮影：ほしのきらり）​​​​​カンディンスキーにぽち​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​

  2022.01.13

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  カンディンスキー　Blue Mountain 1908-1909 青い山　1908年〜1909年頃　ニューヨーク　ソロモン、R.グッゲンハイム美術館　館内の解説文（英文）

  富士山のような​​​​​​​​青い山に黄色と赤の樹木が見えますね〜ここにもカンディンスキーの大好きな馬に乗った人々が進みます​Vassily Kandinsky​​Blue Mountain(Der blaue Gerg)1908-1909​Oil on canvas（油彩・カンヴァス）106.0cmx96.6cm​『青い山』1908年〜1909年​​ニューヨーク「ソロモンR.グッゲンハイム美術館」所蔵。Kandinsky-BLAUER BERG The Solomon R.Guggenhein Museum,New Yorkこの作品は​​『ムルナウのグリーン小路』1909年よりも、やや遅い時期の制作だと思われる。『ムルナウのグリーン小路』にくらべて色彩が密度ある輝きを増し、形態が図式化されているのが目立つ。画面は・・・青い山を中心として大まかなマッスに分けられており、各マッスを独立させている輪郭線状の区分線と、視覚に震動を与える黒い細やかな色斑とが、鎮静と躍動の緊張をかもして、画面が平面的・装飾的に流れるのを防いでいる。カンディンスキーは・・・騎行する人を好んで描くが、『回​顧​』にこんな一節がある。・・・・「馬は、力とスピードで騎手を運ぶ。だが馬を御するのは乗り手である。才能は芸術家を力とスピードで高みへ連れて行く。だがその才能を操るのは芸術家である。これが制作における、呼び名はどうあれ、〈意識的なもの〉である。」彼が色彩にいかに非凡な感受性をもち、また幼年時代にさかのぼる色彩体験が、いかに強烈であろうと、それを煮つめて対象を棄てるまでには、多くの試みがなされているのである。（参考文献：KANDINSKY ET L’EXRESSIONNISME　カンディンスキーと表現主義/世界の名画14中央公論社より）ワリシー・カンディンスキー​Vassily Kandinsky​​​1866年12月4日〜1944年12月13日（78歳没）ロシア出身の画家・理論家。抽象絵画の創始者。ドイツ・フランスでも活躍。​（グッゲンハイム美術館内の英語解説文）​Blue Mountain(Der blaue Berg)1908-09Oil on canvasSolomon R.Guggenheim Museum,New YorkSolomon R.Guggenheim Founding Collection,By gift 41.505Kandinsky spent his early childhood in Moscow.the city of his birth,and Odessa,Russia(present-day Ukraine),where his family instilled in him a love of art and music.He initially studied law and economics,but he left Russia at age thirty to study painting in Munich,then one of Europe's leading cultural centers.Kandinsky and his companion,artist Gabriele Munter,formed an international group of artists that scandalized Munich with exhibitions of radically new paintings between 1908 and 1912.With artist Franz Marc,Kandinsky published in 1912 Almanach Der Blaue Reiter(The Blue Rider Almanac),a compendium of images and articles emonstrating affinities across diverse disciplines and cultures.The loosely grouped artists of Der Blaue Reiter united around a common interest in the expressive potential of color,art's symbolic associationthers,and,for Kandinsky and a few others,spiritual values.As Kandinsky's style evolved,the subjects of his paintings changed from naturalistic scenes to visinary narratives.The horse-and-rider motif,seen here,symbolizes his crusade against conventional aesthetic values and his dream of creating a better,utopian future through the transformative powers of art.（写真撮影：ほしのきらり）​​カンディンスキーにぽち​​​​​​​​​​​​​​​​​​​

  2022.01.12

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  カンディンスキー　Picture with an Archer 1909 射手のいる絵画 射手のいる絵　1909年　ニューヨーク近代美術館　MOMA所蔵。　黄色い音

  ​カンディンスキーの射手のいる絵は、絵本の中に迷い込んだような謎多き作品であります〜解明してみましょう​Vasily KandinskyFrench,born Russia.1866-1944Picture with an Archer 1909​Oil on canvas​　177.0cmx147cm　​​いて『射手のいる絵画』1909年  ​​(射手のいる絵）​​ニューヨーク「近代美術館」MOMA所蔵。右下に著名：KANDINSKYワリシー・カンディンスキー​Vassily Kandinsky​​​1866年12月4日〜1944年12月13日（78歳没）ロシア出身の画家・理論家。抽象絵画の創始者。​ドイツ・フランスでも活躍。（初めに低い声で）「石のように固い夢・・・　物言う岩・・・　謎にみちた問いで固めた土くれ　空の動き・・・　そして石の・・・溶解　高く、上方へと成長してゆく　見えない・・・土まんじゅう（高い声で）　涙と笑い・・・呪い・・・祈り　一体感の喜びと暗黒の戦闘（一緒に）　陽光にみちた・・・　日中の・・・・最も暗い光（それは速やかに、また突然に閉ざされる日中）　暗黒の夜のまぶしい光を放つ影！！」​​​馬上の射手は・・・カンディンスキーの好みの主題のひとつである1903年の彼の『言葉のない詩』には、飛ぶ鳥に狙いをつける射手をモティーフとした小さな黒白の木版があり、またこれとほとんど同じ構図の、やや大きめの着色木版（1907年）もある。この絵の射手は後ろ向で、狙っているものもはっきりせず、この点でこれ以前の作品と異なっている。左前方にはふたりの人物が見え、またふたつの岩にかこまれて、性格不明の建築的モティーフが見える。何本かの木と緑っぽい形態は、風景を暗示している。中央には、メンヒルのような巨石がそそり立っている。ある程度具象性のある形態と題名にもかかわらず、この絵の意味は・・・不明であるまた実際、おそらくは不明のままにしようとしたのでしょう。この射手の騎行の目的もはっきりしないまた彼と、無人の建造物から降りてきたかのようなふたりの人物との間には、何の関係もない。またここで起こっていることの内容を指示するようなものは何もないが、それにもかかわらずこの絵には、形態的にも色彩的にも明らかにドラマチックなものがある冒頭に引用したのは、この絵が完成した年に書かれたカンディンスキーの戯曲『黄色い音』（旧題名『巨人』）の一節であるが、これは彼が、この絵を製作中に経験した情緒的、感覚的な葛藤をよく表しているようである。（参考文献：Kandinsky TEXT BY HANS K.ROETHEL   IN COLLABORATION WITH JEAN K.BENJAMINより）（写真撮影：ほしのきらり）​​​カンディンスキーにぽち​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​

  2022.01.11

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  カンディンスキー　Gelb-Rot-Blau 1925年3月〜5月　黄・赤・青　この三原色の意味するところは・・・何？

  ​カンディンスキーの黄・赤・青の三原色を使って私たちに見せてくれる世界は何なのでしょうかVassily Kandinsky​​​​1866年-1944年Gelb-Rot-Blau,1925[Jaune-rouge-bleu]​『黄・赤・青』1925年3月〜5月​​Huile sur toile（油彩・カンヴァス）127.0cmx200.0cmパリ「ポンピドゥー・センター」（国立近代美術館）所蔵。​『黄・赤・青』​この題名は・・・三原色と三無彩色（黒/白/灰色）のみで描くことにより、すべての自然主義的外観を排除する、ネオ・プラスティシズムを思わせる。しかし、カンディンスキーは・・・ネオ・プラスティシズムの「客観的自然」の信奉者であるどころではなく、モンドリアンや、ファン・ドゥースブルフの禁欲主義や厳格な教条とは意見を異にしていた。形態と色彩の間には、精神的な対応関係があり、カンディンスキーは、それにしたがって黄色を三角に、赤色を四角に、青色を円形に、結びつけているそれは厳格に守られ、鋭い黄色に塗られた部分は、ふたつの射線に挟まれ、カンヴァスの左側を支配し、右のほうは蛇行する強い線が占めている。中央には、不明瞭な赤い平行四辺形が散らばっている。この作品には、黄色と青の重い対立に象徴される。紛争や対立の表現を見るものもいる。その紛争は、確かに理論的であり、円形は三角形に対し相対的な勝利をおさめている。​​（参考文献：KANDINSKY/岩波世界の巨匠カンディンスキーより）ワリシー・カンディンスキー​Vassily Kandinsky​​​1866年12月4日〜1944年12月13日（78歳没）ロシア出身の画家・理論家。抽象絵画の創始者。ドイツ・フランスでも活躍。​​​​著書『芸術における精神的なもの』によると、カンディンスキーは・・・色彩を暖と寒、ないしは明と暗の二類にわける。黄は・・・前者青は・・・後者の典型である。そして暖は、見る者に接近してくる色であり、寒は、その逆である。・・・ここまでは、ゲーテをはじめ従来の色彩論と変わらない。しかし彼は前進、後退の遠近運動と並んで、遠心、救心のいわば力学的運動に注目する。たとえば、同じ半径の黄と青の円を並列した場合、黄は、遠心的に自己を拡散して近づき、青は、求心的に収縮（「殻に入る蝸牛のように」）して遠ざかるのである。一方、赤は、無限の暖であるが、黄の軽率な性質（「レモン〈刺激的な酸味〉やカナリヤ〈鋭い囀り〉が黄色いのは自然の暗号だ」）をもたず、対立する力の緊張を秘めて、ときには寒としても作用し得る。この作品は・・・以上のように矛盾し、対立する両極の色を一つのコンポジションにも垂らそうとする試みであろう。左右の色の性質の相違を示す対蹠的な線の表現も注目される。（参考文献：KANDINSKY/ET L'EXPRESSIONNISME　カンディンスキーと表現主義・世界の名画14中央公論社より）（写真撮影：ほしのきらり）​​​​​カンディンスキーにぽち​​​​​​​​​​​​​​​​​​​

  2022.01.10

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  カンディンスキー　尖りに拠って　とがった先端　1928年　パリ国立近代美術館　ポンピドゥー・センター　カンディンスキーのいう「四次元」とは？　絵画における時間の要素とは？

  ​​​​​​​​​​​​​空に飛び立とうとしている熱気球でしょうか？優しく暖かい色彩に新年を迎え希望が持てる作品ですよねさてカンディンスキー氏はどう説明されるのでしょうか​​Vassily Kandinsky​​​1866年-1944年​​Auf Spitzen,1928[Sur les pointes]  ​​油彩・カンヴァス　140.0cmx140.0cm​『尖りに拠って』1928年​​（とがった先端）​左下にモノグラムの署名と（19）28の年紀パリ「ポンピドゥー・センター」（国立近代美術館）所蔵。カンディンスキーが完璧な正方形​（１４０センチ X１４０センチ）のなかに描いた、不安定かつダイナミックな幾何学的形態は、点、線に続いて、平面の特性に関する彼の考えを示すものである（『点・線・画』の正確な題名は文字通り翻訳すれば、　平年における点と線、である）フランス語の題名は・・・カンディンスキー による原題が示す方法論的な意味を伝えることはできないが（訳注：日本語も同様）それでもこの題名『点・線・面』は論理性を備え、形態（潜在的な点）の生成、その発展と自己発見（線によって生まれる空間）、そして状況（形態の描かれた空間・平面）との間にカンディンスキー が作りあげた親密な関係の、よき理解を助けるものといえよう。カンディンスキーは・・・正方形を基礎平面のもっとも客観的な形態であると考えたそれは、「正方形の輪郭は　同じ強度の音をもっているからである。　冷たさと暖かさとが　相対的な平衡を保つている」。そして芸術家は、「的確な規則に従って　その存在を、（豊かなものにしなくてはならない）」と語る。正方形という、完璧な基礎空間の輪郭との関係に応じて、その内部に配置された形態は、さまざまな密度、抵抗を生み出している。この作品では（3つの平行線でできている台座をはじめとして）すべての構成は右に傾いている。ただし、三角形の支持体が支える大きな円は例外で、左上の方向に上昇し　消滅しようとしている。題名は・・・完璧な平衡を求めるバレエダンサーを思わせるものであるが、全体の形態、抑制された色彩によって、円と三角形は、風船と気球のメタファーに統一される。それはまたカンディンスキーが、何回も取り上げたテーマである。（参考文献：KANDINSKY/岩波・世界の巨匠カンディンスキーより）ワリシー・カンディンスキー​Vassily Kandinsky​​​1866年12月4日〜1944年12月13日（78歳没）ロシア出身の画家・理論家。抽象絵画の創始者。ドイツ・フランスでも活躍。​『尖りに拠って』カンディンスキーの作品とバウハウス関連の展示物​​​​​​​​​​パリ国立近代美術館「ポンピドゥー・センター」内カンディンスキーは・・・「四次元」について語っているが、​彼のいう「四次元」とは・・・？​数学的、哲学的、精神主義的な意味でのそれではなく、ましてや相対性理論における四次元的な時間・・・空間の連続性という意味でのそれでもない。彼は、単に昔ながらの意味での時間。過去と未来の間にある何かとしての時間を言ったにすぎないのである。カンディンスキーにとって、​絵画における時間の要素とは​先ず第一に・・・芸術作品の研究ないしは享受のためには、単なる量としてのある程度の時間が必要である、という事実に他ならなかった。しかし彼が考えていたのは、単に「見る」というプロセスだけではなかった。彼は同時に、絵を見る人が、この時間を美的に楽しんでくれることを望んだ。というのは、見る人が、絵の中で「動く」というのが、彼の芸術の目的だったからである美的な存在の内部を動く、という考えは、まずカンディンスキー自身が体験した。それは彼が若い学者として、ヴォログダ地方に調査旅行中に、ロシアの農家の美しい室内を発見した時のことであった。くり返しくり返し、彼はその著作の中で、彼の絵の中を「散歩する」ことについて書いている。しかしながら、時間という次元は・・・バウハウス時代のカンディンスキーにとって、これは全く別の、非主観的な性格をもつものであった。彼にとっては円が、「四次元を最も明快に示すもの」であったので、彼はこれを三角形や長方形などの他の幾何学的形態よりも好んだ。こうして円を用いることにより、時間のまさに本質としての運動が、彼の絵の視覚的な要素のひとつとなった。こうした運動感は、彼の新しい、定義し難い空間形式に密接に、したがって、また新しい構成原理に関係している。ちょうど対位法の音楽のように、形態的に見れば、そこにはひとつのテーマがあって他の形態がこれに従属するということはなく、すべての部分は、それぞれ独自の生命をもっており、それらの「呼応関係」により運動と感動が成立するのである。カンディンスキーの時間と空間についての新しい考え方を現代の物理学になぞられるというよりは、これを説明する一助としてここではむしろカントの思想、つまり時間というものは・・・内的感覚の先験的な形態である。という思想を想起するべきである。（参考文献：Kandinsky TEXT BY HANS K.ROETHEL   IN COLLABORATION WITH JEAN K.BENJAMINより）（写真撮影：ほしのきらり）​​​カンディンスキーにぽち​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​

  2022.01.09

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  カンディンスキー　規則的な堆積　多彩なアンサンブル　多彩色のアンサンブル　1938年 パリ　国立近代美術館　ポンピドゥー・センター

  ​​​​​​​​カンディンスキーのアメーバのようなこの作品を以前に縦横間違えてUPしていましました勉強不足を恥じております。抽象絵画を理解するためにもう少し研究が必要ですVassily Kandinsky​​​​1866年-1944年​​Entassement regle,1938『規則的な体積』1938年（多彩なアンサンブル）（多彩色のアンサンブル）​​​Huile et ripolin sur toile116.0cmx89.0cmパリ「ポンピドゥー・センター」（国立近代美術館）所蔵​​​​​​​​​​。この作品は・・・顕微鏡で見た細胞のようであるがこの類推は正しくないそれはふたつの点から証明できる。まず題名である。​​カンディンスキーの題名は・・・​​常に作品を説明する但し書きである。ここでは形態要素が、何らかの秩序に従って沈殿し堆積していることを表している。ふたつめの理由は、色彩のポリフォニーは、「自然」の要素を思わせるものが何もない。ということである。この作品には・・・​『規則的な体積』​という題名の他に、​『多彩なアンサンブル』​という別の題名があることが知られている。それぞれの題名は補足しあうものであり、ふたつの題名が残されていることは、カンディンスキーが作品を二通りに記述することを諦めきれなかった躊躇を意味している。『黒の円のなかに』のように、形態を別の形態に挿入する、というカンディンスキーが長年研究してきた造形上の問題が、ここでもう一度繰り返しとりあげられている。本原的な円が変形されて生まれたと思われる『柔らかい形』と、そのなかに住む要素の有機的な複雑さが、まったく理論的な呼応をみせている。（参考文献：岩波世界の巨匠カンディンスキーより）カンディンスキーの作品が並ぶ​​​​​​​​​​パリ国立近代美術館「ポンピドゥー・センター」内ワリシー・カンディンスキー​Vassily Kandinsky​​​1866年12月4日〜1944年12月13日（78歳没）ロシア出身の画家・理論家。抽象絵画の創始者。ドイツ・フランスでも活躍。Vassily Kandinsky​『多彩色のアンサンブル』1938年​カンヴァスに混合技法　116.0cmx89.0cm 左下にモノグラムの署名と（19）38の年紀国立近代美術館「ジョルジュ・ポンピドゥー芸術センター」所蔵。非対称的な形態を理解することは、「眼の言葉」にはそれなりの論理はあるとしても、理性のよくするところではない。クレーは・・・こうした眼の働きを「造形思考」と呼んでいる。この​『多彩色のアンサンブル』​における若干のモティーフ、たとえば青い周辺部における宝石のようなそれ、は比較的わかり易い。それらは、ひとつあるいはそ以上の太陽とその衛星をしたがえた小宇宙のように見える。しかしこれ以外のモティーフは、特に何を表わし、何に似るのでもなく、したがってこうした連想作用による単純な解釈はできない。その美しさを理解するには、それらの形態および色彩そのものの美しさを知らねばならない。カンディンスキーは折にふれて、次のようなやさしい言葉で、彼独自の抽象言語についての考え方について語っている。「白い馬と白いあひるとでは人は全く違った反応を示す。この場合我々は、一方では白十馬、他方では白十あひるをもっている。どんな対象ともかかわりをもたない白は、純粋な内的響きを発する。馬も、あひるも同様である。白い雲。白い手袋。白い果物鉢。白い蝶。白い歯。白い石。・・・思うにある色彩をかたどる幾何学的な輪郭線は、一定の対象をかたどるそれよりも、純粋な響きを出す上でより大きな可能性を秘めている。というのは後者は、それ自体に内在する声（馬、あひる、雲・・・）を出すために、その語り口はより押し付けがましく、また幅のないものとなるからである。しかしながら、対象とかかわりをもたないことから、幾何学的あるいは自由な形態は、色彩のように、ある対象の印象ほどには限定もされず、堅苦しくもない印象を生むものである。それらはより自由で、柔軟性に富み、より『抽象的』である。これら抽象的形体は、馬のような腹もなく、​あひるのような​嘴​もない。​もしあなたがある対象をあなたの芸術的な目的に従わせようとするなら、その自然の輪郭を変え、あるいは限定すべきである。馬を引き伸ばそうと思ったら、その頭と尾を引っ張らねばならない。​私が対象の軛（くびき）を脱する可能性を​発見する前にしたのはこのことである。しかし、ちょうど作曲家が朝を告げる雄鶏の声を楽譜にしなくても、日の出の感動を伝えるように、画家もまた、雄鶏を描かないで朝の印象を伝えられるような純絵画的な手段をもっているのである。」（参考資料：Kandinsky TEXT BY HANS K.ROETHEL   IN COLLABORATION WITH JEAN K.BENJAMINより）（写真撮影：ほしのきらり）​​​​​​​カンディンスキーにぽち​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​

  2022.01.08

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  Composition X カンディンスキー　 コンポジションX 1939年1月　カンディンスキーのコンポジション最終作・・・意味とは？

  ​​​​​​​​​​2022年1月7日今日はもう七草ですね〜きらりは七草粥がとても好きです日本古来の行事が愉しみになって来ました​​『コンポジション』最終作の意味とは？​​ドイツ、ノイシュヴァインシュタイン城内にて魂のヴァイブレーションから創りだされる内面的要素が、作品の内容なのだ。内面的内容なくしては、作品は存在し得ないのである。カンディンスキー 『芸術と芸術家ーある抽象絵画家の思索と記録』よりワリシー・カンディンスキー​Vassily Kandinsky​​​1866年12月4日〜1944年12月13日（78歳没）ロシア出身の画家・理論家。抽象絵画の創始者。ドイツ・フランスでも活躍。​Vassily Kandinsky​​​CompositionX（1939）『コンポジションX』1939年1月油彩　カンヴァス　130.0cmx195.0cmデュッセルドルフ「ノルトライン＝ヴェストファーレン州立美術館」所蔵画面中央の上部には、黄色とうすピンクの本を開いたような形が置かれ、この本が右下の本と響き合っている。画面の右翼いっぱいに、闇夜に大きな気球状の図形が浮上しており、中ほどを横切るアーチの上には、三つの微細な人影（？）が並んでいる。左翼の上には、暗号状の小さな形が並ぶ赤茶色の領域が置かれ、その下には、ゆらゆらと揺らめく梯子状の形や、鳥の羽根や、魚の尾ひれを思わせる形が左上方向へとゆらゆらと昇っていく。カンディンスキーのヴォキャブラリーに幾何学的形体、有機的形体、自由形体、の三種類があるとすれば、この『コンポジション』最終作には、円、正方形、三角形も、幾何学的な意味でのグリットや、ストライプも、微生物や、胎児の形も登場せず、画面全体は・・・何ものにもとらわれない自由な形だけでできている。それらの形、なかでもあちこちに現れるリボン状の形が、切り紙細工的もしくは、木版画的な​稚拙味​を帯びている点も重要である。背景が黒地であることも木版画を思わせる要因であり、作る者も見る者も地の空間の意味など考えずに、大小の形の円舞がもたらす純粋な目の愉しみに浸ることができるのである（参考資料：東京美術・もっと知りたいカンディンスキーより）（写真撮影：ほしのきらり）​​​カンディンスキーにぽち​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​

  2022.01.07

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  カンディンスキー　主調曲線　1936年4月　コンポジションIX 1936年2月　芸術と芸術家ーある抽象絵画の思索と記録

  ​ニューヨークのソロモン・R・グッゲンハイム美術館にパリのポンピドゥー・センターにある国立美術館〜ううう・・・もう一度訪れたいですが​​​あと1年は無理だと言っております​​ドイツにて​​（ほしのきらり）​世界は響きを発する。世界は精神的に作用するもののコスモス。​かくして、生命なき物質も実は生命ある精神にほかならぬ。カンディンスキー・・・・『芸術と芸術家ーある抽象絵画の思索と記録』より​​ワリシー・カンディンスキー​Vassily Kandinsky​​​1866年12月4日〜1944年12月13日（78歳没）ロシア出身の画家・理論家。抽象絵画の創始者。ドイツ・フランスでも活躍。​Vassily Kandinsky​​​『主調曲線』1936年4月油彩　カンヴァス　130.0cmx195.0cmニューヨーク「ソロモン・R・グッゲンハイム美術館」所蔵画面左上の黄色い円の中ほどから、黒いしなやかな曲線が、画面全域へと渦巻くように放射され、また画面中央には、この作品の『主調曲線』たる、いわば遺伝子を載せた大河が天に向かって滔々と流れていく、その脇に見えるのは、生命の階梯であろう。背景の淡い色調が、霧が流れるように青系から赤系に変わっていく点も見逃せない。中心から外縁へ、下から上へ、左から右へと、この作品にはいく通りもの時間が流れている​Vassily Kandinsky​​​『コンポジションIX』1936年2月​（部分）​油彩　カンヴァス　114.0cmx195.0cmパリ国立近代美術館「ポンピドゥー・センター」所蔵画面中央の上方に浮かぶ黒いハート型の線形をはじめとして、画面の随所に置かれた複合形態は、大小を問わず、それぞれに確固とした小世界を形成している。この画面の中に流動性を与えているのは、意外にも・・・背景の青・赤・茶・黄の太いストライプではないだろうか？水が流れるように、左から右へと時間が流れ、その流れに錨を降ろすように、さまざまな生命の小宇宙が存在しているのだ『コンポジション』の最終作2点や、『主調曲線』の描かれた1930年代後半は、カンディンスキーの創作活動の最後の高揚期であり、過去に開発されたすべての絵画的ヴォキャブラリーがそれらの大画面に投入されている。『コンポジションIX』では、色とりどりのストライプが画面を斜めに縦断し、中央上部には、黒い曲線によるハートの形が置かれている。例えば、画面左上や右手に見える複合形態などに、既視感を覚えないだろうか。この画面には記憶の流れの断片が浮き沈みしているともいえる。『主調曲線』のタイトルが指し示すのは、画面中央の少し右寄りに配された帯状の形ーさながら遺伝子を載せて宇宙を縦に横切っていくかのような生命の大河のことであるようだ。だが、この絵には、もう一つ重要な動きがある。画面左上の黄色い円の領域に凝集する線虫ないし精子状の黒い線と、そこから左下と、右下に向かってほとばしる長い曲線がもたらす放射状の運動である（参考資料：東京美術・もっと知りたいカンディンスキーより）（写真撮影：ほしのきらり）​​​​​カンディンスキーにぽち​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​

  2022.01.06

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  カンディンスキー　抽象か？　具体か？　二つの間　1934年5月　二つの緑色の点　1935年4月

  ドイツ旅行もまだまだ。カンディンスキーの色彩を求めて旅をしたいですよねちょっとそこのお姉さん！足短いですが〜ワリシー・カンディンスキー​Vassily Kandinsky​​​1866年12月4日〜1944年12月13日（78歳没）ロシア出身の画家・理論家。抽象絵画の創始者。ドイツ・フランスでも活躍。Vassily Kandinsky​​​『二つの間』1934年5月画面中央でVassily Kandinsky​​​『二つの緑色の点』1935年4月（参考資料：東京美術・もっと知りたいカンディンスキーより）（写真撮影：ほしのきらり）​​​​カンディンスキーにぽち​​​​​​​​​​​​​​​​​​​

  2022.01.05

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  カンディンスキー　抽象芸術とは！？　抽象か具体か？1938年　自分は直接的で具体的だと考えていた！　二つの間　1934年5月　二つの緑色の点　1935年4月

  ​​​​​​​​​​2022年もドイツ旅行はまだ？カンディンスキーの色彩の原点はこの辺りにありそう〜ちょっとそこの足の短い姉さん邪魔ですが​​​カンディンスキー：象徴芸術と具体芸術の間で​​​ワリシー・カンディンスキー​Vassily Kandinsky​​​1866年12月4日〜1944年12月13日（78歳没）ロシア出身の画家・理論家。抽象絵画の創始者。ドイツ・フランスでも活躍。Vassily Kandinsky​​​『二つの間』1934年5月混合技法　カンヴァス　130.0cmx97.0cmパリ・個人蔵画面中央で向き合う二つの勾玉状の形は、明らかに初期段階の胎児の姿を思わせる。二つの可愛らしい形は、気泡の浮かぶバラ色の水のなかで会話を交わしているようにも見える。また「二つの間」とは・・・カンディンスキーとニーナの間に、といった意味に受けることもできる。原因は、詳らかでないが、いずれにせよパリに移り住んで間もなく、彼の画面に胎児や微生物を思わせる有機的形体が登場しはじめた。​​「抽象芸術」・・・とは？​​「抽象」の呼称は、​概して抽象美術のパイオニアたちには評判が悪い。彼らは、みずからの芸術は抽象的であるどころか、具体的な作品以上に直接的で具体的だと考えていたから、ちなみにロシア前衛派のあいだでは、「無対象」non objetciveの語が一般的だったし、「抽象＝創造」グループが採用したのは、「非具象」non figuratif の語であった。「具体芸術」の呼称は・・・ファン・ドゥースブルフが、1930年にみずからが結成したグループ名Art Concret に用いたのが最初だったが、1930年代末にカンディンスキーもこの名前を採用している。彼は言う・・・「抽象芸術は、　いわゆる〈実在〉世界に対して、　一つの新しい世界を並立させる。　・・・これもまた、　一つの実在世界、具体的な世界。　だから私としては、　いわゆる〈抽象〉芸術は、　具体英術と名付けた方が　よいと思うのである」。（「抽象か具体か？」1938年）Vassily Kandinsky​​​『二つの緑色の点』1935年4月混合技法　カンヴァス　114.0cmx162.0cmパリ国立近代美術館「ポンピドゥセンター」所蔵。タイトルが、『二つの緑色の点』に注意を促さなければ、誰もそれらの存在に気づかないのではないだろうか？二つの小さな円は・・・人の眼をさらにいえば芸術家の眼を思わせる。彼の眼に映っているのは、いうまでもなくこの作品のヴァリエーションー縦長の短形が水平に展開し、そこにパリ時代になって忽然と湧出したさまざまな有機的形体がみごとに繰り込まれ、一体化した世界ということになるだろう。​（参考資料：東京美術・もっと知りたいカンディンスキーより）（写真撮影：ほしのきらり）​胎児ですか？​​​カンディンスキーにぽち​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​

  2022.01.05

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  カンディンスキー　綜合芸術　建築空間絵画　カンディンスキーの空間構成　舞台コンポジション　ムソルグスキーの音楽とは？　第16場：キエフの大門

  ​​​​​​​​​​​m​​『カンディンスキーと綜合主義』​​各種の芸術は、みな固有の言葉を持っている。つまり、その芸術に独自の手段を備えている。・・・各種の芸術はそれぞれ独自の生命である。独立国である。カンディンスキー『芸術と芸術家・・・ある象徴絵画家の思索と記録』よりワリシー・カンディンスキー​Vassily Kandinsky​​​1866年12月4日〜1944年12月13日（78歳没）ロシア出身の画家・理論家。抽象絵画の創始者。ドイツ・フランスでも活躍。象徴主義や、Jugendstilユーゲント・シュテイルを温床として画家となったカンディンスキーは、早くから五感を超えた​「綜合主義」の実現​を夢見るようになった。ミュンヘン時代のder Blaue Reiter『青騎士』1912年にも美術と、音や言葉と、人の身振りによる舞台コンポジション「黄色い響き」の台本が収録されている。建築空間に絵画を組み込んだ綜合主義作品としては、BAUHAUS バウハウス時代の2件・・・​1922年、​ベルリンの無​​鑑査​展と、​1931年、​ベルリンの建築展に際して構想された二つの壁画群があるだけである。そのうち前者は、展覧会場となる推奨宮の八角形の広間を飾るもので、高さ4mを超える壁画の制作は、カンディンスキーの指導下にバウハウスの学生たちの手で行われた。現存する下絵を見ると・・・大小の壁画は、それぞれはっきりと異なる空間構成によってまとめられている。カンディンスキーはここで、ユーゲント・シュテイルの室内装飾のように空間全体を波紋や曼草紋で一体化するのではなく、壁ごとにいわば異なる音色を鳴らせながら、全体を多声​樂的​に響かせ用途したようである。​Vassily Kandinsky​​​『第16場：キエフの大門』39.0cmx57.0cm​1928年、​デッサウのフリードリッヒ劇場でムソルグスキー作曲「展覧会の絵」が上演された際に、カンディンスキーに舞台美術を担当する機会が回ってきた。もともとこの組曲は、ムソルグスキーが友人の画家V・ハルトマンの遺作展で見た10枚の絵の印象をもとに書いた10曲を中心に交際されており、カンディンスキーの書割りも基本的には原曲の構成に沿っている。​​「ムソルグスキーの音楽は、・・・けっして〈標題音楽〉とは鳴らなかった。この曲が何ものかを〈反映している〉としても、それはいくつかの小さな絵でななく、それらの絵に描かれた〈内容〉をはるかに凌駕し、純粋な音楽形式に達した彼の体験なのである」と、彼は書いているが、この評言は楽曲を画像に変換する際の彼の抱負をも表しているだろう。（参考資料：東京美術・もっと知りたいカンディンスキーより）（写真撮影：ほしのきらり）​​​​​カンディンスキーにぽち​​​​​​​​​​​​​​​​​​​

  2022.01.04

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  カンディンスキーの綜合芸術・・・とは？　建築空間に絵画を組み込んだ！　カンディンスキーの空間構成　舞台コンポジション　ムソルグスキーの音楽とは？　第16場：キエフの大門

  ​​​​​​​​​​​ワシリー・カンディンスキーは、各芸術にはそれぞれ固有の言葉を持っていてそれは独立国であると言っております​​『カンディンスキーと綜合主義』​​各種の芸術は、みな固有の言葉を持っている。つまり、その芸術に独自の手段を備えている。・・・各種の芸術はそれぞれ独自の生命である。独立国である。カンディンスキー『芸術と芸術家・・・ある象徴絵画家の思索と記録』よりワリシー・カンディンスキー​Vassily Kandinsky​​​1866年12月4日〜1944年12月13日（78歳没）ロシア出身の画家・理論家。抽象絵画の創始者。ドイツ・フランスでも活躍。象徴主義や、Jugendstilユーゲント・シュテイルを温床として画家となったカンディンスキーは、早くから五感を超えた​「綜合主義」の実現​を夢見るようになった。ミュンヘン時代のder Blaue Reiter『青騎士』1912年にも美術と、音や言葉と、人の身振りによる舞台コンポジション「黄色い響き」の台本が収録されている。建築空間に絵画を組み込んだ綜合主義作品としては、BAUHAUS バウハウス時代の2件・・・​1922年、​ベルリンの無​​鑑査​展と、​1931年、​ベルリンの建築展に際して構想された二つの壁画群があるだけである。そのうち前者は、展覧会場となる水晶宮の八角形の広間を飾るもので、高さ4mを超える壁画の制作は、カンディンスキーの指導下にバウハウスの学生たちの手で行われた。現存する下絵を見ると・・・大小の壁画は、それぞれはっきりと異なる空間構成によってまとめられている。カンディンスキーはここで、ユーゲント・シュテイルの室内装飾のように空間全体を波紋や曼草紋で一体化するのではなく、壁ごとにいわば異なる音色を鳴らせながら、全体を多声​樂的​に響かせ用途したようである。​Vassily Kandinsky​​​『第16場：キエフの大門』39.0cmx57.0cm​1928年、​デッサウのフリードリッヒ劇場でムソルグスキー作曲「展覧会の絵」が上演された際に、カンディンスキーに舞台美術を担当する機会が回ってきた。もともとこの組曲は、ムソルグスキーが友人の画家V・ハルトマンの遺作展で見た10枚の絵の印象をもとに書いた10曲を中心に交際されており、カンディンスキーの書割りも基本的には原曲の構成に沿っている。​​「ムソルグスキーの音楽は、・・・けっして〈標題音楽〉とは鳴らなかった。この曲が何ものかを〈反映している〉としても、それはいくつかの小さな絵でななく、それらの絵に描かれた〈内容〉をはるかに凌駕し、純粋な音楽形式に達した彼の体験なのである」と、彼は書いているが、この評言は楽曲を画像に変換する際の彼の抱負をも表している。（参考資料：東京美術・もっと知りたいカンディンスキーより）（写真撮影：ほしのきらり）​​​​​カンディンスキーにぽち​​​​​​​​​​​​​​​​​​​

  2022.01.04

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  2022年1月3日　カンディンスキー　点から面へ　尖りに拠って　1928年　パリ国立近代美術館　ポンピドゥー・センター　点・線から面へ　絵画的要素の分析のために

  ​​​​​​​​​​​抽象絵画について学んでおります〜カンディンスキーは、円を愛していましたが・・・そこに「線」が加わりました何とかついて行けそうですよね水平線や垂直線、さらに、運動によっていろんな方向へ彎曲する線の戯れ、しだいにその濃さを増してゆく色、ときには高い響きをだし、ときには低い音色を発する色彩の変化等々。芸術作品は、意識の表面にその影を落とす。カンディンスキー『点から線へ』より​​Vassily Kandinsky​​​1866年-1944年​​Auf Spitzen,1928[Sur les pointes]  ​油彩・カンヴァス　140.0cmx140.0cm​『尖りに拠って』1928年​パリ「ポンピドゥー・センター」（国立近代美術館）所蔵。空中に懸かるステージの上で、倒立した鋭角三角形の上に円を載せた不安定な線の構造体が、右に左に揺れている。空中に浮かぶ円、台の上に置かれた小さな正方形と比べても、それらの形はいかにも不安定であり、ここではバランスを取って立つことの危うさじたいがテーマになっているようだまた、画面中央の上方にまた一つ、三角形の尖端が見えており、それらの形象は空から降りてきてステージに降り立ったもののようですワリシー・カンディンスキー​Vassily Kandinsky​​​1866年12月4日〜1944年12月13日（78歳没）ロシア出身の画家・理論家。抽象絵画の創始者。ドイツ・フランスでも活躍。カンディンスキーは・・・ミュンヘンで本格的に絵を描きはじめて以来、芸術をめぐる日々の思索を書き留めておく習慣を持っていたが、それらをベースにして1911年、『芸術における精神的なもの』が生まれ、1914年秋、第一次大戦勃発によりスイスのゴルダッハに退避していた時期に​​『点・線から面へ』の元となる覚書が書き貯められた。彼が、両者作の有機的な連続性を強調するのはそのためである。たしかに詳細な色彩を含む前者と、点から始めて形体の分析に力を注ぐ後者は、両者合わせて一つの芸術理論をなすとも言える。「絵画的要素の分析のために」という副題をもつ、​​『点・線から面へ』​は、​1922年​からのバウハウスでの​​​講義や演習を盛り込みながら、​1925年秋​にまとめられている。できるだけ科学的な形体の分析に努めつつ、制作に携わる未来の芸術家に向けてできるだけ具体的に、形体の内面性にまで説きおよんだ類例のない一書と言える（参考資料：東京美術・もっと知りたいカンディンスキーより）（写真撮影：ほしのきらり）​​​​​カンディンスキーにぽち​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​

  2022.01.03

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  2022年1月2日　今年も円満に！　カンディンスキー　円を愛した　円の時代　いくつかの円　1926年　ニューヨーク　ソロモン・R・グッゲンハイム美術館

  ​​「円」と言えば円満！とか「おかね」をイメージしますが、理論家カンディンスキーは「円」を多く描き円を愛していたようです​なぜ円が、私を魅きつけるか？円とは：​もっとも控えめな形体ではあるが、容赦なく自己主張し、簡潔ではあるが、無尽蔵に変化が可能、安定していると同時に声高い、無数の緊張を自らのうちに秘めている一つの緊張、である。・・・W・グローマン宛の書簡より　（1930年10月12日）​​​Vassily Kandinsky​​​Several Circles(Einige Kreise)Januari-February 1926​『いくつかの円』1926年​Oil on canvas(油彩・カンヴァス）140.0cmx140.0cmニューヨーク「ソロモン・R・グッゲンハイム美術館」所蔵。妻ニーナは、1925年〜1927年をカンディンスキーの「円の時代」と呼んでいる円は、それ自身のうちにいかなる方向性ももたない図形であるが、本作品を見るとわかる通り、円相後の関係は、画面にさまざまな方向性をもたらすし、大小の違いは、奥行き方向の運動や浮き沈みを示唆する。変化のある黒は・・・色とりどりの円の存在感を際立たせ、また画面に宇宙的な静寂を授けている​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​ワリシー・カンディンスキー​Vassily Kandinsky​​​1866年12月4日〜1944年12月13日（78歳没）ロシア出身の画家・理論家。抽象絵画の創始者。​​​ドイツ・フランスでも活躍。「円の時代」の作品を制作順にあげると『黒い円の中に』​​『白の上にII』『貫通する線』『黒い四角の中に』​​『コンポジションVIII』​​『円の中の円』​​​『黄・赤・青』​​​などの作品がつぎつぎに描かれた1923年は、カンディンスキーの冷たい幾何学的抽象の絶頂期であり、​​​そこでは画面を対角線方向に走る直線と画面の要所要所に配された円のあいだに、和合でも対立でもない、不思議な緊張感が漂っている。カンディンスキーは、とあるアンケートに答えて、「わたしは今、　かつてたとえば馬を愛したように、　円を愛しています。　いやたぶん、　それ以上でしょう。　わたしは円のなかに、　馬よりももっと大きな　内的可能性を見ているのですから」と書いているが、この「円の時代」の到達点が、デッサウに移り住んで間もなく描かれた​『いくつかの円』​であった。大小さまざまな円の配置によって、対角線方向の運動がほのめかされており、ニュアンスに富んだ黒地の背景の効果と相まって、すぐれて内省的な画面が生まれている。​​​（参考資料：東京美術・もっと知りたいカンディンスキーより）（写真撮影：ほしのきらり）​​​​カンディンスキーにぽち​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​

  2022.01.02

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  謹賀新年　2022年元旦　世界遺産を訪ねながら美術館を巡った楽しかった時代をもう一度♪ パリ「ポンピドゥー・センター」 黄・赤・青　1925年 ロシア出身の抽象絵画の創始者　ワリシー・カンディンスキーのお話

  ​​​​​​​​​​​​​​​​​2022年元旦あけましておめでとうございます〜今年もよろしくです（＾０＾）bロシアのカラフルな玉ねぎ頭は、彼の芸術に影響を与えたのでしょうかね画家は、あれこれの鍵盤をたたいて、合目的的に人間の魂を鼓動させる、手である。それゆえに明らかなことは、色彩の階調（ハーモニー）は、人間の魂を合目的に動かす原理に基づかねばならぬ、ということである。カンディンスキー『芸術における精神的なもの』よりワリシー・カンディンスキー​Vassily Kandinsky​​​1866年12月4日〜1944年12月13日（78歳没）ロシア出身の画家・理論家。抽象絵画の創始者。ドイツ・フランスでも活躍。​色にも形にも内面性があるというのが・・・カンディンスキーの絵画のもっとも重要な主張だその彼も色彩を論じようとすれば、それを分析して・・・赤・青・黄の三原色から説き起こさねばならない形体を論じようとすれば・・・点から始めて線へと進まねばならない赤・青・黄も、円・三角形・正方形も、言葉で表示された時点で既にじゅうぶん過ぎるほど、外面的であることを考えれば、画家としての彼と理論家としての彼の避けがたい懸​隔​のほどがわかりますねVassily Kandinsky​​​1866年-1944年Gelb-Rot-Blau,1925[Jaune-rouge-bleu]​『黄・赤・青』1925年3月〜5月​Huile sur toile（油彩・カンヴァス）127.0cmx200.0cmパリ「ポンピドゥー・センター」（国立近代美術館）所蔵。黄色い初日の出ですかひとえに赤・青・黄の三原色というが・・・これは言葉の上、図表の上の区分かけに過ぎず、カンディンスキーが扱うのは、それらの無限かつ具体的なヴァリエーションだこの作品では濃い紫と黄（補色関係）の地の上に、黄・赤・青のゾーンが並んでいる。陰の主役は・・・「円」である。輪郭のはじけた円（黄のゾーン）から、円と短形の蓄積するゾーン（赤）へ、そして青い正円へと、３つのゾーンは、「円」を変奏しながら、左から右上へとゆるやかに動いていく。明確な幾何学的な線と色彩によるコンポジションのピークが、『貫通する線』や​​『コンポジションVIII』であるとすれば、2年後に描かれた『黄・赤・青』は、あえて三原色の名前をタイトルに掲げつつ、それらの色調相互の微妙な調律に向かった記念すべき作品と言える。色と色、色と形、形と形のあいだの、言葉ではとうてい言い尽くせないような内面的な相互関係が、以後のカンディンスキーの主要な関心となる（参考資料：東京美術・もっと知りたいカンディンスキーより）（写真撮影：ほしのきらり）​​​​​​カンディンスキーにぽち​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​

  2022.01.01

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  カンディンスキー 故郷モスクワの風景画を描く　1917年　聖ゲオルギウスIV モスクワ１　小さな喜び　1913年

  ​​​​​​​​​​カンディンスキーは、故郷モスクワを子どもの頃を思い出すように描いているのです〜メルヘンの世界のようですねモスクワの大きな風景画を制作したい四方八方から構成要素を集めて、それらをひとつの画面にまとめる・・・弱い部分も、強い部分もすべてを一緒に混合させるのです。だって、世界はさまざまな要素から成り立っているのですから。それはオーケストラのように響くに違いない・・・。・・G・ミュンター宛書簡（1916年6月4日）ワリシー・カンディンスキー​Vassily Kandinsky​​​1866年12月4日〜1944年12月13日（78歳没）ロシア出身の画家・理論家。抽象絵画の創始者。ドイツ・フランスでも活躍。​​​カンディンスキー にとって記憶の中のモスクワは、色彩体験の源泉ともいうべき重要な役割を果たしたが・・・第一次世界大戦によって、やむなくモスクワに戻った彼は、しばらくのあいだ絵らしい絵を描いていない​1916年​になって、思い出したように『小さな喜び』のような​Vassily Kandinsky​​​​​​​Small Pleasures(Kleine Freuden)June 1913Oil on canvas（油彩・カンヴァス）109.8cmx119.7cm​​​『小さな喜び』1913年6月​​​ニューヨーク「ソロモン・R・グッゲンハイム美術館」所蔵。モスクワをふたたび採り上げたのがこのモスクワである​Vassily Kandinsky​​​​​​​​​『モスクワ１』1916年油彩　カンヴァス　51.5cmx49.5cmモスクワ「国立トレチャコフ美術館」所蔵。カンディンスキーはこの作品で、ミュンヘン時代に採り上げた「モスクワ」の主題にもう一度取り組んでいる。ここでも、画面の中ほど（ただしかなり右の方）にクレムリンの丘が描かれているが、山の彼方の天上の都市や、そこをめざして馬を駆ける騎士の姿が見えず、丘の麓にはモスクワの町が広がっている。新しく登場したのが、画面中心の高台に立つ男女のカップルであり、彼らを中心に町全体が回転しはじめているようだ。Tシャツで見にくいですが（ぽちして拡大して見てください）​​『聖ゲオルギウスIV』1917年頃油彩　カードボード　61.0cmx90.5cm聖ゲオルギウス伝説に基づく絵画のロシア版である中央に長槍をたずさえたゲオルギウスの騎馬像を左手に洞窟に潜む龍を、右手にロシアの民族衣装を着けたエリサワ女王を描き後景に、玉ねぎ屋根の聖堂や宮殿の鐘楼がそびえる都市を配置する。幼年時代に聞いた悪龍を退治する騎士の物語が、ややとりとめもなく、回想されている画面の主役が、聖堂を戴く丘の上の都市である点では同じですが、『小さな喜び』の右上コーナーに望見される天上の都市が『モスクワ１』には見当たらず、『聖ゲオルギウス』では、高台に立つ男女のカップルの足元に、玉ねぎ屋根を付けた聖堂があちこちに見えるモスクワの市街が雑然と広がっている。もう一つ大きく異なるのは・・・前者の赤い太陽が、後者では黒々とした不屈な形態に替わっている点です。『モスクワ１』の周縁部には、つづく時代の作品の特徴となる重苦しい色調の影が差しはじめている。（参考資料：東京美術・もっと知りたいカンディンスキーより）（写真撮影：ほしのきらり）​​​​​モスクワにぽち​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​

  2021.12.31

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  カンディンスキー　バウハウス　BAUHAUS ドイツ　新しい建築学校　芸術の綜合作品　1919年　バウハウス宣言・・・とは？　かつて建築を装飾することは造形芸術の最高の課題である。

  ​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​カンディンスキーは、1922年にドイツ「バウハウス」から招かれ課外授業としてクレーとともに絵画を指導しますVassily Kandinsky1866年-1944年​Im Grau,1919[Dans le gris]​バウハウスは、​全ての創造的努力を調和させ、新しい建築のうちに、芸術とデザインのすべての訓練を統一化するように努める。バウハウスの究極のゴールは、いかに遠くとも、芸術の綜合作品・・・建築・・・である。そこでは構造と装飾の間にいかなる壁もない。（W・グローピウス「バウハウスの理論と組織）1923年​1919年、​建築家：バルター・グロービウス Walter Adolph Georg Gropius（1883年5月18日〜1969年7月5日）86歳没の指導下にワイマールに州立バウハウスが創設された。この年、画家：リオネル・ファイニンガー　Lyonel Feininger（1871年7月17日〜1956年1月11日）、芸術家：ヨハネス・イッテン　Johannes Ltten（1888年11月11日〜1967年5月27日）園芸家：G・マルクス​がマイスター​（親方）に迎えられ、​1920年、​画家：パウル・クレー　 Paul Klee（1879年12月18日〜1940年6月29日）60歳没芸術家：オスカー・シュレンマー　Oskar Schlemmer（1888年9月4日〜1943年4月13日）54歳没​1922年、​画家：ワシリー・カンディンスキーVassily Kandinsky（1866年12月4日〜1944年12月13日）78歳没​1923年、​写真家・画家：モホリ＝ナジ・ラースロー　Moholy-Nagy Laszlo（1895年7月20日〜1946年11月24日）51歳没・・・らが、マイスター陣に加わっている。「すべての造形活動の最終目標は、　建築（Bau)である　かつて建築を装飾することは　造形芸術の最高の課題であり、　造形芸術は、　大建築と不分離の構成要素であった・・・」（バウハウス宣言）1919年と謳われているように、開校当初のバウハウスは、中世以来の建築家を中心とするさまざまな職人集団の共同体的なあり方を理想としており、そこには19世紀後半のアーツ・アンド・クラフツ運動や、ユーゲント・シュティル（アール・ヌーヴォー）などの思潮が色濃く反映している​1921年〜1922年、​オランダのデ・スティルや、ロシア構成主義などの影響と、光や運動の実験に大胆な才能を発揮したモホイ＝ナジの参加によって、新しいテクノロジー導入への志向を強め、​1925年、​デッサウ移転後は、機能主義的なデザイン思想に基づいて家具の生産などにも乗り出した。要するにバウハウスとは・・・広範な応用美術部門​を擁する​建築学校であり、カンディンスキーやクレーが課外授業として絵画を教え始めるのは、ようやく​1927年​のことである。​バウハウスの方針は・・・​カンディンスキーの「綜合主義」の思想と大いに通じるものがあったが・・・もう一つ重要なのは、全生徒が受講する半年間の「予備課程」をはじめとして、同校が色彩と形体の基礎理論の授業を重んじたことである。カンディンスキーは、壁画工房のマイスターとして実技指導に当たるほか、予備課程の指導にも力を入れ、その蓄積の上に、​1926年、​バウハウス叢書の一冊として​​『点・線から面へ』が刊行されている。ワリシー・カンディンスキー​Vassily Kandinsky​​​1866年12月4日〜1944年12月13日（78歳没）ロシア出身の画家・理論家。抽象絵画の創始者。ドイツ・フランスでも活躍。〜〜〜〜〜〜〜〜​BAUHAUS​『バウハウス』関連年表​1919年、​ワイマール州立バウハウスが設立。建築家：ヴァルター・グローピウスが校長を務め、ヨハネス・イッテンら3人のマイスターが着任。予備課程、版画、彫刻、陶器、ステンドグラス、壁画、織物などの工房が置かれる。​1922年、カンディンスキーが招聘される。​​1923年、​イッテンが退任し、モホイ＝ナジが着任。「芸術と技術の新しい統一」をテーマに「バウハウス」展が開催される。​1924年、​ドイツ人民党からの圧力を受け、自主解散を余儀なくされる。​1925年、​デッサウ市立バウハウスが開校。製品生産を目的としたバウハウス有限会社が設立される。建築家で家具デザイナーのマルセル・ブロイヤーによって世界初のスティールパイプ椅子が制作される。​​​1926年、​グロービウスの設計によりバウハウス・デッサウ校舎が竣工。​1927年、​建築学部が設置される。​1928年、​グロービウスが校長の座を退き、建築家：ハンネス・マイヤーが2代目校長に就任する。​1929年、​「バウハウス10年」展が開催される。​1930年、​政治的理由により、デッサウ市がマイヤーを解雇し、ミース・ファン・デル・ローエが三代目校長に就任する。​1932年、​ナチスの台頭により、バウハウスの廃校が決定。ベルリンに移転し、私立バウハウスとして再び開校する。​1933年、​ベルリン警察とナチスが学校を封鎖。教授会が閉校を決定。カンディンスキーはベルリンを去りパリへ移住する。（参考資料：東京美術・もっと知りたいカンディンスキーより）（写真撮影：ほしのきらり）​​​バウハウスにぽち​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​

  2021.12.30

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  カンディンスキー　白い線　1920年　Circles on Black(Krugi na Chyornom)1921 ニューヨーク ソロモンR.グッゲンハイム美術館

  ​​カンディンスキーは、ロシア革命勃発から幾何学的で、重苦しい色調を多用するようになります〜​​​Vassily Kandinsky​Circles on Black(Krugi na Chyornom)1921Oil on canvasニューヨーク「ソロモン・R・グッゲンハイム美術館」所蔵。幾何学上、線は眼に見えなぬ存在である。線は動く点の軌跡、したがって、点の所産である。線は運動から生まれる・・・しかも、点そのものが内蔵している完全な静止を破壊することによって、そこには、静的なものから動的なものへの飛躍がある。だから線は、絵画における最初の要素ー点ーに対しては、最大の対立関係にある。ごく厳密に考えれば、線は二次的要素と名づけられるべきものである。・・・カンディンスキー『点・線から画へ』​​​​ワリシー・カンディンスキー​Vassily Kandinsky​​​1866年12月4日〜1944年12月13日（78歳没）ロシア出身の画家・理論家。抽象絵画の創始者。ドイツ・フランスでも活躍。​Vassily Kandinsky​​​『白い線』1920年油彩　カンヴァス　98.0cmx80.0cmドイツ・ケルン「ルードヴィヒ美術館」所蔵。全体として、革命前（1917年）の諸作に垂れこめていた重苦しい色調がぶり返しているが、そこにはいくつかの新しい試みが見られる。一つには・・・画面の内側にもう一つの画面を設けるのではなく、4つのコーナーを直線で断ち切ることによって、画面が二重化されていることだもう一つは・・・画面中央の「白い線」であり、純然たるフォーマルな要素が絵の主人公に上がってきたことである（参考資料：東京美術・もっと知りたいカンディンスキーより）（写真撮影：ほしのきらり）​​​​カンディンスキーにぽち​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​

  2021.12.29

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  カンディンスキー　Russian Avant-garde ロシア・アヴァンギャルドの若者たちとカンディンスキー　４年間のロシア生活で何が起きたのか！？　ロシアの事情

  ​​​​​​​​​​​​​カンディンスキーは、1918年〜1921年の４年間にロシアで何が起こったのでしょうか、彼の作品への影響はロシア・サンクトペテルブルク ワリシー・カンディンスキー​Vassily Kandinsky​​​1866年12月4日〜1944年12月13日（78歳没）ロシア出身の画家・理論家。抽象絵画の創始者。ドイツ・フランスでも活躍。​1917年11月​、ロシア革命が起こり、ソヴィエト政権が樹立された。翌年1月に教育人民委員会（NKP）の下に造形芸術・工芸芸術部（IZO)が創設されると、カンディンスキーは、ウラジミール・タトリン（1885年12月28日〜1953年5月31日）の招請に応じて委員に就任。​1920年12月、​故国を離れるまで、彼は革命政権下でさまざまな文化・教育行政の要職に就き、美術大学、美術館、博物館、研究所などを一から作り直す事業にたずさわることになる。それらの仕事を共にしたのが、構成主義の生みの親と言っていいタトリンや、シュプレマティスムの指導者：カジミール・マレーヴィチ（1879年2月23日〜1935年5月15日）をはじめとするロシア・アヴァンギャルドの芸術家たち・・・カンディンスキーよりもはるかに若い、「芸術における精神的なもの」ロシア語抄訳（1914年）から大いに刺戟を受けたであろう時代の作家たちであった。とはいえ、色彩や形体の科学的な分析を重んじながらも、形式よりも内容に、つまりそれらの内面的な響きに絶対的な重きをおくカンディンスキーと、「コンポジション」ではなく感覚性・芸術性を排した「コントラクション」へと向かう彼らのあいだには、やがて軋轢が生じはじめる両者の対立が表面化したのが​1920年12月、​NKP統括下の美術部長を集めた第一回汎ロシア会議においてであった。この年、カンディンスキーの主導の下にモスクワに芸術文化研究所（Inkhuk）が創設されたが、彼の発表した活動プログラムがこの会議で否定され、カンディンスキーは間もなく研究所をさるのであるその辺りのロシア情勢は〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜​「ロシア・アヴァンギャルド関連年表」​1901年、ロシア社会民主革命結成。​1905年1月9日、​サンクト=ペテルブルクで起こった労働者たちの請願デモに軍隊が発砲（血の日曜日事件）。この事件を機にロシア第一革命勃発​​​1914年、​​​カンディンスキーがロシアに戻る（〜1921年）。サラエボ事件が起こる！第一次世界大戦勃発​1915年、​マレーヴィチが無対象絵画を、タトリンが「カウンター・レリーフ」などの構成的作品を発表。​1917年、​ロシア革命勃発​​​​​​​ソヴィエト政権樹立。​1918年、​ソヴィエト憲法成立。​1920年、​ウラジミール・タトリンによる「第三インターナショナル記念塔」計画が発表される。​1920年、​ロシア構成主義が台頭しはじめる。カンディンスキー、シャガールがロシアを離れる。レーニンが新経済政策を採用。​1922年、​スターリン、ソヴィエト共産党書記長に就任。ソヴィエト社会主義共和国連邦成立。​1923年、​ウラジミール・マヤコフスキーがレフを結成。​1925年、​スターリンの権力成立。〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜さて、カンディンスキーは・・・1918年からモスクワを去る1921年までの4年間にわずか24点（1919年は０点）の油絵しか描いていない。革命政府の文化政策の立案などに忙殺されたためと思われるがとはいえ、この時期のカンディンスキーが・・・大きな転機に差しかかっていたのも事実である。これまでになく暗鬱な色調におおわれた画面の中央にさまざまな形が凝集して、画面が二重化しはじめ、やがてそれらの形のあわいにしとい空間が・・・いわば重力から解放された自由空間が・・・開けていく。形の運動の全方位的な自由が確保されるなかで、色も形も心理的陰影を含まない軽快なものに変わっていく。​​​Vassily Kandinsky​​​​​​『白の上に』1920年そこには、シュプレマティスムや構成主義の画面とも通じる形の浮遊や、滑空や、旋回があるのである。ニーナの回想「カンディンスキーとわたし」によると、当時のモスクワの文化生活は、惨憺たるものだったようだが、画家は、若い同僚たちの作品のなかに見るべきものを見、そこから得るべきものを得ていたようである（参考資料：東京美術・もっと知りたいカンディンスキーより）（写真撮影：ほしのきらり）​​​​​カンディンスキーにぽち​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​

  2021.12.28

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  カンディンスキー　モスクワ帰郷　小さな喜び　1913年6月　カンディンスキー・アルバム　回想

  ​​​​​​​​​カンディンスキーは1912年10月から12月にモスクワに帰郷し、6月には「回想」を書いています太陽は全モスクワを、内面全体、魂のすみずみまでを震撼させる、あの狂おしいチューバの響きのような一色に溶かしてしまう。・・・カンディンスキー「回想」より・・・ワリシー・カンディンスキー​Vassily Kandinsky​​​1866年12月4日〜1944年12月13日（78歳没）ロシア出身の画家・理論家。抽象絵画の創始者。ドイツ・フランスでも活躍。カンディンスキーの初めての画集『カンディンスキー・アルバム』1913年に収録された​​​「回想」​​​には・・・彼の芸術を育んだ母体と言ってもいいモスクワの思い出が度々登場する。モスクワの思い出の中心は、やはりクレムリンの赤い城壁の上にそびえ立つたまねぎ状の屋根を載せた聖堂群でありとりわけ日没時の光景・・・「それぞれの色彩が　その生命のかぎり輝き、　全モスクワを大オーケストラの　力づよいフォルテシモのように輝かせ、　支配する」ひとときであった。また「回想」の末尾には、モスクワとは、「外部の現象にみられる二重性、　複雑さ、最高度の可動性、　最終的には　独自の統一ある可能性をつくる　衝突と混乱」であると言われており、それこそが自分の​「絵画上の音叉」​であるとされている。言い得て妙とというか、カンディンスキーの芸術の本質をみずから言い当てた一言といえよう。​​​​​​​Vassily Kandinsky​​​​​​​Small Pleasures(Kleine Freuden)June 1913Oil on canvas（油彩・カンヴァス）109.8cmx119.7cm​『小さな喜び』1913年6月​ニューヨーク「ソロモン・R・グッゲンハイム美術館」所蔵。1912年10月〜12月、モスクワに帰郷したカンディンスキー が、ドイツに戻って間もなく、6月に完成したのがこの作品であり、ちなみに同じ月には、彼はモスクワを謳いあげて終わる「回想」を書き終えている。画面中心に聖堂を戴く丘の上の都市が描かれその彼方（右上コーナー）に天上の都市が見える。また画面右手には荒波の中のボートが、左下には、男女のカップルが、左上には、山稜を駆け上がる騎手や、赤々とした太陽などが配されている。タイトルの中の「喜び」が複雑形であるのは、いくつもの小さな喜びを抱きとめるものとしての大きなモスクワといった意味でしょうか？（グッゲンハイム美術館内の英解説文）Small Pleasures(Kleine Freuden) June 1913 Oil on canvas Solomon R.Guggenheim Museum,New York Solomon R.Guggenheim Founding Collection 43.921 By 1913 Kandinsky's aesthetic theories and aspirations were well developed. He valued painterly abstraction as the most effective way to reveal hidden aspects of the empirical world, express subjective realties, aspire to the metaphysical, and offer a regenerative vision of the future. He sought to interrelate colours,shapes, and lines that would elicit specific responses from viewers. The inner vision of artist, he believed, could thereby be translated into a universally accessible statement. He realised,however, that developing such a style would have to be done slowly in order to foster public and comprehension. Therefore,most works from this period retain fragments of recognizable imagery. "We are still firmly bound to the outward appearance of nature and must draw forms from it."Kandinsky wrote. He also suggested that a hidden pictorial construction existed and would. "emerge unnoticed from the picture and [would thus be]lesssuited to the eye than to the soul." Small Pleasures is filled with veiled imagery of the Last Judgment, as are many paintings from his Munich period, but its title suggests other readings. In an unpublished essay on the work, Kandinsky wrote that his goal"was to let・・・ [himself]go and scatter a heap of small pleasures upon the canvas. ゴッゲンハイム館内の解説文によると原題も『小さな喜び』1913年6月、油彩・カンヴァス1913年、カンディンスキーは絵画の抽象化を大切にしました。経験的世界の隠された側面を明らかにするために最も効果的な方法として、主観的な現実を表現する。彼は形を相互に関連付けることを目指しました。それは、視聴者から特定の反応を引き出すでしょう。これにより、誰もがアーティストの内なるビジョンを変換できると彼は信じていた。しかし、彼は気づきました。そのようなスタイルの開発は、ゆっくりと行わなければならないだろうとしたがって、この時期のほとんどの作品は、認識可能な画像の断片を保持しています。「私たちは、今でも自然の外見にしっかりと縛られています　それから、フォームを描画する必要があります」とカンディンスキーは書いた。『小さな喜び』では、最後の審判のベールに包まれた画像で満たされています。彼のミュンヘン時代の多くの絵画もそうです。しかし、そのスタイルは他の読みを示唆しています。（参考資料：東京美術・もっと知りたいカンディンスキーより）（写真撮影：ほしのきらり）​​​​​カンディンスキーにぽち​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​

  2021.12.27

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