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碁法の谷の庵にて

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2020年10月30日
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佐々木亮・北周士弁護士らの懲戒請求に関する損害賠償請求訴訟で、懲戒請求者6人に合計396万円の賠償を命じた判決が確定したとの報が入りました。

 賠償額の点については一定の論争があり得る所で裁判によっても見解が分かれているようですし、今後判決が積み重なった場合に問題になる可能性はあるとも思われますが,少なくとも「懲戒請求について不法行為が成立する」ことについては全くその通りだったと言えるでしょう。


 一部に懲戒請求されても被害なんかない!!とか、記者会見では生き生きとした顔を見せてたくせに!!とか主張している弁護士も見ました。
 内心では慄然としましたが、懲戒請求者代理人弁護士もやっていたそうなので、代理人としての発言だったと思うことにしましょう。
 私だって懲戒請求者から「請求棄却判決とって!!」と言われたらきちんと依頼料を払い指示に従ってくれるなら依頼だって受けますし、ブログその他で大っぴらに公表するかはともかく裁判で被害がないなどと主張する可能性はあります。
 内心で別の弁護士に対して「この三百代言野郎!!」位に思うことは割とありますが,同じ弁護士としては信義を重んじるべきですし、自分でもそれに近い主張することもありえるのですから、胸にしまうべき感情です。



 私自身,訴訟という手続で不当な懲戒請求への対応がなされることは疑問なしとはしません。
 先日,私が国選弁護人を務める事件の弁護活動に横入りして、被告人との信頼関係をぐじゃぐじゃにしてきた+αをやってきた弁護士に懲戒請求をかけることを検討するところまで行ったことがありますが,結局相手方は自分の事情をだんまりしたため,調査検討義務の問題になりえること(あと関係者を巻き込むこと)を踏まえ,断念しました。

 問題行為をやらかした弁護士側にだんまりされてしまうと、結局調査検討ができず,懲戒請求に対して民事訴訟を起こされたら敗訴するリスクを意識せざるを得ません。
 結局,弁護士会の自浄を働かせるための懲戒請求についても、小さからぬハードルとして調査検討義務は立ちはだかるでしょう。
 真面目に懲戒請求する人にとっても障害になってしまうと感じます。

 そういう意味で、民事訴訟による対応は、懲戒請求制度の在り方として健康的ではないという気持ちはあります。

 しかしだからと言って意味不明な懲戒請求をいくら受けても我慢しろ、などと言う解釈ははるかに不健康な解釈であると思います。
 
 また、弁護士会も当の弁護士に聞かないと懲戒請求者の言い分だけでは真相解明も困難な場合も少なくないだけに、全件を当の弁護士に聞いた上でしっかり審理するという弁護士会の姿勢そのものは非常に真っ当なものです。
 簡易却下しろ、という言い分を主張する人はぜひその言い分を告訴状不受理をやらかす警察にも主張してあげてください。


 むしろ「民事訴訟という形でしか被害に遭った弁護士の被害を阻止・回復できない」現行制度の問題ともいえます。
 とはいえ、私ごときにこうした問題を解決できる制度が立案できるなら苦労はないのですが…





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最終更新日  2020年10月30日 17時42分44秒
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