カテゴリ:俳句&本紹介
古稀寒夜ひとごとのやふなり想定外 ★ ★ ★ 『曠野より』 ・栗坪 良樹 ・ふらんす堂 ~1940年生の著者「私の誕生から十五歳までを半自伝と名付ければ、そういうことだが、より 詳しくいえば、私の脳裡にあった残像の歴史といったところだ。」「この本は、古稀七十を迎えた 昨年ひと夏をかけて書いた。自分が何処から此処に来て、これから何処へ行くか、それを漠然 と占うきもとがあった。」 1.原野 2.古潭 3.冬夜 の、章立てで 185篇!281頁。 「私は偽国家と称された失われた旧満州国に生まれた。父は出征したまま帰らず、私は引き 揚げ者という名の難民となって日本へ帰った。 小学生の時から高校を終えるまで、北海道の 田舎で暮らした。」 その間も、釜山・福岡・新潟三条から石狩平野へと、環境と暮らしと心境の 変化が同時並行で克明につづられる。 「戦争とは何かと問われたら単純に、人が死ぬことと答える。それ以外の理屈はいらない。子 供の時に死んだ人を大勢見たせいだ。」 「いま思うと、ぼくは三、四年生までは引き揚げ者の 子、母子家庭の子、戦争から父がまだ還らぬ家の子、といったレッテルの下に生きていた。」 「いま七十にして、北海道の片田舎の小学校時代の数年が、自分の黄金期だった、と思い知 った。」 「話は十五歳あたりのところで止めた。そのまま書き続けると、少年時代の理屈好き のことばで固められた記憶が先導するみとになる。そう思った。」・・・・。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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