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山行・水行・書筺 (小野寺秀也)

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小野寺秀也

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2016.01.22
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テーマ:街歩き(613)
カテゴリ:街歩き

 暗さで気が付かないような小雪がちらついている。シンサレートのインナーを着込んだので寒さ対策は十分だろうとこれまでのジャケットを羽織って家を出てきたのだがが、次第に冷え込んできて、ダウンのジャケットにすればよかったと思い始めたころに勾当台公園に着いてしまった。
 すでに野外音楽堂前に集まっていた4、5人と挨拶を交わしたが、すべて「冷え込みますね」、「寒いですね」という言葉の挨拶だった。

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小雪ちらつく勾当台公園野外音楽堂。(2016/1/22 18:12、20)

 

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フリー・トーク。(2016/1/22 18:14~25)

 中にはベンチに座っている人もいるが、ほとんどの人は立ったまま寒さをしのいでいる。私は私で、写真を撮るふりをして周りを歩き回る。じっとしているより少しは寒さがしのげる(という気がする)。

 最初のトークは、毎回、杖を突きながら元気にデモを歩く人の「カンパ」の話である。
 週に一度通っているリハビリ施設で知り合った86歳のご婦人に自分で書いた短編小説を読んでもらったという。その小説は私もコピーを頂いて読ませてもらったのだが、脱原発金デモのこと、亡くなった愛犬にそのデモのことなどを語りかけるというストーリーである。そこに、金デモが参加者のカンパでもろもろをまかなっているという一節も書かれている。
 その小説を読んだ老婦人に「とてもデモには出られないので、せめてカンパだけでも」とお金を託されてきて、たった今、カンパ箱に入れました、という話だった。この冷え込みで40人くらいしか集まっていないが、そのみんなから何とも言えない声が上がった。気持ちが暖かくなる話で、励まされるし、元気も出てくる。

 続いて県会議員の大内真理さんが、「脱原発をめざす宮城県議の会」の活動の一つとして、元原子炉技術者の後藤政志さんを招いて開催された勉強会について話された。59人のうち20人もの県議が参加している「脱原発をめざす宮城県議の会」の今後の活動が期待されるし、何らかの形で将来原発を止めるという点に関しては県議の半数以上が賛成だという話も聞いたことがある。
 一方、次のトークは、女川原発の立地自治体である女川町議会では、原発に反対する町議は3人だけで、原発に関する請願などは全く通らないという苦しい状況の中で頑張っているという話で、「私たちが頑張らねば。頑張りましょう!」という締めくくりだった。

 また、河合弘之弁護士が監督した映画『日本と原発』の自主上映会の告知があった。3月14日、岩沼市の公民館で2回の上映を行うということである。

 

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勾当台公園→勾当台通り→定禅寺通りの信号待ち。(2016/1/22 18:38、42、48)

 集会の30分の長さが寒さを我慢する限界と思われるほどで、司会者の「デモの準備にかかりましょう」という合図の後、みんなの動き出しがいつもよりきびきびと早かったのは私の気のせいではないだろう。
 寒さしのぎに両手の鳴子をびゅんびゅん振っている人もいるし、「新兵器のデモアイテムです」と超小型のマイクとスピーカーを装着した人もいて、人数の少ない割には意外に賑やかにデモは出発した。 

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雪の残る一番町。(2016/1/22 18:50、51、53)

 日の当たるところの雪はほとんど溶けてしまっているが、一番町には除雪した雪を積み重ねた山があちこちに残っている。デモの列は雪山を避けてうねって進むのである。
 広瀬通りを越えれば、アーケードに覆われた雪のない一番町となる。

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広瀬通りから青葉通りへ。(2016/1/22 18:56~19:00)

 あるフェイスブック友だちの投稿で、赤坂憲雄さんが1月17日付の福島民報に「山や川や海を返してほしい」という文章を寄稿していることを知った。学習院大学教授で福島県立博物館館長でもある赤坂憲雄さんは、慶応義塾大学教授の社会学者、小熊英二さんとの共編著の『辺境から始まる [1] があるが、『東北学へ』シリーズなどを著されている民族学者である。
 政府も福島県も、そして、それぞれの市町村さえも、放射能汚染地となった故郷から避難した人々を躍起になって帰還させようとしている。日本の国民は1mSv/年以下の被爆に抑えられるように法で守られているというのに、福島の人たちは20mSv/年まで被爆してもいいのだ、というあまりにも不当な差別のもとに帰還が進められている。
 赤坂さんはそのことに異を唱えているのである。

 福島の外では、もはや誰も関心を示さないが、どうやら森林除染は行われないらしい。環境省が、生活圏から離れ、日常的に人が立ち入らない大部分の森林は除染を行わない方針を示した、という。それでいて、いつ、誰が「安全」だと公的に宣言がなされたのかは知らず、なし崩しに「帰還」が推し進められている。
 わたしは民俗学者である。だから、見過ごすことができない。生活圏とはいったい何か。人の暮らしは、居住する家屋から20メートルの範囲内で完結しているのか。もし、そうであるならば、民俗学などという学問は誕生することはなかった。都会ではない、山野河海[さんやかかい]を背にしたムラの暮らしにとって、生活圏とは何か、という問いかけこそが必要だ。
  〔中略〕
 除染のためにイグネが伐採された。森林の除染は行われない、という。くりかえすが、生活圏とは家屋から20メートルの範囲内を指すわけではない。人々は山野河海のすべてを生活圏として、この土地に暮らしを営んできたのだ。汚れた里山のかたわらに「帰還」して、どのような生活を再建せよと言うのか。山や川や海を返してほしい、と呟[つぶや]く声が聞こえる。

 家に閉じこもった生活でしか20mSv/年以下が保証されないのだ。20mSvという数字そのものが福島に住む人々の将来的な健康を無視した数字なのに、普通に暮らせばそれ以上の被爆が実質的に想定されるのだ。
 何よりも、赤坂さんが指摘するように、現在の帰還政策は、人間が「ある場所」で生きることの意味をまったく考えていない非人道的な措置なのだ。

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青葉通りを東進。 (2016/1/22 19:01、09、11)

 一編の詩がある。東京電力福島第一原発の過酷事故のために富岡町から避難せざるをえなかった女性の詩 [2] である。

富岡のそらへ
     佐藤紫華子

そーと吹いてくる
風に誘われて
すゝきの穂がたなびいている

北へ 北へ
なつかしい
富岡の空へ向かって!

あの空には
思い出がいっぱい

私達の心をのせて
雲は両手を広げ

茜色に染まる
空へと走って
行く……

 森も、山も、川も、私たちが暮らす故郷である。空も、雲も、私たちの故郷には欠かせない。放射能にまみれた森や川、放射能を降らせる空と雲の下で生きることを強制する社会とは何か。私(たち)もその社会の一員であることの意味を考える。考えながら、原発に反対してデモを歩く。

 小雪のちらつく街のデモを終えて、地下鉄東西線を国際センター駅で降りて地上に出ると、川内は一面の雪景色であった。地下鉄でたった5分の距離でこんなにも天候が違うのだ。この雪も私の暮らす故郷そのものの一部をなしているのだ。

[1] 赤坂憲雄、小熊英二(編著)『辺境から始まる 東京/東北論』(明石書店、2012年)
[2] 佐藤紫華子『原発避難民の詩』(朝日新聞出版、2012年) p. 110。

 

 

 

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かわたれどきの頁繰り(小野寺秀也)






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Last updated  2017.06.17 20:32:05
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