ウエルシアとツルハが経営統合か?
ドラッグストア売上首位のウエルシアホールディングスと、2位のツルハホールディングスが、経営統合に向けて調整に入ったという報道がありました。久し振りのビッグニュースです。ウエルシアの親会社はイオンで、イオンが主導する形という報道です。イオンはウエルシアに50%超を出資しているのみでなく、ツルハ株も13.59%保有しています。昨年のツルハの株主総会では、ツルハ株を13%程度保有する香港の投資ファインド、オアシス・マネジメントがツルハに株主提案を出し、混乱したことがあります。最終的にオアシスの株主提案は否決されましたが、ツルハはダメージを受けたと思われます。イオンは今年1月になって、ツルハの株式をオアシスが運用するファンドから取得することについて、両社間で独占的に交渉を開始すると発表しました。これが実現すると、イオンはツルハを持分法適用対象会社とすることとなります。この流れが進んで、一気に経営統合という流れが加速するのではないか、というのがこの報道です。統合が実現すれば、売上高2兆円規模の巨大連合が誕生することになります。差別化を以て戦わずして勝つ 誇り高き企業集団ウエルシアの挑戦 評言社MIL新書 / 池野隆光 【本】オアシスは、同じくイオンが株式を9.98%保有するクスリのアオキホールディングスにも、昨年の株主総会でツルハと同じように株主提案を出しています。イオンが関係する子会社以外の2社に、オアシスが株主提案を出しているのは、単なる偶然とは考えにくいと、個人的には思います。この統合が実現すると、直近決算期の売上では、ウエルシアが1兆1,442億円、ツルハが9,700億円で、単純合算すると2兆1,142億円となり、3位のマツキヨココカラ&カンパニーの売上9,512億円の2倍以上になります。アメリカのドラッグストアは同じような状況で、1位のCVSヘルスは3,226億ドル(約48兆円)、2位のウォルグリーンブーツアライアンスは1,327億ドル(約20兆円)と、2倍を超える状況です。この報道を受けて、イオン、ウエルシア、ツルハとも、「現時点で決定した事実はない」とするコメントをそれぞれ発表しています。また、東証はウエルシアとツルハについて注意喚起を行いました。「経営統合に関する不明確な情報が生じているため」としています。とは言え、個人的には近い将来、この経営統合は実現すると思います。ドラッグストア業界の再編が、いよいよ加速していきます。