カテゴリ:プレバト俳句を添削ごと査定?!
いちじくを運ぶ掛け声朝の鐘 星月夜五畳酒場の笑い声 赤とんぼ街にひびくはキキの声 秋茄子の美味い酒場がコンビニに ズル休みさやか駅前純喫茶 ピザ窯の奥に小さき火朝寒し 口開けの客は西瓜と連れ立ちて
プレバト俳句。 お題は「店のオープン」。 ◇ フルポン村上。 ピザ窯の奥に小ちさき火 朝寒し 掲載決定。 文句のつけようのない出来。 場面描写も正確。 遠近感があり、 「冷」と「暖」の対比があり、 情感もあって、 下五に季語を置く形式がその情感を活かしている。 きちんと定型に収まっていて誤読の余地もなし。 …パーフェクトですね。 ◇ 森迫永依。 いちじくを運ぶ掛け声 朝の鐘 ええ~っ? この人、森迫永依ちゃんなの? 25才?上智卒? 萌音萌歌より年上じゃん! やばい、頭の時間軸がおかしくなってる…。 今週の1位です。 無花果いちじくは晩秋の季語だとのこと。 モロッコの光景と聞くと、 さらに味わいが増しますねえ。 朝の鐘が鳴って、市が開いて、コーランが響いてくる? ちょっと久保田早紀の「サウダーデ」を思い出しました。 (あれはポルトガルのトマト売りですけど) ◇ 篠原ゆき子。 星月夜 五畳酒場の笑い声 星月夜 五畳酒場のさざめきに(添削後) 才能アリの2位。 添削句のほうは、 季語を活かすために下五を抑制し、 末尾を「に」で締めて倒置法のようになってます。 ◇ 三浦獠太。 赤とんぼ 街にひびくはキキの声 キキの声ひびける街の赤とんぼ(添削後) 原句のほうは、 「キキの声」が現実なのか幻想なのか判然としないし、 そちらに重心がありすぎて、 上五の季語が置いてけぼりになってる感もあり、 取り合わせとしても噛み合わないように思えます。 添削句のほうは、 幻想と現実がうまく溶け合って、 ちゃんとジブリ的な世界観になってますね。 ◇ ニューヨーク嶋佐。 秋茄子の美味い酒場がコンビニに 秋茄子は美味し 酒場はコンビニに(添削後) 原句を最初に読んだときは、 「自分にとっての酒場」がコンビニの中にある、 と誤読してしまったのだけど、 作者いわく、 酒場が潰れて新しくコンビニが出来てしまった、とのこと。 そうなると「秋茄子の美味い酒場」が実景ではなく、 季語もすでに失われていることになります。 これは添削しても、あまりパッとしない。 ◇ キスマイ横尾。 ズル休みさやか駅前純喫茶 掲載決定だそうですけど… 助詞がないので、 どこで切るべきなのか迷います。 A:ズル休み/さやか駅前/純喫茶 B:ズル休み/さやか駅前純喫茶 C:ズル休みさやか/駅前純喫茶 D:ズル休みさやか駅前純喫茶 Aなら三段切れになるし、 わたしはBで二句一章かと思ったけど、 これだと、季語ではない上五が宙に浮いてしまう。 Cは、意味の上から考えてちょっとありえない。 …ってことで、 先生はDの一句一章と解釈したようです。 すなわち、季語の「さやか」は、 前の「ズル休み」にも、後の「駅前純喫茶」にも、 どちらにも掛かりうる、という解釈。 しかし、文法的にいえば、 (短歌の掛詞でもないかぎり) 形容動詞が前後両方に掛かるなんてことはありえない。 これは、いささかズルい読み方であって、 賛否が分かれるだろうと思います。 ◇ 梅沢富美男。 口開けの客は西瓜と連れ立ちて これも掲載決定だそうですけど… 下五「連れ立ちて」の是非。 村上が言ったように擬人化の問題もあるけれど、 そもそも連れ立って「来る」のか「出る」のか分からない。 作者の意図とは逆に、 馴染みの店主から西瓜を貰って店を出て行く、 と解釈することもできるはずです。 事実、わたしはそのように誤読しました。 擬人化を排して、 「西瓜をぶらさげ来く」とすれば、 誤読の余地はありません。 梅沢は、 接続助詞の「て」でお茶を濁すのが悪い癖だと思う。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2022.10.15 20:28:51
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